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ライティング・タスク2

enable と allow の違い:能力や手段を与えるのか、権限をもって許可するのか

執筆:高橋 響 公開日:

enable も allow も、どちらも「〜することを可能にする」という意味で使われるため、一見すると互換的に使えるように思えます。しかし、両者には明確な違いがあります。特に、権限や許可を与えるのか、それとも能力・手段・機会を与えるのかによって使い分けられます。

この記事では、enable を中心に、主語にできるものの特徴や、enable to do のようなよくある誤用について解説します。さらに、let・allow・permit との違いも比較しながら、IELTSライティング・タスク2で実際にどのように使い分ければよいのか、具体例を通して紹介します。

01結論:手段を与えるのか、権限をもって許可するのか

enable と allow の違いは、主語が何をしているかにあります。allow は、権限をもつ側が「してよい」と許可を与えることを表します。enable は、能力や手段、条件を与えることで「できるようになる」状況を作ることを表します。

観点allowenable
与えるもの許可能力、手段、条件
何が問題だったか制限や権限能力や手段の不足
主語になりやすいもの権限を持つ側(政府、学校、規則、保護者)技術、制度、資金などの手段
allow + 人 + to doenable + 人 / 物 + to do

The government allows citizens to access public records. は、それまで禁じられていた、あるいは制限されていた閲覧を、政府が権限として認めているという文です。The internet enables citizens to access public records from home. は、禁止を解いたわけではなく、自宅からアクセスするための手段ができたので可能になった、という文です。ここで大事なのは主語が政府か技術かではなく、主語が権限として許可しているのか、手段を与えて可能にしているのかという役割のほうです。実際、The new regulations allow companies to operate on Sundays.(規則が日曜営業を認める)と The new regulations enable small businesses to operate more efficiently.(規則が効率的な運営を可能にする)のように、同じ regulations が主語でも、何をしているかで allow と enable のどちらも使えます。

02enableの主語は無生物・手段が中心

enable の主語には、technology・the internet・funding・this system・remote work のような、無生物で手段や条件を表す語が多く立ちます。allow の主語が人や制度など権限を持つ側に偏るのとは対照的です。

  • Online platforms enable students to access course materials from anywhere.
  • Government subsidies enable low-income families to afford renewable energy systems.
  • Advances in medical technology enable doctors to diagnose diseases at an earlier stage.

enable の主語が人になることもあります。The teacher enabled her students to think critically by encouraging open-ended discussion. のように、その人が持つ知識や指導、行動が手段となって可能にしているという文脈で使われます。この場合も、権限をもって許可しているのではなく、後押しとなる手段を通じて可能にしているという軸は変わりません。

この主語の性質の違いは、答案でどちらを選ぶかのおおまかな手がかりにはなりますが、決め手ではありません。決め手になるのは、その主語が権限として「してよい」と認めているのか、能力や条件を与えて「できるようにしている」のかという役割のほうです。同じ regulations や policy が主語でも、許可を与えているなら allow、手段や条件を与えているなら enable になります。

03enable to do と書けない誤り

This app enables to track your progress.enableのうしろに目的語がない

This app enables users to track their progress.誰ができるようになるのかを目的語で示す

enable は allow と同じく他動詞なので、うしろには必ず目的語が来ます。日本語の「〜することを可能にする」をそのまま英語にすると、enable to do という誤りが出やすくなります。この誤りは allow to do とまったく同じ構造の誤りですが、enable のほうがテクノロジー・AI・オンライン学習のようなトピックの答案で頻出します。主語が手段であるぶん、うしろに続く「誰が可能になるのか」を書き忘れやすいためです。

直し方は allow to do のときと同じで、誰ができるようになるのかを目的語として補うか、make it possible to do のような形に言い換えます。

This technology makes it possible to reduce production costs.主語を出したくないときの言い換え

enable の目的語は人に限りません。組織、機器、制度など、可能になる主体であれば何でも入ります。The new system enables the hospital to process applications more quickly. のように、組織そのものを目的語にする形も自然です。

04受動態と派生語:be enabled to do、enabling

enable は受動態にもできますが、allow ほど頻繁には使われません。Employees are enabled to work remotely through cloud-based tools. のように、手段によって可能になっていることを、その手段を出さずに述べたいときに使います。ただし多くの場面では、This tool enables employees to work remotely. のように能動態のほうが自然に読めます。

enabling は形容詞として使うと、「〜を可能にする」という意味を表せます。an enabling environment は、何かを可能にする条件が整った環境を指し、enabling technology は、それ自体が新しいことを可能にする技術を指します。

Governments should create an enabling environment for small businesses to grow.可能にする条件が整った環境

enabler という名詞形もありますが、IELTSライティング・タスク2で使う場面は多くありません。まずは enable の基本構文(enable + 人/物 + to do)を優先して覚えておくとよいでしょう。

