スピーキングは11分から14分で終わります。短い時間ですが、初めて受けるときは、質問が聞き取れなかったらどうするか、言い間違えたら戻ってよいのか、Part 2 のメモは何を書けばよいのかといった判断が次々に出てきます。この記事では、部屋に入ってから終わるまでの流れを追いながら、その場で迷いやすい振る舞いを1つずつ整理します。試験当日の持ち物や日程については別の記事で扱っているので、ここでは試験が始まったあとの話に絞ります。
目次
11分から14分の中身はどうなっているか
始まってから最初の1分に起きること
質問が聞き取れなかったときは聞き返してよいか
言い間違えたときは言い直してよいか
Part 2 の1分間をどう使うか
答えが浮かばないときにどうするか
よくある質問
まとめ
01 11分から14分の中身はどうなっているか
スピーキングは3つのパートに分かれていて、全体で11分から14分です。試験官と向かい合って進み、やり取りは録音されます。パートごとに質問のされ方も、答えに求められる長さも変わります。
パート 時間 何をするか 答え方の目安(練習上)
Part 1 4分から5分 身近な話題について、短い質問と答えを重ねる 簡潔に答えて少し展開する(2文から4文ほど)
Part 2 3分から4分 トピックを1つ受け取り、1分準備して最大2分話す 2分間ひとりで話し続ける
Part 3 4分から5分 Part 2 の話題を広げ、抽象度の高い質問に答える 答え・理由・具体例まで展開する
時間の枠は公式に決まっていますが、1回の答えを何文にするかという規定はありません。右の列は当校が練習で使っている目安です。3つのパートは続けて行われ、あいだに休憩は入りません。パートの切り替わりは試験官の一言でわかります。Part 2 に入るときは、これからトピックを渡すという説明があり、Part 3 に移るときは、いま話した話題に関連してもう少し一般的な質問をするという趣旨の前置きがあります。
スピーキングは、筆記の3技能と違って、いまも試験官とのやり取りで進みます。会場によっては、同じ建物の別室にいる試験官とビデオ通話でつなぐ形になることもあります。画面越しでも、質問のされ方も時間の配分も変わりません。音声が途切れたときは、そのことを伝えれば試験官が対応します。
パートごとに話し方を切り替える
Part 1 は身近なことを短く聞かれる場面、Part 3 は考えを説明する場面です。同じ調子で3つのパートを通すより、Part 1 は簡潔に答えて少し展開する、Part 3 は理由や具体例まで足して展開する、と切り替えるほうが、それぞれの質問に合います。
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02 始まってから最初の1分に起きること
試験は本人確認から始まります。試験官が名前をたずね、身分証明書を確認し、録音を始めることを伝えます。ここでのやり取りは採点の対象ではありません。名前や出身地を聞かれても、用意してきた自己紹介を話す場面ではないので、短く答えて構いません。
Q. Can you tell me your full name, please? A. Yes, my name is Yuki Tanaka.
Q. And where are you from? A. I am from Nagoya, in central Japan.
そのあと Part 1 の質問に入ります。最初の話題は、住んでいるところ、仕事や勉強、ふだんの過ごし方といった身近なものです。ここで緊張して声が小さくなると、録音に乗りにくくなります。最初の答えだけは、少し大きめの声で話し始めるとよいでしょう。
試験官が手元の紙を見ながら質問を読むことがありますが、それは質問が台本として決められているためです。反応が薄く見えても、そこから自分の答えの出来を推し量る必要はありません。
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03 質問が聞き取れなかったときは聞き返してよいか
聞き返して構いません。黙ってしまうより、聞き返して答えるほうが、やり取りとして自然に進みます。
✗
(聞き取れないまま数秒黙り、関係のない内容を話し始める)質問とずれた答えになり、話すほど戻りにくくなる
○
Sorry, could you say that again, please?一度で聞き取れなかったことを伝えて、質問を繰り返してもらう
使う表現は決まった言い方で足ります。 Sorry, could you repeat that, please? Sorry, I did not catch that. Could you say the last part again?
