Cambridge IELTS 13巻から20巻までの Academic Reading 96パッセージを当校で10テーマに分類したところ、言語と教育を扱った文章は7パッセージありました。口笛言語、音声翻訳、読書習慣の変化、習熟度別クラス、才能と努力、教育と経済成長が含まれます。
この記事では、その7パッセージの本文に出た115語を、6つの場面に分けて並べました。語は当校のリーディング模擬試験で使っている語彙データから拾ったもので、日本語訳は当校で付けています。あわせて、これらのパッセージには出ていないものの、同じテーマの文章で関連して使われやすい語も各セクションに添えてあります。
語彙項目の数え方について補足します。zone of proximal development (ZPD) のように2語以上のまとまりも1件として数えていて、replicate と replicable のように同じ語源でも語形が違うものは別に数えています。また、そのテーマの文章に出てきた語をすべて入れてあるので、場面の名前そのものを表す語だけが並んでいるわけではありません。
各セクションの語彙リストの下にはマッチングクイズがあります。表を眺めたあとに、そのセクションから5語だけ確認する使い方を想定しています。
リーディング
テーマ別語彙シリーズ:IELTSリーディングに繰り返し出るテーマと語彙の積み上げ方【総論】
目次
脳がことばをどう扱うかを表す語
読み方が変わることを扱う語
言語そのものと、その存続を扱う語
教室をどう編成するかを表す語
才能か努力かを論じる語
教育と経済のつながりを扱う語
「同じ場面で一緒に出てきやすい語」をどう扱うか
よくある質問
まとめ
01 脳がことばをどう扱うかを表す語
言語を扱った文章では、脳のどこが働いているかが根拠として示されます。temporal lobe と frontal lobe が部位、neuroimaging がそれを画像で捉える方法、neuronal circuit と neural pathways が回路そのものです。部位の名前は読んで分かれば十分な語で、本文はその働きのほうを説明します。
読む力が何でできているかを表す語も並びます。inference は推論、analogical reasoning は類推、empathy は共感、affective は感情に関わることです。読むという行為が文字を追うだけではない、という主張を組み立てる語です。
genetic blueprint は、この分野で議論の出発点になる語です。読み書きは生まれつき備わった能力ではなく、あとから回路を作って身につけるものだ、という説明で使われます。acquisition と literacy がその習得の側、atrophy と susceptible は、使わなければ衰えうるという側の語です。
出題済みの語(20語)
英語 意味
language-processing abilities 言語処理能力(脳が言語を認識・解析する力)
neuroimaging 神経画像法(脳活動を画像化する技術)
temporal lobe 側頭葉(言語処理に関わる脳の部位)
frontal lobe 前頭葉
modality 様式・モダリティ(信号や情報の伝達形式)
neuronal circuit 神経回路
acquisition (能力の)習得
literacy 読み書き能力
elaborated 精緻化された、発展した
affective 感情に関する
analogical reasoning 類推的思考
inference 推論
empathy 共感
genetic blueprint 遺伝的設計図
allocate 割り当てる
comprehend 理解する
atrophy (機能の)萎縮、退化
susceptible 影響を受けやすい
neural pathways 神経経路(脳内の信号伝達ルート)
neuroscience 神経科学
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語 意味
phonological awareness 音のまとまりに気づく力
decoding 文字を音に変換して読み取ること
bilingualism 2つの言語を使えること
cognitive development 認知の発達
lateralisation 脳の左右で働きが分かれること
attention span 集中が続く長さ
retention 覚えたことが残ること
stimulus 刺激
02 読み方が変わることを扱う語
読書習慣の変化を扱った文章では、画面で読むことが読み方をどう変えるかが論じられます。skimming は流し読み、cognitive impatience はすぐに結果を求めてしまう傾向を指します。この2語が、変化の中身そのものです。
失われる側を表す語も並びます。disrupt は流れを乱すこと、diminish は減らすこと、atrophy は使わないことで衰えることです。collateral damage は本来の目的とは別に生じてしまう損失で、速く読めるようになった代わりに何かを失った、という書き方で出てきます。
binary は、この文章で筆者の立場を示す語です。ここでは、紙か画面かを単純な二者択一として捉えることへの批判につながっています。設問が「筆者は画面での読書に反対している」と書いているときは、この語の周辺を確かめると答えが決まります。entrenched は、習慣がすっかり定着してしまった状態を指します。
出題済みの語(9語)
