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スピーキング

ラスト1か月でスピーキング7.0を目指す:2週目に確かめる答えの1文目と話の筋【第2回】

執筆:高橋 響 公開日: 最終更新:

1週目で回答を長くできるようになってきたら、次に気になってくるのが「長くは話せるようになったけれど、何を言いたいのかがぼやけている」という感覚です。話を足していくうちに、気づけば質問とは別のことを話していた。録音を聞き返して、そんな経験をした人もいると思います。

第2回のテーマは、答えの1文目と話の筋です。まず、長くした回答に対してBand 7の記述が何を求めているのかを確認します。そのうえで、最初の1文で何を言えば話がぶれにくくなるのか、足していくうちに質問から離れてしまうのはなぜかを考えていきます。「便利」「大切」といった言葉で説明が止まっていないか、つなぎの言葉を何を基準に選ぶかも、この週に見直しておきたいポイントです。

01長くした回答に、Band 7の記述は何を求めているのか

長くした回答に求められているのは、ためらいや言い直しがあっても、話の筋が崩れないことです。Fluency and Coherence のBand 6とBand 7の記述は、どちらも「話し続けられる」ところから始まり、違いは一貫性(coherence)の扱いに表れています。

Band 6・Fluency and Coherence(現行版)

Coherence may be lost at times as a result of hesitation, repetition and/or self-correction.

Band 7・Fluency and Coherence(現行版)

Some hesitation, repetition and/or self-correction may occur, often mid-sentence and indicate problems with accessing appropriate language. However, these will not affect coherence.

Band 6は、ためらいや繰り返し、言い直しのせいで、一貫性が時折失われることがある段階です。Band 7でもためらいや言い直しは起こりえますが、それが一貫性には影響しないとされています。言い直しがあっても、そのあとの話が質問から離れずに続いていれば、この記述に近い状態です。

話のつなぎ方についても、Band 6は話し言葉のつなぎの表現を幅広く使うものの、いつも適切とは限らない段階、Band 7は柔軟に使える段階として書かれています。Lexical Resource では、Band 6の「意味は明確」に対して、Band 7では文体やコロケーションへの意識が見られることや、必要に応じて効果的に言い換えられることが挙がっています。

この週に見ること関わる採点項目録音で確かめること
答えの1文目Fluency and Coherence最初の1文で、質問に答えているか
足した文のつながりFluency and Coherence最後の1文まで、質問への答えの一部になっているか
説明に使う語Lexical Resource「便利」「大切」のような語のあとに、何がどうなのかを言えているか
つなぎの言葉Fluency and Coherence文と文の関係に合った言葉でつないでいるか

1週目に付け始めた録音の記録は、この週も続けます。回答の長さに加えて、話が質問から離れた箇所があれば、その箇所も書き留めておきましょう。

02答えの1文目で、何を言うか

答えの1文目では、質問への答えそのものを言います。背景の説明から話し始めると、答えが出てくるのが遅れ、そのまま答えを言わずに時間が過ぎることもあります。

2-1 前置きから話し始めて、答えが最後まで出てこない

Q. How has the use of mobile phones changed in your country over the past decade?

✗

Well, in Japan, mobile phones are very common. Almost everyone has one, young people and old people. Ten years ago, many people also had smartphones, and they used them every day. So mobile phones are very popular.今も10年前も持っている人が多い、という話で終わり、何が変わったのかを言っていない

○

The biggest change, I'd say, is that people now use their phones for almost everything, not just for calls and messages. Ten years ago, most people still paid in cash and carried paper tickets, but now a lot of people use their phones to pay, to get on trains and even to check in at the doctor's.1文目で、何が変わったのかに答えている

✗の回答は、英語としての誤りが少なく、長さもあります。ただ、話しているのは携帯電話がどれだけ普及しているかで、質問で問われている変化には答えていません。前置きを話しているあいだに、何を答えるつもりだったのかを見失うこともあります。