聞き返したあとは、そのまま答えに入って構いません。聞き取れなかったことを謝り続ける必要はなく、Thank you. と一言添えて答え始めるくらいがちょうどよい形です。
繰り返してもらうことと、言い換えてもらうことは別
Part 1 の質問は決まった文言で読み上げられるため、もう一度読んでもらうことはできても、別の言い方に変えてもらえるとは限りません。Part 3 の質問はその場のやり取りの中で出てくるので、言い方を変えて説明してもらえることがあります。どちらの場合も、まずは繰り返しをお願いして、それでも意味がつかめないときに、自分の理解で言い直して確かめる形が使えます。
Do you mean whether governments should pay for it, or whether companies should?
聞き取れなかったときは、推測で答え始めるより、聞き返して質問を確かめるほうが確実です。ただ、毎回聞き返す形が続いているなら、質問が難しいというより聞き取りの精度に原因があります。ふだんの練習で、いろいろな速さとアクセントの英語を聞いておきましょう。
04 言い間違えたときは言い直してよいか
言い直して構いません。言い直し(self-correction)そのものが、ただちに減点になるわけではありません。バンド6の Fluency and Coherence には、ためらいや繰り返し、言い直しによって一貫性が時折失われることもある、という記述があります。一方で、言い直しが頻繁になって話の流れが追いにくくなれば、Fluency and Coherence の評価に関わってきます。
問題になるのは、言い直しが多すぎて話の筋が追えなくなるときです。そこで、直すものと流すものを分けておきます。
言い間違いの種類 例 その場での扱い
意味が変わってしまうもの 時制の取り違え、否定の言い落とし 短く言い直す
言い出しの向きを変えたいとき 主語を決めたあとに別の内容を話したくなった 文を最後まで言って、次の文で言い直す
意味は通るもの 三単現の s、冠詞の抜け そのまま先へ進む
言い直すときは、間違えた語だけを差し替えます。文の頭から言い直すと、同じ内容を2回話すことになり、時間も一貫性も失います。
○
I go there every summer, sorry, I went there every summer when I was a student.直したい語から言い直して、そのまま続ける
△
I go there every summer. Sorry. Let me start again. When I was a student, I went there every summer.意味は通るが、同じ内容に時間を使っている
細かい誤りをその場で拾い続けると、話す速さが落ちて、かえって流暢さが下がって聞こえます。意味がはっきり伝わる小さな誤りまで、すべて直そうとしなくて構いません。
05 Part 2 の1分間をどう使うか
Part 2 では、トピックが書かれたカードを受け取り、1分間の準備時間があります。準備のためのメモを取る紙と鉛筆が用意されていて、メモそのものが採点されることはありません。採点の対象になるのは、実際に話したパフォーマンスです。
1分は短いので、文を書こうとすると2行で終わります。書くのは単語だけにして、話す順番がわかる形に並べておきます。
1分の使い方 すること 書き方の目安
最初の15秒 話す対象を1つに決める 人名や場所を1語で書く
次の30秒 カードの箇条書きの項目ごとに材料を出す 項目に1語か2語ずつ添える
最後の15秒 締めに言うことを決める 最後の1行に単語で書いておく
たとえば、印象に残っている旅行について話すトピックなら、メモはこれくらいで足ります。
Kyoto / last spring / with sister why: first trip after exams what: temples, river, cherry blossoms feel: quiet, tired but happy end: want to go again in autumn
単語だけでも、話す順番が決まっていれば2分は持ちます。反対に、文で書いたメモは読み上げる形になりやすく、話し方が平板になります。
話す対象を決めるところで迷うと、残りの時間がすべて消えます。カードに書かれた条件に完全に合う題材でなくても、話を続けられるほうを選ぶとよいでしょう。事実かどうかは採点に関係しないので、カードの指示から大きく外れない範囲であれば、実際の出来事に細部を足して話しても構いません。
話し終えたあと、試験官が同じ話題について1問か2問たずねることがあります。早く話し終えたときにかぎった話ではないので、質問が来たこと自体を悪い合図と受け取らなくて構いません。2分が来たときは話の途中でも止められますが、止められること自体は評価に影響しません。
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06 答えが浮かばないときにどうするか
知らない話題や、経験のない話題が出ることがあります。それでも質問は変わらないので、答えを作って話すことになります。ここで黙り込むと、話し続けられるかどうかを見せる場面がなくなります。
