電話でのやり取りを聞きながら申込書の空欄を埋める設問は、IELTSリスニングでよく見られる形式の一つです。音声そのものは聞き取れているのに、書き終わる前に次の空欄の話が始まってしまう。このタイプで失点が続くとき、聞く力そのものよりも、音声が始まる前の準備に原因があることも少なくありません。
この記事では、Form/Note/Table Completion(フォーム・ノート・表の穴埋め問題)を取り上げます。空欄に入る情報の種類を音声の前に予測しておく手順と、フォーム・ノート・表で手がかりのある場所がどう変わるのかを具体例で見ていきます。なお、解答の時間配分についてはコンピューター版IELTSを前提に説明します。
01Form/Note/Table Completion はどんな設問か
Form/Note/Table Completion は、音声で述べられた情報を、申込書・講義ノート・表のいずれかの空欄に書き込む設問です。見た目は3種類に分かれますが、問われていることは共通していて、指定された語数の範囲で、音声に出てきた語をそのまま書き取ります。
日常的なやり取りを扱う Part 1 で出てくることが多い形式です。会員登録、宿泊の予約、講座の申し込みといった場面で、氏名・住所・日付・金額のような実務的な情報が並びます。講義を扱う Part 4 では、同じ形式がノート完成として出てきて、専門的な語彙や年号が空欄になります。
指示文の例
Complete the form below.
Write NO MORE THAN TWO WORDS AND/OR A NUMBER for each answer.
答えを記号で書くマッチング形式と違い、この設問では語を自分で書き出します。綴りを間違えればその設問は得点になりませんし、語数制限を超えた答えも正解として扱われません。聞き取りの正確さに加えて、書き方の判断が採点に関わってきます。
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02空欄に入る情報の種類を音声の前に予測する
音声が始まる前に決めておくのは、それぞれの空欄に入るのが人名なのか、数字なのか、場所なのかという情報の種類です。これが決まっていれば、該当する音が流れてきた瞬間に書き始められます。
設問
Riverside Sports Centre: Membership Form
Name: Helen 1 ..............
Address: 42 2 .............. Road
Postcode: 3 ..............
Preferred class: 4 ..............
Start date: 5 ..............
Monthly fee: £6 ..............
✗
空欄をひととおり眺めて、聞こえた語を書けばよいと考える1に何が入るか決まっていないので、音声が J-E-N-K-I-N-S と綴り始めてから入力に取りかかることになる
○
1は名字で、綴りが1文字ずつ読まれると決めておくHelen という名の直後なので名字だと分かる。綴りが始まった時点で手が動く
空欄の前後にある語が、そのまま情報の種類を示しています。この対応を押さえておけば、短い先読みの時間でも判断できます。
| 空欄の前後にある語 | 入る情報 | 音声での出方 |
| Name / Surname | 人名 | アルファベットで1文字ずつ綴られることが多い |
| Road / Street / Avenue | 道路名 | 綴りが読まれる。番地は数字で先に来る |
| Postcode | 英数字の組み合わせ | 1文字ずつ。B は P と、M は N と紛れやすい |
| £ / cost / fee | 金額 | 数字。単位はすでに設問側にある |
| Date / on | 日付 | 曜日や月とともに言われる |
| per week / times | 回数 | 数字。twice のように語で言われることもある |
金額の空欄の前にすでに £ が付いているときは、数字だけを書きます。設問側にある記号や単位まで書き足すと、語数制限を超える原因になります。
03フォーム・ノート・表で手がかりの場所が変わる
3つの見た目の違いは、手がかりがどこにあるかの違いです。フォームは項目名が左に並び、1行が1つの情報に対応します。ノートは見出しの下に内容がぶら下がり、インデントが深いほど細かい情報になります。表は行と列の交差点に空欄があるので、手がかりが2方向から与えられます。
表は列見出しと行見出しの両方を見る
| Cost | Duration | Class size |
| Beginner course | £ 7 .......... | 8 weeks | 10 |
| Advanced course | £120 | 8 .......... weeks | 9 .......... |
空欄7は Cost の列にあるので金額が入り、Beginner course の行にあるので初級コースを話しているところで出てきます。空欄8は Duration の列なので期間で、うしろに weeks があるため数字だけを書きます。空欄9は Class size の列にあり、上の行に10という数字が見えているので、人数を表す数字だと分かります。
