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ライティング・タスク2

IELTSライティングで「テーマから離れた議論」を見抜く2つの検証法

執筆:高橋 響 公開日:

「時間を節約できる」「いつでも利用できる」「目に負担がかかる」「通信環境が必要になる」。公共図書館がオンラインだけになったら、という利点・欠点のタスクで、実際によく挙がる論点です。どれも起こりそうなことばかりですが、これをそのまま並べれば、このタスクに答えたことになるのでしょうか。

書いている内容は間違っていない。英語にも大きなミスはない。それでも Task Response が伸びない。そんなときは、その段落をコピーして、まったく別のタスクの下に貼ってみましょう。別のタスクでもそのまま使えると感じたら、公共図書館について論じているつもりで、オンライン化という、もっと大きなテーマの話になっているのかもしれません。この記事では、こうしてタスクから離れていく議論の見つけ方を、公共図書館のオンライン化を扱った実際のタスクで解説します。

01一見正しいのに、そのタスクの議論になっていない

まず、実際のタスクを見てみましょう。本サイトに収録しているライティング・タスク2のタスクです。

Public libraries will soon no longer be housed in a building as all facilities and books will be available online for all to access. What are the advantages and disadvantages of public libraries existing online?

(公共図書館は近いうちに建物を持たなくなり、施設も蔵書もすべてオンラインで誰でも利用できるようになるでしょう。公共図書館がオンライン上に存在することの利点と欠点は何ですか。)

このタスクで挙がりやすい論点は、だいたい次の4つに集まります。

  • 利点:わざわざ図書館まで足を運ばなくてよいので、時間が節約できる
  • 利点:開いている時間を気にせず、いつでも本を借りられる
  • 欠点:画面を長時間見続けると目に負担がかかり、健康によくない
  • 欠点:通信環境が不安定な場所では読めなくなり、不便を感じる

どれも、感覚としては分かる話です。事実としても間違っていませんし、図書館とまったく無関係というわけでもありません。それでも、この4つを並べただけの答案は評価が伸びにくくなります。公共図書館がオンラインだけになると何が変わるのか、というこのタスク固有のところまで議論が届いていないからです。

タスクの構造を分解する

このタスクが何を求めているのかを、3つに分けて見てみます。

要素このタスクの場合
対象public libraries existing online(オンライン上に存在する公共図書館)
変化建物に入っていた状態から、施設も蔵書もすべてオンラインへ移る
問われていることその変化によって生じる利点と欠点

ここで押さえておきたいのは、online がこのタスクの中身そのものだということです。オンラインになること自体を論じるのは、まったく正しい方向です。Online access can remove the geographical barriers that limit who can use a library. のような議論は、このタスクにきわめてよく合っています。

避けたいのは、オンライン一般の利点・欠点で止まることです。図書館がオンラインになると何が変わるのかまで進まずに、オンラインであること全般の話で段落が終わってしまう。上の4つは、いずれもここで止まっています。

採点ではどう扱われるか

Task Response では、メインアイデアがタスクに関係しているかどうかが見られます。IELTS公式の Writing Task 2 Band Descriptors には、バンド6に Main ideas are relevant という記述が、バンド5に there may be irrelevant detail という記述があります。ここで扱っている問題は、この relevance の側に関わります。

語彙の幅や文法の正確さは Lexical Resource と Grammatical Range and Accuracy という別の基準で見られるので、ここで扱う問題とは別のところにあります。伸びにくくなるのは Task Response です。しかも書いている本人には内容が正しく見えているので、自分では気づけません。だから検証の手順が要ります。

ライティング・タスク2 ライティング・タスク2 採点基準表(Band Descriptors):2023年5月改訂で何が変わったのか

02対象がずれているのか、掘り下げが足りないのか

アイデアがうまくいっていないとき、原因は2つに分かれます。この2つは見え方が似ていますが、直し方がまったく違うので、先に分けておきます。

対象のずれ(relevance)掘り下げ不足(development)
Reading from screens can cause eye strain.Online libraries are convenient because people can access books at any time.
起きていること掘り下げれば長く書けるが、論じている対象が公共図書館から画面のほうへ移っている対象は合っている。便利だというところで止まっている
直し方対象を図書館に引き戻すか、別の論点に切り替える誰にとってどう変わるのか、その結果何が起きるのかまで進める

