目に見えるものを描写しないキューカードがあります。立てた目標、やめたい習慣、迷った末の判断。手がかりが自分の頭のなかにしかないので、思い出すところから始めなければならず、準備していないと一般論だけで時間が過ぎます。
この記事では、目標、学びと変化、健康やお金の習慣、判断と気持ちを扱うトピックを取り上げます。形のないトピックを1つの場面に落として話す方法も、あわせて解説します。
目次
形のないトピックでは何が問われているのか
1つの場面に落として話す
出題されたトピック
Part 3では自分の話からどこへ広がるのか
材料を決めておけば多くのトピックに応用がきく
よくある質問
まとめ
01 形のないトピックでは何が問われているのか
このグループのキューカードには、描写できる対象がありません。人物のカードなら相手の外見や性格を、場所のカードなら風景を話せますが、目標や判断は目に見えません。そのため、話し始めた瞬間から抽象的な説明に入ってしまい、聞いている側には何の話なのかが伝わらないまま時間が過ぎます。
ところが、下に並べたカードの箇条書きを読むと、いつ始めたか、どこで学ぶつもりか、誰が関わっていたか、といった具体的な項目が並んでいます。カードのほうが、抽象的な話を場面に引き戻す作りになっています。つまり答える側がすることは、抽象論を組み立てることではなく、その考えが生まれた場面を1つ思い出すことです。
出題されてきたトピックは、扱う中身で4つに分かれます。目標と達成、学びと変化、健康やお金の習慣、判断と気持ちです。
グループ 語る中身 答えの重心
目標と達成 立てた目標、祝った達成、やりたいこと なぜそれを目指したか、いまどこまで来ているか
学びと変化 学んだこと、学びたいこと、暮らしの変化 どう身につけたか、何が変わったか
健康とお金の習慣 続けている習慣、やめたい習慣、節約の工夫 いつ始めたか、何が得られたか
判断と気持ち 難しい判断、退屈した場面、言わなかったこと そのとき何を考え、どう決めたか
2つ目のグループには、まだ起きていないことを語らせるカードが含まれます。学びたいこと、やりたいのに時間が取れていないこと。ここでは過去形ではなく、I'd like to ... や I'd probably ... のような言い方が中心になります。すでに動き出している予定なら I'm planning to ... も使えます。慣れていないと、途中で過去形が混ざります。
02 1つの場面に落として話す
抽象的なトピックで止まる人の多くは、英語ではなく話の入口でつまずいています。「目標について話してください」と言われて、目標とは何かを説明しようとしてしまうからです。カードが求めているのは定義ではなく、自分が実際に立てた目標1つです。
話を具体的にする手立ては1つです。目安として、最初の20秒でその考えが生まれた場面を作ります。いつ、どこで、何をしていたときにそう思ったのか。これを言ってしまえば、そのあとは人物や出来事のカードと同じように話が進みます。
話す部分 時間の目安 入れる中身
始まりの場面 20秒 いつ、どこで、何がきっかけでそう思ったか
中身の説明 30秒 何を目指したか、何を学んだか、何を決めたか
実際にしたこと 40秒 そのあと何をしたか。行動を2つか3つ
いまの状況と気持ち 30秒 どこまで来たか、いま振り返ってどう思うか
行動を2つか3つ並べると40秒のまとまりになる
3つ目がいちばん長く、ここを埋められるかで全体が決まります。健康の習慣なら、朝の時間をどう変えたか、何をやめたか、続けるためにどんな工夫をしたか。抽象的な決意を繰り返すより、具体的な行動を並べるほうが話が伸びます。
まだ実現していない部分の言い方をそろえる
学びたいこと、やりたいことのカードでは、これからの部分を would でそろえます。I'd probably start by ... 、It would take me about a year のように、手順も見込みも同じ言い方で出せるようにしておくと、途中で時制が崩れません。すでに申し込みまで済ませている予定なら I'm planning to ... のほうが実態に合います。なぜまだできていないかを説明する部分は過去形や現在形になるので、その切り替えは意識しておきたいところです。
気持ちを表す語を広げておく
判断や退屈を扱うカードでは、気持ちの説明が答えの中心になります。happy と difficult だけで通そうとすると、同じ語が何度も出てきます。迷いなら torn between 、安心なら relieved 、後ろめたさなら guilty のように、場面ごとに1語ずつ用意しておくと語の幅が出ます。
03 出題されたトピック
ここから、報告されているキューカードを4つのグループに分けて並べます。同じトピックでも、実際の試験では言い回しや箇条書きの項目が違うことがあります。
目標と達成(Goals and Achievements)
立てた目標、祝った達成、やりたいのに手が付けられていないことが並びます。結果が出たかどうかより、なぜそれを目指したかが答えの中心になります。
キューカード
Describe a goal that you set for yourself.
