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ライティング・タスク2

タスク深掘りシリーズ:年齢で応募者を断れない法律は良い変化か?positive or negativeの答え方と各国の法制度【第10回】

執筆:高橋 響 公開日:

以前は、求人票に「35歳まで」などと年齢制限を設けることは珍しくありませんでした。しかし、現在では日本でも、募集・採用の際に年齢を理由として応募者を制限することは、原則として法律で禁じられています。

IELTSライティング・タスク2では、こうした変化について「positive or negative development」の観点から評価する問題が出題されることがあります。

このシリーズでこの問題タイプを扱うのは、今回が初めてです。第10回では、採用選考で年齢を理由に応募を断ることを違法とした国について、その変化が良いものなのか、それとも悪いものなのかを考えます。特に、「応募の段階」に話が限定されていることをどう読み取るか、賛成・反対それぞれのアイデアをどう掘り下げるかを確認します。さらに、日本・アメリカ・イギリスの法制度や、年齢と雇用を論じる際に使える語彙もあわせて取り上げます。

01このタスクでは何が問われているのか

採用選考での年齢制限を正面から扱ったタスクを1問見てみます。

In some countries, it is illegal for employers to reject job applications on the basis of age criteria. Is it a positive or negative development?

共通の読み方の手順は、シリーズの総論で扱っています。ここでは、このタスクで実際に起きる読み違いから見ていきます。

タスク深掘りシリーズ タスク深掘りシリーズ:アイデア・実例・語彙・モデルアンサーまで1問ずつ徹底解説【総論】

1-1 「年齢で差別するのは良くない」を論じてしまう

論じる中身=年齢による差別は良いことか、悪いことか差別は良くないという結論にしかならず、negative 側が書けなくなる

論じる中身=年齢を理由に応募を断ることを違法にした、という変化法律で禁じるという手段の是非を論じる

年齢だけで人を判断するのは望ましくない、という点は賛成側も反対側も認めます。争点はそこではなく、それを法律で禁じるという手段が良い変化かどうかです。差別の是非を論じると、両側を書く余地が消えてしまいます。

望ましくないことを法律で禁じれば必ず良い結果になる、とは限りません。禁じ方によっては、抜け道ができたり、別のところに影響が出たりします。手段としてどうかという問いに置き換えると、negative 側の材料が出てきます。

1-2 応募の段階に限られていることを見落とす

定年退職や、年齢を理由とした解雇まで含めて論じるタスクが述べているのは reject job applications。採用選考の段階の話

応募を断ることに絞ったうえで、他の年齢の線引きとの関係に1文触れる対象から外れずに、議論の幅を出せる

reject job applications は、採用するかどうかを決める入口の場面を指しています。定年制も、年齢を理由とした解雇も、この設問が直接たずねているものではありません。

この2つは実際に切り離せます。02で見るとおり、日本は採用選考での年齢制限を禁じている一方で、定年制は認めています。入口を禁じることと、出口に年齢の線を引くことは、別々に決められる仕組みです。だからこそ、この設問は入口だけを取り出してたずねられます。定年制の話は、整合性を問う材料として1文添える程度にとどめると、対象から外れません。

タスクを3つの要素に分ける

要素このタスクでの中身
前提として与えられている事実年齢を理由に応募を断ることを違法としている国が、実際にある
論じる対象そのように法律で禁じたという変化
問われていることその変化が positive か negative か

前提の欄が埋まると、書かなくてよいことが決まります。そんな法律は現実には作れない、という反論は成り立ちません。In some countries と書いてあるとおり、すでに存在する制度だからです。

問われていることの欄には positive か negative かが入ります。両方の面を挙げたうえで、どちらだと考えるのかを示す必要があります。この問題タイプの答え方は、次の記事にまとめてあります。

ライティング・タスク2 問題タイプ別の答え方:Positive or negative development【各論⑤】

02各国が採用の年齢制限をどう扱っているか

このタスクの In some countries には、日本も入ります。日本の求人に年齢の上限を書けないことを知らないまま書くと、実例を1件取り逃がします。

日本にもこの法律がある

日本では2007年10月から、労働者の募集と採用にあたって年齢制限を設けることが原則としてできなくなりました。当時の雇用対策法の改正によるもので、現在は労働施策総合推進法の第9条にあたります。厚生労働省の事業主向けの資料は、この禁止がハローワークの求人だけでなく、民間の職業紹介、求人広告、自社のホームページを通じた募集にも広く適用されると説明しています。