この2つを混ぜたまま直そうとすると、うまくいきません。掘り下げ不足だと思って画面の話を長く書き足しても、対象は図書館に戻らないからです。逆に、対象は合っているのに「関係ない話を書いてしまった」と思って捨ててしまうと、使えるアイデアを失います。

この記事で扱う2つの検証は、左側の対象のずれを見つけるためのものです。右側の掘り下げ不足については、こちらの記事で手順を扱っています。

ライティング・タスク2 「楽・便利・安い」で止めない:IELTSライティングのアイデアを論理的に検証する方法

03なぜ議論が対象から離れるのか

対象がずれる原因は、タスクの中の一語を取り出したあと、そこから先を一般論のほうへ広げてしまうところにあります。発想力の問題ではありません。起きていることを分解してみます。

online を一般論のほうへ広げている

このタスクには、public libraries、housed in a building、all facilities and books、for all to access という要素が並んでいます。online を拾うこと自体は正しく、むしろ必要です。問題は、拾ったあとに public libraries を手放して、オンライン一般へ広げてしまうところにあります。

オンライン一般から連想を伸ばせば、行き着くのは画面と通信環境です。図書館は最初の一歩で議論から抜け落ちています。online と public libraries を組にしたまま考えると、この形は起きにくくなります。

主語が入れ替わっている

利点・欠点は、必ず何かにとっての利点・欠点です。文の主語が変われば、論じている対象も変わります。このタスクで論じる中心的な対象は public libraries ですが、書いているうちに、文の主語が people who read on screens に入れ替わることがあります。

People may suffer from eye strain if they read for a long time.主語は people。図書館が議論から消えている

A library without a building would no longer provide a quiet place to study.主語は library。図書館が提供していたものを論じている

主語のすり替わりは1文のうちに起きるので、書いている途中では気づきにくくなります。逆に言えば、読み返すときに各文の主語だけを拾っていけば、どこで話題が移ったのかがはっきり見えます。

上位のテーマに答えてしまっている

画面と紙、オンラインと対面といった対立は、図書館のタスクの上にある、もっと大きなテーマです。図書館のタスクはその一例にすぎません。

ところが答案では、しばしばこの上位のテーマのほうに答えてしまいます。オンライン化の一般的な利点と欠点を書けば、図書館のタスクにも当てはまるように見えるからです。当てはまるように見えるだけで、図書館について何かを言ったことにはなりません。この状態を自分で見つけるのが、次に紹介する2つの検証です。

ライティング・タスク2 エッセイのアイデアが浅くなるのはなぜか:思いついた答えに飛びつかない4段階の思考

04検証1:議論の中で対象が維持されているか

1つ目の検証で見るのは、その段落の議論が公共図書館という対象につながったままかどうかです。判定するのは語の有無ではなく、対象が維持されているかどうか。ただし、いきなり議論の中身を判定するのは難しいので、手がかりとしてまず語を見ます。

語を見るのは、ふるいにかける段階

段落を読み返して、library とその言い換え、そして図書館を受けている指示語に印を付けます。印がまったく付かない段落は、対象から離れている可能性が高くなります。ここまでが第1段階で、この時点ではまだ判定していません。

語と対象の関係は、次の4通りに分かれます。

対象が議論の中で維持されている対象から離れている
テーマの語が出ている問題なし付け足しになっている(本題は画面の話のまま、末尾に for online libraries と添える形)
テーマの語が出ていない前の文から対象がつながっていれば問題なしまず対象から離れている

右上と左下があるので、語の有無だけでは決められません。実例で見てみます。

Reading on a screen for hours can damage users' eyes, which is a problem for online libraries.library は出ているが、末尾に添えられているだけ。議論の対象は screen のまま

Physical libraries have fixed opening hours. This would particularly benefit people who work irregular hours, as they could borrow books whenever they need them.2文目に library は出ていないが、前の文が開館時間を論じているので対象はつながっている

語が出ているかどうかは、あくまで簡易的なふるいです。印が付かなかった段落を取り出したうえで、その段落の議論が本当は何について書かれているのかを見るところまでが、この検証になります。

手順

ステップすること確かめること
1タスクの対象を1つ書き出すpublic libraries existing online。online だけを切り離していないか
2その言い換えを書き出すlending、borrowing、librarians、collections、a local branch、a community space など
3ボディを1文ずつ見て、その語と指示語に印を付ける段落ごとに何回出てくるか
4印が付かない段落を取り出すその段落の議論が、実際には何について書かれているか

