スピーキングの Part 1 で質問に一言答えたあと、少し短いかなと感じても、続ける1文が出てこない。そのまま Yeah, that's it. と言って答えを終えてしまう。スピーキングの授業で、何度も見てきた場面です。
こういうとき、多くの人はまず理由を足そうとします。ただ、That's because と言ってから、続ける理由を探すことになります。短い答えのあと、どの方向に1文足せば話が途切れずに済むのでしょうか。
目次
Yeah, that's it. で答えを終えると何が起きるか
短い答えのあとに足せる1文にはどんな方向があるか
That's because で話が止まりやすいのはなぜか
比較で1文足すと、なぜ話が続くのか
比べる相手はどこから見つければよいか
比較で1文足す練習はどう進めるか
よくある質問
まとめ
01 Yeah, that's it. で答えを終えると何が起きるか
Yeah, that's it. で終えると、答えはいったんそこで止まります。実際の試験では、ここで試験官が Why? と聞き返してくることもよくあります。そうなると、話の続け方を自分で選ぶ前に、理由を答えることになります。
Q. Do you eat fruit every day?
Yes, I have blueberries with yoghurt every morning.
はい、毎朝ヨーグルトと一緒にブルーベリーを食べています
質問にはきちんと答えていますし、英語にも誤りはありません。一言で答えること自体が減点になるわけではありません。
気になるのは、このあとです。短いと感じて間が空き、その間を埋めるように Yeah, that's it. と言う。この一言は英語として不自然ではありませんが、「話はここまでです」と伝える言い方です。
△
Yes, I have blueberries with yoghurt every morning. ... Yeah, that's it.誤りではないが、自分で答えを終えている
IELTS Speakingでは、試験全体を通して、どれだけ幅広い語彙や文法を使いながら、自分の考えを伝えられるかが評価されます。短い一文だけで回答を終えてしまうと、そうした力をアピールする機会も限られてしまいます。
そこで意識したいのが、回答にあと1〜2文を付け加えることです。Part 1であれば、それだけでも話の流れが自然に生まれ、まとまりのある回答になります。
では、付け加える一文を、どこから引き出せばよいのでしょうか。
02 短い答えのあとに足せる1文にはどんな方向があるか
足せる方向は、理由、具体例、比較、気持ち、これからの予定など、いくつもあります。違いは、その1文を言うために、頭の中で新しく何かを探す必要があるかどうかです。
方向 言い出しの例 その場で新しく考えること
理由 That's because ... なぜそうしているのかを探し、英語にできる形にする
具体例 For example, ... 具体的な場面を1つ思い出す
気持ち What I like most is ... どこが好きなのかを言葉にする(理由と重なりやすい)
これからの予定 I'd like to ... この先どうしたいかを考える
比較 I used to ..., but now ... 1文目の一部(時期・種類など)を入れ替えるだけ
話を広げる方法は、ほかにもたくさんあります。ただ、試験中にそれらすべてを思い出し、「どれを使おうか」と考えている余裕はありません。注目していただきたいのは、次に何を話すかを考える負担が大きいものと小さいものがあるという点です。負担が小さいものほど、1文目から2文目へとスムーズにつなげられます。多くの人が使いがちな「理由を説明する」という方法は、意外にも考える負担が大きいのです。私が考える最も手軽なものは「比較」です。
03 That's because で話が止まりやすいのはなぜか
That's because で止まりやすいのは、because と言った時点で、そのあとに続く理由をまだ探している最中だからです。言い出しは決まっていても、中身は決まっていません。
△
Yes, I have blueberries with yoghurt every morning. That's because ... they're delicious.because のあとで理由を探し始め、間が空く
ブルーベリーを毎朝食べている理由を、日本語で考えてみましょう。好きだから、習慣になっているから、なんとなく。本人にとって当たり前のことほど、理由として言葉にするのは難しくなります。やっと出てきた理由も、They're delicious. や They're healthy. のような一言になりがちです。
しかも、理由で1文足すと、さらにもう1文足したいときに、また別の理由を探すことになります。理由は、1つ言うたびに新しく考える必要が出てきやすいので、話を続けようとするほど負担が増えていきます。試験官に Why? と聞き返されて言葉が出てこないのも、同じところでつまずいているからです。
理由が浮かぶなら、聞いた話でもかまわない
すぐに言える理由があるなら、理由で足せば十分です。自分の理由が出てこないときは、聞いた話を紹介する言い方もあります。
I hear blueberries are good for your eyes.