You should say:
what the goal was why you set it who else was involved
and explain whether you reached this goal or not.
キューカード
Describe a time when you celebrated an achievement of yours.
You should say:
what the achievement was when you celebrated it how you celebrated it
and explain how you felt at the time.
キューカード
Describe something you would like to do but have never had the time for.
You should say:
what it is where you would do it who you would do it with
and explain why you have not been able to find the time.
学びと変化(Learning and Change)
身につけたこと、これから学びたいこと、暮らしに起きた変化を語らせます。まだ起きていない話を含むので、仮定の形で話す準備が要ります。
キューカード
Describe something you have learned recently.
You should say:
what it was how you learned it how long it took you
and explain how it might be useful to you in the future.
キューカード
Describe something you would like to learn how to do.
You should say:
what it is where you would learn it how you would go about learning it
and explain why you would like to learn this.
キューカード
Describe a foreign language, other than English, that you would like to learn.
You should say:
which language it is how you would learn it what difficulties you think you would have
and explain why you would like to learn this language.
キューカード
Describe a positive change that has happened in your life.
You should say:
when it happened what the change was what caused it
and explain how you have benefited from this change.
健康とお金の習慣(Health and Money Habits)
続けている習慣と、やめたい習慣の両方が出ます。いつ始めたか、どのくらいの頻度かという箇条書きが多く、数字を交えて話すことになります。
キューカード
Describe something you do to stay healthy.
You should say:
what you do when you started doing it how often you do it
and explain what benefits you get from it.
キューカード
Describe something you would like to stop eating or drinking.
You should say:
what it is how often you have it why you would like to give it up
and explain what makes it difficult to stop.
キューカード
Describe something you do to save money.
You should say:
what you do when you started doing it where you got the idea
and explain how it helps you save money.
判断と気持ち(Decisions and Feelings)
判断に迷った場面、退屈だった場面、本当のことを言わなかった場面。気持ちの動きを説明することになるので、感情を表す語の幅がそのまま答えの厚みになります。
キューカード
Describe a difficult decision that you made.
You should say:
what the decision was what made it difficult how you finally decided
and explain what happened as a result of your decision.
キューカード
Describe a time when you were bored while you were with other people.
You should say:
when and where it was who you were with what you were doing
and explain why you felt bored.
キューカード
Describe an occasion when you did not tell someone the whole truth.
You should say:
who the person was what you told them what you left out
and explain why you decided not to tell them everything.
キューカード
Describe something important that you forgot to do.
You should say:
what it was when it happened why you forgot it
and explain what happened afterwards.
04 Part 3では自分の話からどこへ広がるのか
このグループのPart 3は、ほかの分野より抽象度が高いところから始まります。目標のカードなら人はなぜ目標を立てるのかへ、学びのカードなら大人の学び直しや語学教育へ、習慣のカードなら健康教育や金銭教育へ移ります。個人の経験そのものを尋ねる質問は減り、一般的な傾向や社会への影響を聞く質問が増えます。
下に並べたのは、上のトピックに続けて聞かれてきた質問です。カードごとではなく、話が向かう先ごとにまとめてあります。
目標と達成(Goals and Achievements)
What kinds of goals do people usually set for themselves?
Why do people set goals at all?
Do people of different ages set different kinds of goals?
Do you think most people reach the goals they set?
How serious a matter is it to fail to reach a goal?
What can people do to make their goals easier to reach?
Should parents set goals for their children?
Why do people celebrate when they achieve something?
How do people in your country celebrate important personal events?
Is it necessary to spend money in order to celebrate?
Which is more satisfying, an achievement of your own or one shared with a team?
