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スピーキング

ラスト1か月でスピーキング7.0を目指す:4週目に絞る繰り返す誤りと発音、本番前の数日【第4回】

執筆:高橋 響 公開日: 最終更新:

いよいよ最後の1週間です。ここまでの3週間で、回答を長くし、話の筋を整え、決まった型を見直してきました。記録もかなりたまってきているはずです。最後の週は、新しいことを増やすよりも、たまった記録から直すべきところを絞り込み、本番に向けて調子を整えていく時間にしていきます。

第4回のテーマは、繰り返す誤りと発音、そして本番前の数日の過ごし方です。まず、最後の週にBand 7の記述で何を確かめるかを整理します。そのうえで、誤りの記録から注意する型を絞り、話している途中でどんな誤りが繰り返されやすいのかを見ていきます。発音については、残りの期間で変えやすいところに的を絞ります。

練習では、Part 1からPart 3までを通して話し、本番と同じ流れに体を慣らします。本番前の数日に何を続けて何を控えるかも決めておけば、当日は落ち着いて試験に向かえます。1か月の準備の締めくくりとして、一つずつ確かめていきましょう。

01最後の週に、Band 7の記述で確かめること

Grammatical Range and Accuracy のBand 7で求められているのは、誤りのない文が頻繁に見られることです。誤りがまったく無いことではありません。

Band 7・Grammatical Range and Accuracy(現行版)

A range of structures flexibly used. Error-free sentences are frequent. Both simple and complex sentences are used effectively despite some errors. A few basic errors persist.

基本的な誤りが多少残ることも、Band 7の記述に含まれています。この週に目指すのは、同じ種類の誤りが1つの回答の中で何度も繰り返される状態を減らすことです。週の終わりの目安は、記録してきた誤りの型を、録音を聞き返して自分で見つけられることにします。これはIELTSの基準ではなく、練習のときに自分で確かめるための目安です。

Pronunciation のBand 7は、Band 6の良い特徴をすべて備え、Band 8の良い特徴の一部も備えている、という書き方です。Band 6の記述には次のような点が挙がっていて、この週はここを録音で確かめます。

Band 6の記述(要約)自分の録音で確かめること
意味のまとまりの区切り方は概ね適切だが、強勢のタイミングの乱れや話す速さによって、リズムが影響を受けることがある意味のまとまりの途中で区切っていないか。緊張して速くなり、語がつぶれていないか
イントネーションと強勢を効果的に使うこともあるが、それが持続しない答えの後半になると、抑揚が平坦になっていないか
個々の語や音の発音を誤ることもあるが、明瞭さを欠くのは時折にとどまる何度も使う語で、聞き返して自分でも聞き取りにくい語はないか
概ね、大きな労力なしに最後まで理解できる録音を初めて聞く人が、聞き返さずに理解できそうか

02誤りの記録から、注意する型を絞る

聞き返すときに注意する型は、記録の中から2つか3つに絞ります。すべての種類の誤りを同時に気にすると、聞き返しも話すときの注意も分散して、どれも減らしにくくなります。

絞るときは、1週目から付けてきた記録を型ごとに数え、次の順に見ていきます。

見る順見ること理由
1「指摘された数」が多く、「自分で気づいた数」が少ない型自分では気づけていないので、聞き返す場所として決めておかないと見落とし続ける
2意味が変わってしまう型(時制、否定の言い落としなど)聞き手が話の内容を取り違える
31つの回答の中で何度も出る型同じ誤りが繰り返されると、誤りのない文が減る

記録が少なくて型が絞れない場合は、この週の最初の2日で Part 1 から Part 3 の答えをいくつか録音し、文字起こしを読みながら誤りを書き出してみましょう。レッスンを受けている場合は、自分がよく繰り返している誤りの型を講師に挙げてもらうのが確実です。

03話している途中で、どんな誤りが繰り返されやすいのか

知識としては分かっているのに、話している途中で崩れる誤りがあります。話す内容を考えることに注意が向いているあいだは、動詞の形や名詞の数にまで注意が回りにくいからです。次の3つは、その代表的な例です。

3-1 過去の話をしているのに、動詞が現在形に戻る

✗

Last summer, I went to Hokkaido with two friends. We stay at a small guesthouse, and the owner is really kind. Every morning, she makes us breakfast with vegetables from her garden.1文目は過去形だが、2文目から現在形に戻っている

○

Last summer, I went to Hokkaido with two friends. We stayed at a small guesthouse, and the owner was really kind. Every morning, she made us breakfast with vegetables from her garden.最後まで過去の出来事として話している

