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ライティング・タスク2

IELTSエッセイの書き言葉:口語表現をどこまで削るかの判断基準

執筆:高橋 響 公開日:

IELTSライティングのタスク2では、内容や論理展開が整っていても、書き方が話し言葉に寄っているだけで評価が伸び悩むことがあります。don'tやit'sのような短縮形、a lot ofやstuffのような口語表現、I thinkの多用は、日本語で作文するときにはあまり意識しない落とし穴です。

この記事では、エッセイで避けたい話し言葉の具体例を整理したうえで、どこまで削ればアカデミックな文体に近づくのかという判断基準を見ていきます。

01なぜエッセイでは書き言葉が必要なのか

IELTSライティングのタスク2は、与えられた設問に対して自分の立場を論じる、アカデミックな性格を持つエッセイです。友人へのメールやソーシャルメディアの投稿のような話し言葉ではなく、レポートや論説文に近い書き言葉で書くことが前提になっています。

ここでいう書き言葉とは、難しい単語や堅苦しい言い回しを並べることではありません。タスク2で求められているのは、会話的な表現をすべて排除することではなく、設問の内容や伝えたい意味に合った自然で具体的な語彙・文体を選ぶことです。以下で紹介する言い換えも、フォーマルな単語に置き換えること自体が目的ではなく、あいまいな会話表現を、文脈に合った具体的な表現にすることを目的にしています。

IELTS公式のBand Descriptorsに「短縮形を使うと評価が下がる」という項目が明記されているわけではありません。ただし、Lexical Resourceでは語彙が設問の文脈にふさわしいかという適切さが見られ、Grammatical Range and Accuracyでも文法・構文をどれだけ幅広く正確に使えているかが評価されます。話し言葉的な表現は、この適切さの観点で見劣りしやすく、結果としてエッセイ全体の印象を話し言葉寄りにしてしまいます。

アカデミックとジェネラル・トレーニングのどちらを受験する場合でも、タスク2はエッセイとして扱われるため、書き言葉を意識する必要がある点は共通しています。ジェネラル・タスク1の手紙のように、相手との関係でトーンを変える必要はありません。

ライティング・タスク2 IELTSエッセイの構成:ボディを2つにするか3つにするかの判断

以下では、短縮形、口語的な単語、感嘆符や記号、意見表明の表現という4つの観点から、エッセイでの書き言葉の使い方を具体的に見ていきます。

02短縮形をどこまで避けるべきか

短縮形とは、do notをdon't、it isをit'sのように、2語を短く1語にまとめた形のことです。話し言葉や気軽なメール、ソーシャルメディアの投稿では自然に使われますが、IELTSのエッセイでは正式形のまま書くのが一般的な書き方です。

短縮形正式形
don'tdo not
doesn'tdoes not
can'tcannot
won'twill not
isn't / aren'tis not / are not
it'sit is
they're / I'mthey are / I am
there'sthere is
shouldn't / wouldn'tshould not / would not

Governments shouldn't ignore this problem.話し言葉的な響きになる

Governments should not ignore this problem.正式形に開いて書く

短縮形を正式形に開くと、doesn'tがdoes notになるように語数が1語増えます。語数がぎりぎりになりやすい人ほど、書き直したあとに合計の語数を数え直しておくと安心です。

ライティング・タスク2 IELTSライティングの語数:250語に足りないとどうなるか

設問やタスクの資料に含まれる文章をそのまま引用する場合は、短縮形が入っていてもそのまま扱ってかまいません。ただし、こうした引用はタスク2ではほとんど出てこないため、自分の意見や説明を述べる部分は正式形で統一しておくのが安全な書き方になります。

03口語表現をどう言い換えるか

短縮形以外にも、日常会話でよく使う単語がそのままエッセイに紛れ込むことがあります。会話では自然でも、エッセイの中では意味があいまいなまま伝わってしまう単語です。ここでの言い換えの目的は、単語をかたい響きに変えることではなく、何を指しているのかをより具体的に伝えることにあります。

口語的な単語文脈に応じた言い換え
kidschildren
guyspeople / individuals
stuff / thingsitems / factors / issues(何を指すか具体的にする)
basicallyessentially / in essence
totallycompletely / entirely

There's a lot of stuff parents can do to help their kids study.stuff、kidsが話し言葉的

There are several measures parents can take to support their children's studies.具体的な名詞に置き換える

stuffをitemsに置き換えても、何を指しているのか曖昧なままでは説明として弱いままです。可能であれば具体的な名詞(measures、strategies、resourcesなど)まで踏み込んで書くと、文体だけでなく説明の精度も上がります。

a lot ofの言い換えは、名詞の種類で変わる

a lot ofやlots ofも会話でよく使う表現ですが、フォーマルな語に一律に置き換えられるわけではありません。a lot of peopleはmany peopleやa large number of peopleに言い換えられますが、a lot of moneyをa significant number of moneyにはできません。numberは数えられる名詞、amountは数えられない名詞に使う数量表現なので、置き換える名詞がどちらに当たるかで選ぶ語が変わります。