英語 意味
implications 影響、意味合い
binary 二項対立的な
disrupt 混乱させる、破壊する
diminish 減らす、低下させる
cognitive impatience 認知的短気(すぐに結果を求める傾向)
chronological 時系列の
skimming 流し読み
collateral damage 意図しない副損害
entrenched (習慣・考えが)すっかり定着した
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語 意味
deep reading じっくり読み込むこと
screen time 画面を見ている時間
hyperlink 他のページへ飛ぶリンク
distraction 気が散るもとになるもの
print medium 紙の媒体
scanning 必要な情報だけを探して目を走らせること
reading comprehension 読解力
multitasking 複数のことを同時に行うこと
03 言語そのものと、その存続を扱う語
口笛言語を扱った文章では、地形の語が話の前提になります。ravines は切り立った深い谷、terrain は地形です。声が届かない距離を口笛で越える必要があった、という説明につながります。isolated mountain folk はそこに暮らしてきた人たちを指します。
言語の状態を表す語も並びます。dwindling は使い手が減っていくこと、threatened with extinction は消滅の危機にあることです。indigenous はその土地に元からあることを指します。この3語は、少数言語を扱う文章ではまとまって出てきます。
翻訳を扱った文章では、広まり方と実現可能性の語が中心になります。prevalent は広く行き渡っていること、ubiquitous は至るところに存在すること、lingua franca は母語が違う人どうしのあいだで使われる共通語を指します。3語とも似た場所に出ますが、焦点が違います。realisable は実現できること、simultaneous は「同時の」という意味で、翻訳の話題では simultaneous interpreting(同時通訳)の形で使われます。
出題済みの語(24語)
英語 意味
ravines 渓谷(切り立った深い谷)
terrain 地形・地勢
shedding light on 〜を解明する・明らかにする
substitute 代替物、代用品
ambiguity 曖昧さ・多義性
isolated mountain folk 孤立した山岳地帯の住民
indigenous 先住の、その土地に元からある
obscure あまり知られていない、分かりにくい、はっきりしない
dwindling 減少している・先細りの
threatened with extinction 絶滅の危機に瀕している
obstacle 障害、妨げ
subtitling 字幕制作(の手法)
realisable 実現可能な
novelties 目新しいもの、物珍しさ
redress (問題・不均衡を)是正する
prevalent 広まっている
simultaneous 同時の、同時に起こる
apprehensions 懸念、不安
solemn 厳粛な、重々しい
norms (文化的・社会的)規範
outsource 外部委託する
ubiquitous 至る所にある、遍在する
lingua franca 共通語(異なる母語話者間で使われる言語)
predecessors 前任者、先行する人やもの
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語 意味
dialect 方言
mother tongue 母語
revitalisation 使われなくなりかけた言語を立て直すこと
fluency 流暢さ
interpreter 通訳者
linguistic diversity 言語の多様さ
endangered language 消滅の危機にある言語
transcription 音声を文字に書き起こすこと
04 教室をどう編成するかを表す語
習熟度別のクラス編成を扱った文章では、用語の定義から始まります。streaming / tracking がその編成そのもの、attainment は学力の達成度です。stakeholder は、その決定に関わる立場の人たちを指します。
学習理論の用語もまとまって出ます。constructivism は学習者が自分で理解を組み立てるという考え方、zone of proximal development(ZPD)は支えがあれば届く範囲、scaffolding はその支えのことです。この3つは1つの流れとして説明されるので、どれか1つだけを覚えても段落がつながりません。
証拠の扱いを表す語が、判断を分けます。empirical は実証的な裏づけがあること、meta-analysis は複数の研究をまとめて分析すること、tentative は言い切れないことを指します。cognitive dissonance は、矛盾する認識を同時に抱えたときに生じる居心地の悪さを指す語で、習熟度別編成について相反する見方を抱えた状態の説明で出てきます。entrenching は、その編成が格差を固定してしまうという主張の側の語です。
出題済みの語(15語)
英語 意味
tentative 暫定的な、自信をもって言い切れない
streaming / tracking 習熟度別クラス編成