Do you think people today are under more pressure to succeed than in the past?
学びと変化(Learning and Change)
Why do adults keep learning new things after they leave school?
What is the best way to learn a practical skill?
Is it easier for children or for adults to learn something new?
Do you think people learn better on their own or with a teacher?
What are the benefits of learning a foreign language?
Should all children study a foreign language at school?
At what age should children start learning another language?
Do you think online courses can replace classroom teaching?
How have people's lives in your country changed over the last few decades?
Do people generally welcome change, or resist it?
Which changes have had the biggest effect on family life?
How do you think the way people work will change in the future?
健康とお金の習慣(Health and Money Habits)
What do people in your country do to stay healthy?
Do young people and older people look after their health in the same way?
Many people say they have no time to exercise. What would you say to them?
Why do so many people eat food they know is not good for them?
Should schools teach children about health?
What role should the media play in health education?
Do you think people will be healthier in the future than they are now?
Do you think it is important for people to save money?
What methods do people use to save money?
Should children be taught how to manage money?
Who should teach them, parents or schools?
Do young people today spend more than their parents did at the same age?
判断、正直さ、退屈(Decisions, Honesty and Boredom)
What everyday decisions do people have to make?
What makes a decision difficult?
Is it easier to decide when you have fewer choices?
Who do people usually ask for advice before making a decision?
Should parents make important decisions for their children?
What skills does someone need in order to make good decisions?
How can people improve the way they make decisions?
Why do children sometimes not tell the truth?
Are the reasons adults have for hiding the truth different from children's?
Why do people feel bored?
Can being bored ever be useful?
Why do some jobs make people feel bored?
この分野のPart 3には、答えにくい型が1つあります。「人はなぜそうするのか」を聞く型です。なぜ目標を立てるのか、なぜ体に悪いと知りながら食べるのか、なぜ退屈を感じるのか。正解が無いので、何から話せばよいか迷いやすくなります。
この型では、理由を2つに分けると答えが組み立てられます。本人の側の理由と、周りの状況の側の理由です。体に悪いものを食べる理由なら、おいしいから、疲れているから、という本人の側に加えて、値段が安い、どこでも買える、という周りの側を1つ挙げれば、それだけで答えが立体的になります。
もう1つ、教育を主語にする質問が多いのも特徴です。学校が健康やお金の扱いを教えるべきか、親が決めるべきか。ここでは、どちらか一方に決めてから、もう一方にできることを1つ添える形にすると収まります。自分が学校や家庭で教わったことを1つ挟むと、一般論だけの答えになりません。
