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IELTS総合対策

ブランクのあとにIELTS学習を再開する:どこから戻すかを決める4つの手順

執筆:高橋 響 公開日:

一度IELTSの対策をしていたけれど、仕事や育児が立て込んで半年、あるいは数年離れてしまった。もう一度やろうと決めたときに最初につまずくのが、どこから戻ればいいのか分からないという点です。

この記事では、ブランクのあとに再開する方が、最初の1週間で何をするかを整理しました。前の教材の続きから始めてよいのか、前のスコアはまだ使えるのか、そして落ちている技能から戻すのか残っている技能から戻すのかという判断を扱います。

01再開してすぐ教材を開かないほうがよい理由

再開するとき、多くの方が前に使っていた教材の続きから始めます。区切りがはっきりしていて始めやすいためです。ただしこのやり方には問題が1つあります。ブランクのあいだに、技能ごとの力がばらばらに変化しているという点です。

離れる前は4技能がある程度そろっていたとしても、戻ってきたときには同じ状態ではありません。仕事で英語のメールを読んでいた方はリーディングがそれほど落ちていない一方で、声に出して英語を使う機会がなければスピーキングは影響を受けやすくなります。前の続きから始めると、この変化を見ないまま、離れる前の自分に向けた計画をなぞることになります。

最初にやることは、いまの位置を測り直すことです。順番としては次のようになります。

ステップすること確かめること
1リスニングとリーディングを1セットずつ時間を計って解く正答数が離れる前と比べてどう変わったか
2タスク2を1本、40分で書く時間内に書き切れるか。字数が足りるか
3Part 2のトピックを1つ選んで2分話す2分持つか。言葉が出てくるまでの間がどれくらいか
44つの結果を並べて、落ち方の差を見るどの技能がいちばん落ちているか

スピーキングは正式なスコアを測るためではなく、2分話し続けられるか、言葉が出てくるまでにどれくらいかかるかを確かめるために行います。解答と振り返りまで含めて、使う時間は合わせて3時間ほどです。再開して最初の週にこれをやっておくと、そのあとの数か月の使い方が変わります。逆にここを飛ばすと、いちばん落ちている技能を後回しにしたまま進めてしまうことがあります。

02ブランクで落ちる技能と、残っている技能は違う

4つの技能は同じようには落ちません。戻すのにかかる時間も違います。測り直した結果を読むときは、この差を前提にすると判断しやすくなります。

技能ブランク後に起きやすいこと戻し方
リーディング語彙が思い出せず、読む速度が落ちる。読み方そのものは残っていることが多い時間を計って解く回数を戻すと、試験形式への感覚を取り戻しやすい
リスニング集中が続く長さが短くなる。設問の先読みの手順を忘れている手順を思い出すところから。1セット通す練習を戻す
ライティング40分で書き切れなくなる。構成は覚えていても手が止まる時間を計って書く回数が要る。指摘をもらわないと同じ形で止まりやすい
スピーキングブランクの影響を実感しやすい。声に出して英語を使う機会が減ると、言葉が出てくるまでの間が長くなる声に出す回数が要る。読むだけの練習では戻らない

リスニングとリーディングは、正答数で進み具合を自分で確かめられます。そのため戻ってきたことが分かりやすく、再開直後の手応えにもなります。

一方でライティングとスピーキングは、自分の答案や回答を客観的に評価するのが難しい技能です。書けるようになった気がしても、採点基準のどこで止まっているかは自分では見えません。ブランクのあとに「前は6.5だったのに6.0から上がらない」という状態になりやすいのは、この2つです。

関連記事 IELTSを5.0から6.0に上げるには:技能ごとの伸ばし方と後回しにしてよいこと

03前のスコアがまだ使えるかを確かめる

IELTSのスコアは、一般に受験日から2年間が有効期間の目安とされています。起算の基準になるのは結果発表の日でも証明書が届いた日でもなく、試験日です。ただし何年前までのスコアを受け入れるかは提出先によって異なるため、出願先の最新の要件も確かめておきましょう。再開する時点で前のスコアが使えるかどうかで、この先の計画が変わります。

期限が切れたスコアを延長したり、もう一度有効にしたりする制度はありません。したがって確認する順番は次のようになります。

  • まだ有効な場合:足りない技能だけを見ればよいので、目標までの差が小さくなります
  • 期限が近い場合:提出先の締め切りに間に合うかを先に確かめます
  • 目安の2年を過ぎている場合:提出先が古いスコアを認めなければ、4技能をあらためて受験することになります。落ちている技能だけでなく、残っている技能も維持する必要があります

3つ目のときに見落としやすいのが、残っている技能の維持です。4技能を受け直すことになれば、前に7.0だった技能もあらためて出し直すことになります。落ちている技能だけに時間を使っていると、そちらを上げているあいだに得意だった技能が下がるということが起こります。