attainment 学力達成度
stakeholder 利害関係者、関係当事者
cognitive dissonance 認知的不協和(矛盾した信念が共存する状態)
wanes (熱意・力が)薄れる
mediocrity 凡庸さ、平凡
constructivism 構成主義(学習理論)
zone of proximal development (ZPD) 最近接発達領域(支援があれば達成できる範囲)
scaffolding 足場(学習支援のたとえ)
aptitude 適性、ある能力を身につける素地
empirical 実証的な、実際のデータに基づく
entrenching (格差などを)固定化する、強化する
meta-analysis メタ分析(複数の研究を統合した分析)
zeal 熱意、情熱
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語 意味
differentiation 同じ教室で一人ひとりに合わせて教えること
curriculum 教育課程
assessment 評価、測定
peer learning 生徒どうしで学び合うこと
teaching methodology 指導法
class size 1クラスの人数
intervention 介入(改善のために行う働きかけ)
learning outcome 学習の成果
05 才能か努力かを論じる語
この論点では、innate と gifted が一方の側に立ちます。innate は生まれつき備わっている性質全般、gifted は特別な才能があるとされることを指します。この2語が出てきたら、筆者がそれを支持しているのか否定しているのかを見ておいてください。
もう一方の側の語もはっきりしています。deliberate practice は弱点を狙った意識的な練習、plugging away はコツコツ続けること、setbacks は挫折、resolute は屈しないことです。unexceptional は、優れた成果を出した人がもともとは平凡だった、という説明で使われます。
成長マインドセットを扱った文章では、その考え方への批判も書かれています。misappropriated は本来の意図と違う使われ方をされたこと、conflated with は別のものと混同されたこと、elixir は万能薬という比喩です。deluded は思い違いをしている状態を指します。replicate と replicable は、その研究が再現できるかどうかに関わる語で、主張をどこまで信じてよいかに直結します。
出題済みの語(30語)
英語 意味
innate 生まれつきの、生来の
supplanted 取って代わられた
quantify 定量化する
coaxing うまく説き伏せる、誘導する
instilled with 〜を植え付けられた
fixed mindset 固定型マインドセット(能力は変わらないという思い込み)
impediments 障害、妨げ
replicate (研究を)再現する
misappropriated 誤用された、本来の目的と異なる使われ方をした
conflated with 〜と混同された
self-esteem 自己肯定感
elixir 万能薬(比喩として使われる)
paradoxically 逆説的に
deluded 思い違いをした、幻想を抱いた
gifted 特別な才能のある、才能に恵まれた
sphere 分野、領域
resolute 断固とした、困難に屈しない
setbacks 挫折、逆境
unexceptional 平凡な、際立った点のない
plugging away コツコツと努力し続ける
contemporaries 同世代の人々
replicable 再現可能な
spirit of inquiry 探究心
deliberate practice 意図的練習(弱点を狙った意識的な練習)
expertise 専門的技能、熟達
deprived 十分な機会や資源を与えられていない
socioeconomic 社会経済的な
decisive factor 決定的な要因
policymakers 政策立案者
habits of mind 思考習慣(高い成果を生む思考パターン)
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語 意味
nature versus nurture 生まれか育ちかという議論
prodigy 早くから並外れた力を示す人
perseverance やり抜く力
motivation 動機づけ
talent identification 才能を早く見つけ出すこと
longitudinal study 長期にわたって同じ対象を追う研究
attribution 結果の原因を何に求めるか
self-fulfilling prophecy そう思い込むことで実際にそうなってしまうこと
06 教育と経済のつながりを扱う語
教育が経済成長をもたらすかを論じた文章では、因果の扱いが中心になります。causal link は因果関係、conundrum はなかなか解けない難問です。識字率が高い国が必ず先に工業化したわけではない、という事実から議論が始まります。
測る側の語も並びます。literacy rate は識字率、numeracy は計算の力、inventories は所有物の一覧です。当時の識字率を直接測る記録がないので、遺された文書から推し量る、という説明で使われます。