スピーキング
トピック別表現シリーズ:時間の使い方について話す表現を3段階で学ぼう【第3回】
05 材料を決めておけば多くのトピックに応用がきく
形のないトピックは、出題の幅が広いわりに、材料は重なります。去年始めた習慣を1つ思い出しておけば、健康のカードにも、暮らしに起きた変化のカードにも同じ話を出せます。グループごとに2つずつ決めるところから始めます。
グループ 決めておく材料 その材料で答えられるトピック
目標と達成 いま取り組んでいることを1つ、祝った達成を1つ 立てた目標、やりたいこと、祝った達成
学びと変化 この1、2年で身につけたことを1つ、学んでみたいことを1つ 最近学んだこと、学びたいこと、学びたい外国語、暮らしの変化
健康とお金の習慣 続けている習慣を1つ、節約の工夫を1つ 健康のための習慣、節約の工夫
判断と気持ち 迷った末に決めたことを1つ、退屈だった場面を1つ 難しい判断、退屈だった場面
この表から外れるのは、やめたい習慣、本当のことを言わなかった場面、忘れていたことの3つです。どれも向きが逆なので、別に1つずつ思い出しておきます。
1つにつき、どこまで用意しておくか
材料1つにつき、次の5点をそろえておけば、多くのトピックを組み立てられます。
始まりの場面:いつ、どこで、何がきっかけだったか
そのときの状況:なぜそう思ったのか、何に困っていたのか
実際にした行動を2つか3つ:ここがいちばん長い
うまくいかなかった部分:1つあると話に厚みが出る
いまの状況:どこまで来たか、この先どうするつもりか
同じ材料を別のトピックに出すときの直し方
変えるのは、5点のうちどこを長く話すかです。目標のカードでは始まりの場面と実際の行動を厚くし、変化のカードではいまの状況を厚くします。やめたい習慣のカードは向きが逆なので、続けている習慣とは別の1つを当てます。
言わなかったことを扱うカードには、身構える人が多いかもしれません。ここで深刻な隠しごとを話す必要はなく、相手を気づかって感想の一部を伏せた、という程度でもカードの条件には沿います。
暗記した回答をそのまま話すと、カードが求めている条件に触れないまま2分が過ぎます。最初の1文でカードの条件の語を自分の口から言ってしまうと、そのあとが条件に沿った話になります。
IELTS学習アプリ
トピック検索
気になるトピックを入れると、AIがサンプル例文とフレーズを出します。上のトピックから1つ選んで、材料を集めるときに使えます。
06 よくある質問
立派な目標や達成が思い当たりません。
目標の立派さそのものは採点項目ではありません。早起きを続けている、月に1冊読むと決めた、という程度のことで構いません。ただし、箇条書きの項目に答えて具体的に話す必要はあります。むしろ身近な目標のほうが、実際にした行動を具体的に並べられるので話が伸びます。
話し始めると一般論になってしまいます。
最初の20秒で、その考えが生まれた場面を作ると変わります。いつ、どこで、何をしていたときにそう思ったのかを先に言ってしまえば、そのあとは具体的な話が続けやすくなります。
まだやっていないことのカードで、時制がわからなくなります。
これからの部分を would でそろえると崩れません。手順も見込みも同じ言い方で出せるようにしておくといいでしょう。すでに動き出している予定は I'm planning to ... 、まだできていない理由は現在形や過去形になるので、そこだけ切り替えます。
目標を達成できなかった話をしてもよいのでしょうか。
問題ありません。達成したかどうかを聞いているカードもあり、届かなかった理由を説明するほうが話す材料は増えます。何が足りなかったか、いまどうしているかまで言えば、最後の1行に答えたことになります。
健康や節約のカードで、数字を交えたほうがよいですか。
箇条書きが頻度や期間を聞いているので、週に何回、何か月続けているといった数字を入れると答えが具体的になります。正確である必要はなく、おおよその頻度で十分です。
本当のことを言わなかった場面のカードが答えづらいです。
深刻な隠しごとを話す必要はありません。相手を気づかって感想の一部を伏せた、心配をかけたくなくて体調のことを言わなかった、という程度で十分です。なぜそうしたかを説明できれば答えになります。
Part 3で「人はなぜそうするのか」と聞かれると詰まります。
理由を本人の側と周りの状況の側に分けると組み立てられます。片方だけで答えるより、両方から1つずつ挙げるほうが説明に厚みが出ます。
この記事のトピックを全部準備する必要がありますか。
必要ありません。4つのグループに材料を2つずつ決めておけば、多くのトピックはそこから答えられます。これとは別に、やめたい習慣、本当のことを言わなかった場面、忘れていたことを1つずつ思い出しておくと、残りのカードにも届きます。
07 まとめ
目標や判断を扱うキューカードは、描写できる対象が無いぶん、話し始めが最も難しい種類です。ただし箇条書きのほうは、いつ始めたか、誰が関わっていたかと、具体的な場面を聞いてきます。抽象論を組み立てるのではなく、その考えが生まれた場面を1つ思い出せば、あとは他のカードと同じように進みます。
形のないトピックは、目標と達成、学びと変化、健康とお金の習慣、判断と気持ちの4つに分かれる
目安として、最初の20秒でその考えが生まれた場面を作る
いちばん長いのは実際にした行動。2つか3つ並べると40秒のまとまりになる
まだ実現していない部分は would でそろえ、動き出している予定は be going to や現在進行形で言う
気持ちを表す語を場面ごとに用意しておくと、同じ語の繰り返しを避けられる
Part 3は目標と達成、学びと変化、健康とお金の習慣、判断・正直さ・退屈の4方向へ広がる
「人はなぜそうするのか」型は、本人の側と周りの側に分けて答える
次回は仕事と学習を扱うキューカードを同じ形で整理します。この記事のキューカードとPart 3の質問は、報告が増えるたびに追加していきます。