05let・allow・enable・permitの4語比較

「結局どれを使えばよいかわからない」という悩みには、4語を並べて決め手を一覧にすると答えが出やすくなります。

決め手主語になりやすいもの
let妨げない、自由にさせる人(家族、友人など)
allow権限や判断をもって認める権限を持つ側(政府、学校、規則)
enable能力、手段、条件を与えて可能にする技術、制度、資金などの手段
permitallowよりフォーマル権限を持つ側(allowとほぼ同じ)

permit は allow とほぼ同じ形を取り、置き換えとしていちばん簡単です。Students are permitted to use calculators in the exam. のように、受動態でも allow と同じように使えます。let は会話的に響くので、答案での出番はほかの3語より限られます。

迷ったときは、何が無かったから今の状況になっているのかを考えてみましょう。権限や許可が無かったのなら allow か permit、能力や手段が無かっただけなら enable、相手の自由に任せて妨げないという話なら let です。

06IELTSライティング・タスク2での実例

テクノロジー、教育、環境などのトピックでは、制度や政策の話であれば allow が、技術や仕組みの話であれば enable が噛み合います。

Online learning platforms enable students in remote areas to access the same quality of education as those in cities.技術という手段が可能にしている

Some universities now allow students to complete entire degrees online.大学という制度が権限として認めている

1文目を allow に置き換えても文法的な誤りにはなりませんが、オンライン学習プラットフォームが「権限をもって許可している」という含みが出てしまい、実際に起きていること(技術的に可能になった)とはずれます。禁止を解いているのではなく手段を与えているのなら、enable のほうが正確です。

enable を繰り返し使う必要がある場面でも、無理に別の表現へ置き換える必要はありません。文脈に応じて make it possible for 人 to do や give 人 the opportunity to do のような表現も使うと、語彙に変化をつけられます。allow との使い分けについては、let と allow の違いの記事で allow 側の詳しい誤用パターンや allow for なども扱っています。

enable growth、enable innovation のように、enable のうしろに抽象名詞を直接置く形もよく使われます。この形では人を目的語にせず、enable + 名詞という2語だけで「〜を可能にする」という結果を示せるので、Improved infrastructure can enable economic growth in rural areas. のように、原因と結果を簡潔につなぐ文が作れます。

ライティング・タスク2 let と allow の違い:妨げないのか、権限をもって認めるのか IELTS学習アプリ 表現ニュアンス比較 enable と allow のように意味の近い語を並べて、ニュアンスの差を確認できます。

07よくある質問

enable と allow はどう使い分けますか。

何が問題だったかで分けます。allow は権限や規則の問題で、禁じることもできる立場の側が認めることを表します。enable は能力や手段の問題で、それが無かったせいでできなかったことを技術や制度が可能にすることを表します。

enable と allow はどちらを使ってもよい場面はありますか。

主語が制度や規則で、許可を与えているのか手段を与えているのかがはっきりしない場面では、どちらでも大きく間違いにはなりません。ただし技術そのものが権限をもって許可を与えるという文脈は少ないため、技術やインフラが主語のときは enable のほうが自然に響きます。

enable to do がなぜ誤りですか。

enable は他動詞なので目的語が必要です。This app enables to track your progress. は目的語がない誤った形で、This app enables users to track their progress. のように誰が可能になるのかを補う必要があります。

enable の受動態は使えますか。

be enabled to do の形で使えます。Employees are enabled to work remotely through cloud-based tools. のように、手段によって可能になっていることを、その手段を出さずに述べたいときに使いますが、能動態のほうが自然に読める場面のほうが多くなります。

enable と permit の違いは何ですか。

permit は allow とほぼ同じ意味で、権限や規則の問題を表します。enable は能力や手段の問題を表すので、permit と enable は許可か手段かという別の軸で分かれます。

enabling とはどういう意味ですか。

enabling は形容詞として使うと、何かを可能にする条件や技術を表します。an enabling environment は可能にする条件が整った環境、enabling technology はそれ自体が新しいことを可能にする技術を指します。

let・allow・enable・permit はどう使い分けますか。

let は妨げない、自由にさせるという意味で主語は人が中心です。allow と permit は権限や判断をもって認めることを表し、主語は政府や学校など権限を持つ側です。enable は能力や手段を与えて可能にすることを表し、主語は技術や制度などの手段が中心です。

08まとめ

enable と allow の違いは、何が問題だったかにあります。権限や規則が問題なら allow、能力や手段が問題なら enable という軸で選ぶと、判断がぶれにくくなります。

  • allow:権限や判断をもって認める。主語は政府、学校、規則など権限を持つ側
  • enable:能力、手段、条件を与えて可能にする。主語は技術、制度、資金などの手段
  • enable の主語が人になることもある。その場合も、その人の知識や指導、行動が手段となって可能にしているという軸は変わらない
  • enable to do とは書けない。allow to do と同じ構造の誤りで、テクノロジー系のトピックで頻出
  • 受動態は be enabled to do。enabling は形容詞として an enabling environment のように使える
  • let・allow・enable・permitの4語は、妨げない、権限で認める、手段を与える、公式に許可するという決め手で並べられる
  • 主語の種類そのものより、許可を与えているのか、手段を与えて可能にしているのかという役割で選ぶ。同じ regulations でも、認めているなら allow、手段を与えているなら enable になる

迷ったときは、何が無かったから今の状況になっているのかを考えてみてください。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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