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IELTS総合対策

IELTSの目標スコアまでに必要な勉強時間は?現在のスコアと生活条件から学習期間を試算する方法

執筆:高橋 響 公開日:

あとどのくらい勉強すれば目標のスコアに届きますか、という質問をよくいただきます。必要な期間は現在のスコアや生活環境によって変わります。それでも目安となる数字があれば、終わりが見えないまま勉強を続けるのではなく、いつまでに何をすればよいか考えやすくなります。

そこでこの記事では、目標スコアまでに必要な学習時間と、1週間に確保できる学習時間から、達成までの期間を試算してみます。なお、ここで使う係数は、当校が指導経験をもとに設定した値です。

01目標達成までの期間は、なぜ人によって違うのか

この試算では、期間を左右するものを大きく2つに分けます。目標に届くまでに必要と見込まれる学習時間の総量と、その人が1週間に使える学習時間です。この2つが分かれば、割り算で週数が出ます。

達成までの週数 = 必要な学習時間 H ÷ 週に使える学習時間 W

割り算そのものは単純です。相談の場で答えにくいのは、右側の H を見積もる手立てが無いからです。「人によります」で終わってしまう部分の多くは、この H をどう見積もるかに関係しています。

そこで H を技能ごとに分解します。リスニングであと0.5、ライティングであと1.0というように、目標との差を技能ごとに出し、それぞれに必要な時間を足し上げます。左側の W は、勤務や学業、家事の状況から出します。

試算に使う6つの項目

入力する項目どちらに反映されるか
現在のスコア(技能ごと。未受験なら模擬試験の結果)必要な学習時間 H
目標スコアと、技能ごとの下限必要な学習時間 H
現在のバンド帯(同じ0.5でも高い帯ほど時間がかかる)必要な学習時間 H
技能ごとに指導を受けるか、独学か必要な学習時間 H
勤務・学業の状況週に使える学習時間 W
家事や育児の負担週に使える学習時間 W

まずは記事のとおりに計算してみて、学習記録が溜まってきたら自分の実測値に置き換えていく、という使い方を想定しています。置き換え方は06で扱います。

計算の中身は02と03で説明しますが、先に結果だけ見たい場合は、04の試算ツールで13問に答えると週数が出ます。選んだ内容は送信されません。

この試算は無料ツールにもしてあります。選択肢を選ぶだけで週数が出るので、先に自分の数字を見てから読み進めるのもおすすめです。

IELTS無料ツール IELTS学習期間シミュレーター 技能ごとのスコアと目標、勤務や学業の状況、家事の負担、指導を受けるか独学かを選ぶと、達成までの週数と技能ごとの内訳が出ます。登録は不要です

02必要な学習時間を、技能ごとの差から積み上げる

必要な学習時間 H は、技能ごとに計算したものを足して求めます。1つの技能あたりの計算式は次のとおりです。

技能ごとの必要時間 = 段数 × 100時間 × バンド帯係数 × 技能係数 × 学習形態係数

これを4技能ぶん足したものが H になります。

基準にしている100時間は、計算の起点として置いた丸い数字です。ここが実感と合っていないと結果全体がずれるので、自分の実測値に置き換える手順を06に用意してあります。

2-1 段数を数える

IELTSのスコアは0.5刻みなので、0.5を1段と数えます。リスニングが現在6.0で目標6.5なら1段、ライティングが現在5.5で目標6.5なら2段です。

目標がオーバーオールだけで示されている場合は、技能ごとの目標を自分で決める必要があります。オーバーオールは4技能の平均を0.5刻みに丸めた値です。そのため、目標がオーバーオール6.5なら、4技能の合計26.0は一つの分かりやすい目安になります。ただし実際には丸めがあるため、合計が26.0でなくてもオーバーオール6.5になる組み合わせもあります。ここでは学習時間を計算しやすくするため、目標スコアを4技能に割り振る際は合計26.0を基本の目安として使い、現在の合計との差を0.5で割って、割り振るべき段数の合計を出します。

また、実際の学習計画では、0.5を上げるのに何時間かかるかだけで目標を割り振ることはできません。出願先が求める技能ごとの下限や、いま手応えのある技能がどれかも合わせて考えます。ここではまず計算の仕組みを見るために、一定の割り振りで試算します。割り振りを変えるとどうなるかは05で扱います。