ただし、例外が6つ定められています。雇用対策法施行規則の第1条の3第1項にあるもので、定年年齢を上限として期間の定めのない契約で募集する場合、他の法令が年齢制限を定めている場合、長期勤続によるキャリア形成のために若年者を期間の定めのない契約で募集する場合などが含まれます。禁止と例外がセットになっている点は、04で反対側の材料として使えます。

アメリカとイギリスでは、対象の年齢が違う

根拠となる法律守られる範囲
アメリカ雇用における年齢差別禁止法(ADEA、1967年)40歳以上。従業員20人以上の事業主などが対象
イギリス平等法(Equality Act 2010)年齢を保護される属性の1つとしていて、年齢の上下を問わない
日本労働施策総合推進法 第9条(2007年10月に義務化)募集と採用について、年齢を問わない。例外が6つある

アメリカが40歳以上を連邦法上の保護対象としているのに対し、日本の募集・採用における年齢制限の禁止は、原則として年齢の上下を問わずに適用されます。若すぎることを理由に断ることも対象に入ります。イギリスでも、年齢は保護される属性の1つとして扱われています。回答でどの国を引くかによって、書ける内容が変わります。

日本の感覚とのずれ

ここがこのテーマでいちばん興味深いところです。日本は採用の入口で年齢を理由に断ることを禁じている一方、定年制は認めています。高年齢者雇用安定法は定年を60歳以上とするよう定め、65歳までの雇用確保措置を義務、70歳までの就業確保措置を努力義務としています(後者は2021年4月から)。

アメリカでは、40歳以上の人に対する年齢差別が、採用だけでなく解雇などについても原則として禁止されています。採用後の扱いまで含めて年齢差別を規制している点が、日本との大きな違いです。イギリスでも、65歳での一律の定年(default retirement age)は2011年の規則によって廃止されました。一定の条件を満たせば年齢による異なる扱いが正当化される場合もありますが、年齢で一律に線を引くことは前提ではなくなっています。

つまり、年齢の線をどこに引くかが国によって違います。日本は採用時の年齢制限を原則として禁止する一方、一定の条件のもとで定年制を認めています。これに対してアメリカやイギリスでは、採用後の年齢による扱いについても広く規制する方向が取られています。この対比は04で使えます。

03positive と判断する側のアイデアと、その掘り下げ方

まず自分で書き出してから、以下を読むことをおすすめします。先に完成品を読むと、そこに書いてあった議論しか浮かばなくなります。

3-1 年齢ではなく、能力と適性で選ぶことになる

いちばん多い論点です。同じ年齢でも、経験も体力も技能も人によって違います。年齢で一律に切ると、その仕事ができる人まで応募の段階で落とすことになります。

さらに考えたいのは、年齢を条件にできなくなったとき、事業主は何を採用基準として示すのかという点です。厚生労働省の資料は、募集にあたって職務の遂行に必要な適性、能力、経験、技能の程度を、できる限り明示するよう求めています。年齢という手軽な条件が使えなくなることで、求める人材の条件を言葉にする必要が出てくる、というところまで書けると、段落が具体的になります。

3-2 働ける人の数を増やせる

人口の面からの論点です。働く世代が減っていく国では、意欲と能力のある人が年齢だけで排除される状態は、社会全体にとって損失になります。

ここでは、他の制度と組み合わせて考えられます。日本は入口の年齢制限を禁じると同時に、65歳までの雇用確保を事業主の義務としています。入口を開けることと、いま働いている人が働き続けられるようにすることは、どちらも就労の機会を広げる方向の政策です。制度どうしのつながりまで書くと、単なる労働力の話から一歩出ます。

3-3 年齢だけで応募の機会を失わなくなる

見落とされやすい論点です。年齢で断ることが違法になると、年齢だけを理由に応募を門前払いすることが難しくなり、応募者の能力や経験を見て選考する必要が生じます。

重要なのは、選考が公平になると書いて終わらないことです。応募者の側から見て何が変わるのかまで書きます。年齢で足切りされていた時代には、その仕事ができる人でも、応募すること自体ができませんでした。少なくとも、年齢だけを理由に応募の機会そのものを失うことは避けられます。選考に進めるかどうかと、実際に採用されるかどうかは別ですが、応募を受け付けてもらえること自体がその人にとっての違いになります。