表では、行が変わるところで話題も切り替わります。音声が advanced course の話に移った瞬間に、残りの空欄が8と9であることが分かるので、初級コースの金額を聞き逃していたとしても、そこで見切りをつけられます。
ノートは見出しが話題の切り替えを示す
Part 4 のノート完成では、講義の構成がそのまま見出しになっています。Early research、Recent findings、Remaining problems のような見出しが並んでいれば、講義がその順番で進むということです。見出しの語が音声で言い換えられて出てくることも多いので、見出しごとに何を待つのかを先に決めておくと、講義のどこを聞いているかを見失いません。
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04音声は設問の順番どおりに進む
この設問形式では、空欄の答えは音声に出てくる順番と同じ並びになっています。1番の答えが流れたあとに2番が来るので、いま音声のどこを聞いているかを見失わずに済みます。ただし音声は一度きりで、戻ってはくれません。
ここで危ないのが、書けなかった空欄に意識を戻してしまうことです。1つ落としたところで考え込むと、そのあいだに次の空欄の答えが流れ、2問目、3問目と続けて落ちます。空欄を1つ飛ばして、次の空欄の前後にある語が音声に出てくるのを待つほうが、失点は1問で止まります。
話し手が次の空欄に近づくときには、決まった言い方が出てきます。
| 音声の表現 | 直後に来るもの |
| Can I take your name? | 氏名。綴りが続くことが多い |
| And what is the best number to reach you on? | 電話番号 |
| Right, so moving on to the classes... | 話題の切り替え。次の空欄へ進む |
| So that is Thursday, is it? | 直前の情報の確認。訂正が入ることもある |
| Just to check the spelling... | 綴りの読み上げ |
最後の2つには注意が要ります。確認や訂正の言い回しのあとで情報が書き換わることがあり、先に聞こえたほうを答えにすると誤答になります。訂正の型そのものは、別の記事でまとめて扱っています。
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05聞こえた語をそのまま書く
答えは音声に出てきた語をそのまま書きます。意味が合っていても、自分の言葉に直したものは正解になりません。この点は理屈としては分かっていても、書く瞬間に手が加わってしまう場面がいくつかあります。
音声
We usually meet in the main hall, just past the reception desk.
✗
hallmain を落とすと、どの hall なのかが特定できない答えになる
○
main hall2語まで許されているなら、修飾する語まで含めて書く
もうひとつ起きやすいのが、空欄のうしろの語と文法を合わせようとして形を変えてしまう場面です。
音声
The introductory course runs for six weeks in total.
✗
Duration: six week複数形の s を落として書き換えている
○
Duration: six weeks聞こえた形のまま。設問側に weeks が印刷されているなら数字だけを書く
単数か複数かで迷ったときは、空欄に入れたときの文法ではなく、音声で実際に使われた形を確かめます。音声が複数形で言っていれば複数形のまま、単数形で言っていれば単数形のまま書きます。空欄に入れたときに文法が合わないように感じるなら、拾っている場所のほうがずれています。
06語数制限と綴りで落とす失点
語数制限は指示文に書かれていて、パートごとに変わります。ONE WORD ONLY、NO MORE THAN TWO WORDS、NO MORE THAN THREE WORDS AND/OR A NUMBER のような書き方があるので、解き始める前に確認しておきましょう。
- a や the も1語として数えます:ONE WORD ONLY の指示で the pool と書くと2語になります
- ハイフンでつながれた語は1語です:part-time は1語として扱われます
- 数字を書けるかどうかは指示文で決まります:NO MORE THAN TWO WORDS AND/OR A NUMBER なら、数字を含む答えが認められます
- 設問側にすでにある語は書きません:£ や weeks が印刷されているなら、数字だけで足ります
綴りは1文字違えばその設問は得点になりません。accommodation を accomodation と書いた場合、聞き取りは正しくても答えとしては認められません。イギリス綴りとアメリカ綴りは、どちらを使ってもかまいません(organisation と organization のどちらでも問題ありません)。ただし、選んだほうの綴りを正確に書く必要があります。
コンピューターでの受験では、入力のタイプミスも同じ扱いになります。隣のキーに触れたことによる1文字の違いも、綴りを知らなかった場合と結果は変わりません。IELTSは2026年半ばから紙ベースの試験を終了し、コンピューターでの実施への移行が進んでいます。移行時期は国・地域によって異なります。