まだ受験も模擬試験もしていない場合は、現在のスコアが分からないため、この試算はできません。IELTS公式問題集など、実際の試験と同じ形式の問題をリスニングとリーディングで時間どおりに解けば、その2技能はおおよその位置が分かります。ライティングとスピーキングは自己評価が難しいため、講師などに評価してもらい、おおよその現在地を確認しておくと、試算も現実に近づきます。

2-2 バンド帯係数:同じ0.5でも、高い帯ほど時間がかかる

5.0から5.5に上げるのと、7.0から7.5に上げるのとでは、同じ0.5でも必要な時間が違います。当校では、上の帯ほど細かい失点を一つずつ減らす必要があり、同じ0.5でも時間がかかると考えています。現在のスコアがどの帯にあるかで係数を変えます。

その技能の現在のスコアバンド帯係数
4.5以下0.8
5.0〜6.01.0
6.5〜7.01.3
7.5以上1.8

目標が現在より1.5以上離れている技能は、途中で帯をまたぎます。厳密に計算するなら、5.5から6.5への2段を「5.5からの1段」と「6.0からの1段」に分けて、それぞれの係数で計算します。手計算では面倒なので、本文では簡便法として現在のスコアの帯で全段をまとめて計算しています。04の試算ツールのほうは1段ずつ分けて計算しているので、帯をまたぐ場合はツールの結果のほうが長めに出ます。

2-3 技能係数:0.5を動かすのにかかる時間は技能ごとに違う

リスニングとリーディングは正答数をバンドスコアの目安に換算できるため、正答数という具体的な指標で現在地と目標との差を確認しやすくなります。これに対して、ライティングとスピーキングは採点基準の4つの観点で評価されるため、1つの観点を改善しても、他の観点が同じ位置にとどまっていればバンドは変わりません。ここでは、その差を係数で表します。

技能技能係数この値にした理由
リスニング0.9設問形式への慣れと聞き取りの精度で、正答数が動きやすい
リーディング1.0基準にする技能。語彙量と読む速さが結果に直接表れる
ライティング1.34つの観点がそろって上がらないとバンドが変わらない
スピーキング1.2同じく4つの観点で評価されるが、練習の回転は速い

この順番は、あくまで当校の見立てです。伸び方は人によって違い、リスニングにいちばん苦労する方もいれば、ライティングが最初に動く方もいます。自分の実感と大きくずれているなら、係数を変えて手計算し直してみると、より実態に近い見積もりになります。

2-4 学習形態係数:技能ごとに、指導を受けるか独学かを分ける

ここは技能ごとに分けて考える必要があります。同じ人でも、リーディングは市販教材で独学、ライティングは添削を受ける、という組み合わせは普通にあるからです。

その技能の学習形態学習形態係数
独学のみ1.0
添削や講義など、外部からの指摘がある0.7

差が出るのは、間違いに気づくまでの時間です。リスニングとリーディングは答え合わせができるので、独学でも自分の失点を確認できます。一方でライティングとスピーキングは、自分の答案や回答を客観的に評価するのが難しくなります。同じ誤りを何十回も繰り返したまま練習量だけが増えていく状態になると、時間をかけた割にバンドが変わりません。

とはいえ、この0.7という値は指導の質や頻度によって大きく変わります。月に1回だけ添削を受けるのと、毎週書いて毎週返ってくるのとでは、同じ係数にはなりません。独学と指導のどちらを選ぶかという判断そのものは、次の記事が参考になります。

IELTS総合対策 IELTS独学は可能か?スクールとの比較で見る挫折ポイント:組み合わせるという選択肢も

2-5 年齢は計算に入れない

年齢で必要時間を割り増しするかどうかは迷いましたが、入れないことにしました。当校でも60代で目標を達成される方がいらっしゃいます。覚えたことが定着するまでの反復回数には個人差がありますが、その差には年齢だけでなく、それまでの学習経験や、いま英語に触れている頻度など、さまざまな要因が関係します。年齢だけを理由に必要時間を一律で増やすのは、実態に合いません。

生活上の制約は、年齢ではなく勤務と家事の項目で反映します。40代でフルタイム勤務と育児が重なっていて期間が延びるなら、理由はそちらにあります。

03週に使える学習時間を、仕事と家庭の条件から出す

週に使える学習時間 W は、まず勤務や学業の状況から基礎時間を決め、家事の負担で調整した推定値を使います。実際の学習時間を2週間ほど記録できる場合は、その平均値をWとして使うこともできます(3-3で扱います)。

