tend to や had to はどう読む?音のつながりを意識するだけでスピーキングの流暢さは上がる
執筆:高橋 響公開日:
tend to を「テンド・トゥー」と2つに区切って読んでいる方は多いです。実際の英語では、この2語はほぼ「テン・トゥ」というひとかたまりの音になり、tend の d は独立した音としては聞こえません。had to も同じで、「ハド・トゥー」ではなく「ハッ・トゥ」に近い音になります。これは発音がうまいか下手かという話ではなく、英語で標準的に起きている音のつながりを知っているかどうかの差です。
ここで押さえておきたいのは、これらが「くだけた話し方」ではないという点です。通常の速度で話せば、フォーマルな場面でも同じように起こります。ニュースのアナウンサーもスピーチの話者も、tend to の d をひとつずつ立てて読むことはしません。つまり、つなげるかどうかは丁寧さの問題ではなく、英語の音の仕組みの問題です。
もうひとつ、この知識は聞き取りにもそのまま効きます。had to が「ハッ・トゥ」に聞こえると知らないまま音声を聞くと、そこだけ知らない単語が出てきたように感じます。自分で言えるようになった音は、聞いたときにも見当がつくようになります。
02tend to や had to が言いにくいのはなぜか
tend to が言いにくいのは、tend の語末の d と、to の t が、口の中の同じ場所で作られる音だからです。d も t も、舌の先を上の歯ぐきにつけて息を止め、離すときに出る音です。作る位置が同じなので、d を最後まで出し切ってから t を作り直そうとすると、舌を一度離してまたつけるという余分な動作が入ります。
英語ではこの離す動作をしません。舌を歯ぐきにつけたまま声だけ止め、そのまま t に移ります。結果として d は独立した音としては現れず、「テン・トゥ」に近い、ひとかたまりの音になります。
tend + to→テン・トゥ
舌を歯ぐきから離さずに t へ移る。d の音は独立して聞こえない
had to は、これに音の変化が加わります。had の d は有声音ですが、後ろにくる to の t が無声音なので、それに引きずられて無声化します。無声化した d は t とほぼ同じ音なので、聞こえ方は「ハッ・トゥ」に近くなります。
2語をどう読むか
✗
I had to wait.「ハド・トゥー・ウェイト」と3つに区切る読み方
○
I had to wait.「ハットゥ・ウェイト」。had to でひとかたまり
もうひとつ見落とされやすいのが to そのものの読み方です。この to は文の中で強く読まれる語ではないので、「トゥー」と長く伸ばさず、短い「トゥ」あるいは「タ」に近い音になります。ここを「トゥー」と伸ばすと、そこだけ強い拍ができてしまい、tend to や had to が文の中で不自然に目立ちます。
やることは2つだけです。直前の d や t を言い切らないこと、そして to を短く弱く読むこと。この2つを守るだけで、tend to と had to はかなり自然な音に近づきます。
03「〜 to」の形はセットで音を覚える
to を伴う頻出表現は、単語2語としてではなく、ひとかたまりの音として覚えたほうが早く定着します。どれも同じ原理で音が変わるので、まとめて扱えるからです。
表現
区切って読むと
つなげて読むと
起きていること
tend to
テンド・トゥー
テン・トゥ
d を開放せず t へ移る
need to
ニード・トゥー
ニー・トゥ
d を開放せず t へ移る
want to
ウォント・トゥー
ウォン・トゥ
t が1回にまとまる
ought to
オート・トゥー
オー・トゥ
t が1回にまとまる
had to
ハド・トゥー
ハッ・トゥ
d が無声化して t に近づく
have to
ハブ・トゥー
ハフ・トゥ
v が無声化して f になる
has to
ハズ・トゥー
ハス・トゥ
z が無声化して s になる
used to
ユーズド・トゥー
ユース・トゥ
語末が s の音になり t とつながる
supposed to
サポーズド・トゥー
サポウス・トゥ
語末が s の音になり t とつながる
have to と has to は、v や z が f や s に変わる点で特に見落とされやすい表現です。have は単独なら「ハヴ」ですが、have to になると「ハフ・トゥ」です。辞書でも have to は独立した見出しとして扱われていることが多く、2語で1つの助動詞のようなふるまいをします。音の面でも同じで、2語で1つと考えたほうが実態に合っています。
used to と supposed to も同様です。どちらも語末の綴りは d ですが、to が続くときは s の音になります。ここを「ユーズド・トゥー」と読むと、聞き手にはかなり不自然に響きます。
wanna や gonna をどう考えるか
want to をつなげて発音することと、wanna と綴りごと崩すことは別の話です。前者は通常の英語で当たり前に起きることで、後者はよりくだけた話し方に寄ります。試験では want to をつなげた発音ができていれば十分で、無理に wanna や gonna を狙う必要はありません。狙って使うと、かえって口が回らずに崩れることのほうが多いです。