ライティングは60分で2つのタスクを書き切る試験です。タスク1に20分という目安はよく知られていますが、その20分の中で何にどれだけ使うかまで決めている人は多くありません。図を眺めているうちに2〜3分が過ぎ、慌てて書き始めて見直しの時間が残らない、という形になりがちです。
この記事では、20分という目安がどこから来ているのかを確認したうえで、図を読む、書く、見直すの3つに時間をどう割るか、そして時間が足りなくなったときに何を削るかを整理します。タスク2への影響も含めて、配分の考え方を通しで扱います。
目次
20分はどこから来ている数字なのか
20分の中の内訳:3分・14分・3分
最初の3分で図から何を読み取るか
14分で書くときの順番
最後の3分で何を見るか
20分を超えそうなときに何を削るか
よくある質問
まとめ
01 20分はどこから来ている数字なのか
20分は、IELTSが示している目安です。タスク1の設問には You should spend about 20 minutes on this task. と書かれており、ライティング全体60分のうち、タスク1に20分程度、タスク2に40分程度という配分が想定されています。
ここから先、この記事で示す「3分・14分・3分」という内訳は、IELTSが決めたものではありません。プラスワンポイントが、初級のうちはここから始めるとよいと考えている配分です。公式の目安は20分という合計だけで、その中の使い方は決められていません。
ここで押さえておきたいのは、20分を過ぎた瞬間にタスク1が終了するわけではないということです。60分をどう配分するかは受験者に任されているので、タスク1に20分を超えて使うこと自体を止められはしません。ただし、その分タスク2の時間が削られます。基本は20分程度に収める、と考えておくのが安全です。
では、なぜ20分に寄せるほうがよいのか。理由は配点です。IELTSは、ライティングのスコアへの寄与がタスク2はタスク1の2倍になると説明しています。同じ程度の改善が見込めるなら、配点の重いタスク2に時間を使うほうが、ライティング全体への影響は大きくなります。
この比率は、時間の使い方を決めるときの物差しになります。タスク1で書くべき内容を確実に書き終えたら、そこからさらに完成度を上げようとせず、残りをタスク2に回すほうが全体としては効きます。タスク1を素早く淡々と片づける、と言われるのはこのためです。雑に書いてよいという意味ではありません。
語数の条件も違います。タスク1は150語以上、タスク2は250語以上で、タスク1のほうが100語少なくなっています。短い時間で確実に書き終え、残りをタスク2に回す、という考え方で20分程度に寄せることになります。
逆に言えば、20分は守るべき規則ではなく、超えたときに何が起きるかが分かっていれば調整してよい目安です。タスク1を18分で書き上げられるなら、余った2分はタスク2のプランニングに回せます。
02 20分の中の内訳:3分・14分・3分
20分を3つに割ります。図を読むのに3分、書くのに14分、見直しに3分。これをまず標準の型として持っておき、練習を重ねながら自分に合う配分へ動かしていきます。
時間 やること 終わっているべき状態
0分〜3分 図を読む Overviewに書く傾向が2つ決まっている。ボディの区切り方が決まっている
3分〜17分 書く 導入・Overview・ボディが埋まり、150語を超えている
17分〜20分 見直す 数字の取り違えと三単現・複数形の抜けを1周見終えている
最初の3分を惜しまないことがポイントです。図を読まずに書き始めると、ボディを2つ書いたところで「この分け方だと3つ目が要る」と気づき、書いた段落を消すことになります。消した時間は戻ってきません。先に3分使うほうが、結果として短く済みます。
見直しの3分も同じです。ここを削って書く時間に回したくなりますが、タスク1の見直しで拾えるのは数字の取り違えのように内容そのものに関わる誤りなので、後回しにする価値が低い作業です。
3分・14分・3分という配分を勧めているのは、3つのうち削られやすいのが両端の2つだからです。書くことに追われると、下読みと見直しが先に消え、14分の作業が20分に膨らみます。時間を割り当てておくと、この2つが最初から予定に入るので、削るかどうかを意識して決められます。