週に使える学習時間 W = 基礎時間 × 家事係数

3-1 基礎時間:勤務と学業から決める

状況基礎時間(週)
試験準備に専念できる(休職中・退職後など)30時間
週20時間未満の勤務20時間
学校に通っている、または週20時間から35時間の勤務14時間
週35時間以上のフルタイム勤務10時間

専念できる場合でも30時間に抑えているのは、1日8時間の学習を毎日続けられる方がほとんどいないためです。週30時間は、平日に4時間、休日に5時間程度を確保するイメージです。フルタイム勤務の10時間も、平日1時間、休日2.5時間程度という配分の一例です。

3-2 家事係数:基礎時間を家事の負担に応じて調整する

家事や育児の状況家事係数
自分ひとり分の家事だけ1.0
家族で分担している0.85
家事や育児を主に担っている0.6

フルタイム勤務で家事や育児も主に担っている場合、週に使える時間は10時間の0.6で6時間になります。週6時間と聞くと、これでは足りないと感じるかもしれません。ただ、こうした条件で目標を達成される方は実際にいらっしゃいます。時間が短いぶん、その6時間を何に使うかが結果を大きく左右します。

3-3 空き時間ではなく、実際に学習できた時間で数える

W は実際の生活とずれやすい項目です。「土日は空いているから10時間はできるはず」という見積もりと、実際に机に向かえた時間には差が出ます。上の表の基礎時間は、その差をあらかじめ見込んだ値にしてあります。

より正確に出したい場合は、2週間だけ学習時間を記録してみるのがおすすめです。目標達成に向けた学習として行った時間なら、机に向かっていなくても含めてよいので、通勤中の単語の確認や、寝る前の10分の音読も足していきます。その2週間の平均が、いまの生活で無理なく続けられる W です。表の値より多ければそちらを使い、少なければ実測のほうを使います。

学習時間の確保そのものについては、次の記事で詳しく書いています。

IELTS総合対策 最後の敵は英語力でも経済力でもない:多くの人が見落としがちな学習時間の罠

043人の例で試算してみる

実際に数字を入れてみます。条件の違いがどう出るかを見るために、生活の状況を変えた3つの例を用意しました。

例A フルタイム勤務の会社員が、オーバーオール6.5を目指す

フルタイム勤務で、家事は家族と分担。現在のスコアはリスニング6.0、リーディング6.0、ライティング5.5、スピーキング5.5で、合計23.0(オーバーオール6.0)。目標はオーバーオール6.5、各技能6.0以上です。学習形態は、ライティングとスピーキングが添削つき、リスニングとリーディングは市販教材で独学です。

オーバーオール6.5の目安になる合計は26.0なので、差は3.0、6段です。オーバーオール6.5を取るために4技能すべてを6.5にする必要があるわけではなく、「各技能6.0以上」という条件を満たす組み合わせは他にもあります。ここでは比較しやすいように、4技能を6.5でそろえる割り振りを例にします。別の配り方をした場合は05で見ます。

技能段数計算必要時間
リスニング 6.0→6.511 × 100 × 1.0 × 0.9 × 1.090時間
リーディング 6.0→6.511 × 100 × 1.0 × 1.0 × 1.0100時間
ライティング 5.5→6.522 × 100 × 1.0 × 1.3 × 0.7182時間
スピーキング 5.5→6.522 × 100 × 1.0 × 1.2 × 0.7168時間
合計6540時間

週に使える時間は、フルタイム勤務の10時間に家事係数0.85を掛けて8.5時間です。540を8.5で割ると63.5になるので、このモデルでは約64週、1年3か月ほどという結果になります。

例B 大学生が、未受験からオーバーオール6.0を目指す

大学に通っており、家事は自分ひとり分。IELTSは未受験ですが、模擬試験を受けたところ4技能とも5.0でした。オーバーオール6.0を目標とし、各技能6.0を目指します。学習形態は、ライティングとスピーキングが講義と添削つき、リスニングとリーディングは独学です。

技能段数計算必要時間
リスニング 5.0→6.022 × 100 × 1.0 × 0.9 × 1.0180時間
リーディング 5.0→6.022 × 100 × 1.0 × 1.0 × 1.0200時間
ライティング 5.0→6.022 × 100 × 1.0 × 1.3 × 0.7182時間
スピーキング 5.0→6.022 × 100 × 1.0 × 1.2 × 0.7168時間
合計8730時間