会話でよく使う表現文脈に応じた言い換え
a lot of peoplemany people / a large number of people
a lot of moneya large amount of money
a lot of evidencesubstantial evidence / considerable evidence
a lot of problemsnumerous problems / many problems

getのように意味の範囲が広い動詞は、具体的な動詞に絞る

getという単語自体がエッセイで避けるべき単語というわけではありません。ただし、getは意味の範囲が広く、何を得るのか、どう変化するのかが伝わりにくいことがあります。文脈に応じて意味の的を絞った動詞に置き換えると、説明がより具体的になります。

getを使った表現文脈に応じた言い換え
get informationobtain information
get permissionobtain permission
get betterimprove
get sickbecome ill
get a jobfind employment / secure a job

口語的な接続の仕方も同じ発想で見直せます。plusやsoを文頭に置いて理由をつなぐ書き方は会話的なので、moreoverやthereforeのようなつなぎ言葉に置き換えられないか確認してみるとよいでしょう。

Plus, it saves money.文頭のPlusが会話的

Moreover, it helps to reduce costs.フォーマルなつなぎ言葉に置き換える

ただし、口語的なつなぎ言葉を、機械的にmoreoverやthereforeへ置き換える必要があるわけではありません。moreoverを多用しすぎると、かえって不自然に響くことがあります。This approach is inexpensive. It is also easy to implement.のように、つなぎ言葉を入れずに文をそのまま続けるだけで意味が十分に伝わる場合もあります。

ライティング・タスク2 ライティングの基本のつなぎ言葉:役割と文法の型で選ぶ linking words

04感嘆符・記号・箇条書きをどう扱うか

感嘆符(!)は、驚きや強い感情を伝える記号で、ソーシャルメディアの投稿やカジュアルなメールではよく使われますが、エッセイでは使わないのが基本です。同じ理由で、絵文字や顔文字、!!のような記号の連打も避けます。

メールやチャットで使うu(you)、2(to)、w/(with)のような略語は、エッセイでは正式な綴りで書きます。e.g.やetc.のような略語自体は、アカデミックな文章でも使われるため、使うこと自体が誤りというわけではありません。ただし、試験ではfor exampleのように書き出したほうが意味が明確に伝わりやすく、etc.は具体的に何を指しているのかが読み手に伝わりにくくなるため、指したい対象を書き切る書き方のほうが説明として安定します。

箇条書きや見出しをエッセイの中で使うことも避けます。タスク2では、理由・説明・具体例を文章と段落の中で展開することが求められているため、箇条書きで要点を並べるだけでは、必要な説明や論理的なつながりを十分に示しにくくなります。1つの段落の中で理由や具体例をどう組み立てるかについては、段落の分け方を扱った記事も参考になります。

ライティング・タスク2 IELTSエッセイの段落分け:どこで改行するかの判断基準

大文字だけで単語を強調する書き方(VERY IMPORTANTのような表記)も、話し言葉的な強調として避けたい書き方の一つです。伝えたい重要さは、大文字ではなく具体的な理由や根拠で示すほうが、エッセイとしての説得力につながります。

05I thinkはどこまで使っていいか

タスク2の多くの設問、とくに賛成・反対を問うタイプでは、自分の立場を明確に述べることが求められています。I thinkやIn my opinionのような意見表明の表現は、使ってはいけないものではなく、むしろ立場を示すために必要な表現です。

気をつけたいのは、使うかどうかではなく頻度です。I thinkを使うこと自体に問題はありませんが、ボディの中の1文ごとに繰り返す必要はありません。すでに導入で立場を示していれば、ボディでは主張だけを言い切る書き方でも、エッセイ全体の立場は問題なく伝わります。Governments should take action.のようにI thinkを付けずに言い切る文と、I think that governments should take action.のようにI thinkを添える文は、どちらも文法的に問題のない書き方です。重要なのはI thinkの有無ではなく、立場が明確に伝わっているかどうかという点にあります。

I think fast food is bad. I think it has a lot of sugar. I think kids eat too much of it.I thinkの重複

Fast food can have a negative impact on health, largely because of its high sugar content. Children in particular tend to consume it in excessive amounts.I thinkを繰り返さず、ボディでは言い切ってよい

表現のバリエーションとして、I believe、In my view、From my perspective、It seems to meなどが使えます。もう一段フォーマルな響きにしたい場合は、It could be argued that(〜という主張ができる)のように、主語を自分ではなく主張の内容に置く形もあります。ただし、こうした構文は使いこなすまでに練習が必要なので、無理に取り入れる必要はありません。まずはI believeやIn my viewのように、意味が分かりやすい表現から使ってみるとよいでしょう。主張を和らげる表現をさらに広げたい場合は、否定と最上級を組み合わせたヘッジ表現を扱った記事も参考になります。

