同じずれは、「振り回される」や「上司に怒られる」を英語にするときにも起きます。sway、toss、scold を選ぶ前に英英辞典の説明を確かめながら、IELTSスピーキングで自分の経験を話すときに使いやすい mess someone around や tell someone off などの言い方を、辞書の用例と一緒に紹介します。
01「振り回される」は英語でどう言うか:swayed や tossed around との違い
相手の都合で予定を何度も変えられて困った、という意味の「振り回される」なら、mess someone around が近い表現です。和英辞典や直訳から sway や toss のような「揺らす」動詞にたどり着くと、言いたいこととは違う場面が伝わります。
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I'm easily swayed by my boss.上司に言われるとすぐ考えを変えてしまう、という別の意味になる
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I was tossed around by my boss.体ごと揺さぶられるような動きがまず思い浮かぶ
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My boss keeps messing me around with last-minute changes.上司が直前になって予定を変えるので、振り回されています
Oxford Learner's Dictionaries は sway の語義の1つを to persuade somebody to believe something or do something(人を説得して、何かを信じさせたり、何かをさせたりする)と説明し、用例に He's easily swayed. を載せています。be swayed で表すのは、人の意見や話に心を動かされて判断が変わることです。予定を何度も変えられて困った話とは、向いている方向が違います。
toss については、Oxford Learner's Dictionaries に to move or make somebody/something move from side to side or up and down(左右や上下に揺れる、揺らす)という語義があります。Cambridge Dictionary の toss around は、アイデアや提案を出し合って話し合うという意味です。be tossed around と言うと、荒れた海で船が揺さぶられるような動きが先に浮かびます。状況に翻弄された感覚をたとえとして言うことはできますが、相手の都合で予定を変えられた話なら、次の表現のほうが意味がはっきりします。
相手の都合で振り回されるなら mess someone around
Oxford Learner's Dictionaries は mess somebody around を to treat somebody in an unfair and annoying way, especially by changing your mind a lot or not doing what you said you would(考えをころころ変えたり、言ったことをしなかったりして、人を不当に困らせる)と説明しています。日本語の「振り回される」とかなり近い説明です。イギリス英語のラベルが付いていて、mess somebody about の形でも使います。
Our client kept messing us around, so the project took much longer than planned.
取引先に振り回されて、プロジェクトが予定よりずっと長引きました。
アメリカ英語で近いのは jerk someone around です。Oxford Learner's Dictionaries は informal, especially North American English のラベルを付け、用例に Consumers are often jerked around by big companies. を載せています。どちらもくだけた言い方なので、友人との会話や、スピーキングで自分の経験を話す場面で使いやすい表現です。
天気や会社の決定に振り回されるなら be at the mercy of
振り回してくる相手が人ではなく、天気や市場、会社の決定のように自分では動かせないものなら、be at the mercy of が使えます。Cambridge Dictionary の説明は to be in a situation where someone or something has complete power over you(誰かや何かに完全に左右される状況にある)です。
Once you are at sea, you are completely at the mercy of the weather.
いったん海に出たら、天気に完全に左右されます(Cambridge Dictionary の用例)。
We had to get to Boston and we were at the mercy of the airline.