同じ語を何度も繰り返す必要はありません。Coherence and Cohesion の観点では、同じ語の反復より、指示語や言い換えで受けるほうが自然です。この検証で数えるのは、図書館という対象を指している表現です。library という語そのものに限りません。a local branch も、the collection も、librarians も、印が付きます。

05検証2:他のタスクに置き換えても成り立つか

2つ目の検証はもっと厳しく、そのぶん見落としが減ります。書いた議論を、まったく別のタスクにそのまま貼り替えてみて、意味が通ってしまうなら、その議論はまだそのタスク固有のところまで発展していません。

2026年8月25日時点で本サイトに収録しているライティング・タスク2のアクティブなタスク509件のうち、online という語を含むタスクは15件あります。その中から、図書館とは関係のないタスクを2本借りてきます。

People are using a lot of online language translation apps. Are there more advantages than disadvantages to such services?

Today it is common practice for many business meetings and business training to take place online. Do the advantages of this new development outweigh the disadvantages?

ここに、さきほどの4つの論点を当てはめてみます。

書いた議論図書館のタスク翻訳アプリのタスクオンライン会議のタスク
足を運ばなくてよいので時間が節約できる通る通る通る
いつでも利用できて便利通る通る通る
画面を見続けると目に負担がかかる通る通る通る
通信が不安定だと使えなくなる通る通る通る

4つとも、どのタスクにもそのまま当てはまります。3つのタスクに共通しているのは「オンラインであること」だけなので、3つとも通る議論は、オンラインであることについての議論だったことになります。

通ってしまうこと自体が誤りなのではない

ここは誤解が生まれやすいので、はっきりさせておきます。複数のタスクに当てはまる議論だからといって、その議論が元のタスクに不適切だということにはなりません。Online access saves users time. は3つのタスクのどれでも成り立ちますが、この一文が誤りなわけではありません。

置き換えテストが示すのは、その先がまだ書かれていないということです。時間が節約できる、から先へ進んで、図書館のどんな制約が外れ、誰が使えるようになるのかまで書けば、その段落は他のタスクへ貼り替えられなくなります。つまりこの検証は、答案の合否を判定する道具というより、次に何を書けばよいかを教えてくれる道具として使えます。

通らなくなる議論を並べてみる

同じ表を、図書館が持っている機能から出した議論で作り直すと、見え方が変わります。

書いた議論図書館のタスク翻訳アプリのタスクオンライン会議のタスク
司書に相談しながら読むものを決められなくなる通る通らない通らない
誰でも無料で使える静かな学習空間が地域から消える通る通らない通らない
近くに分館がない地域の住民も、同じ蔵書を使えるようになる通る通らない通らない
端末も通信契約も持たない人が、図書館という窓口ごと失う通る通らない通らない

他のタスクで通らなくなるのは、この4つが図書館という施設が提供していたものに踏み込んでいるからです。専門的な知識は使っていません。司書がいる、静かに座れる、地域にある、インターネットに触れられる。どれも誰でも知っている図書館の機能です。

練習のときは実際に貼り替えてみる

頭の中だけで判断すると、どうしても自分に甘くなります。練習の段階では、書いたトピックセンテンスをそのままコピーして、別のタスクの下に貼ってみるといいでしょう。目で見ると、通ってしまうことがはっきり分かります。

IELTS学習アプリ タスク検索 キーワードや問題タイプからライティング・タスク2のタスクを検索できます。置き換えテストに使う別テーマのタスクを探すときに便利です。

06タスク固有の議論に作り直す

検証で引っかかった論点の直し方は、2通りあります。対象は合っているので掘り下げる場合と、対象が離れているので別の論点に切り替える場合です。さきほどの4つを、それぞれどちらに当たるか見ていきます。

対象が合っているものは掘り下げる

元の論点掘り下げた形
いつでも借りられて便利開館時間という制約が外れる。夜勤で働く人や、開いている時間帯に来られない人が、初めて他の利用者と同じように蔵書を使えるようになる
足を運ばなくてよいので時間が節約できる立地という制約が外れる。近くに分館がない地域の住民と、中心館の隣に住む人との差が縮まる