threshold と tipping point は、この分野で似た場所に出る2語です。threshold は効果が現れ始める最低限の水準、tipping point は変化が一気に進む転換点を指します。同じ段落に両方が出てくることがあるので、設問がどちらを指しているかを確かめておきましょう。stifled、chastised、legislated against、monopolies は、教育や技術の広がりを妨げた側を表す語です。
出題済みの語(17語)
英語 意味
conundrum 難問(なかなか解けない謎)
causal link 因果関係
mediocre 並みの、平凡な
literacy rate 識字率
industrialise 工業化する
inventories 財産目録(所有物の一覧)
numeracy 計算能力
stifled 抑圧した、阻害した
chastised 叱責した、罰した
spinster 未婚の女性(古い言い方。現在は避けられる)
guild ordinance ギルドの規則・条例
defiance 反抗、無視
threshold 閾値(効果が現れる最低限度)
tipping point 転換点(変化が一気に起きる時点)
legislated against 〜を法律で禁じた
monopolies 独占権
labour migration 労働移動(仕事を求めた移住)
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語 意味
human capital 人的資本(教育や技能を経済的な資産と見る考え方)
GDP per capita 1人あたりの国内総生産
skilled labour 熟練した労働力
vocational training 職業訓練
enrolment 在籍者数、就学すること
correlation 相関(一方が変われば他方も変わる関係)
compulsory education 義務教育
apprenticeship 見習いとして働きながら学ぶ制度
08 よくある質問
言語と教育のテーマは、リーディングでどのくらいの頻度で出ますか
Cambridge IELTS 13巻から20巻の Academic Reading 96パッセージのうち、言語と教育を扱ったものは7パッセージでした(2026年8月26日時点、当校の集計)。10テーマの中では7番目の多さでした。
115語を全部覚える必要がありますか
全部を同じ深さで覚える必要はありません。temporal lobe や guild ordinance のような専門的な語は意味が分かれば十分です。ただしこのテーマはライティングやスピーキングとも重なるので、attainment、aptitude、motivation、curriculum のように書く側でも使う語は、自分でも使える状態にしておく価値があります。
constructivism・ZPD・scaffolding は3つとも覚える必要がありますか
1つの流れとして説明されるので、まとめて押さえるほうが結びつきます。constructivism は学習者が自分で理解を組み立てるという考え方、zone of proximal development は支えがあれば届く範囲、scaffolding はその支えです。どれか1つだけでは段落がつながりません。
threshold と tipping point はどう違いますか
threshold は効果が現れ始める最低限の水準、tipping point は変化が一気に進む転換点です。同じ段落に両方が出てくることがあるので、設問がどちらを指しているかを確かめておきましょう。
読書習慣の文章で、筆者は画面での読書に反対しているのですか
そう読める箇所もありますが、本文には binary という語が出てきます。紙か画面かの二者択一で考えるべきではない、という立場です。設問が一方に決めつけて書いているときは、この語の周辺を確かめてください。
「一緒に出てきやすい語」は次の試験に出るということですか
そういう意味ではありません。13巻から20巻までの本文には出ていないものの、同じテーマの文章で、出題済みの語と関連して登場しやすい語を集めてあります。次に出る語を当てたものではありません。
巻別の語彙リストとの使い分けを教えてください
解いた直後に開くなら巻別、苦手なテーマを埋めたいならテーマ別です。巻別は1冊ぶんの語をまとめてあるので、答え合わせの流れでそのまま開けます。テーマ別は8冊ぶんをテーマごとに横断して整理してあるので、特定のテーマだけを集中して見られます。
09 まとめ
言語と教育を扱う文章では、異なる立場や考え方が同じ文章の中で並ぶことがあります。どちらの側の語かを見分けられると、筆者の立場を追いやすくなります。
脳の部位の名前は、本文にある働きの説明のほうを追う
読む力は文字を追うだけではない、という主張を inference・empathy・affective が支える
この文章では binary が、紙か画面かを単純な二者択一として捉える見方を指している
prevalent・ubiquitous・lingua franca は焦点が違う
constructivism・ZPD・scaffolding は1つの流れとしてまとめて押さえる
innate と gifted が出てきたら、筆者がそれを支持しているのか否定しているのかを見る
threshold(効果が出始める水準)と tipping point(一気に進む転換点)を混ぜない
後半の表はまとめて覚える対象にせず、公式問題集の外で読むときの下準備として眺める