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スピーキング

tend to や had to はどう読む?音のつながりを意識するだけでスピーキングの流暢さは上がる

執筆:高橋 響 公開日:

tend to を「テンド・トゥー」と2つに区切って読んでいる方は多いです。実際の英語では、この2語はほぼ「テン・トゥ」というひとかたまりの音になり、tend の d は独立した音としては聞こえません。had to も同じで、「ハド・トゥー」ではなく「ハッ・トゥ」に近い音になります。これは発音がうまいか下手かという話ではなく、英語で標準的に起きている音のつながりを知っているかどうかの差です。

スピーキングサミットに参加されている方でも、ここができていない例は意外と多く見かけます。単語ひとつひとつの発音は正確なのに、語と語の境目で毎回音を切ってしまうため、話す速度が上がらず、聞き手には途切れがちな英語として届いてしまいます。この記事では、日本語話者がつまずきやすい音のつながりのパターンを整理し、録音で自分の音を確かめるところまでまとめます。

01音のつながり(リンキング)とは何か

音のつながりとは、語と語の境目で音が結びついたり、変化したり、聞こえなくなったりする現象のことです。英語は文を単語の集まりとしてではなく、ひと続きの音の流れとして発音するため、境目にある音どうしが影響し合います。日本語は語の切れ目で音がはっきり分かれるので、この点が大きく違います。

起きていることは、大きく3種類に分けると整理しやすくなります。

種類起きること
連結子音で終わる語の音が、次の語の母音にくっつくfind out(ファイン・ダウト)
脱落似た子音が並ぶと、前の子音が独立して聞こえなくなるtend to(テン・トゥ)
同化隣の音に引きずられて、音そのものが変わるhad to(ハッ・トゥ)

ここで押さえておきたいのは、これらが「くだけた話し方」ではないという点です。通常の速度で話せば、フォーマルな場面でも同じように起こります。ニュースのアナウンサーもスピーチの話者も、tend to の d をひとつずつ立てて読むことはしません。つまり、つなげるかどうかは丁寧さの問題ではなく、英語の音の仕組みの問題です。

もうひとつ、この知識は聞き取りにもそのまま効きます。had to が「ハッ・トゥ」に聞こえると知らないまま音声を聞くと、そこだけ知らない単語が出てきたように感じます。自分で言えるようになった音は、聞いたときにも見当がつくようになります。

02tend to や had to が言いにくいのはなぜか

tend to が言いにくいのは、tend の語末の d と、to の t が、口の中の同じ場所で作られる音だからです。d も t も、舌の先を上の歯ぐきにつけて息を止め、離すときに出る音です。作る位置が同じなので、d を最後まで出し切ってから t を作り直そうとすると、舌を一度離してまたつけるという余分な動作が入ります。

英語ではこの離す動作をしません。舌を歯ぐきにつけたまま声だけ止め、そのまま t に移ります。結果として d は独立した音としては現れず、「テン・トゥ」に近い、ひとかたまりの音になります。

tend + to テン・トゥ

舌を歯ぐきから離さずに t へ移る。d の音は独立して聞こえない

had to は、これに音の変化が加わります。had の d は有声音ですが、後ろにくる to の t が無声音なので、それに引きずられて無声化します。無声化した d は t とほぼ同じ音なので、聞こえ方は「ハッ・トゥ」に近くなります。

2語をどう読むか

I had to wait.「ハド・トゥー・ウェイト」と3つに区切る読み方

I had to wait.「ハットゥ・ウェイト」。had to でひとかたまり

もうひとつ見落とされやすいのが to そのものの読み方です。この to は文の中で強く読まれる語ではないので、「トゥー」と長く伸ばさず、短い「トゥ」あるいは「タ」に近い音になります。ここを「トゥー」と伸ばすと、そこだけ強い拍ができてしまい、tend to や had to が文の中で不自然に目立ちます。

やることは2つだけです。直前の d や t を言い切らないこと、そして to を短く弱く読むこと。この2つを守るだけで、tend to と had to はかなり自然な音に近づきます。

