模擬試験の結果が目標に0.5足りないまま、試験日まで3週間を切った。ここで迷うのは勉強の中身ではなく、この日程で受けるのか、後ろにずらすのかという1つの判断です。
決め手になるのは、提出期限がいつかと、3週間で動く技能が残っているかの2つです。この記事では、その2つをどう確かめるか、そしてどちらを選んだ場合に何をするかを順に見ていきます。
01先に決めるのは勉強法ではなく、提出期限からの逆算
この判断は、提出期限までに何回受験できるかで大きく変わります。まずカレンダーに3つの日付を書き出してみましょう。
- 提出期限:出願先や勤務先にスコアを出す締め切り。原本の郵送が要るならその日数も足す
- 結果が確認できる日:コンピューター版はおおむね1〜5日。受験日そのものではなく、この日を基準に考える
- 次に取れる受験日:希望の会場に空きがある日。人気の日程は早く埋まる
この3つを並べると、受験できる回数が出ます。回数が2回以上あるなら、1回目を予定どおり受けても取り返しがつきます。1回しかないなら、その1回をどこに置くかが判断のすべてになります。
○
提出期限まで4ヶ月。3週間後に受けても、あと2回か3回は受けられる予定どおり受けて、内訳を見てから次を決める
✗
提出期限まで5週間。3週間後の1回で決めるしかないその1回をいつ置くかを、伸びしろのある技能から決める
締め切りが複数ある出願で逆算表を作る手順は、次の記事にまとめてあります。
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海外大学院出願とIELTS:締め切りから逆算して、いつまでに何点を取るか決める
023週間で動きやすい技能と、動きにくい技能
「あと3週間あれば0.5上がるか」という問いには、技能ごとに違う答えが出ます。ここを一緒くたにすると、伸びない側に3週間を使ってしまいます。
解き方の調整で動く余地があるもの
リスニングとリーディングには正解があり、失点の理由を特定しやすい技能です。設問タイプごとの処理の順番、時間配分、転記の仕方といった手順の部分は、残り3週間でも変えられます。模擬試験の失点を設問タイプ別に並べたときに、特定のタイプに偏っているなら、そこは動く余地があります。
3週間では動きにくいもの
ライティングとスピーキングのうち、語彙の幅や文法の正確さといった土台の部分は、3週間で大きく変えるのは容易ではありません。ただし、タスクの読み取り、構成の作り方、答え方の長さのように、書き方・話し方の手順にあたる部分は残り3週間でも直せます。0.5の差がどちらから来ているのかを、模擬試験の講評や添削の指摘から確かめておきましょう。
| 0.5足りない技能 | 3週間で動きやすいところ | 3週間では動きにくいところ |
| リスニング | 設問の先読み、聞きながらの転記、Part別の時間の使い方 | 速い話者の音についていく力そのもの |
| リーディング | 設問タイプ別の処理順、パッセージごとの時間配分 | 語彙量、長い文を読み下す速さ |
| ライティング | タスクの読み取り、段落の組み立て、語数の配分 | 文法の正確さ、言い換えの引き出し |
| スピーキング | 質問への答え方、回答の長さ、話し始めの間 | 発音の癖、複雑な構文を口に乗せる力 |
残り期間で何を捨てるかの考え方は、次の記事で詳しく扱っています。
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試験まで残り2〜4週間、そのとき捨てるべきこと:先延ばしの心理と直前期の実践戦略
03このまま受けるという判断
次のどれかに当てはまるなら、日程を動かさずに受けるほうが得られるものが多くなります。
- 提出期限までに2回以上受けられる:1回目の結果を見てから2回目の対策を決められる
- 足りない0.5が手順の側にある:時間配分や答え方の調整は3週間で変えられる
- 本番の受験経験が少ない:模擬試験では再現しにくい条件があるので、本番の環境と時間の流れを一度経験しておくこと自体に意味がある
1回受けておくことで、次の選択肢を残せる
1回受けておくと、One Skill Retakeという手段が使えるようになります。4技能のうち1技能だけを受け直せる制度で、本試験の受験日から60日以内にOne Skill Retakeを受験する必要があります。申し込みだけでなく受験までが60日に収まっている必要があるので、日程には余裕を見ておきましょう。日程を後ろにずらすと、この60日の起点そのものが遅れます。提出期限が近い場合、先に1回受けて起点を作っておくほうが、あとで選べる手が増えます。
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IELTS One Skill Retake(1技能のみの再受験)とは?対象者と申込方法:スコアが下がった場合の扱いも解説