この配分は、書くスピードによって動かして構いません。手が速い人なら図を読むのに4分使って書くのを13分にできますし、逆に書くのが遅いなら見直しを2分に詰めることになります。決めておきたいのは合計が20分に収まることと、3つとも0分にならないことです。
03 最初の3分で図から何を読み取るか
3分は短いので、見る順番を決めておきます。図を漫然と眺めるのではなく、次の順に確かめます。
順番 見るもの 確かめること
1 横軸 年が並んでいるか、項目が並んでいるか。変化を書くのか比較を書くのかがここで決まる
2 縦軸の単位 %か、人数か、金額か。千単位・百万単位の表記も見る
3 期間と対象 何年から何年までか。何の何を測った図か
4 最大と最小 いちばん高い線・低い線はどれか。順位が入れ替わる箇所はあるか
5 全体の傾向 Overviewに書くことを2つ決める
1番目の横軸がいちばん大事です。年が並んでいれば increase や decline のような変化の動詞を使いますが、国名や年齢層が並んでいる図で同じ動詞を使うと、起きていない変化を述べることになります。ここを取り違えると、そのあと書く文が全部ずれます。
2番目の単位も落としやすい箇所です。縦軸に thousands と書いてあるのに気づかず、78 と書いてしまうと、図と違う数字を述べたことになります。単位は導入かボディのどこかで1度は言葉にしておくと、書きながら意識できます。
5番目まで終わったら、Overviewに書く2つの傾向をメモ欄に日本語で書き留めておきます。書きながら考え直さずに済むので、そのぶん手が止まりません。
ライティング・タスク1
ライティング・タスク1は時系列かスナップショットか:横軸で見分けて動詞を選ぶ
04 14分で書くときの順番
書く順番は、レポートに並ぶ順番と同じで構いません。導入、Overview、ボディ1、ボディ2の順に上から埋めます。
Overviewを最後に回す書き方もあり、それ自体が評価に響くわけではありません。ただ、時間管理の観点では早めに書いておくほうが安全です。書き終わらなかったときに落ちるのが最後の段落なので、導入の直後に置いておけば、仮にボディ2が途中で終わっても全体の傾向は伝わります。
14分の中の目安はこうなります。
ブロック 目安 やること
導入 1分 設問文の言い換え1文。ここで悩まない
Overview 2分 下読みでメモした2つを英語にするだけ
ボディ1 5分 数値を選びながら書く
ボディ2 5分 同上
調整 1分 どこかが押したときの余白
ボディにいちばん時間がかかるのは、書くこと自体ではなく、どの数字を挙げるかを選ぶ作業だからです。ここを速くしたいなら、下読みの段階で使う数字に印を付けておくとよいでしょう。
語数は150語以上ですが、ぎりぎりを狙わずに170語から190語を目安にすると安全です。150語ちょうどを狙うと、情報量が足りなくなったり、語数を気にしながら書くことになったりします。170語から190語なら、150語を確実に超えながら、不要に長くなることも避けられます。
本番で語数を確認する手間は、受験方式によって違います。コンピューター版は画面に語数が表示されるので、書き終えた時点の数字を見て、足りなければ1文足すという判断がその場でできます。ペーパー版にはその表示がありません。
どちらの方式でも効くのは、ふだんの練習を本番と同じ20分で行い、書き終えた語数と所要時間を毎回記録しておくことです。自分が20分で何語書けるかが分かっていれば、本番で数えるかどうかに関係なく見通しが立ちます。
ライティング・タスク1
アカデミック・タスク1の構成:ボディをどこで分けるかの判断基準
05 最後の3分で何を見るか
3分で全部は見られないので、見る対象を絞ります。タスク1で優先度が高いのは、内容そのものが変わってしまう誤りです。
優先 見るもの なぜ先に見るか
1 数字と前置詞(by・to) 差と到達点を取り違えると、図にない内容を述べたことになる
2 三単現のsと名詞の複数形 頻度が高く、見つければその場で直せる
3 時制 過去の図に現在形が混ざっていないか
4 スペリング 気づいたものだけ。探しには行かない
1番目を先に置いているのは、ここが図の内容そのものを取り違えやすい箇所だからです。by 780,000 と to 780,000 では述べていることが変わるので、文法として正しく書けていても、図の情報を正確に伝えられていないことになり、Task Achievementに影響します。文を読み返すというより、数字だけを目で追って、その数字が差なのか到達点なのかを確かめる形になります。