03「〜 to」の形はセットで音を覚える

to を伴う頻出表現は、単語2語としてではなく、ひとかたまりの音として覚えたほうが早く定着します。どれも同じ原理で音が変わるので、まとめて扱えるからです。

表現区切って読むとつなげて読むと起きていること
tend toテンド・トゥーテン・トゥd を開放せず t へ移る
need toニード・トゥーニー・トゥd を開放せず t へ移る
want toウォント・トゥーウォン・トゥt が1回にまとまる
ought toオート・トゥーオー・トゥt が1回にまとまる
had toハド・トゥーハッ・トゥd が無声化して t に近づく
have toハブ・トゥーハフ・トゥv が無声化して f になる
has toハズ・トゥーハス・トゥz が無声化して s になる
used toユーズド・トゥーユース・トゥ語末が s の音になり t とつながる
supposed toサポーズド・トゥーサポウス・トゥ語末が s の音になり t とつながる

have to と has to は、v や z が f や s に変わる点で特に見落とされやすい表現です。have は単独なら「ハヴ」ですが、have to になると「ハフ・トゥ」です。辞書でも have to は独立した見出しとして扱われていることが多く、2語で1つの助動詞のようなふるまいをします。音の面でも同じで、2語で1つと考えたほうが実態に合っています。

used to と supposed to も同様です。どちらも語末の綴りは d ですが、to が続くときは s の音になります。ここを「ユーズド・トゥー」と読むと、聞き手にはかなり不自然に響きます。

wanna や gonna をどう考えるか

want to をつなげて発音することと、wanna と綴りごと崩すことは別の話です。前者は通常の英語で当たり前に起きることで、後者はよりくだけた話し方に寄ります。試験では want to をつなげた発音ができていれば十分で、無理に wanna や gonna を狙う必要はありません。狙って使うと、かえって口が回らずに崩れることのほうが多いです。

I tend to spend most of my free time outdoors.

I had to change my plan at the last minute.

I used to play the piano when I was a child.

I have to get up early on weekdays.

この4文は、IELTSスピーキングのパート1でそのまま出番のある形です。内容を自分のことに置き換えたうえで、to の直前を言い切らないという1点だけに集中して練習すると、短時間でも変化が出ます。

04子音で終わる語と母音で始まる語はつなげる

子音で終わる語のあとに母音で始まる語が来たら、その子音を次の語の頭に送って読みます。これが連結で、音のつながりの中では最も出番が多いパターンです。

find out(ファイン・ダウト)

a lot of(ア・ロ・トヴ)

kind of(カイン・ドヴ)

most of them(モウス・トヴ・ゼム)

take it easy(テイ・キ・ティーズィ)

an hour ago(ア・ナウ・アゴウ)

in a way(イ・ナ・ウェイ)

共通しているのは、つながる相手が a、an、of、it、in といった短い語だという点です。これらは文の中で強く読まれない語なので、単独で立つことがなく、直前の子音にくっついて1つの音のまとまりになります。逆に言えば、冠詞や前置詞をはっきり発音しようとするほど、英語らしいリズムから離れていきます。

母音と母音が隣り合うとき

語末が母音で、次の語も母音で始まる場合は、あいだに軽い渡り音が入ります。口の形を切り替えるときに自然に生じる音です。

go on(ゴウ・ウォン)唇が丸い音のあとなので w に近い音が入る

I always(アイ・ヤールウェイズ)口が横に開く音のあとなので y に近い音が入る

the end(ジ・イェンド)母音の前なので the は「ジ」になる

ここは意識して足すというより、母音のあいだで声を止めないようにすれば自然に出てきます。止めてしまうと、語と語のあいだに小さな詰まりができて、そこだけリズムが途切れます。

イギリス英語の linking R

イギリス英語では、綴りに r があって単独では発音されない語も、次の語が母音で始まるときには r の音が現れます。far away や better off がその例で、これは正規の連結です。ただし、綴りに r がないところに r を足してしまう癖とは切り分けて考える必要があります。

