テーマ別語彙シリーズの最終回です。Cambridge IELTS 13巻から20巻までの Academic Reading 96パッセージを当校で10テーマに分類したところ、芸術と文化を扱った文章は5パッセージありました。写真家、彫刻家、画家をそれぞれ扱った3つの文章に加え、探検という営みと、おとぎ話の読まれ方を扱った文章が含まれます。
この記事では、その5パッセージの本文に出た84語を、5つの場面に分けて並べました。語は当校のリーディング模擬試験で使っている語彙データから拾ったもので、日本語訳は当校で付けています。あわせて、これらのパッセージには出ていないものの、同じテーマの文章で関連して使われやすい語も各セクションに添えてあります。
語彙項目の数え方について補足します。critical acclaim のように2語以上のまとまりも1件として数えていて、depicting と depictions のように同じ語源でも語形が違うものは別に数えています。また、そのテーマの文章に出てきた語をすべて入れてあるので、場面の名前そのものを表す語だけが並んでいるわけではありません。
各セクションの語彙リストの下にはマッチングクイズがあります。表を眺めたあとに、そのセクションから5語だけ確認する使い方を想定しています。
リーディング
テーマ別語彙シリーズ:IELTSリーディングに繰り返し出るテーマと語彙の積み上げ方【総論】
目次
作り手の来歴を表す語
作り方と、発表のしかたを表す語
作品をどう評するかを表す語
探検とは何かを論じる語
物語がどう受け継がれるかを表す語
「同じ場面で一緒に出てきやすい語」をどう扱うか
よくある質問
まとめ
01 作り手の来歴を表す語
芸術家を扱った文章は、生い立ちから始まることが多くなります。apprenticeship は見習いとして修業した期間、emigrated は国外へ移り住んだこと、landholdings と mansion は家がどれだけ豊かだったかを示す語です。
その人がどう選んだかを表す語も出てきます。complied with は、自分の望みとは別に相手の意向に従ったことを指します。彫刻家を扱った文章では、本人の意志と親の意向が食い違っていた、という流れで使われます。inclination はその人がもともと持っていた傾向です。
評価に関わる語は、向きが分かれます。exceptional は卓越していること、notorious は悪い意味で名が知られていることです。彫刻家を扱った文章では、批評が否定的だったことで本人が notorious figure と見なされた、という書き方が出てきます。同じ人物について両方の語が使われることもあるので、どの時期の評価なのかを追ってください。solitude、vigorously、daring は、その人の働き方や姿勢を表す語です。
出題済みの語(15語)
英語 意味
landholdings 土地所有(大規模な土地財産)
mansion 大邸宅
apprenticeship 見習い期間、徒弟制度
emigrated (国外へ)移住した
excursion 小旅行、遠出
founding members 創設メンバー
lumber trade 材木取引
administer 管理・運営する
complied with (父の意志に)従った
exceptional 卓越した
notorious 悪名高い
inclination 傾向、意向
vigorously 精力的に、積極的に
daring 大胆な、挑戦的な
solitude 孤独(な状態)
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語 意味
patron 制作を支えた出資者
self-taught 独学の
contemporary 同じ時代の人
retrospective その人の作品をまとめて見せる展覧会
influence 影響、影響を与える
upbringing 育ち、育てられ方
prolific 作品を数多く生み出す
posthumous 本人の死後の
02 作り方と、発表のしかたを表す語
写真を扱った文章では、当時の技術の語が出ます。glass negatives はガラスの乾板、magnesium flares は人工の光源です。暗い場所でも撮れるようにするための工夫として説明されます。portraiture は人物を撮ることを指します。
彫刻の語も具体的です。cast in bronze はブロンズに鋳造すること、pierced は穴が開いていること、angular は角張っていること、reclining は横たわった姿勢です。sculptural traditions は、それまでの様式そのものを指します。
作品が世に出る流れを表す語も並びます。exhibited は展示したこと、commission は制作の依頼、circulation は出版物が出回った部数です。distort は形をゆがめることで、写実から離れていく方向を表します。mural、aerial、geometric、botanical は、画家を扱った文章で作品の題材や見え方を示す語として出てきます。
出題済みの語(16語)
英語 意味
magnesium flares マグネシウム照明弾(人工光源)
circulation (出版物の)発行部数、流通
portraiture 肖像画・肖像写真(人物の肖像を表すこと)
exhibited 展示した、出展した
commission 制作の依頼、正式な委嘱
glass negatives ガラス乾板(初期写真の媒体)
sculptural traditions 彫刻の伝統・様式
reclining 横たわった
distort ゆがめる
cast in bronze ブロンズに鋳造する
angular 角張った
pierced 穴の開いた
