選択肢に目を通してから音声を聞いたのに、いざ答えを選ぶ段になるとどれも正しく思えてくる。IELTSリスニングの選択問題では、この状態がよく起こります。原因は聞き取れていないことだけではありません。選択肢の読み方や、音声をどこまで聞いてから答えを決めるかも大きく関係します。
この記事では、IELTSリスニングの Multiple Choice(選択問題)を取り上げます。先読みで選択肢のどこを見るか、誤答の選択肢の内容も音声に出てくること、Part 3 で誰の考えかを取り違える場面、そして2つ選ぶ設問の解き方を具体例で見ていきます。なお、解答の時間配分についてはコンピューター版IELTSを前提に説明します。
目次
Multiple Choice はどんな設問か
選択肢を全部読もうとすると間に合わない
選択肢の内容が音声に出てきても、すぐに選ばない
Part 3 で誰の考えかを取り違える
2つ選ぶ設問(Choose TWO letters)の解き方
迷ったときは、その場で決めて次へ進む
復習で見るのは、選ばなかった選択肢
よくある質問
まとめ
01 Multiple Choice はどんな設問か
Multiple Choice は、あらかじめ示された選択肢から正しいものを記号で選ぶ設問です。A・B・C の3つから1つを選ぶ形と、A から E のような多めの選択肢から2つを選ぶ形があります。
指示文の例
Choose the correct letter, A, B or C . Choose TWO letters, A-E.
答えを記号で書くので、綴りを間違えて失点することも、語数制限を超えて不正解になることもありません。穴埋め形式と比べたときの数少ない安心材料です。そのぶん負担が集中するのは読む量で、設問文と選択肢を合わせると、リスニングの設問タイプの中でもっとも字数が多くなります。
Multiple Choice は Part 1 から Part 4 のいずれでも出題されます。とくに Part 3 では、学生どうし、または学生と講師がひとつの課題について話し合う場面で、発言の要旨をまとめた選択肢が並びます。複数の話者の意見を聞き分ける必要があるので、人物と意見の対応を追うことが大切になります。設問は音声に出てくる順番と同じ並びなので、1問目の答えに関わる情報が2問目より前に出てきます。
リスニング
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02 選択肢を全部読もうとすると間に合わない
設問を読む時間に選択肢を1つずつ最後まで読んでいくと、たいてい途中で音声が始まります。読む量を減らす方法はあって、選択肢の共通部分を読まずに済ませることです。
設問
21 What does James say about the questionnaire? A It took longer to design than he had expected. B It produced fewer responses than he had expected. C It was harder to analyse than he had expected.
✗
A から C を頭から順に読んで意味を取るthan he had expected は3つとも同じ。同じ文字列を3回読んだぶん、次の設問に届かない
○
design / responses / analyse の3語だけを見る作るのに手間取ったのか、集まった数が少なかったのか、分析が大変だったのか。この3語の違いを押さえておけば、音声で何を聞けばよいかが分かる
選択肢を見比べると、共通している部分と、違っている部分が分かります。よくあるのは、次のようなパターンです。
選択肢の並び 違っているところ 音声で待つもの
同じ主語で述語だけが違う 何が起きたか 動作や出来事を表す語
同じ動詞で目的語だけが違う 何について述べているか 話題になっている対象
時期や数量だけが違う 数字 数と単位。訂正が入りやすい
評価の方向が違う(多すぎる・足りない・ちょうどよい) 肯定か否定か 話し手が満足しているかどうか
理由が3つ並んでいる 原因として挙げられたもの 理由を説明している部分
見る順番は、設問文が先です。誰の何についての発言を問うているのかが決まってから選択肢に移ると、選択肢の違いも速く拾えます。時間が足りないときは、設問文だけでも全問ぶん読んでおくと、音声のどこを聞いているかを見失わずに済みます。
03 選択肢の内容が音声に出てきても、すぐに選ばない
選択肢に書かれた内容は、正解のものだけが音声に出てくるわけではありません。正解ではない選択肢に関係する内容も話題として登場し、そのあとで否定されたり、条件を付けて退けられたりします。聞こえたかどうかで選ぶと、最初に触れられた選択肢を選ぶことになります。
音声(James)
I had assumed the design stage would drag on for weeks, but in the end we put it together in a couple of days. The trouble was that hardly anyone sent the thing back. Working through the ones we did get was straightforward enough.