ボストンに行かなければならず、航空会社の都合に振り回されました(同)。
振り回される場面
使いやすい表現
ポイント
相手が予定や考えをころころ変える
mess someone around(about)
イギリス英語。約束を守らない場合にも使う
相手が不誠実な対応で困らせる
jerk someone around
主に北米のくだけた言い方
天気や会社の方針に左右される
be at the mercy of something
人以外のものにも使う
人の話に心を動かされて判断が変わる
be swayed by
説得されて考えが変わる意味。困らされた話ではない
これまでに報告されてきたPart 3の質問には、Do you agree that (cell-phone) text messages can cause people to quickly change their plans? というものもあります。急な予定変更は、自分の経験から話を始めやすい話題です。
02「上司に怒られた」は scold で言えるか:tell off をもう一度確認する
日本語の受け身の「怒られる」を英語の受け身に移そうとすると、angry に by を続けてしまいがちです。会話で上司に怒られた話をするときは、My boss got angry with me. や I got told off by my boss. と言えば自然に伝わります。
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I was angry by my boss.angry は自分が怒っている状態を表すので、上司に怒られた、という意味にならない
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I was scolded by my boss.意味は伝わる。ただ、大人どうしの職場の話にしては改まった語に聞こえる
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My boss got angry with me.上司に怒られました
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I got told off by my boss.上司に叱られました
I was angry by my boss. が成り立たないのは、angry が「自分が怒っている」状態を表す形容詞だからです。怒ったのは上司なので、上司を主語にすれば My boss got angry with me. になり、これはごく自然な英語です。直訳がいつも不自然になるわけではなく、誰を主語にするかを決めれば、素直な形で言えることも多くあります。
scold は、Oxford Learner's Dictionaries で formal のラベルが付き、to speak angrily to somebody, especially a child, because they have done something wrong(悪いことをした人、特に子どもに向かって怒って話す)と説明されています。古めかしい語を示す old-fashioned のラベルも、Cambridge Dictionary で付いています。単語帳では「叱る」の訳語として最初に出てきやすい語ですが、大人が職場で上司に言われた話に使うと、場面に対して語が改まりすぎて聞こえます。
会話でよく使う tell someone off
以前の記事でも取り上げた tell someone off は、職場の話でもそのまま使えます。Oxford Learner's Dictionaries は informal のラベルを付け、to speak angrily to somebody for doing something wrong(悪いことをした人を怒って叱る)と説明しています。用例の Did you get told off? のように、get told off の形にすると「叱られた」と受け身で言えます。
上司に食ってかかって仕事を辞めた、という Rob told off his boss, then quit. の用例も Cambridge Dictionary にあり、子どもを叱る場面に限らず、大人どうしのやり取りでも使う語だと分かります。
tell someone off のほかにも、叱られた様子を具体的に伝える口語表現があります。地域によってよく使われる言い方が違うので、辞書のラベルと一緒に見ておきましょう。
表現
辞書の記述
使う場面
I got told off by my boss.
informal(Oxford)
「叱られた」と言う基本の言い方
My boss gave me an earful.
informal(Oxford)
長々と文句や小言を言われた
My boss had a go at me.
UK(Cambridge)
イギリス英語で、きつく責められた
I got chewed out by my boss.
North American English, informal(Oxford)
北米のくだけた言い方で、こっぴどく叱られた
earful には、Cambridge Dictionary に I'd better not be late for practice or the coach will give me an earful.(練習に遅れたら、コーチに小言を言われる)という用例があります。chew out には、Oxford Learner's Dictionaries に He got chewed out by the boss for lying.(彼はうそをついて上司にこっぴどく叱られた)という、上司との場面そのものの用例が載っています。
Part 2 では、Describe a situation that made you a little angry. というキューカードが報告されてきました。自分が怒った話なら I got angry、誰かに叱られた話なら I got told off と、どちらの立場の話なのかで言い方を選べるようにしておきましょう。
03「我慢する」を endure で言うと大げさに聞こえるのか
日常のちょっとした我慢なら、endure より put up with のほうが自然です。Oxford Learner's Dictionaries は endure に formal のラベルを付け、to experience and deal with something that is painful or unpleasant without giving up(つらいことや不快なことを、あきらめずに経験し、耐える)と説明しています。Cambridge Dictionary の用例も、We had to endure a nine-hour delay at the airport.(空港で9時間の遅れに耐えなければならなかった)や、足の手術を3回受けた人の話です。