模擬試験のスコアは本番と同じにはならない
模擬試験で0.5足りなかったからといって、本番でも同じ結果になるとは限りません。逆に、模擬試験より下がることもあります。本番でしか揃わない条件があるという観点は次の記事で扱っています。
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大舞台で自己ベストが出るのはなぜか:本番でしか揃わない条件をIELTSに活かす
04日程を後ろにずらすという判断
逆に、次のようなケースでは、日程を後ろにずらす意味があります。
- 受けられるのが1回だけで、足りないのが土台の側:語彙や文法が原因なら3週間では届きにくい
- 足りない技能が2つ以上ある:3週間で2技能を同時に動かすのは負荷が大きい
- 試験の形式にまだ慣れていない:形式への慣れで落としている失点は、本番前に潰せる
- 体調や仕事の状況で演習量が確保できていない:直前3週間に一度も通しで解けない見込みがある
ずらす期間は「直す→模擬試験→結果確認」で決める
何週間ずらすかを気分で決めると、また同じ位置で迷うことになります。目安になるのは、「足りない部分を直す → 通しで解く → 結果を確認する」というサイクルが何週間で1周するかです。書いたものや話したものを見てもらう工程が入るなら、返ってくるまでの日数も足します。このサイクルを2回まわせる期間を取れると、直した内容が実際に効いたかどうかまで確かめられます。
ずらして空いた時間の使い道を先に決める
日程を後ろにずらしたのに、やることが変わらないまま日数だけが増える形になると、次の受験日でも同じ判断を繰り返すことになります。ずらすと決めた日に、増えた週で何をやるかまで書き出しておきましょう。
05ずらす理由が不安になっていないか
ここまでの条件に照らすと予定どおり受けるほうに当てはまるのに、どうしても動かしたくなることがあります。そのときに動かしている理由は、準備が足りないことではなく、届かない結果を見たくないという気持ちであることがあります。この2つは同じ「まだ早い」という言葉で出てくるので、外からは見分けが付きません。
3つの質問で切り分ける
次の3つに答えてみると、どちらの理由で動かそうとしているかが見えてきます。
| 質問 | 準備が足りない場合の答え | 結果を見たくない場合の答え |
| 増える週で何をやるか、3行で書けるか | 書ける。技能と手順まで具体的に出てくる | 書けない。「もっと演習する」で止まる |
| 模擬試験の失点は特定できているか | 設問タイプや段落単位まで分かっている | スコアの数字しか手元にない |
| 日程をずらすのは何回目か | 1回目 | 2回目以降。前回も同じ理由だった |
「結果を見たくない場合」の列に近いなら、日程をずらしても、次の受験日の3週間前に同じ迷いが出てくることになります。受験日を動かすかどうかより、失点の中身を特定するところに時間を使うほうが先です。
2回目以降は、期限のほうを固定する
すでに一度ずらしている場合は、受験日から先に決めるやり方をやめて、提出期限のほうを動かせない点として置き直します。期限から逆算すると、受験できる最後の日が出ます。その日を先にカレンダーに書き込んでおくと、それより手前の日程は「ずらせる」ではなく「前倒しで一度試せる」に変わります。
直前期の焦りとの付き合い方そのものは、次の記事で扱っています。
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残り1ヶ月しかない!その焦りとどう付き合うか:直前期のメンタルと、空回りしないための具体策
06日程を変える前に確認しておくこと
受験日の変更やキャンセルの条件は、申し込んだ運営団体によって異なります。日本国内でも申込先によって手数料や受付の期限が違い、金額は変わることもあります。記事や口コミの数字ではなく、自分が申し込んだ団体の案内で確かめておきましょう。
確認する項目は次の4つです。
- 変更の受付期限:試験日の何日前まで変更を受け付けているか
- 手数料:変更とキャンセルで金額が違うことがある
- 変更できる範囲:いつまでの日程に振り替えられるか、会場も変えられるか
- 振替先の空き:変更が認められても、希望の日程が埋まっていれば意味がない
4つ目は見落とされがちです。変更が可能かどうかを調べる前に、振替先として考えている日程に空きがあるかを見ておくと、二度手間になりません。申し込みの仕組みそのものは次の記事にまとめてあります。
IELTS総合対策
IELTS申込方法・受験料・会場の選び方:英検協会とIDPどちらで申し込むか
07受けると決めたあとの3週間の使い方
予定どおり受けると決めたら、残りの3週間は新しい教材を増やす時期ではありません。やることを絞ったほうが、当日に出せるものが増えます。