逆に、表現を良くするための書き換えはこの3分でやらないほうがよいでしょう。1文を書き換え始めると前後のつながりも直すことになり、3分では終わりません。表現の改善は練習でやる作業で、本番の見直しは誤りを拾う作業です。
06 20分を超えそうなときに何を削るか
時間が押したときに削る順番も決めておきます。削ってよいものと、削ると内容が崩れるものがあります。
先に削ってよいもの
ボディの数値:1段落に4つ挙げるつもりだったところを2つに減らす。傾向を裏づける役割は2つでも果たせます
ボディ2の細かい説明:主要な比較だけを書いて締める
言い換えの工夫:increase を別の語に置き換えようとして止まるくらいなら、同じ語を使って先へ進む
削ると崩れるもの
Overview:全体の傾向が無いレポートになります。導入の直後に書いておけば、この事態は起きません
150語:最低語数を満たすことは前提です。下回るとTask Achievementの観点で不利になります
数字の確認:内容の誤りなので、見直しを丸ごと捨てるのは最後の手段です
そのうえで、1、2分の超過を恐れるより、タスク2に十分な時間を残すことを優先しましょう。22分で書き上げてタスク2に38分残るなら、その形でも成立します。避けたいのは、タスク1に25分も30分も使ってタスク2の時間を削ることです。配点が重いほうを削っているので、全体のスコアには効いてきます。
練習のときは時間を計り、20分でどこまで書けるかを毎回見ておきましょう。何分で図が読めて、何分で書き終わるかが分かっていれば、本番で時計を見ながら調整できます。
IELTS学習アプリ
ライティングタスク1模試
本番形式の図で、20分を計って書く練習ができます。
07 よくある質問
タスク1の20分は超えてはいけないのですか
20分はIELTSが示している目安です。設問にも about 20 minutes と書かれています。20分を過ぎた瞬間にタスク1が終了するわけではなく、60分の配分は受験者に任されています。ただし超えた分だけタスク2の時間が減ります。タスク2はスコアへの寄与がタスク1の2倍なので、基本は20分程度に収めると考えておくのが安全です。
図を読む時間はどれくらい取ればよいですか
3分程度が目安です。横軸、縦軸の単位、期間と対象、最大と最小、全体の傾向という順に見て、Overviewに書く2つの傾向を決めたところで終わりにします。読まずに書き始めると、ボディを書いたあとで分け方を変えることになり、かえって時間を失います。
Overviewは最後に書いてもよいですか
評価としてはどちらでも変わりませんが、時間の面では導入の直後に置くほうが安全です。最後に回すと、書き終わらなかったときに全体の傾向が欠けたレポートになります。導入の直後に書いておけば、ボディ2が途中で終わっても傾向は伝わります。
見直しの3分では何を優先して見ますか
数字と、その前に置いた by・to から見ます。差と到達点を取り違えると、図に書かれていない内容を述べたことになるためです。そのあとに三単現のsと名詞の複数形、時制の順で見ます。スペリングは気づいたものだけにして、探しには行きません。
時間が足りないとき、最初に削るのはどこですか
ボディで挙げる数値を減らします。1段落に4つ挙げるつもりだったところを2つにしても、傾向を裏づける役割は果たせます。逆に、Overviewと150語と数字の確認は削ると内容が崩れるので、最後まで残します。
語数は150語ちょうどでよいですか
条件は満たしていますが、150語ちょうどを狙うと情報量が足りなくなったり、語数を気にしながら書くことになったりします。170語から190語を目安にすると、150語を確実に超えながら長くなりすぎることも避けられます。ふだんの練習を20分で行い、書けた語数を毎回記録しておくと見通しが立ちます。
タスク1とタスク2はどちらから始めるべきですか
順番そのものに決まりはありません。この記事はタスク1を先に書く場合を想定して配分を組んでいますが、タスク2から始める場合でも、タスク1に20分程度、タスク2に40分程度という基本の配分はそのまま目安にできます。両方の長所と短所は別記事で整理しています。
見直しで表現を良くする書き換えはしないほうがよいですか
3分の見直しではやらないほうがよいでしょう。1文を書き換え始めると前後のつながりも直すことになり、3分では終わりません。本番の見直しは誤りを拾う作業と割り切り、表現の改善は練習のときに行います。