この2つは、もともと図書館の利用について書かれていました。対象は合っているので、捨てる必要はありません。どの制約が外れ、その結果誰に何が起きるのかまで進めるだけで、このタスクの議論になります。

One advantage is that people do not need to spend time going to the library, which is convenient.便利だという評価で止まっている。どのオンライン化のタスクでも書ける

One advantage is that removing the restrictions of opening hours and location would give shift workers and people who live far from a branch the same access to the collection as those living beside a central library.外れる制約と、それによって使えるようになる人まで書いている

対象が離れているものは、無理に変換しない

残りの2つは事情が違います。まず、目の負担から見てみます。

One disadvantage is that users may suffer from eye strain because they have to read on a screen.オンラインだけになれば画面で読むことになるので、無関係ではない。ただしどのオンライン化にも当てはまる一般論で止まっている

One disadvantage is that closing physical branches would remove the only free and quiet study space available in many neighbourhoods.建物がなくなることで失われるものを論じている

この2つは、同じ論点を掘り下げた関係ではありません。目の負担を図書館の議論に変換したのではなく、別の論点へ切り替えています。目の負担は誤りではないものの、図書館の側へ引き寄せるのが難しいので、無理に伸ばすより切り替えるほうが速く済みます。

一方、通信環境のほうは、そのまま図書館の議論に引き寄せられます。

One disadvantage is that users cannot read books when their internet connection is unstable.通信環境一般の話で止まっている

One disadvantage is that many public libraries provide free internet access for those who cannot afford it at home, and moving the service online would exclude the very people who depend on it.図書館が担っていた機能に踏み込んでいる

この差が生まれるのは、通信環境という論点が、図書館が提供していたインターネット環境という機能につながるからです。同じ「一般論で止まっている」状態でも、対象へ引き寄せられるものと、切り替えたほうが速いものがあります。

ここで挙げた○の文には、どれも library か branch か collection が主語または目的語として入っています。検証1と検証2は、直したあとの確認としてもそのまま使えます。

07対象が提供しているものを洗い出す

ここまでの直し方には、共通する土台があります。図書館が提供していたものを知っていたから、対象へ引き寄せられました。その施設や制度が何を提供しているかという、常識の範囲の知識です。専門的な知識は要りません。

この洗い出しは、プランニングの段階で先にやっておくと、書きながら離れることがなくなります。図書館なら次のようになります。

  • 蔵書の貸出:読みたい本を無料で借りられる
  • 司書:何を読めばよいか分からない人に本を案内する
  • 学習空間:誰でも無料で使える静かな席がある
  • インターネット環境:自宅に環境がない人が使える
  • 地域の公共施設:近所にあり、誰でも入れる

この5つを並べてから利点・欠点を考えると、どの項目から出した議論かを自分で言えます。項目に結びつかない議論が出てきたら、その時点で対象から離れかけています。

他のテーマでも同じように洗い出せる

この手順は図書館に限りません。タスクの対象が何を提供しているかを並べる、という一手だけなので、どのテーマにも当てはまります。

タスクの対象洗い出す機能
public libraries蔵書の貸出、司書、学習空間、インターネット環境、地域の公共施設
online education教員、教室、時間の融通、学習者どうしのやりとり、必要な機材
public transport車両、駅、路線、行きやすさ、運賃
museums展示物、解説、保存、教育プログラム、地域の観光資源

対象・変化・誰に・結果でメモを組み立てる

洗い出した項目から利点・欠点を作るときは、4つの欄でメモを取ると、掘り下げ不足も同時に防げます。

書くこと
対象どの機能の話か学習空間
変化オンライン化で何が起きるか建物がなくなり、席そのものが消える
誰に影響を受けるのは誰か自宅に勉強する場所がない学生
結果その人に何が起きるか行き先がなくなり、学習の機会に差が出る

誰に、の欄があると、一般論を具体的な影響へつなげやすくなります。そのうえで結果の欄まで進むと、なぜそれが問題なのかが読み手に伝わります。逆に、対象と変化の欄が埋まらない論点は、そもそもこのタスクの議論になっていないので、書く前に外せます。

この4欄を埋めたあとに、置き換えテストを1回かけておきましょう。書き始める前なら、1本あたり十数秒で済みます。通ってしまったら洗い出しのリストへ戻り、まだ使っていない機能を1つ拾い直します。