| 期間 | やること | 確かめること |
| 1週目 | 足りない技能の失点を、手順の問題と土台の問題に分ける | 直せるのはどちらか。土台側は直前期には優先しない |
| 2週目 | 手順の側だけを直して、通しで1セット解く | 直した手順が時間内に収まっているか |
| 3週目 | 本番と同じ時刻に、届いている技能も含めて通しで解く | 4技能を続けて解いたときに落ちる技能はどれか |
3週目に届いている技能まで通しで解くのは、そこが落ちると足りない0.5を埋めても要件に届かなくなるためです。1技能に集中している期間ほど、他の技能は静かに落ちます。
IELTS総合対策
リスニング・リーディングで足もとをすくわれないために:バランスよく実力を維持する練習習慣
足りない0.5が手順の問題か土台の問題かは、自分の答案や回答を見返すだけでは切り分けにくいところです。プライベート講座では、現在の4技能の内訳と試験日を見たうえで、残りの期間に何をやるかを担当講師がご提案しています。
コース
IELTSプライベート講座(マンツーマン):講義の中身と料金
08よくある質問
模擬試験で0.5足りない場合、本番も同じ結果になりますか。
同じになるとは限りません。本番でしか揃わない条件があるため模擬試験より上がることもあり、逆に下がることもあります。模擬試験の数字は判断の材料の一つとして扱い、失点の中身まで見て決めるとよいでしょう。
3週間で0.5上げることはできますか。
足りない部分がどこから来ているかによります。時間配分や設問の処理順、答え方の長さといった手順の部分なら3週間でも変えられます。語彙の幅や文法の正確さのような土台の部分は、3週間では大きく変わりません。
受験日を変更するのに手数料はかかりますか。
申し込んだ運営団体によって手数料と受付期限が異なります。日本国内は英検協会とJSAFの2系統で運営されているので、自分が申し込んだ団体のページで金額と期限を確認しましょう。金額は変わることがあるため、記事や口コミの数字を前提にしないほうが安全です。
目標に届かないと分かっていても、受けておく意味はありますか。
1回受けておくと、その受験日を起点に60日以内であれば、One Skill Retakeを受験できます。この60日は申し込みだけでなく受験までを含むので、日程には余裕を見ておきましょう。技能ごとの内訳も手に入るので、次に何をやるかを具体的に決められます。
日程は何週間ずらすとよいですか。
足りない部分を直して、もう一度通しで解いて、結果を確認するまでの往復に何週間かかるかで決めるとよいでしょう。書いたものや話したものを見てもらう工程があるなら、返ってくる日数も足します。その往復が2回入る長さを取れると、直した内容が効いたかまで確かめられます。
一度ずらした試験日を、もう一度ずらしてもよいですか。
2回目以降は、受験日から決めるやり方をやめて、提出期限から逆算した「受験できる最後の日」を先に決めるとよいでしょう。増える週で何をやるかを3行で書けるか、模擬試験の失点を特定できているかも確かめてみましょう。どちらも出てこない場合は、日程ではなく失点の中身を特定するほうが先です。
結果はいつ届きますか。
コンピューター版はおおむね1〜5日程度です。提出期限からの逆算は受験日ではなく、この結果を確認できる日で数えます。結果はオンラインで確認する形が基本なので、紙の原本の提出を求められる場合は、発行と郵送の日数も加えて考えましょう。
残り3週間は、足りない技能だけをやればよいですか。
1技能に集中している間に、届いていた技能が落ちることがあります。落ちるとOverallも下がるため、足りない0.5を埋めても要件に届かなくなります。直前の1週間は、届いている技能も含めて通しで解いておくとよいでしょう。
09まとめ
受けるかずらすかで迷っている時間は、どちらを選んだ場合にも使えません。判断の材料は2つだけなので、その日のうちに決めてしまうほうが残りの3週間が長くなります。
- 提出期限、結果を確認できる日、次に取れる受験日の3つを書き出して、受けられる回数を出す
- 足りない0.5が手順の側か土台の側かを、模擬試験の失点と講評から切り分ける
- 2回以上受けられて、足りないのが手順の側なら、予定どおり受ける
- 1回しか受けられず、足りないのが土台の側なら、日程を後ろにずらす
- 1回受けておくと、その受験日を起点に60日以内であればOne Skill Retakeを受験できる
- 変更の手数料と期限は運営団体で異なる。申し込んだ団体のページで確かめる
- ずらすと決めたら、増えた週で何をやるかをその日に書き出しておく
まずはカレンダーを開いて、提出期限と次に取れる受験日を書き込むところから始めてみましょう。受けられる回数が2回以上あるなら、予定どおり受けるという選択肢をかなり取りやすくなります。