使えるのは次の3つです。
知らないことを一言で認めて、そこから話を作る。That is not something I know much about, but I imagine … のように続ける
身近な人の話に置き換える。自分の経験がなくても、家族や同僚の例なら出せることがある
反対側から答える。好きではない理由や、選ばない理由を話しても、質問には答えられている
考える時間がほしいときは、黙るのではなく、時間を作る一言を置きます。That is an interesting question. や Let me think about that for a second. のような表現で数秒稼げます。ただし、同じ表現を毎回使うと目立つので、2つか3つ用意しておきましょう。
Part 3 では、答えが1文で終わると次の質問がすぐ来ます。理由を1つ述べ、それを説明し、具体例や結果を添える。この順で展開すると、まとまりのある答えになります。文の数を決めておくより、この3つがそろっているかで判断するほうが確実です。抽象的な質問であっても、身のまわりの例を使って説明して構いません。
沈黙を埋めるための Um や Well は、使ったからといって評価が下がるものではありません。かといって、使えば流暢に聞こえるというものでもありません。詰まったまま黙り続けるほうが、話し続ける力を示しにくくなります。
この3つは、本番で思いつくものではありません。練習のときに、答えにくい質問をわざと選んで、どれか1つで切り抜ける形を試しておきましょう。知らない話題に当たったときに慌てなくなります。
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07 よくある質問
スピーキング試験は何分かかりますか。
11分から14分です。Part 1 が4分から5分、Part 2 が3分から4分、Part 3 が4分から5分という内訳で、3つのパートは続けて行われます。あいだに休憩は入りません。
質問が聞き取れなかったら聞き返してもよいですか。
聞き返して構いません。推測で答え始めるより確実です。Sorry, could you repeat that, please? のような一言で足ります。ただし Part 1 の質問は決まった文言で読み上げられるため、繰り返してもらえても、別の言い方に変えてもらえるとは限りません。
言い間違えたら言い直したほうがよいですか。
言い直し自体がただちに減点になるわけではありません。ただ、頻繁になって話の流れが追いにくくなると評価に関わります。意味が変わってしまう誤り(時制の取り違え、否定の言い落とし)は短く言い直し、三単現の s や冠詞の抜けのように意味がはっきり伝わる誤りは、そのまま進めるほうが流れを保てます。
Part 2 のメモは採点されますか。
メモそのものは採点されません。採点の対象になるのは、実際に話したパフォーマンスです。1分では文を書ききれないので、話す順番がわかるように単語だけを並べておくとよいでしょう。
Part 2 で作り話をしてもよいですか。
事実かどうかは採点に関係しません。カードの指示から大きく外れない範囲であれば、実際の出来事に細部を足しても、別の題材に置き換えても構いません。条件に完全に合う題材を探すより、2分間話を続けられるほうを選ぶと安定します。
2分たつ前に話し終えてしまったらどうなりますか。
スピーチのあと、試験官が同じ話題について1問か2問たずねることがあります。早く終わったときにかぎった話ではありません。反対に、2分が来た時点で話の途中でも止められますが、止められること自体は評価に影響しません。
知らない話題を聞かれたときはどうすればよいですか。
知らないことを一言で認めてから、想像で話を作って構いません。身近な人の例に置き換える、好きではない理由から答えるという方法もあります。黙ってしまうと、話し続けられるかどうかを見せる場面がなくなります。
試験官の反応が薄くて不安になります。
質問は台本として決められているため、手元の紙を見ながら読み上げられることがあります。反応の大きさから自分の答えの出来を推し量る必要はありません。本人確認のやり取りも採点の対象ではないので、短く答えて構いません。
08 まとめ
スピーキングは11分から14分。Part 1 は簡潔に、Part 3 は理由と具体例まで展開すると、パートごとの質問に合う
聞き取れなかったら聞き返してよい。ただし Part 1 の質問は言い換えてもらえるとは限らない
言い直しはただちに減点にはならない。意味が変わる誤りだけを、文の頭からではなく直したい語から言い直す
Part 2 で採点されるのは話したパフォーマンスで、メモそのものではない。1分では単語だけを並べ、話す順番を決めておく
答えが浮かばないときは、知らないと認めてから想像で話すか、身近な人の例に置き換える
途中で止められることも、間が空くことも、それ自体は評価に影響しない
試験室での振る舞いは、練習の段階で決めておけるものばかりです。次の練習では、聞き返しの一言と、考える時間を作る一言を、実際に声に出して使ってみましょう。