3-1 1技能だけの再受験は、ブランクのあとには使えない

4技能のうち1技能だけを受け直せるOne Skill Retakeという制度があります。前のスコアがまだ有効で、足りないのが1技能だけという状況なら使えそうに見えます。

ただしこの制度には、本試験の受験日から60日以内という期限があります。ブランクが半年や数年ある方は、この期限をすでに過ぎています。前のスコアが目安の2年以内に収まっていても、60日という別の期限で対象から外れます。

したがって再開する方の場合、前のスコアをそのまま提出できないのであれば、足りないのが1技能だけであっても4技能をあらためて受験することになります。ここを見落とすと、残っている技能の練習を計画に入れ忘れます。

関連記事 IELTS One Skill Retake(1技能のみの再受験)とは?対象者と申込方法:スコアが下がった場合の扱いも解説

3-2 提出先の要件は、離れているあいだに変わっていることがある

前のスコアが有効かどうかと同じくらい確かめておきたいのが、提出先の要件です。必要スコアや技能別の下限は年ごとに見直されることがあり、離れる前に見た数字がそのままとはかぎりません。

目標を再開時に設定し直すとき、募集要項の最新版を一度開いておきましょう。オーバーオールは同じでも技能別の下限が加わっていれば、伸ばす順番が変わります。

関連記事 IELTSスコアの有効期限は何年?証明書の使い方と再発行:紛失時の対応まで2026年最新情報

04再開のときにやりがちな3つのこと

ブランクからの再開でつまずくところは、だいたい決まっています。どれも真面目に取り組もうとした結果として起きるので、あらかじめ知っておくと避けやすくなります。

4-1 前と同じ目標スコアと期限を、そのまま置き直す

離れる前に「半年で7.0」という計画を立てていた方が、再開するときにも同じ数字と同じ期間をそのまま使うことがあります。数字を下げたくないという気持ちは自然ですが、出発点が変わっているので同じ期間では届きません。

ここで起きるのは、2か月ほど進んだところで予定から遅れていることに気づき、そこで止まるという流れです。目標スコアは変えなくてよいので、期間のほうを測り直した結果に合わせて引き直しましょう。

4-2 単語帳を最初のページからやり直す

再開したときに手が伸びやすいのが単語帳です。ページの最初から進めれば形になりますし、進んだ量も見えます。ただし覚えていた語まで含めて最初からなぞることになるので、時間の使い方としては効率が落ちます。

ブランクのあとは、語彙そのものを忘れている場合もありますが、知っている語がすぐに出てこない、読む速度が落ちているといった変化も起きています。語を入れ直すより、時間を計って本文を読む回数を戻すほうが先に効果が出ます。覚え直しが必要な語は、その過程で出てきたものだけに絞れば足ります。

4-3 実力が戻ってから測ろうとして、測るのを先送りする

いまの状態で解いても低い点しか出ないから、ある程度戻してから測りたい。再開直後にはこう考えがちです。ところがこの順番だと、どこが落ちているか分からないまま数か月進むことになります。

01節の測り直しは、点数を出すためではなく、4技能の落ち方の差を見るために行うものです。低い点が出ること自体はブランクがあれば当然なので、そこは気にせず、技能ごとの差だけを見ておきましょう。

05限られた時間で、どこから戻すか

測り直しと期限の確認が済んだら、戻す順番を決めます。仕事や育児のあいだに1日1時間から2時間という条件では、4技能を同じ比重で並べると全部が中途半端になります。

5-1 最初の2週間は、4技能を軽く動かして学習のリズムを戻す

再開直後からいちばん落ちている技能だけに向かうと、うまくいかない状態が続きます。ブランクのあとは、勉強を続けるリズムを取り戻すことが先です。最初の2週間は4技能を軽く動かしながら、机に向かう習慣を戻していきます。進み具合が数字で見えるリーディングとリスニングを混ぜておくと、戻ってきた実感が持ちやすくなります。

この2週間で確かめるのは点数ではなく、決めた時間に机に向かえたかどうかです。ここが戻っていない状態でいちばん難しい技能へ進むと、続かなくなります。

5-2 そのあとは、測り直した結果をもとに優先度の高い技能へ寄せる

学習のリズムが戻ったら、01節で測った結果をもとに、優先度のいちばん高い技能へ時間を寄せます。スピーキングかライティングになることが多いものの、どの技能かは測り直した結果で決まります。この段階では4技能を毎日回そうとせず、週の大半をその1技能に使うほうが上がります。

すでに十分な水準を保てている技能であれば、維持のために週1回程度の確認にとどめる方法もあります。前に一度そこまで上げた技能は、ゼロから積み直す必要がないためです。落ちている技能が2つ以上あるときは、週1回では保ちにくくなります。