ブルーベリーは目にいいと聞きます
I hear ... は「〜と聞いている」と伝える言い方なので、自分で根拠を組み立てなくても1文になります。ただ、ここからさらに話を続けたいときは、また次の1文を探さなければなりません。
04 比較で1文足すと、なぜ話が続くのか
比較で足すと話が続くのは、比べる材料がすでに1文目の中にあり、比べたあとには「なぜ変わったのか」という次の1文が自然に出てくるからです。もっと足したいときにおすすめなのが、この比較です。
ブルーベリーの答えに、比較で足してみます。
Q. Do you eat fruit every day?
Yes, I have blueberries with yoghurt every morning.
はい、毎朝ヨーグルトと一緒にブルーベリーを食べています
Well, I used to eat fresh blueberries every day, but these days they're really expensive, so I buy frozen ones instead.
以前は毎日生のブルーベリーを食べていたのですが、最近はとても高いので、代わりに冷凍のものを買っています
And in fact, I hear frozen ones are rather better for you.
それに、実は冷凍のほうがむしろ体にいいと聞きます
2文目で新しく考えたのは、「以前は生のブルーベリーを食べていた」ということだけです。ブルーベリーという話題は1文目にあります。そこに「以前」という時期を足して、今と比べています。
以前と今が違うなら、なぜ変わったのかを言いたくなります。値段が上がった、だから冷凍にした。理由を一から探さなくても、比べた結果として理由が出てきます。3文目の in fact は、ここまでの話に意外な情報を足すときの言い方です。冷凍に切り替えたのは値段のためでしたが、実はそのほうがよかったらしい、という1文で答えを終えています。
比べると、時制を変える文が入る
この答えには、used to(以前は〜していた)、these days(最近は)、instead(代わりに)が入っています。過去と現在を行き来する文は、比較で話を広げたことで自然に出てきたものです。
I used to ..., but these days ...
I used to ..., but now ...
..., so I ... instead.
まずは I used to ..., but now ... から使ってみると、1文目のあとに時期の比較をつなげやすくなります。
スピーキング
スピーキングで話を広げる5つの方法:短い返答のあとに沈黙しないための型
05 比べる相手はどこから見つければよいか
比べる相手は、1文目の中から探します。1文目に含まれている時期・種類・場面・人のどれか1つを入れ替えれば、比べる文になります。一度試してやめたことと、今のやり方を比べる手もあります。
入れ替えるもの 比べる相手の例
時期 以前と今、子どものころと今
種類 生と冷凍、紙の本と電子書籍
場面 平日と週末、家と外
人 自分と家族、自分と友人
試したこと 今のやり方と、一度試してやめたやり方
Part 1 の質問で試してみます。
時期を入れ替える
Q. Do you usually wear a watch?
Not really. I used to wear one every day, but now I just check the time on my phone.
あまりしません。以前は毎日していたのですが、今は時間をスマートフォンで見るだけです
時期の比較は、いちばん使いやすい入れ替えです。今の習慣を聞かれる質問が多いので、「以前はどうだったか」を考えるだけで2文目ができます。
一度試したことと比べる
Q. Do you prefer to exercise in the morning or in the evening?
In the evening. Well, I once tried going for a run before work, but I felt sleepy all morning, so I gave up after a week.
夜です。一度、出勤前に走ってみたことがあるのですが、午前中ずっと眠くて、1週間でやめてしまいました
I once tried ... は、一度やってみたことを持ち出す言い方です。今のやり方と、試してやめたやり方を比べています。うまくいかなかった様子を話すうちに、夜を選んでいる理由も伝わります。
種類を入れ替える
Q. Do you read books for pleasure?
Yes, but mostly e-books. Paper books are nicer to hold, but e-books are much easier to read on a crowded train.
はい、ただほとんど電子書籍です。紙の本のほうが手に持ったときの感じはいいのですが、混んだ電車では電子書籍のほうがずっと読みやすいからです
ブルーベリーの生と冷凍と同じく、ここでは紙の本と電子書籍という種類の違いを取り上げています。
場面を入れ替える
Q. How often do you go for a walk?
Almost every day. On weekdays it's just ten minutes to the station, but at the weekend I often walk for an hour or so along the river.
ほぼ毎日です。平日は駅までの10分だけですが、週末は川沿いを1時間ほど歩くことがよくあります
How often ...? のような頻度の質問は、平日と週末で分けると、答えが具体的になります。
人を入れ替える
Q. What kind of music do you enjoy listening to?
Mostly J-pop. My sister is the opposite. She only listens to jazz, so we never agree on what to play in the car.