botanical 植物に関する
geometric 幾何学的な
aerial 空中からの(航空写真などの)
mural 壁画(この文章では mural proportions で壁画なみの大きさを指す)
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語 意味
canvas 画布
brushwork 筆の使い方
composition 画面の構成
gallery 画廊、美術館の展示室
medium 画材、表現の手段
sketch 下描き、素描
perspective 遠近法
palette 使っている色の組み合わせ
03 作品をどう評するかを表す語
批評の語は、この分野で読みどころになるところです。critical acclaim は批評家からの高い評価、merits は認められる長所を指します。ある作品が受け入れられなかった時期と、評価が変わった時期が分かれて書かれるので、どちらの時期の話かを追ってください。
作品の印象を表す語も並びます。menace は威圧するような感じ、humanistic は人間らしさを軸にした見方、bold realism はためらいのない写実です。finesse と exquisitely は技術の細やかさ、nuances は微妙な違いを指します。
bore little resemblance to は、この分野で判断を分ける言い回しです。実物にほとんど似ていなかったという意味なので、その作品が写実から離れていたことを示します。avant-garde は当時の主流から先に出ていたことを指し、受け入れられなかった理由の説明になります。wilderness、rugged、geological formations は、風景を題材にした作品の説明で出てくる語です。
出題済みの語(16語)
英語 意味
bold realism 大胆な写実主義
depicting 描く、記録する
wilderness 荒野、手つかずの自然
depictions 描写、表し方
merits 長所、美点
bore little resemblance to 〜にほとんど似ていなかった
humanistic 人間主義的な
menace 脅威感、威圧感
critical acclaim 批評家からの高い評価
finesse 巧みな技術、優雅さ
nuances 微妙な違い、ニュアンス
avant-garde 前衛的な
exquisitely 見事に、精緻に
rugged 険しい、荒々しい
geological formations 地質構造、岩石層
legacy 後世に残したもの、業績
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語 意味
abstract 抽象的な
figurative 具象的な(見たままの形をとどめた)
aesthetic 美的な、美の感じ方に関する
style 作風
motif 繰り返し使われる主題
evocative 何かを思い起こさせる
restrained 抑制のきいた
landmark work 節目となった代表作
04 探検とは何かを論じる語
探検を扱った文章は、定義そのものを論点にします。questing nature と enquiring instinct は、人がもともと持っている探究心を指す語です。field of endeavour は、その営みが行われる分野を意味します。
本物かどうかを分ける語も並びます。stunt は話題作りのための行為、dubbed は何々と呼ばれていること、unmechanised は機械を使わないことです。機械に頼らず苦労してたどり着けば探検なのか、それとも新しい知見をもたらすことが探検なのか、という対立が示されます。laboriously はその苦労の側を表す語です。
筆者が結論に使う語は決まっています。fresh interpretation は新しい見方、insights は深い理解です。地理的に未踏の場所へ行くことより、新しい理解をもたらすことのほうが探検の中身だ、という向きの主張につながります。criteria と bias は、その判断の基準と偏りを指します。depleted と on the decline は、行くべき未踏の場所が減っているという側の語です。
出題済みの語(20語)
英語 意味
questing nature 探求する性質
nomadic 移動しながら暮らす
depleted 枯渇した、劣化した
peculiar breed 風変わりな人たち、独特なタイプ
enquiring instinct 探究心
delving into 深く探求する
laboriously 苦労して、骨折って
on the decline 衰退しつつある
scarcely ほとんど〜ない
dubbed 〜という異名を持つ
stunt 話題作りのための行為
unmechanised 機械化されていない
field of endeavour 取り組みの分野
cutting-edge 最先端の
criteria 基準(criterion の複数形)
bias 偏向、偏り
expeditions 遠征、探検
microbes 微生物
fresh interpretation 新たな解釈・視点
insights 洞察(深い理解)
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語 意味
frontier 未踏の境界、開拓の最前線
terra incognita まだ知られていない土地
navigation 位置を知って進むこと
endurance 耐え抜く力
uncharted 地図にない
quest 探し求める旅
discovery 発見
pioneer 先駆者
05 物語がどう受け継がれるかを表す語