週に使える時間は、学校に通っている14時間に家事係数1.0を掛けて14時間です。730を14で割ると52.1になるので、約52週。ちょうど1年です。段数は例Aより2段多く、必要な学習時間も190時間多いのに期間が短いのは、週に使える時間が14時間あり、例Aの8.5時間を上回っているためです。

例C 退職して準備に専念する方が、オーバーオール7.5を目指す

退職して試験準備に専念、家事は自分ひとり分。現在のスコアはリスニング7.5、リーディング7.5、ライティング6.5、スピーキング6.5で、合計28.0(オーバーオール7.0)。目標はオーバーオール7.5なので、合計30.0が目安になります。差は2.0、4段です。リスニングとリーディングはすでに7.5で、ここから上げるにはバンド帯係数1.8がかかります。そこでここでは、リスニングとリーディングは現在の7.5を維持し、4段はライティングとスピーキングに2段ずつ配る組み合わせを想定します。どちらも指導を受けています。

技能段数計算必要時間
ライティング 6.5→7.522 × 100 × 1.3 × 1.3 × 0.7237時間
スピーキング 6.5→7.522 × 100 × 1.3 × 1.2 × 0.7218時間
合計4455時間

週に使える時間は30時間。455を30で割ると15.2になるので、約15週。3か月半ほどです。目標は3人の中でいちばん高いのに期間がいちばん短いのは、段数が4段と少なく、週に使える時間が例Aの3.5倍あるためです。

この3例を比べると、目標スコアだけで達成までの期間が決まるわけではないことが分かります。例Aと例Cの必要時間の差は85時間ですが、期間の差は49週あります。開いているのは、週に使える時間のほうです。

自分の数字で試算する

ここまでの計算を、質問に答えていくだけで済むようにしました。現在のスコアから家事の負担まで13問を選ぶと、必要な学習時間、週に使える時間、達成までの週数と、技能ごとの内訳が出ます。目標オーバーオールに届く技能ごとの目標は、こちらで自動的に決めます。1段あたりの必要時間が小さい技能から順に段数を配分する仕組みです。

05出てきた期間が長すぎると感じたとき、どこを動かせるか

では、64週という結果が出たらどうすればよいでしょうか。これは、いまの条件のまま一定のペースで続けたらこうなる、という値です。条件が変われば結果も変わるので、どこを動かすと何週間縮むのかを、例Aを出発点に見ていきます。

5-1 週に使える時間を増やす

まず見直したいのは、1週間に何時間勉強できるかです。ここがいちばん大きく動きます。例Aの8.5時間を12時間に増やすと、540を12で割って約45週になります。19週、4か月半ほど短くなる計算です。

8.5時間から12時間への3.5時間は、平日に30分ずつ足して2.5時間、休日に30分ずつ足して1時間という配分で届きます。3.5時間の差は、週単位で見るとそれほど大きく感じないかもしれません。ところがこの試算上では、64週が45週まで縮みます。1日30分程度の上積みが、長い目で見るとこれだけの差になります。

5-2 段数の割り振りを変える

出願先の条件がオーバーオールだけで、技能ごとの下限が無い場合、6段をどう配るかは自由になります。例Aの「各技能6.0以上」という条件を満たしたまま、リスニングとリーディングを6.0のままにして、ライティングとスピーキングに3段ずつ配るとどうなるかを計算してみます。

技能段数計算必要時間
ライティング 5.5→7.033 × 100 × 1.0 × 1.3 × 0.7273時間
スピーキング 5.5→7.033 × 100 × 1.0 × 1.2 × 0.7252時間
合計6525時間

合計は6.0+6.0+7.0+7.0で26.0になり、オーバーオール6.5に届きます。525を8.5で割ると61.8なので約62週。2週間しか変わりませんでした。

理由は、この条件では1段あたりの単価がどの技能でも近い値になるからです。リスニングは90時間、リーディングは100時間、ライティングは91時間、スピーキングは84時間。ライティングとスピーキングは技能係数が高いぶん、指導を受けていることで学習形態係数が0.7に下がり、結果として同じくらいの単価に収まっています。どこに割り振るかを考え込むより、先に週の時間を見直すほうが結果は大きく変わります。

ただし、実際には係数だけで決められません。その技能をこれ以上伸ばせる手応えがあるかどうかも判断材料になります。上の割り振りはライティングとスピーキングを7.0まで持っていく計画なので、6.5から先の壁を計算に入れていません。技能ごとの伸ばし方は次の記事で扱っています。