ほとんどJ-POPです。姉は正反対で、ジャズしか聴かないので、車で何をかけるかでいつも意見が合いません
自分の好みを言ったあと、家族の好みと比べています。最後の so 以下は、比べた結果として出てきた具体的な場面です。
06 比較で1文足す練習はどう進めるか
練習では、1文で答えたあとに、比べる1文を足すところまでを1セットにします。Part 1 の質問を1つ選び、次の順で進めます。
ステップ すること 確かめること
1 質問に1文で答える 聞かれたことにそのまま答えているか
2 1文目の時期・種類・場面・人のどれかを入れ替えるか、一度試したことと比べて、比べる文を足す 新しい理由を探さずに言えたか
3 比べた結果から、変わった理由やその結果をもう1文足す 質問から話がそれていないか
4 録音して聞き返す 2文目の前で長く止まっていないか
最初のうちは、時期の入れ替えだけで練習するといいでしょう。I used to ..., but now ... がすぐ出てくるようになったら、種類や場面にも広げていきます。
どの質問でも比較で答える必要はありません。理由がすぐに言える質問は理由で、具体的な場面が浮かぶ質問は具体例で答えて構いません。比較は、何も浮かばないときに戻れる方向として持っておくと、Yeah, that's it. で答えを終えることが減っていきます。
Part 1 の答えをどのくらいの長さで切り上げるかは、別の記事で詳しく扱っています。
スピーキング
IELTSスピーキングPart 1の答えの長さ:何文で切り上げるかの判断基準
07 よくある質問
スピーキングで1文だけの短い答えをすると、評価は下がりますか。
1文で答えたからといって、それだけで評価が下がるわけではありません。ただ、スピーキングでは試験全体を通して、どんな語彙や文法を使って話を続けられるかが見られるので、1文で終える答えが続くと、それを示せる場面が少なくなります。Yes, I have blueberries with yoghurt every morning. のあとに比べる1文を足すだけでも、話の流れが見える答えになります。
Yeah, that's it. は使ってはいけない表現ですか。
英語として不自然な表現ではありません。ただ、「話はここまでです」と伝える言い方なので、もう1文足したいと感じているときに言うと、自分で答えを終えることになります。足したいと感じたら、内容のある1文を続けるほうが答えが広がります。
答えに理由を足すのはよくないのでしょうか。
すぐに言える理由があるなら、理由を足せば十分です。ただ、That's because と言ってから理由を探すと、because のあとで止まりやすくなります。理由が浮かばないときは、比較に切り替えると話を続けやすくなります。
自分の理由が思いつかないときに使える言い方はありますか。
I hear ... で、聞いた話を紹介する言い方があります。I hear blueberries are good for your eyes. のように言えば、自分で根拠を組み立てなくても1文になります。
比較で話を広げるとき、何と何を比べればよいですか。
1文目に含まれている時期・種類・場面・人のどれか1つを入れ替えます。以前と今、生と冷凍、平日と週末、自分と家族のような組み合わせです。一度試してやめたことと今のやり方を、I once tried ... で比べる方法もあります。なかでも時期の比較は、「以前はどうだったか」を考えるだけで2文目ができるので使いやすい入れ替えです。
比較には compared with や whereas を使わないといけませんか。
どちらも必須の表現ではありません。Part 1 の短い答えなら、I used to ..., but now ... や these days のような言い方で十分に比べられます。compared with や whereas も、言いやすい場面があれば使って構いません。
どの質問にも比較で答えたほうがよいですか。
その必要はありません。質問によっては、理由や具体例のほうが先に浮かぶこともあります。浮かんだ方向で答え、何も浮かばないときに比較へ切り替えると、答えを1文で終えずに済みます。
08 まとめ
短い答えのあとに続ける1文は、新しく探すものが少ない方向を選ぶと、間を空けずに言えます。理由は言いながら探すことになりやすく、比較は1文目の中に材料があります。
Yeah, that's it. は誤りではないが、自分で答えを終える言い方になる
That's because と言ってから理由を探すと、because のあとで止まりやすい
理由が浮かばないときは、I hear ... で聞いた話を紹介する手もある
比較は、1文目の時期・種類・場面・人のどれかを入れ替えるか、一度試したことと比べるだけで作れる
比べたあとは、変わった理由やその結果が次の1文として続く
I used to ..., but now ... から練習を始め、慣れたら種類や場面にも広げる
次に Part 1 の練習をするときは、1文で答えたあとに「以前はどうだったか」を1つ考えてみましょう。