IELTS学習アプリ
スペリング強化
音声を聞いて綴りを入力する練習ができます。書けなかった語がそのまま自分の弱点リストになります
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07設問を読む時間に何を見るか
各パートの前には、設問を読む時間が音声で案内されます。長さはその案内で示されるので、そこに収まる範囲で読むことになります。空欄が6つあるとして、すべてを同じ深さで読もうとすると、たいてい最後まで届きません。見る順番を先に決めておきましょう。
| 順番 | 見るもの | そこで決めること |
| 1 | 指示文 | 語数制限。数字を書いてよいかどうか |
| 2 | フォーム名・表の見出し | 何についての話か。列見出しがあれば情報の種類 |
| 3 | 空欄の直前と直後の語 | それぞれの空欄に入る情報の種類 |
| 4 | 空欄以外の行 | 音声がどこまで進んだかを追う目印 |
時間が足りないときは、4を捨てて1から3までで止めます。順番の1と2は残りの空欄すべてに関わるので、ここを飛ばして個々の空欄から読み始めると、語数制限を確認しないまま解くことになります。
コンピューター版では、音声を聞きながら解答を入力し、音声が終わったあとに入力内容を確認する時間が2分あります。ここで見直しやすいのは、すでに入力した答えです。空欄のまま残した設問をこの時間で埋め直すのは難しいので、記憶が新しいうちに、書けなかった空欄には見当だけでも入力しておくとよいでしょう。無解答は得点にならず、間違った答えを書いても評価が下がることはありません。
08よくある質問
フォームの穴埋め問題はどのパートで出ますか。
日常的なやり取りを扱う Part 1 で出てくることが多い形式です。会員登録や予約の場面で、氏名・住所・日付・金額のような情報が空欄になります。同じ形式は講義を扱う Part 4 でもノート完成として出てきて、そちらでは専門的な語彙や年号が空欄になります。
語数制限を超えて書くとどうなりますか。
内容が合っていても正解として扱われません。a や the も1語として数えるので、ONE WORD ONLY の指示で the pool と書くと2語になります。ハイフンでつながれた part-time のような語は1語として扱われます。
数字は算用数字で書いてもよいですか。
指示文の指定に従います。NO MORE THAN TWO WORDS AND/OR A NUMBER のように数字が明記されていれば、数字を含む答えが認められます。指示文は設問のまとまりごとに変わるので、解き始める前に確認しておきましょう。
空欄を1つ聞き逃したらどうすればよいですか。
その空欄は飛ばして、次の空欄の前後にある語が音声に出てくるのを待ちます。答えは音声に出てくる順番と同じ並びなので、戻って考え込むと次の答えも流れていきます。1問を取り戻そうとして次の答えまで逃すより、いったん次へ進んだほうが失点を広げずに済みます。
聞こえた語を言い換えて書いても正解になりますか。
なりません。音声に出てきた語をそのまま書きます。単数か複数かで迷ったときも、空欄に入れたときの文法ではなく、音声で実際に使われた形に合わせます。空欄に入れて文法が合わないと感じるなら、拾っている場所のほうがずれています。
イギリス綴りとアメリカ綴りのどちらで書けばよいですか。
どちらを使ってもかまいません。organisation と organization のどちらでも問題ありません。ただし綴りが1文字でも違えばその設問は得点にならないので、自分がいつも使うほうの綴りを正確に書けるようにしておきましょう。
表の完成問題で、どこを見れば入る情報が分かりますか。
列見出しと行見出しの両方です。列見出しが情報の種類を示し、行見出しが音声のどのあたりで出てくるかを示します。Cost の列にあれば金額が入り、Beginner course の行にあれば初級コースを話しているところで答えが流れます。
音声が終わったあとに答えを直す時間はありますか。
コンピューター版では、入力した解答を確認する2分間があります。見直しやすいのはすでに入力した答えで、空欄のまま残した設問をこの時間で埋め直すのは難しくなります。書けなかった空欄には、記憶が新しいうちに見当だけでも入力しておくとよいでしょう。
09まとめ
Form/Note/Table Completion で得点を伸ばすには、音声が始まる前に、この空欄には何が入りそうかを考えておくことが大切です。先に情報の種類を絞っておけば、音声が流れてから迷う時間を減らせます。
- 指示文の語数制限を、解き始める前に確認する
- 空欄の前後にある語から、入る情報の種類を決めておく
- 表では列見出しで情報の種類を、行見出しで音声上の位置を読む
- 答えは音声に出てくる順番と同じ並びで来る
- 1つ落としたら飛ばし、次の空欄の手がかり語を待つ
- 聞こえた語を言い換えず、複数形の s も聞こえたとおりに書く
- 設問側に印刷されている £ や weeks は書き足さない
- 空欄のまま提出せず、見当でも入力しておく
綴りで落としている自覚があるなら、聞き取りの練習量を増やす前に、書き取りの練習に時間を割り当てるほうが早く点数に表れます。自分がどの語で間違えるかは、実際に書いてみないと分かりません。
リスニング
IELTSリスニングの数字・日付・単位の聞き取りと書き方:聞こえた音を書くときに迷わないための整理