IELTS総合対策 IELTSを5.0から6.0に上げるには:技能ごとの伸ばし方と後回しにしてよいこと

5-3 学習形態を変える

例Aのリスニングとリーディングも、外部からの指導を受ける設定に変えると、この2技能の学習形態係数が1.0から0.7に下がります。90時間が63時間、100時間が70時間になり、合計は483時間。8.5で割ると56.8なので、約57週です。

ここまでの短縮幅を比べると、割り振りの見直しが2週、学習形態の変更が7週、週の時間を3.5時間増やすのが19週になります。3つを同時に進めることもできますが、この例で見えるのは、係数に手を入れて得られる短縮より、週に使える時間のほうがはるかに大きく効くということです。

5-4 目標そのものを確認し直す

もう一つ確認したいのが、本当にそのスコアが必要なのかという点です。出願先が求めているのがオーバーオール6.5なのに7.0で計算していると、例Aでは段数が6段から10段に増えます。募集要項や求人要件を開いて、オーバーオールの数字と技能ごとの下限、そしていつまでに提出するのかを確認し直しておきましょう。

試算の結果が提出期限に間に合わない場合は、期限のほうを動かせないかも合わせて確認します。出願の回次を1つ後ろにするだけで、必要な週数に収まることがあります。

06この試算で扱えないことと、自分の数字に合わせる方法

ここまでの計算は、目標との差と使える時間という2つの軸だけで期間を出しています。実際の学習に影響するもののうち、次のようなものは入っていません。

  • 英語を使う環境にいるかどうか:英語圏で生活している場合、リスニングとスピーキングは学習時間の外でも進みます。ただし試験の形式に慣れる時間は別に要ります
  • 試験そのものへの慣れ:初回の受験は、実力より低い結果が出ることがあります。2回目以降で上がったぶんは、必ずしも英語力の伸びだけではありません
  • 学習の中身が合っているか:同じ100時間でも、失点の原因に向き合った100時間と、得意な練習を繰り返した100時間では結果が変わります
  • 繁忙期や体調:週に使える時間は年間を通じて一定ではありません。仕事の繁忙期や試験期間は、W が半分になることもあります

4つ目は、実務上いちばん影響が大きいところです。仕事の繁忙期や試験期間などで学習が止まる可能性がある場合は、試算結果をそのまま締切として考えず、1割程度の余裕を持たせて計画すると現実的です。例Aの64週なら70週です。

6-1 基準の100時間を、自分の実測値に置き換える

いちばん大きな仮定は、1段あたり100時間という基準です。ここを自分の数字に置き換えると、試算の精度が変わります。手順は次のとおりです。

ステップすること確かめること
1技能ごとに学習時間を記録する合計だけでなく、どの技能に何時間使ったかを分けて残す
2模擬試験か本試験で、その技能が0.5上がるまで続ける1回だけの結果で判断せず、2回続けて同じ位置に届いたら、そのバンドに安定して届いたと見る
3上がるまでにかかった時間を係数で割り戻す実測時間 ÷(バンド帯係数 × 技能係数 × 学習形態係数)が自分の基準時間
4残りの段数を、その基準時間で計算し直す100時間より短ければ期間も縮む。長ければ計画を組み直す材料になる

リスニングとリーディングは、正答数を記録しておくと0.5の変化が見えやすくなります。当校の学習記録ツールでは、目標スコアを設定したうえで、解いたセットごとの正答数を残していけます。

IELTS学習アプリ LR学習記録ツール リスニングとリーディングの目標スコアを設定し、解いたセットごとの正答数を記録して推移を確認できます

6-2 出てきた結果とどう付き合うか

試算が1年を超えると、始める前から気持ちが折れそうになるかもしれません。ただ、これは「いまの条件のまま、一定のペースで続けたら」という前提の値です。実際の学習では、条件のほうが先に変わります。転職して時間が増えることもあれば、途中で指導を入れることもあります。

それに、64週という試算が出ても、20週勉強した時点で「まだ44週もある」と考える必要はありません。その時点でスコアが上がっていれば、残りの段数そのものが変わるからです。3か月を一つの区切りとして現在のスコアを測り直し、そのたびに試算をやり直しましょう。学習の進み方に合わせて、残りの期間も見直せます。