スピーキング スピーキングで音がこもる原因、それは過剰なR

05音のつながりが流暢さの評価に効く理由

音をつなげられるようになると、話す速度が上がるだけでなく、間の入る位置が意味のまとまりと一致するようになります。これが流暢さの評価に効く一番の理由です。

公開されているスピーキングのBand Descriptors(2026年8月時点)では、Fluency and Coherence で話し続けられるかどうかと間の入り方が、Pronunciation で発音の特徴をどれだけ使いこなせているかが見られます。語ごとに音を切る話し方は、この両方の観点で不利になります。

起きていること

  • 語の境目ごとに小さな間ができるため、内容は同じでも全体の話す速度が落ち、詰まっている印象になります。
  • 聞き手は意味のまとまりの切れ目で区切りが来ることを期待しています。語ごとに切ると、どこまでが1つのまとまりなのかが伝わりにくくなります。
  • 音を毎回作り直すぶん口の動きが増えるため、長く話すと疲れて後半のほうが崩れやすくなります。パート2の2分間で顕著に出ます。

逆に、つなげて話せるようになると、考えるための間を自分で選んだ場所に置けるようになります。同じ長さの間でも、フレーズの途中にあるか、意味の切れ目にあるかで、聞こえ方はかなり変わります。前者は言葉に詰まったように聞こえ、後者は考えながら整理しているように聞こえます。

なお、音のつながりはリズムや強弱とセットで働きます。強く読む語と弱く読む語の区別がついていないと、つなげたところで全体が平板なままになります。あわせて確認しておくとよいでしょう。

スピーキング あなたの発音、音が潰れていませんか?

06つなげているつもりで切れている、に気づく方法

自分の音がつながっているかどうかは、録音して聞き返さないと分かりません。話している最中は、自分が出そうとした音のほうが頭の中で聞こえているため、実際に出た音との差に気づけないからです。

スピーキングサミットに参加されている方でもここができていないことがあるのは、次のような理由が重なっているためです。

  • 単語単位でインプットしてきた期間が長い。単語帳や辞書の音声は1語ずつ切って読まれるので、その音が基準になっている。
  • 文字を見ながら音読している。語と語のあいだの空白が目に見えているので、そこがそのまま音の切れ目になりやすい。
  • 単語ひとつひとつの発音は正確なので、指摘されるまで問題として認識されにくい。

録音でのチェック手順

1
対象のフレーズを含む短い文を録音する

tend to、had to、used to を1つずつ含む文を3つ用意し、続けて録音します。長い文にする必要はありません。

2
d や t が2回聞こえていないか確認する

tend to で「ド」と「トゥ」が別々に聞こえていたら、まだ切れています。to の直前で音が一度止まっているかどうかを聞きます。

3
お手本の音声と並べて聞く

同じ表現が入った音声を探し、自分の録音と交互に再生します。差が分かるまでは、頭の中の基準が変わらないので直りません。

4
差が分かったフレーズだけを繰り返す

文全体をやり直すのではなく、tend to の2語だけを何度も言います。2語が固まってから、文に戻します。

07今日から始める練習手順

一度に全部を扱わず、to を含む表現から始めるのが効率的です。出現頻度が高く、原理も共通しているので、少ない労力で変化が出やすい範囲だからです。

  • 対象を絞る:tend to、had to、used to、have to、want to の5つから始めます。増やすのは、この5つが安定してからで十分です。
  • 音だけを聞いて真似る:最初はスクリプトを見ません。文字を見ると語の切れ目が目に入り、そこで切りたくなります。
  • ゆっくり、つなげたまま言う:速く言おうとしないことが大事です。つながりは速さの結果ではなく口の動かし方の違いなので、ゆっくりでもつながります。
  • 自分の答えに埋め込む:パート1で答えそうな短い文を自分で作り、その中で使います。単体で言えても、文の中で使えなければ試験では出てきません。
  • 録音して確認する:1日1回、同じ3文を録音します。前日の録音と比べると、変化が分かりやすくなります。

