一方、英語の文の主語になるのは、原則として動作や状態の主体です。日本語の「〜は」は話題を示しているだけで、英語の主語とイコールではありません。ここを意識しないまま書くと、「〜は」に当たるものをそのまま主語の位置へ置く、あるいは「〜は」の訳として As for などを文頭に足す、といった転移が起こります。
もう一歩進んだ転移として、「無生物主語の文が選択肢に入っていない」というものがあります。日本語では「テクノロジーのおかげで、私たちは在宅勤務ができる」のように、原因や手段を「〜のおかげで」「〜によって」という修飾句にして、人を主語に立てるのが自然です。この発想のまま書くと、英文がすべて we や people から始まることになります。
同じ内容の2通りの書き方
Thanks to technology, we can now work from home.(誤りではありませんが、修飾句が長くなりがちです)
Technology has made it possible to work from home.(原因であるテクノロジーを主語に立てた形です)
下の形が常に優れているわけではありません。ただ、書ける文の型が「人が主語」の一種類しかないと、同じ出だしの文が続いて単調になり、採点基準のGrammatical Range and Accuracyのうち「Range(幅)」の面で力を示しにくくなります。文を書き始める前に、「この文の主語と動詞を何にするか」を一度立ち止まって決める。この習慣だけでも、構文の層の転移はかなり防げます。
日本語の説明文では、背景や理由から入って、結論を最後に置く展開が自然に感じられやすいものです。一方、IELTSで期待される英語のパラグラフは逆で、主張(トピックセンテンス)を最初に置き、その後の文で理由や具体例を積み上げて裏付ける、直線的な構造が基本です。結論を最後まで取っておく書き方をすると、採点者は段落の大半を「この話がどこへ向かうのか分からないまま」読むことになり、採点基準のCoherence and Cohesionの観点で不利になります。
単語を「1語=1訳」で覚えると、日本語の単語が持つ意味の範囲をそのまま英単語に当てはめてしまいます。expensive は品物やサービスが高価だというときに使う語なので、prices are expensive とは言わず、価格の高低は high / low で表します。narrow が表すのは幅の狭さなので、国土の面積について言うなら Japan is a small country. になります。
日本語の「〜は」は話題を示しているだけで、英語の主語とイコールではありません。それを意識しないまま書くと、「〜は」に当たるものをそのまま主語の位置へ置いてしまいます。「若者が地方を離れるという問題がある」を There is a problem that many young people leave rural areas. と直訳すると、主役であるはずの young people が従属節に沈んでしまいます。Many young people leave rural areas. のほうが焦点がはっきりします。
無生物主語は使ったほうがよいのですか?
常に優れているわけではありません。ただ、書ける文の型が「人が主語」の一種類しかないと、同じ出だしの文が続いて単調になり、採点基準の Grammatical Range and Accuracy のうち Range(幅)の面で力を示しにくくなります。Thanks to technology, we can now work from home. に対して Technology has made it possible to work from home. のような形も選択肢に持っておくとよいでしょう。
論理展開の層では、どんなずれが起きますか?
日本語の説明文では背景や理由から入って結論を最後に置く展開が自然に感じられやすい一方、IELTSで期待される英語のパラグラフは主張(トピックセンテンス)を最初に置き、その後の文で理由や具体例を積み上げて裏付ける直線的な構造が基本です。結論を最後まで取っておくと、採点者は段落の大半をどこへ向かうのか分からないまま読むことになり、Coherence and Cohesion の観点で不利になります。