質問に change、compare、why、how のような語があれば、1文目でその問いに答えます。答えが決まらないまま話し始めてしまったときは、I'm not sure, but I'd say ... のように、答えの見当だけを先に言ってから理由を足しても、話の筋は保てます。

2-2 Yes だけを言って、どの程度なのかを言わない

Q. Do you think mobile phones are essential in modern life?

△

Yes, I think so. They are very convenient, and we can do many things with them.質問には答えているが、どのくらい必要なのか、誰にとってなのかが分からない

○

For most people, yes, pretty much. In a lot of places you now need one to pay, to get into events or even to order food in some restaurants, so if you leave it at home, you can actually get stuck. I wouldn't say it's essential for everyone, though. My grandmother manages fine without one, mainly because my parents do a lot of things for her.「多くの人には、ほぼ」と程度を付け、そうでない人の例まで話している

Yes か No で答えられる質問でも、Part 3 では、どの程度そう思うのかを1文目に添えると、そのあとに続ける内容が決まります。For most people や In some ways のように範囲を付けておけば、当てはまらない場合を話す流れが自然に生まれます。両方の側面に触れることは必須ではありませんが、答えに範囲を付けておくと、2文目以降を足す方向を自分で選びやすくなります。

03足していくうちに、話が質問から離れるのはなぜか

話が質問から離れるのは、次の1文を、直前の1文だけを見て選んでいるからです。1文ずつはつながっていても、足すたびに少しずつ話題が変わり、最後は質問とは別の話になります。

3-1 and also で理由を足し続けて、最初の答えに戻る

Q. Why do you think so many people choose to keep pets?

✗

Because pets are cute. And also they are good for our health. And also, I mean, some people feel lonely, so they want a pet. And also children like animals. So pets are cute, and that's why many people keep pets.理由を4つ並べているが、どれも1文で終わり、最後は1文目の「かわいいから」に戻っている

○

I think a lot of it comes down to loneliness. More people live alone these days, especially in big cities, and a dog or a cat gives them someone to come home to. It also gives them a bit of a routine, because you can't skip walking the dog just because you're tired. For people who work from home, that might be the only reason they go outside some days.理由を1つに絞り、なぜそう言えるのかを2段、3段と説明している

✗の回答は、長さだけを見れば1週目の目標に届いていて、止まらずに話せてもいます。ただ、and also で足した理由はどれも説明されないまま次へ進み、聞き手には「理由がいくつかある」ことしか伝わりません。理由を足す前に、いま言った理由を、自分に「なぜそう言えるのか」と問い直してみましょう。1週目の問い直しを、今度は同じ理由を深めるために使います。

3-2 1文ずつはつながっているのに、最後に別の話で終わる

✗

I think many people feel lonely. My family has a dog, too. He's ten years old now, so he sleeps most of the day. Actually, older dogs need a lot of care, and vets are really expensive these days. Last month, we paid a lot for his treatment.寂しさ、自分の家の犬、老犬の世話、動物病院の費用と、1文ずつは自然につながっているが、最後は治療費の話で終わっている

○

I think many people feel lonely. My family has a dog, too, and he's ten years old now. My parents spend a lot on his care, including quite expensive vet bills, but they never complain, because for them he's part of the family. I think that feeling of having a companion is the main reason people keep pets.自分の家の犬の話を、なぜ人はペットを飼うのかという質問への答えに戻して終えている

自分の経験を話すこと自体は問題ありません。気をつけたいのは、経験の話を始めたあとに、その経験が質問の答えのどこを支えているのかを見失うことです。最後の1文で質問への答えに戻れるかどうかが、話が離れていないかを確かめる目安になります。

戻るといっても、To sum up や In conclusion のような締めの言葉を毎回付ける必要はありません。○の回答のように、自分の経験から言えることを質問の語(keep pets)につなげれば、それで答えに戻っています。