5-3 疲れている日にやることを、先に決めておく

仕事のあとに残っている集中力は、日によって大きく違います。エッセイを1本書くという計画は、時間の確保という点では現実的でも、判断を40分続ける作業なので、疲れている日には実行できません。

できなかった日が積み上がると、時間がなかったという記録だけが残り、次の計画でも同じ配置を繰り返すことになります。疲れている日に回すメニューを先に決めておくと、この繰り返しを避けられます。

関連記事 IELTS学習は「負荷」で決める:疲れている夜と頭が動く朝でやることを変える

週に使える時間の総量から進め方を決める話は、別の記事にまとめてあります。あわせて読むと、再開したあとの数か月の組み立てが決まります。

関連記事 IELTS学習と仕事・家事の両立:忙しい日々でも続けるための現実的な戦略

再開のときは、教材を選ぶことより、いまの位置に合わせて順番を決めることのほうが難しくなります。以前と同じやり方が通用しない状態で、どこから戻すかを一人で決めるのは負担になります。プライベート講座では、現在の4技能と使える時間を見たうえで、担当講師が講義の内容を組み立てています。

コース IELTSプライベート講座(マンツーマン):講義の中身と料金

06よくある質問

前に使っていた教材の続きから再開してもよいですか。

続きから始める前に、いまの位置を測り直すことをおすすめします。ブランクのあいだに技能ごとの力がばらばらに変化しているため、離れる前の自分に向けた計画をそのままなぞることになりやすいためです。

再開するとき、最初に何をすればよいですか。

リスニングとリーディングを1セットずつ時間を計って解き、タスク2を40分で1本書き、Part 2のトピックを1つ選んで2分話します。解答と振り返りまで含めて合わせて3時間ほどです。4つの結果を並べると、どの技能がいちばん落ちているかが分かります。

ブランクの影響が出やすい技能はどれですか。

スピーキングは、ブランクの影響を実感しやすい技能の一つです。声に出して英語を使う機会が減ると、言葉が出てくるまでの間が長くなったり、話す流暢さが落ちたりすることがあります。読むだけの練習では戻りにくいため、声に出す回数が要ります。

以前取ったスコアはまだ使えますか。

一般には受験日から2年間が目安とされています。起算の基準になるのは結果発表の日ではなく、試験日です。期限が切れたスコアを延長する制度はなく、何年前までのスコアを受け入れるかは提出先によって異なります。

スコアの期限が切れています。落ちている技能だけ勉強すればよいですか。

提出先が古いスコアを認めない場合は4技能をあらためて受験することになるため、残っている技能の維持も必要です。落ちている技能だけに時間を使っていると、そのあいだに得意だった技能が下がることがあります。

1日1時間しか取れません。4技能を毎日回すべきですか。

同じ比重で並べると全部が中途半端になります。最初の2週間は4技能を軽く動かして学習のリズムを戻し、そのあとは週の大半を、測り直しで優先度が高いと分かった技能に使うほうが上がります。すでに十分な水準を保てている技能は、週1回程度の確認にとどめる方法もあります。

再開してすぐ苦手な技能から始めたほうが速いのではないですか。

最初の2週間は、点数よりも決めた時間に机に向かえたかどうかを見るほうが確実です。勉強を続けるリズムが戻っていない状態でいちばん難しい技能へ進むと、うまくいかない状態が続いて止まりやすくなります。

前は6.5でした。同じところまで戻るのにどのくらいかかりますか。

技能によって違います。リーディングとリスニングは、時間を計って解く回数を戻すと試験形式への感覚を取り戻しやすい技能です。ライティングとスピーキングは、書く回数や話す回数に加えて、どこで止まっているかの指摘が要るため時間がかかります。

07まとめ

ブランクのあとの再開は、教材を選ぶところからではなく、いまの位置を測るところから始まります。解答と振り返りまで含めて3時間ほどで4技能を1回ずつ通しておくと、そのあとの数か月の順番が決まります。

  • 前の教材の続きから始めず、まず4技能を1回ずつ測り直す
  • 落ち方は技能によって違う。スピーキングはブランクの影響を実感しやすい
  • 前のスコアは受験日から2年間が目安。提出先が認めなければ4技能をあらためて受験する
  • 最初の2週間は4技能を軽く動かして学習のリズムを戻す
  • そのあとは測り直した結果をもとに、週の大半を優先度の高い技能に使う

一度そこまで上げた方は、ゼロから始める方とは違う戻り方をします。以前のスコアと、いま使える時間をお持ちのうえで、どこから戻すかを一緒に決めたい場合は、無料の学習相談をご利用ください。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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