04negative と判断する側のアイデアと、その掘り下げ方

4-1 禁止しても、実質的な年齢での選別は残りやすい

反対側の中心になる論点です。求人票から年齢の欄を消しても、履歴書には卒業年や職歴が並びます。書類選考の段階で年齢を推定して落とすことは、外からは見えません。

この指摘は、規制する側自身が認めています。厚生労働省の資料は、「年齢不問」としながら書類選考で実質的に年齢制限をしているケースが見受けられる、と書いています。法律だけでは実質的な年齢での選別を完全にはなくせない、という主張は、推測ではなく行政の資料に基づいて書けます。ここまで示せると、反対側の議論としてかなり強くなります。

そのうえで、それが法律を作らない理由になるのかまで踏み込むと、さらに良い段落になります。完全には守らせられないことと、法律に意味がないことは別だからです。

4-2 長期の育成を前提とした採用と噛み合わない

制度の設計から出てくる論点です。若い人を採用して長い時間をかけて育てる仕組みを持つ会社にとって、年齢を条件にできないことは採用計画そのものに関わります。

ここで、日本の例外規定がそのまま材料になります。02で見た例外の中には、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から若年者を期間の定めのない契約で募集する場合、というものが含まれています。実際の制度にこうした例外が設けられていることは、年齢による一律の制限を禁じても、職種や採用の目的によっては年齢を考慮する必要が残ることを示しています。原則を立てても例外が必要になるなら、その原則はどこまで有効なのか、という問いにつなげられます。

4-3 他の年齢の線引きと整合しない

制度全体の筋の通り方についての論点です。入口では年齢を理由に断ることを禁じながら、出口では年齢で退職させることを認めているなら、何を守ろうとしているのかが分かりにくくなります。

02で見た国ごとの違いを、ここで使えます。アメリカやイギリスでは、採用後の雇用関係についても年齢差別を広く規制する仕組みが設けられています。日本は入口を禁じつつ定年を認めていて、しかも定年年齢を上限とした募集は例外として許されています。どちらの設計が筋が通っているかは、回答の中で論じる価値のある論点です。ただし、01で見たとおり設問がたずねているのは入口の話なので、この対比は自分の判断を補強する材料として1つの段落に収めておきましょう。

自分の意見をどう決めるか

一方の面を100%支持する必要はありません。この設問では、原則としては positive だが、例外を認めないと機能しない、という立場が取りやすくなります。02と04で見たとおり、実際の制度がその形になっているからです。

ただし、最終的にどちらの評価がより強いのかは、導入と結論ではっきり示す必要があります。両方の面を同じ重さで並べたまま終わると、この問題タイプで求められている判断が読み取れない回答になります。

05回答に入れられる実例はどれか

深掘りの段階では、2件から3件ほど用意しておけば十分です。回答への入れ方、たとえば主張のあとに1文か2文で添えることや、数字は原則として1つに絞ることは、シリーズの総論にまとめています。

事例何をしたか報告されていること
日本(2007年〜) 採用時の年齢制限を原則として禁止した例。募集と採用について年齢を問わないことを求めている。現在は労働施策総合推進法第9条 例外が6つ定められている(雇用対策法施行規則第1条の3第1項)。厚生労働省自身が、年齢不問としながら書類選考で実質的に制限している例があると指摘している(厚生労働省・都道府県労働局の事業主向け資料)
アメリカ(1967年〜) 採用・解雇など、雇用の幅広い場面を規制した例。ADEAが40歳以上への年齢差別を、採用だけでなく解雇などについても原則として禁じている 対象は40歳以上で、従業員20人以上の事業主などに適用される。採用、解雇、昇進、研修といった場面が広く含まれる(EEOC)
イギリス(2011年) 一律の定年年齢を廃止した例。平等法(2010年)が年齢を保護される属性として扱い、雇用における年齢差別を規制している。65歳での一律の定年は、2011年の別の規則によって廃止された 職務上の体力が必要な場合や、法律が年齢の上限を定めている職種など、一定の条件を満たす場合には、年齢による異なる扱いが正当化されることがある(英国政府の案内)

いちばん使いでがあるのは日本の1件です。法律があることは positive 側の裏づけになり、例外が6つあることと行政自身が形骸化を認めていることは negative 側の裏づけになります。1件で両側を支えられる実例は多くありません。