速く言おうとしないという点は、特に強調しておきたいところです。速度を上げようとすると、つなげる代わりに音を飛ばしてしまい、聞き手にはかえって不明瞭に届きます。つながった音は、ゆっくり話しても成立します。まずはゆっくり正しくつなげ、その形のまま少しずつ速度を上げるのが順番です。

練習するフレーズは、書き留めておかないと翌日には忘れます。自分が実際に使う表現をためて、繰り返し口に出す形にしておくと続きます。

IELTS学習アプリ チャンク練習 自分が使うフレーズを登録して、ひとかたまりの音として繰り返し練習できます

08よくある質問

tend to を「テンド・トゥー」と発音したら通じませんか?

通じないわけではありません。ただ、語の境目ごとに小さな間ができるため、話す速度が上がらず、聞き手には途切れがちに届きます。Fluency and Coherence と Pronunciation の両方の観点で不利になるので、直しておく価値はあります。

音をつなげるのはカジュアルな話し方ですか?

いいえ、丁寧さとは別の軸の話です。通常の速度で話せばフォーマルな場面でも同じように起こります。ニュースの読み手やスピーチの話者も、tend to の d をひとつずつ立てて読むことはしません。

wanna や gonna は試験で使ってよいですか?

無理に狙う必要はありません。want to をつなげて発音することと、wanna と綴りごと崩すことは別で、試験では前者ができていれば十分です。狙って使うと口が回らずに崩れることのほうが多くなります。

音をつなげると、かえって聞き取りにくくなりませんか?

速く言おうとした場合は、そうなることがあります。つながりは速さの結果ではなく口の動かし方の違いなので、ゆっくりでも成立します。まずはゆっくり正しくつなげ、その形のまま速度を上げるのが順番です。

have to と has to はなぜ「ハフ・トゥ」「ハス・トゥ」になるのですか?

後ろにくる to の t が無声音なので、have の v や has の z がそれに引きずられて無声化し、f や s の音になるためです。had to の d が t に近づくのと同じ仕組みです。

アメリカ英語とイギリス英語でつなげ方は違いますか?

基本の連結、脱落、同化は共通です。違いが出るのは linking R で、イギリス英語では far away や better off のように、綴りに r があって単独では発音されない語が、次の語の母音の前で r の音を現します。

音のつながりを学ぶとリスニングにも効果はありますか?

あります。had to が「ハッ・トゥ」に聞こえると知らないまま音声を聞くと、そこだけ知らない単語が出てきたように感じます。自分で言えるようになった音は、聞いたときにも見当がつくようになります。

自分がつなげて言えているかは、どう確かめればよいですか?

録音して聞き返すのが確実です。話している最中は自分が出そうとした音のほうが頭の中で聞こえるため、実際に出た音との差に気づけません。tend to で「ド」と「トゥ」が別々に聞こえていたら、まだ切れています。

09まとめ

音のつながりは、発音の才能や留学経験ではなく、口の動かし方のルールです。tend to や had to のように出現頻度の高い表現から始めれば、扱う範囲は小さく、効果は文全体に及びます。単語ひとつひとつの発音がすでに正確な方ほど、ここを直したときの変化は大きくなります。

  • to の直前の d や t を言い切らず、舌をつけたまま次の音へ移る
  • to は「トゥー」と伸ばさず、短く弱く読む
  • have to は「ハフ・トゥ」、has to は「ハス・トゥ」、used to は「ユース・トゥ」
  • 子音で終わる語と、a、an、of、it、in などはくっつけて1つのまとまりにする
  • 速く言おうとしない。ゆっくりつなげてから速度を上げる
  • 録音して、d や t が2回聞こえていないかを確認する

まずは tend to、had to、used to、have to、want to の5つだけを、今日の練習で扱ってみてください。5つが固まってから範囲を広げても、遅すぎることはありません。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

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