なお、段落の中でサポートの焦点が流れていく現象は、対象のずれとは別の層にあります。対象は合っているのに段落がまとまらない場合は、こちらの記事で扱っています。

ライティング・タスク2 議論のフォーカスとは?サポートがぼやける原因とプランニングでの防ぎ方

08よくある質問

library という語を各段落に入れれば、対象から離れていないことになりますか。

なりません。語の有無は簡易的なふるいで、判定するのは議論の対象が維持されているかどうかです。画面の話を書いたあとに which is a problem for online libraries と添えても、議論の対象は画面のままです。逆に、前の文から対象がつながっていれば、その文に library が出てこなくても問題ありません。

目が疲れる、通信が不安定になる、といった内容は書いてはいけないのですか。

誤りではありません。オンラインだけになれば画面で読むことになるので、このタスクと無関係でもありません。ただし、そこで止めるとオンライン化を扱うどのタスクにも当てはまる一般論になります。通信環境なら、図書館が提供していた無料のインターネット環境という機能につなげられます。目の負担のほうは図書館へ引き寄せにくいので、別の論点に切り替えるほうが速く済みます。

オンラインであることについて書くのは避けたほうがいいですか。

避ける必要はありません。このタスクの対象は public libraries existing online なので、オンラインになること自体がタスクの中身です。避けたいのは、オンライン一般の利点・欠点で段落を終えることです。オンライン化によって図書館の何が変わるのかまで進めれば、そのまま中心的な議論になります。

対象から離れているのと、アイデアが浅いのは同じことですか。

別の問題です。Online libraries are convenient because people can access books at any time. は浅いかもしれませんが、対象は合っています。一方 Reading from screens can cause eye strain. は掘り下げれば長く書けますが、対象が図書館から離れています。前者は掘り下げれば直り、後者は対象を戻すか論点を切り替える必要があります。

置き換えテストで通ってしまったら、その議論は使えないということですか。

使えないという意味ではありません。複数のタスクに当てはまるからといって、元のタスクに不適切だということにはならないからです。通ってしまったことが示すのは、その先がまだ書かれていないということです。制約が外れることで誰に何が起きるのかまで進めれば、他のタスクへは貼り替えられなくなります。

置き換えテストは、どのタスクと比べればよいですか。

元のタスクと表面的な条件だけが共通していて、対象が違うタスクを選びます。図書館のタスクなら、オンライン化を扱っていて対象が図書館ではないタスク、たとえば翻訳アプリやオンライン会議のタスクが使えます。共通点が「オンラインであること」だけのタスクを2本用意すれば十分です。

対象がずれた議論は、採点にどう影響しますか。

Task Response の relevance の観点で不利になります。Band Descriptors のバンド6には Main ideas are relevant という記述が、バンド5には there may be irrelevant detail という記述があり、どちらもメインアイデアがタスクに関係しているかを見ています。語彙や文法は Lexical Resource と Grammatical Range and Accuracy で別に見られるので、英文の質はそちらで評価されます。

背景知識がないテーマだと、その対象固有の議論が書けません。

専門知識は要りません。この記事で挙げた議論は、蔵書の貸出、司書、学習空間、インターネット環境、地域の公共施設という、図書館が提供している誰でも知っている機能から出しています。タスクの対象が何を提供しているかを先に並べてから利点・欠点を考えると、知識を足さなくてもタスク固有の議論を書けます。

09まとめ

対象からずれた議論は、内容が間違っているわけではないので、自分では気づけません。気づくには、内容の正しさとは別の物差しを当てる必要があります。この記事で扱った2つの検証は、そのための物差しです。

  • 対象のずれと掘り下げ不足は別の問題で、直し方も違う
  • タスクの対象は public libraries existing online。online を切り離さず、組にしたまま考える
  • 検証1:議論の中で対象が維持されているかを見る。語の有無は簡易的なふるい
  • 検証2:別テーマのタスクに貼り替えても通る議論は、その先がまだ書かれていない
  • 対象が合っている論点は掘り下げ、離れている論点は無理に変換せず切り替える
  • プランニングでは、対象が提供しているものを先に洗い出す
  • メモは対象・変化・誰に・結果の4欄で取る

図書館のタスクなら、公共図書館がオンラインになることで何が変わるのかが、議論の中に残っているか。読み返すときにここを確かめておくと、Task Response のずれに気づけます。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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