アメリカとイギリスは、04の「他の年齢の線引きとの整合」を書くときに使います。入口だけを禁じるのか、出口も含めて揃えるのか、という対比の材料です。逆に、入口の話だけで組み立てる回答では、この2件は無理に入れなくてかまいません。

このタスクでの入れ方

In Japan, age limits in recruitment were banned in October 2007 under the Employment Countermeasures Act, now Article 9 of the Labour Measures Comprehensive Promotion Act, with six exceptions set out in Article 1-3 of the enforcement regulations.法令名と条文番号が並び、回答ではなく法律の解説になっている

Japan banned age limits in job advertisements in 2007, yet the government itself admits that some employers still screen out older applicants at the document stage.主張のあとに1文。年号は1つで、法令名は出していない

IELTSの回答では、出典を詳しく示す必要はありません。法令の名前や条文の番号を正確に書く必要もなく、どの国で、いつ、何が変わったのかが分かれば具体例として十分です。

06中級と上級で押さえたい語彙とコロケーション

このテーマでは、differentiate との混同が起きやすい discriminate と、採用の場面を指す名詞の使い分けが要ります。どちらも前置詞と数え方で誤りが出ます。

中級:バンド6を目指す段階

表現意味と使いどころ
discriminate against someone人を差別する。against が要る。Cambridge も She felt she had been discriminated against because of her age. を用例に挙げている
on the grounds of age / on the basis of age年齢を理由として。設問で使われているのは後者
apply for a job / a job applicant仕事に応募する、応募者。apply は for をとる。applicant は可算
reject an application / turn down an applicant応募を断る。設問で使われている動詞
set an age limit年齢の上限を設ける。この政策を指すときの中心になる言い方
hire / employ someone人を雇う。employ のほうがやや硬い
skills and experience技能と経験。年齢に代わる判断材料を挙げるときに使う

上級:バンド7以上を目指す段階

表現意味と使いどころ
age discrimination in the workplace職場での年齢差別。テーマそのものを指す言い方
a protected characteristic法律で差別が禁じられている属性。イギリスの平等法の用語
the recruitment process採用の過程。recruitment は不可算
screen out applicants応募者をふるい落とす。書類選考での実質的な排除を書くときに使える
mandatory retirement / a retirement age定年退職の強制、定年年齢。入口と出口を書き分けるときに要る
an ageing society / the shrinking workforce高齢化社会、縮小する労働力。workforce は集合として扱う名詞で、通常は単数形で使う
objective justification客観的な正当化。例外を認める条件を述べるときの言い方
enforce a law / a loophole in the law法律を執行する、法律の抜け道。形骸化を論じる段落で使える
be judged on merit能力本位で判断される。positive 側の結論に使いやすい

よくある誤り

Some employers still discriminate older applicants.この意味の discriminate は自動詞なので、against が要る

Some employers still discriminate against older applicants.

Many people applied the position without stating their age.仕事に応募する意味の apply は for をとる

Many people applied for the position without stating their age.

The company has reduced their workforces in recent years.workforce はふつう単数で使う

The company has reduced its workforce in recent years.

The government introduced a new recruitment law to stop age discriminations.この意味の discrimination は不可算

The government introduced a new recruitment law to stop age discrimination.

discriminate と distinguish の使い分け

discriminate には、このテーマで押さえておきたい2つの意味があります。人を不利に扱うという意味では against をともなう自動詞で、この設問で使うのはこちらです。もう1つは、2つのものの違いが分かるという意味で、こちらは between をともないます。Police dogs can discriminate between different smells. のような文です。

後者の意味では distinguish も使えますが、distinguish は他動詞としても使えるので、distinguish A from B の形が取れます。差別の話をしているときに distinguish を使うと意味が変わってしまうので、回答では分けて使いましょう。

年齢層そのものを表す語(the elderly、older people、the young など)は、選び方で印象が変わります。次の記事にまとめてあります。

ライティング・タスク2 年齢に関する表現:若者・高齢者・世代を表す語彙と the+形容詞の使い方

ここに並べた表現をすべて暗記する必要はありません。自分が使いやすいものを数個選び、実際の回答で使えるようにしておきましょう。

IELTS学習アプリ コロケーション検索 discriminate や recruitment のような語を入力すると、その語と自然に組み合わさる表現を確認できます