おとぎ話を扱った文章では、研究の手法の語が出てきます。phylogenetic analysis は、生物の系統をたどる手法を物語に応用したものです。variants は同じ話の別の形、oral traditions は口で語り継がれてきたものを指します。
conserved と retained は、この文章で中心になる語です。どちらも変わらずに受け継がれたことを指します。同じ話が地域をまたいで残るとき、何が変わり何が変わらなかったかが論点になるので、この2語の周辺が照合先になります。perennial は、いつの時代にも残り続けることを表します。
話の中身を表す語も並びます。gruesome と blood-thirsty は残酷であること、villain は悪役、cautionary は警告の意味を持つことです。disposes of は始末することを指します。resistance は、この文章では病気への抵抗を指しません。つらい感情に対して耐えられるようになることを表しています。子どもが残酷な話を通して何を得るのか、という議論で使われる語です。
出題済みの語(17語)
英語 意味
disposes of 始末する、処分する
cautionary 警告的な
attributed to 〜によるものとされている
anthropologist 人類学者
phylogenetic analysis 系統発生分析
variants 異形、変形版
oral traditions 口承の伝統
conserved 変わらずに保たれている
hunter-gatherer 狩猟採集民の
narratives 物語、語り
trivial 取るに足らない
gruesome 残酷な、ぞっとするような
blood-thirsty 残忍な(血に飢えた)
retained 保持された、残された
perennial 永続的な、いつまでも続く
villain 悪役
resistance 耐性(つらい感情に対する)
同じ場面で一緒に出てきやすい語(8語)
英語 意味
folklore 民間に伝わる話や習わし
moral 物語が伝える教訓
archetype 繰り返し現れる型
adaptation 別の形に作り直したもの
myth 神話
storytelling 語りの営み
protagonist 主人公
sanitised 都合の悪い部分を取り除いた
07 よくある質問
芸術と文化のテーマは、リーディングでどのくらいの頻度で出ますか
Cambridge IELTS 13巻から20巻の Academic Reading 96パッセージのうち、芸術と文化を扱ったものは5パッセージでした(2026年8月26日時点、当校の集計)。10テーマの中で最も少ない分野です。
人物を扱った文章が苦手です
出来事の順番と、評価が変わった時期の2つを追うと読みやすくなります。人物を扱った文章は生涯を時間順にたどる構成が多いので、年代や時期を表す語に印を付けながら読むと、出来事の順番を問う設問の根拠を探しやすくなります。
84語を全部覚える必要がありますか
全部を同じ深さで覚える必要はありません。glass negatives や magnesium flares のような当時の技術の名前は、意味が分かれば十分です。criteria、merits、insights のように分野を問わず出てくる語だけ、自分でも使える状態にしておくと役に立ちます。
exceptional と notorious が同じ人物について書かれることがありますか
あります。評価は時期によって変わるためです。彫刻家を扱った文章では、発表当時の批評がきわめて否定的で本人が notorious figure と見なされ、のちに critical acclaim を得る、という流れになっています。notorious なのは作品ではなく本人だという点も、取り違えやすいところです。
resistance がここでは病気の話ではないのはなぜですか
おとぎ話を扱った文章で、つらい感情に耐えられるようになることを指して使われているためです。同じ語でも文章によって指すものが変わります。動物の生態を扱った回では病気への抵抗の意味で出てくるので、周りの語で判断することになります。
「一緒に出てきやすい語」は次の試験に出るということですか
そういう意味ではありません。13巻から20巻までの本文には出ていないものの、同じテーマの文章で、出題済みの語と関連して登場しやすい語を集めてあります。次に出る語を当てたものではありません。
10テーマを全部読み終えたら、次は何をすればよいですか
解いた模擬試験をパッセージ単位で仕分け直して、正答数や時間に変化があったテーマを見てください。総論の記事に手順をまとめてあります。変化が見えないテーマがあれば、その回をもう一度開くより、言い換えを見抜く練習に切り替えるほうが早く進むこともあります。
08 まとめ
今回扱った芸術と文化の5パッセージでは、作品そのものだけでなく、それが誰にどう受け止められたかにも紙面が割かれています。評価が時期によって変わる点が、この分野の読みどころです。
人物を扱った文章は、出来事の順番と評価が変わった時期の2つを追う
complied with は、自分の望みとは別に相手の意向に従ったことを示す
exceptional と notorious が同じ人物について書かれることがある。notorious なのは作品ではなく本人
bore little resemblance to は、その作品が写実から離れていたことを示す
探検の文章は、苦労してたどり着くことと新しい理解をもたらすことの対立で進む
conserved と retained は、何が変わらずに残ったかを示す語
resistance のように、同じ語でも文章によって指すものが変わる
後半の表はまとめて覚える対象にせず、公式問題集の外で読むときの下準備として眺める