04「便利」「大切」で説明を止めていないか

convenient、important、interesting、useful のような語は、使うこと自体に問題はありません。止まりやすいのは、この語を言ったところで説明が終わり、何がどう便利なのかが続かないときです。2-2の△の回答も、They are very convenient で理由を言い終えています。

この語を言ったあとは、その語の中身を自分に問い直します。

言ったあとに止まりやすい語自分に問い直すこと
convenient / useful何をするときに便利なのか。それが無いと何が困るのか
important誰にとって大切なのか。無くなったら何が起きるのか
interesting / funどこが面白いのか。前に面白いと思ったのはどんな場面か
good / bad誰にとって良いのか、悪いのか。どんな場合にそうなのか

2-2の○の回答では、convenient という語を使わずに、支払い、イベントへの入場、飲食店での注文という場面を挙げ、家に忘れると困るところまで話しています。中身を具体的に言えば、convenient という語を言わなくても便利さは伝わります。

言い換えも同じ考え方で進められます。Band 7の Lexical Resource には、必要に応じて効果的に言い換える(paraphrase)ことが挙がっています。言い換えは、質問の語を別の難しい語に置き換えることだけを指すわけではありません。言いたい語が出てこないときに、その中身を別の言い方で説明して話を続けることも、言い換えの一つです。たとえば「自炊」が英語で出てこなければ、I usually cook my own meals instead of eating out. と中身で言えば十分です。

05つなぎの言葉は、何を基準に選ぶか

つなぎの言葉は、文と文がどういう関係なのかを先に決めてから選びます。言葉の種類を増やすことから始めると、関係に合わない言葉が入りがちです。

△

Firstly, pets make people happy. Secondly, they are good for our health. Furthermore, children can learn responsibility. In conclusion, keeping pets is good.ライティングの回答の形をそのまま話していて、試験官との会話の答えとしては硬く聞こえる

Firstly、Furthermore、In conclusion は誤りではありません。ただ、試験官との会話の中で、1問の答えにこの順で並ぶと、用意した文章を読み上げているように聞こえやすくなります。話し言葉では、but、so、because、actually、though のような短い言葉で、文と文の関係を示すことが多くあります。

1文足すたびに、前の文と「反対のことを言うのか」「結果を言うのか」「例を挙げるのか」を考えれば、つなぎの言葉はそこから決まります。and also が何度も続いているときは、関係を考えないまま文を足しているサインです。決まった言い回しへの頼り方は、3週目にあらためて扱います。

06録音の1文目と最後の1文を、質問と並べる練習

この週は、Part 3 の質問を中心に練習します。Part 3 は理由や例を足して長めに答える質問が多く、足すうちに話が質問から離れやすいからです。

ステップすること確かめること
1 録音して答えるPart 3 の質問に、30秒以上を目安に答える1週目と同じく、途中で録音を止めない
2 両端を書き出す録音から、1文目と最後の1文だけを書き出す1文目が質問への答えになっているか。最後の1文が質問とつながっているか
3 ずれた場所を探す途中を聞き返し、話題が変わった1文に印を付けるand also が続いていないか。「便利」「大切」で説明が止まっていないか
4 もう一度答える1文目を変えずに、同じ質問にもう一度答える足した文が、1文目の答えを支える方向に向いているか

書き出すのを1文目と最後の1文に絞るのは、全文を書き起こすより短い時間で、話が質問から離れたかどうかを確かめられるからです。両端がつながっていれば、話は質問に戻って終わっています。途中で寄り道をしていないかは、ステップ3で確かめます。

練習の組み方の一例として、平日は毎日 Part 3 の質問を3問ほどと Part 1 の質問を3問ほど、週に2回は Part 2 を1問通し、そのまま関連する Part 3 の質問に続けて答える、という配分があります。Part 2 から Part 3 へ続けて答えると、Part 2 の自分の話から一般的な質問へ移る流れを練習できます。