07モデルアンサーはどう作るか

モデルアンサーは、自分の材料で1本書いたあとに比較対象として用意すると学習になります。だからこの記事には載せていません。作る手順はどの回でも同じなので、5つのステップとモデルアンサーの使い方は、シリーズの総論で解説しています。

実際に書いたあと、次の3点を確かめてみましょう。

  • 法律の是非を論じているか:年齢による差別が良くないという話で終わらず、それを法律で禁じる手段について書けているか
  • 入口の話にとどまっているか:定年や解雇に話が移っている段落がないか。触れる場合も、対比として1か所に収まっているか
  • 判断を示しているか:positive または negative と考える理由が十分に書けていて、その判断が導入と結論から明確に読み取れるか

同じ構造のタスクで練習したい場合は、収録タスクから雇用や法規制を扱ったものを探せます。ある行為を法律で禁じることの是非を問うタスクは、広告、喫煙、労働時間のテーマでも出ます。

IELTS学習アプリ タスク検索 ライティング・タスク2の収録タスクを、テーマや問題タイプから絞り込んで探せます

08よくある質問

年齢差別は良くないという結論しか書けません。どうすればよいですか。

論じる対象を取り違えている可能性があります。この設問がたずねているのは、差別の是非ではなく、それを法律で禁じるという手段が良い変化かどうかです。望ましくないことを禁止しても、抜け道ができたり例外が必要になったりします。手段としてどうかという問いに置き換えると、反対側の材料が出てきます。

定年制について書いてもよいですか。

1か所なら書けます。この設問がたずねているのは応募を断ることなので、定年を主題にすると対象からずれます。入口では年齢制限を禁じながら出口では年齢で退職させる、という整合性の問題として、自分の判断を補強する材料に使いましょう。

日本にもこの法律があるのですか。

あります。2007年10月から、募集と採用にあたって年齢制限を設けることが原則としてできなくなりました。当時の雇用対策法の改正によるもので、現在は労働施策総合推進法の第9条にあたります。ただし、定年年齢を上限とする場合など、6つの例外が定められています。

法律があっても守られていないなら、negative と書いてよいですか。

書けますが、そこで止めないほうが議論は深くなります。完全には守らせられないことと、法律に意味がないことは別だからです。実質的な選別が残ることを認めたうえで、それでも応募を受け付けさせること自体に意味があるのか、というところまで進めておきましょう。

positive と negative のどちらかに決めないといけませんか。

一方の面を100%支持する必要はありませんが、最終的にどちらの評価がより強いのかは明確に示す必要があります。原則としては positive だが例外を認めないと機能しない、という立場も取れます。両方の面を同じ重さで並べたまま終わると、求められている判断が読み取れない回答になります。

法律の名前や条文の番号は書いたほうがよいですか。

書く必要はありません。法令名と条番号まで書き込むと、回答ではなく法律の解説のようになります。どの国で、いつ、何が変わったのかが分かれば、具体例として十分です。

discriminate に against はいつも必要ですか。

人を不利に扱うという意味のときは必要です。この意味では自動詞なので、discriminate against older applicants のように against をともないます。2つのものの違いが分かるという別の意味もあり、そちらは between をともないます。

年齢や雇用のテーマが本番で出なかったら、この準備は無駄になりますか。

無駄にはなりません。ある行為を法律で禁じることの是非という論じ方は、広告、喫煙、労働時間を扱うタスクでもそのまま使えます。何を禁じたいのか、禁止によって何が起きるのか、例外は要るのか、という3つの問いは、対象が変わっても同じように立てられます。

09まとめ

このタスクで最初に決めたいのは、論じるのが差別そのものではなく、それを法律で禁じるという手段だという点です。そこを押さえたら、応募の段階に話をとどめたまま両側を書き、最後に positive と negative のどちらだと考えるのかを示します。

  • 望ましくない行為の是非ではなく、それを禁じる手段の是非として論じる
  • 設問が指している場面(入口か、出口か)を確かめ、そこから離れない
  • 原則と例外がセットになっている制度は、例外の側が反対意見の材料になる

シリーズの共通の進め方は、総論の記事から確認できます。

タスク深掘りシリーズ タスク深掘りシリーズ:アイデア・実例・語彙・モデルアンサーまで1問ずつ徹底解説【総論】
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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