I endured the crowded train this morning.意味は通じるが、苦難に耐え抜いたような響きになる
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I had to put up with a really crowded train this morning.今朝はすごく混んだ電車を我慢するしかありませんでした
put up with は、Oxford Learner's Dictionaries で to accept somebody/something that is annoying, unpleasant, etc. without complaining(うっとうしいことや不快なことを、文句を言わずに受け入れる)と説明されている句動詞です。用例は I don't know how she puts up with him.(彼女がどうして彼に我慢できるのか分からない)。騒音や混雑、同僚の癖のように、いらいらはするけれど耐えられる程度のものを話すときに使いやすい表現です。
Part 2 で報告されてきた Describe a time when you waited for (or, had to wait for) someone or something. のようなキューカードでも、長く待たされた話をするときに I had to put up with a long wait. と言えます。
「甘いものを我慢する」は put up with では言えない
日本語の「我慢する」には、欲しいものを控えるという意味もあります。put up with は不快なものを受け入れる表現なので、この意味にはなりません。英語では、控えている行動をそのまま言います。
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I'm putting up with sweets these days.甘いものを嫌なものとして耐えている、という意味になる
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I'm trying not to eat sweets these days.最近は甘いものを我慢しています
04「落ち込む」は depressed で伝わるか
depressed でも意味は伝わりますが、小さな出来事で気分が沈んだ話なら feel down のほうが軽く聞こえます。Oxford Learner's Dictionaries は depressed の語義に very sad and without hope(とても悲しく、希望が持てない)を挙げ、別の語義として affected by the medical condition of depression(うつ病という病気の影響を受けている)も載せています。
軽い使い方が無いわけではなく、He seemed a bit depressed about his work situation.(彼は仕事の状況に少し気が滅入っているようだった)のような用例も Cambridge Dictionary に載っています。ただ、病気を指す語義と重なる語なので、I was so depressed after the test. のように強めて言うと、聞き手によっては深刻な状態を心配するかもしれません。
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I was depressed because I made a small mistake at work.誤りではない。ただ、小さなミスに対して、気持ちの沈み方が大きく聞こえる
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I felt a bit down after making a small mistake at work.仕事で小さなミスをして、少し落ち込みました
down は Oxford Learner's Dictionaries で informal のラベルが付いた用法で、I feel a bit down today.(今日はちょっと気分が沈んでいる)と You look a bit down. Is something the matter?(ちょっと元気がないね。どうかした?)が用例に載っています。同じ項目には Don't let the weather get you down. もあり、get someone down の形で「〜のせいで気が滅入る」とも言えます。
The rainy season always gets me down.
梅雨の時期は、いつも気分が沈みます。
Part 3 で How do you think people can deal with stress? のような質問が来ると、個人の気分から社会全体の話へと視点が広がります。自分の経験は feel down で話し、社会の話では stress や mental health のような語を使うと、話の範囲が変わったことが聞き手に伝わります。
こなれた口語表現を覚えれば、それだけでスコアが上がるわけではありません。IELTSスピーキングで大切なのは、意味と場面に合った語を選べていることです。自分の経験を話すなら tell off や put up with が自然ですが、Part 3 で社会の話をするときは、文脈によってはやや口語的に聞こえることもあります。
06よくある質問
「振り回される」は英語で swayed と言えますか
be swayed は、人の意見や話に心を動かされて判断が変わるという意味で使います。予定をころころ変えられて困ったという意味の「振り回される」とは方向が違います。相手の都合で振り回されるなら mess someone around、主に北米では jerk someone around が近い表現です。
tossed around は「振り回される」の意味で使えますか
toss は人やものを上下左右に揺らす動きを表すので、be tossed around と言うと荒れた海で揺さぶられるような様子が浮かびます。状況に翻弄された感覚をたとえとして言うことはできます。相手の都合で予定を変えられた話なら、mess someone around のほうが意味がはっきりします。
「上司に怒られた」は英語でどう言えばいいですか
My boss got angry with me. か I got told off by my boss. が会話で使いやすい言い方です。I was angry by my boss. では、angry が自分の状態を表すため、上司に怒られたという意味になりません。長々と小言を言われたなら My boss gave me an earful. も使えます。