✗
A(took longer to design)design が最初に聞こえるので選びやすい。実際には in a couple of days で打ち消されている
✗
C(harder to analyse)analyse に当たる working through は出てくるが、straightforward と述べられている
○
B(fewer responses)hardly anyone sent the thing back が、返答が少なかったことの言い換えになっている
この設問では、3つの選択肢の内容がいずれも音声に現れています。選ぶ作業は、聞こえたものを拾うことではなく、それぞれについて肯定されたか否定されたかを確認することです。1つ目が聞こえた時点で答えを決めず、話し手がその話題を語り終えるまで待ちます。
打ち消しの言い方には型があります。but や actually、though、as it turned out といった語のあとに、それまでの話を修正する内容が続くことがあります。この型そのものは別の記事でまとめて扱っています。
リスニング
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04 Part 3 で誰の考えかを取り違える
Part 3 では2人以上が話します。設問文は What does James say about... のように、どちらの発言を問うているのかを名指ししています。ここを読み落とすと、直前に聞こえた意見をそのまま答えにしてしまいます。
音声
Anna: The sample size was the weak point, I think. Two hundred is nowhere near enough for this kind of study. James: I suppose so, though what bothered me more was that we only surveyed one campus.
✗
James は標本の数が足りないと考えているそれを述べたのは Anna。James は I suppose so で軽く受けただけ
○
James は調査した場所がひとつだけだった点を問題にしている前半では相手の意見を認めているが、James 自身がより重視している点は though 以下で述べられている
相づちと本人の主張を見分ける手がかりは、決まった言い回しに現れます。
音声の表現 その人の考えはどこにあるか
I suppose so, though... though のうしろ。前半は相手への相づち
That is what I thought at first, but... but のうしろ。前半は以前の考え
You are right about that, although... although のうしろ
Exactly. / That is my feeling too. 相手が述べた内容が、そのままこの人の考えになる
Well, I am not so sure. このあと。相手の考えを退けている
設問文の人物名は、選択肢を読む前に確認しておきましょう。名前を先に押さえておけば、いまの発言は誰の意見かを意識しながら聞けます。人物と意見の対応を追う練習は、マッチング形式と共通しています。
リスニング
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05 2つ選ぶ設問(Choose TWO letters)の解き方
Choose TWO letters, A-E は、5つほどの選択肢から正しいものを2つ選ぶ設問です。答えを2つ書く欄が用意され、選ぶ順番は問われません。
ここで起きやすいのは、時間の見積もりのずれです。設問が1つに見えるので他の設問と同じ配分で臨むと、選択肢を5つ読み切れないまま音声が始まります。2つの答えを選ぶ設問なので、1問のつもりで読み始めると時間が足りなくなります。
ステップ すること 確かめること
1 設問文で対象を確認する 何について2つ挙げるのか
2 5つの選択肢の違うところだけを読む それぞれを1語か2語で覚えられるか
3 音声で否定されたものから消していく 触れられただけなのか、退けられたのか
4 残ったものから2つを選ぶ 3つ以上に印を付けていないか
正解の2つが音声で続けて述べられるとは限りません。1つ目が早い段階で出て、2つ目は話題がひととおり進んだあとに出てくることもあります。1つ見つけた時点で気を抜かず、その設問の話題が終わるまで残りの選択肢を追い続けます。
選ぶ数を守ることも採点に関わります。迷って3つに印を付けると、正しい2つが含まれていても得点になりません。
06 迷ったときは、その場で決めて次へ進む
2択まで絞れたところで手が止まることがあります。このとき、決め切れないまま考え続けると、次の設問の該当箇所が流れていきます。どちらかを選んで印を付け、すぐ次の設問文に移るほうが、失点は1問で止まります。
記号で答える設問なので、空欄のまま残す理由はありません。2択まで絞れているなら、その場で一つを選んで次の設問へ進みます。無解答は得点にならないので、迷っていてもどちらかを選んでおきましょう。