独学では、両端が質問とつながっているかを自分で判断しにくい場合があります。レッスンや添削を受けている場合は、話が離れたと感じた箇所がどこだったかを講師に聞くと、自分の録音を聞き返すときの基準ができます。

07この週の終わりに確かめること

週の終わりに、次の項目を確かめてみましょう。すべてにチェックが付かなくても3週目には進み、残った項目は並行して続けます。

  • Part 3 の録音で、1文目が質問への答えになっている
  • Yes か No で答えられる質問に、どの程度そう思うのかを添えて答えられる
  • 理由を足す前に、いま言った理由を問い直して説明を深められる
  • 最後の1文が、質問とつながった内容で終わっている
  • convenient や important を言ったあとに、何がどうなのかを続けられる
  • and also を続けずに、文と文の関係に合った言葉でつないでいる
  • 1週目から付けている誤りの記録を続けている

08よくある質問

IELTSスピーキングで、話している途中に言い直すと評価が下がりますか。

Fluency and Coherence のBand 7の記述にも、ためらいや言い直しが起こりうることが書かれています。条件になっているのは、それが一貫性に影響しないことです。言い直したあとも、話が質問から離れずに続いているかを録音で確かめましょう。

Part 3 では、理由をいくつ言えばよいですか。

理由の数に決まりはありません。理由を and also で次々に足すと、どれも1文で終わり、説明されないまま次へ進みがちです。理由を1つに絞り、なぜそう言えるのかを問い直して説明を深めるほうが、話の筋を保ちやすくなります。

Part 3 で自分の経験を話してもよいですか。

自分の経験を話すこと自体は問題ありません。気をつけたいのは、経験の話を始めたあとに、それが質問の答えのどこを支えているのかを見失うことです。最後の1文で、経験から言えることを質問につなげて終えられれば、話は質問から離れていません。

Part 3 の質問の答えが、すぐに思い浮かばないときはどうすればよいですか。

I'm not sure, but I'd say ... のように、答えの見当だけを先に言ってから理由を足す方法があります。前置きや背景の説明から話し始めると、答えを言わないまま時間が過ぎることがあります。1文目で答えの方向を決めておくと、そのあとに何を足すかも決めやすいでしょう。

convenient や important は使わないほうがよいですか。

使うこと自体に問題はありません。止まりやすいのは、その語を言ったところで説明が終わるときです。何をするときに便利なのか、誰にとって大切なのかを自分に問い直して続けると、説明が具体的になります。

Firstly や Furthermore は、スピーキングで使ってはいけませんか。

誤りではありません。ただ、1問の答えに Firstly、Secondly、In conclusion と並ぶと、用意した文章を読み上げているように聞こえやすくなります。前の文と反対のことを言うのか、結果を言うのかを先に考えると、but や so のような話し言葉のつなぎも選びやすくなります。

毎回の答えを In conclusion でまとめれば、話の筋は伝わりますか。

締めの言葉を付けることと、話が質問から離れていないことは別です。最後の1文で、自分の話から言えることを質問の語につなげて終えられれば、締めの言葉が無くても答えに戻っています。

09まとめ

2週目に確かめたいのは、回答の長さより、1文目と最後の1文が質問とつながっているかです。1週目に覚えた問い直しを、新しい理由を探すためだけでなく、同じ理由を深めるためにも使えるようになっていれば、3週目に進む準備はできています。

3週目は、決まった型や用意した答え、決まった言い出しへの頼り方と、「〜しなければならない」と思い込みやすい決まりを見直します。

シリーズのほかの回は、次のとおりです。

スピーキング ラスト1か月でスピーキング7.0を目指す:1週目に確かめるBand 7の採点基準と短く終わる回答【第1回】 スピーキング ラスト1か月でスピーキング7.0を目指す:3週目に見直す決まった型と「〜しなければならない」という思い込み【第3回】 スピーキング ラスト1か月でスピーキング7.0を目指す:4週目に絞る繰り返す誤りと発音、本番前の数日【第4回】
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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