期間ではなく順番の観点から計画を立てる方法は、次の記事にまとめてあります。

IELTS総合対策 IELTS3か月の学習計画:12週をどの順番で使うかの判断基準

07よくある質問

IELTSを受けたことがなくても計算できますか。

現在のスコアが分からないと段数を数えられないため、そのままでは試算できません。リスニングとリーディングはIELTS公式問題集などを時間どおりに解き、ライティングとスピーキングは講師などに評価してもらうと、おおよその現在地を確認できます。

係数の数字に根拠はありますか。

この記事の係数は、当校が指導経験をもとに設定した値です。まずはこの値のまま計算し、学習記録が溜まってきたら自分の実測値に置き換えることを想定しています。置き換えの手順は本文の06にあります。

試算したら1年を超えました。厳しすぎませんか。

この試算では、週に使える時間が10時間を下回ると、1年前後という結果になるケースもあります。ただ、これは条件を固定したときの目安です。週の学習時間を3.5時間増やすだけで4か月半ほど縮む計算になるので、まずどこを動かせるかを確認してみるとよいでしょう。

オーバーオールだけが条件のとき、どの技能に段数を割り振ればよいですか。

1段あたりの単価が小さい技能に割り振ると、計算上の必要時間は短くなります。単価は、100時間にバンド帯係数と技能係数と学習形態係数を掛けたものです。ただし本文の05で計算したように、条件によっては割り振りを変えても2週間ほどしか変わりません。計算に入っているのは係数だけなので、実際にはその技能を伸ばせる手応えがあるかどうかも合わせて判断しましょう。

年齢が上がると、本当に時間がかかるのですか。

年齢はこの試算に入れていません。覚えたことが定着するまでの反復回数には個人差がありますが、その差は年齢よりも、それまでの学習経験や、いま英語に触れている頻度のほうに表れると考えているためです。当校でも60代で目標を達成される方がいらっしゃいます。生活上の制約は、勤務や家事の項目で数字に反映しています。

週に使える時間は、机に向かった時間だけを数えるのですか。

通勤中の単語の確認や、寝る前の10分の音読も含めて数えます。より正確に出したい場合は、2週間だけ学習時間を記録して平均を取るのがおすすめです。その平均が、いまの生活で無理なく続けられる時間になります。

技能ごとに独学と指導を分けて計算するのはなぜですか。

同じ人でも、リーディングは市販教材で独学、ライティングは添削を受けるという組み合わせが普通にあるためです。リスニングとリーディングは答え合わせができるので独学でも失点を確認できますが、ライティングとスピーキングは自分の答案や回答を客観的に評価するのが難しくなります。その差を学習形態係数で表しています。

試算どおりに進まなかったら、どうすればよいですか。

3か月ごとに現在のスコアを測り直して、そのたびに試算をやり直すという使い方をおすすめします。想定より時間がかかっているなら、基準の100時間を自分の実測値に置き換えたうえで、残りの段数を計算し直します。ずれが見えたこと自体が、いまの学習内容を見直す材料になります。

08まとめ

目標達成までの期間は、必要な学習時間を週に使える学習時間で割れば出ます。人によって違うと言われている部分のほとんどは、この2つのどちらかに入っています。

  • 達成までの週数は、必要な学習時間 H ÷ 週に使える学習時間 W で出す
  • H は技能ごとに積み上げる。段数 × 100時間 × バンド帯係数 × 技能係数 × 学習形態係数を4技能ぶん足す
  • 学習形態は技能ごとに分ける。リーディングは独学、ライティングは添削という組み合わせが実際に多い
  • 年齢は入れない。生活上の制約は、勤務と家事の項目のほうで反映する
  • W は勤務と学業から基礎時間を決め、家事の負担で調整する。空き時間ではなく、実際に学習できた時間で数える
  • 期間を大きく動かすのは係数の調整より週に使える時間。例Aでは1日30分の上積みで4か月半ほど縮んだ
  • 係数は当校が指導経験をもとに設定した値。3か月ごとにスコアを測り直し、実測値に置き換えながら使う
  • 同じ計算は無料ツールでもできる。選択肢を変えながら、条件ごとの週数を比べられる

実際に自分の数字を入れてみて、出てきた期間が実感と大きくずれていたら、どの係数が合っていないのかを考えてみるところまでが、この試算の使い方です。ずれの中身が分かれば、次に置き換える係数が決まり、自分の条件に合った数字に近づきます。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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