コンピューター版では、音声が終わったあとに解答を確認する時間が2分あります。印を付けた設問はここで見直します。ただし記憶を頼りに選び直す作業になるので、時間が経つほど手がかりは薄れます。確認時間の使いどころは、印を付けた設問のうち、直前のパートで迷ったものからです。
リスニング
IELTSリスニングで聞き逃したあとの連続ミスを防ぐ:音声の現在地に戻る手順
07 復習で見るのは、選ばなかった選択肢
答え合わせで正解の記号だけを確認して終えると、同じ間違いが次も出ます。この設問で伸びるのは、選ばなかった選択肢が音声のどこに出ていて、どう退けられていたのかを追ったときです。
ステップ すること 確かめること
1 正解の根拠になった箇所をスクリプトで探す どの表現が答えを決めたか
2 自分が選んだ誤答の箇所を探す 触れられただけか、打ち消されていたか
3 残りの選択肢も同じように追う すべてが音声に出ていたかどうか
4 打ち消しに使われた表現を書き出す but・actually・though などの表現
何回か復習すると、but や though など、内容を修正するときによく使われる表現に気づくようになります。音声でその表現が出てきたところで注意を向けられるようになると、選択肢の確認が音声と同じ速さで進みます。
どの設問タイプで落としているかを記録しておくと、練習の配分も決めやすくなります。選択問題だけが落ちているのか、穴埋めも同じくらい落ちているのかで、次にやることが変わってきます。
IELTS学習アプリ
LR学習記録ツール
リスニングとリーディングの正答数を記録して、達成率の推移を確認できます
08 よくある質問
選択問題はどのパートで出ますか。
Part 1 から Part 4 のいずれでも出題されます。とくに Part 3 では、学生どうし、または学生と講師が課題について話し合う場面で、発言の要旨をまとめた選択肢が並びます。観光案内や施設の説明を扱う Part 2 でも出てきます。
選択肢は音声を聞く前に全部読んだほうがよいですか。
共通部分は読まずに済ませます。than he had expected のように3つの選択肢に同じ文字列が入っていれば、読む価値があるのは違っているところだけです。設問文を先に読み、誰の何についての発言を問うているのかを決めてから選択肢に移ります。
選択肢の内容が音声に出てきたら、それが正解ですか。
正解とは限りません。正解ではない選択肢の内容も話題として登場し、そのあとで否定されたり条件を付けて退けられたりします。1つ目が聞こえた時点で決めず、話し手がその話題を語り終えるまで待ってから確認します。
Part 3 で誰の意見か分からなくなります。どうすればよいですか。
設問文にある人物名を、選択肢を読む前に確認しておきます。I suppose so, though のような相づちのあとに本人の考えが来るので、though や but のうしろを聞きます。Exactly のように同意しているときは、相手が述べた内容がそのままその人の考えになります。
Choose TWO letters では何をすればよいですか。
指示された2つの選択肢を選びます。答えを2つ書く欄が用意され、選ぶ順番は問われません。1問のつもりで選択肢を読み始めると時間が足りなくなるので、先読みの時間は多めに見ておきましょう。
2つ選ぶ設問で3つに印を付けるとどうなりますか。
正しい2つが含まれていても得点になりません。指示された数を守ります。迷って絞り切れないときでも、印を付けるのは2つまでにしておきましょう。
2択で迷ったときは空欄にしたほうがよいですか。
どちらかを選んでおきましょう。無解答は得点になりませんし、間違った記号を選んだことで評価が下がることもありません。その場で一つを選んで印を付け、すぐ次の設問文に移ります。
復習では何を確認すればよいですか。
選ばなかった選択肢が音声のどこに出ていたかを追います。正解の記号だけを確認して終えると同じ間違いが続きます。自分が選んだ誤答が打ち消されていた箇所と、そこで使われていた but や actually のような語を書き出しておくと、次に同じ型が来たときに気づけます。
09 まとめ
選択問題で外れるとき、原因は聞き取れていないことだけではありません。選択肢の読み方と、どこまで聞いてから決めるかも関係します。共通部分を読み飛ばして違いだけを拾い、それぞれの選択肢の扱いが分かるまで答えを決めない。この2点を意識すると、聞こえていたのに選択肢を間違えた、という失点を減らせます。
設問文を先に読み、誰の何についての発言かを確認する
選択肢の共通部分は読まず、違っているところだけを見る
選択肢の内容が聞こえただけでは選ばない
but や though のあとで、それまでの話が修正されることがある
Part 3 では、相づちのあとに来る本人の考えを聞く
Choose TWO letters は先読みの時間を多めに取り、印は2つまでにする
2択で迷ったら選んで印を付け、すぐ次の設問文へ移る
復習では、選ばなかった選択肢が音声でどう退けられたかを追う
まずは1回分の模擬試験を使って、選択問題だけの正答率を確認してみるといいでしょう。選択問題だけが落ちているのであれば、聞き取りそのものではなく、選択肢の読み方と待ち方を見直す価値があります。