ライティング・タスク2 なぜ日本人学習者は否定と最上級を組み合わせた英語が苦手なのか

短縮形・口語表現・I thinkの重複をまとめて見直す

I think fast food isn't good for people because it's got a lot of stuff like sugar and fat in it. Kids especially eat too much of this stuff and it's really bad for their health. I think governments should do something about this.短縮形・口語表現・I thinkの重複が混在

Fast food can have a negative impact on public health because it typically contains high levels of sugar and fat. Children in particular tend to consume excessive amounts of these foods, which poses a significant risk to their long-term health. Governments should therefore consider stricter regulations on the marketing of such products.正式形・具体的な語彙・言い切りの文体に統一

書き直した文章を比べると、短縮形を正式形に開き、stuffやkidsのような口語的な単語を具体的な語に置き換え、I thinkの重複を減らすだけでも、全体の印象がアカデミックな文体に近づくことが分かります。一度にすべてを直そうとせず、書き終えたあとに1つずつ確認していくと取り組みやすくなります。

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06よくある質問

短縮形を1つでも使うと評価が下がりますか

IELTSの公式Band Descriptorsに「短縮形を使うと評価が下がる」という項目が明記されているわけではありません。ただし、タスク2はアカデミックなエッセイとして書くことが前提になっており、Lexical ResourceやGrammatical Range and Accuracyでは語彙・文法の適切さも見られます。1つの短縮形だけで大きく変わるものではありませんが、正式形で統一しておくほうが安全な書き方です。

I thinkは使わないほうがいいですか

使わないほうがいいわけではありません。I thinkを使うこと自体に問題はなく、導入や結論で使うこともできます。避けたいのはボディの1文ごとに繰り返すことで、そこは主張を言い切る書き方に切り替えると重複を避けられます。重要なのはI thinkの有無ではなく、立場が明確に伝わっているかどうかです。

感嘆符を使うと本当に良くないのですか

エッセイで感嘆符を使うことは一般的ではなく、避けておくのが基本です。感嘆符が入っていること自体を直接評価する項目があるわけではありませんが、話し言葉的な印象を与えるため、伝えたい重要さは具体的な理由や根拠で示す書き方に置き換えるほうが安全です。

カジュアルな単語を使うと自動的に評価が下がりますか

自動的に決まった分だけ評価が下がる仕組みではありません。Lexical Resourceでは語彙が設問の文脈にふさわしいかという適切さが見られているため、口語的な単語が多いこと自体がエッセイ全体の印象として不利に働くことがある、という位置づけです。

箇条書きで答えを書いてもいいですか

避けたほうがよい書き方です。タスク2は段落と文章でアイデアをつなげて説明する形式が前提になっているため、要点を箇条書きで並べただけでは、理由や具体例のつながりが伝わりにくくなります。

ジェネラル・トレーニングでも同じルールですか

タスク2に関しては、アカデミックとジェネラル・トレーニングのどちらを受験する場合でも、エッセイとして書き言葉を意識する点は共通しています。トーンを相手によって変える必要があるのは、ジェネラル・タスク1の手紙のほうです。

It could be arguedのような表現は初級のうちから使うべきですか

無理に使う必要はありません。まずはI believeやIn my viewのように意味が分かりやすい表現で立場を示せれば十分で、It could be arguedのような構文は使いこなせるようになってから取り入れても遅くありません。

短縮形以外に気をつけたい省略はありますか

u(you)や2(to)のようなメール・チャット的な略語は使いません。e.g.やetc.はアカデミックな文章でも使われる略語なので、使うこと自体が誤りではありませんが、for exampleと書き出すほうが意味が明確に伝わりやすく、etc.は具体的に何を指すのか書き切るほうが説明として安定します。

07まとめ

IELTSライティングのタスク2でアカデミックな文体を保つポイントは、短縮形を正式形に開くこと、口語的な単語を文脈に合った具体的な語に言い換えること、感嘆符や箇条書きのような話し言葉的な記号・構成を避けること、I thinkを繰り返さず立場を言い切ることの4点に整理できます。ここでいう書き言葉は、難しい単語を並べることではなく、設問の内容に合った自然で明確な表現を選ぶことです。どれも一度にすべてを直そうとせず、書き終えたあとに1つずつ確認していく形で十分身につけられます。

  • 短縮形(don't、it'sなど)は正式形に開いて書く
  • kids、stuff、a lot ofのような口語的な単語は、文脈に合った具体的な語に言い換える
  • 感嘆符・絵文字・箇条書き・大文字の強調はエッセイでは使わない
  • I thinkは使ってよいが、ボディの1文ごとに繰り返す必要はない
  • 迷ったら、書き直したあとに語数も数え直しておく
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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