Part 2 で過去の出来事を話しているときに起きやすい誤りです。場面を思い出しながら話していると、その場面がいま目の前で起きているかのように動詞を選んでしまいます。聞き手には、いつの話なのかが途中から分かりにくくなります。

聞き返すときは、過去の話をしている部分の動詞だけを拾っていきます。話している途中で気づいたら、間違えた語から短く言い直して、そのまま先へ進んでかまいません。

3-2 一般論の主語と、動詞の形がそろわない

Q. Are there any age groups that use mobile phones more than others?

✗

Young people uses their phones for almost everything, but my grandfather only use his phone for calls.people に uses、my grandfather に use と、主語と動詞の形が逆になっている

○

Young people use their phones for almost everything, but my grandfather only uses his for calls.people は複数として、my grandfather は単数として扱っている

Part 3 では、people、young people、the government のような主語で一般論を話す場面が増えます。people は1語でも複数として扱う名詞なので、三単現の s は付きません。一方で、自分の家族の話に移ると主語が単数になります。一般論と身近な例を行き来するあいだに、動詞の形がずれやすくなります。

3-3 数えられる名詞を、a も複数形もなしで言う

✗

If you have dog, you need to walk it every day, even when you are busy with job.dog と job が、a も複数形も付かない形になっている

○

If you have a dog, you need to walk it every day, even when you're busy with work.dog に a を付け、仕事全般を言うときは数えない work にしている

日本語では名詞の数を言い分けないので、話している途中では、名詞をそのままの形で言ってしまいがちです。この型は意味の取り違えにつながることが少ないので、話している途中で気づいても、言い直さずに先へ進むほうが話の流れを保てます。減らすのは、録音を聞き返す練習の中です。

話している途中に言い直すかどうかの判断は、次の記事で、意味が変わる誤りと意味が通る誤りに分けて説明しています。

スピーキング IELTSスピーキング試験の受け方:聞き返しと言い直しをどう扱うかの判断基準

絞った型を、どう聞き返すか

聞き返すときは、絞った型を1つずつ探します。録音を最初から1回聞いて誤りをすべて探すより、1回目は過去形だけ、2回目は主語と動詞の形だけ、と型ごとに聞くほうが見落としが減ります。見つけた誤りは、これまでと同じように「自分で気づいた数」として記録します。

週の前半より後半のほうが「自分で気づいた数」の割合が増えていれば、聞き返す力が付いてきています。話しているときに気をつける場所も、聞き返して見つけた型から自然に決まってきます。

04発音は、1か月の中で何を変えやすいのか

1か月の中で変えやすいのは、個々の音を一から作り直すことより、区切る位置、強く言う語、話す速さのような、話し方の癖です。Band 6の記述にも挙がっている、意味のまとまりの区切り方とリズムは、録音を聞き返すだけで癖に気づきやすい部分です。

意味のまとまりの途中で区切っていないか

✗

When I was at / university, I used to / cycle to campus every / morning.次の語を探すたびに止まり、意味のまとまりの途中で区切れている

○

When I was at university, / I used to cycle to campus / every morning.意味のまとまりの切れ目で区切っている

意味のまとまりの途中で区切れている場所は、次の語を探して止まった場所かもしれません。録音を聞き返して、区切れた場所に斜線を入れてみると、どこで語を探しているかが分かります。同じ場所で何度も止まるなら、その語の組み合わせを1つのまとまりとして、声に出して言い慣れておくと区切れにくくなります。

緊張して速くなり、語がつぶれていないか

Band 6の記述には、話す速さがリズムに影響することが挙がっています。緊張すると話す速さが上がり、内容を伝える語と、軽く言う語の差が小さくなって、全体が平坦に聞こえやすくなります。録音を聞いて速すぎると感じたら、意味のまとまりの切れ目で一拍置くつもりで話してみましょう。リズムと強勢の付け方、語と語の音のつながりは、次の記事で扱っています。

スピーキング あなたの発音、音が潰れていませんか?:原因はリズムと強弱の付け方にある スピーキング tend to や had to はどう読む?音のつながりを意識するだけでスピーキングの流暢さは上がる:つまずきやすい音のつながりのパターン

何度も使う語が、聞き取りにくくなっていないか

個々の語や音の発音も、Pronunciation の記述に含まれています。1か月で全部の音を直すのは難しくても、自分の仕事や住んでいる街、よく話す趣味の語のように、どのパートでも何度も使う語が聞き取りにくいなら、その語だけは先に直しておく価値があります。録音で自分でも聞き取りにくいと感じた語を、辞書の音声と聞き比べてみましょう。Pronunciation で何が見られているかの全体は、次の記事が参考になります。

スピーキング 「発音が良い人ほど高得点」は誤解:IELTSスピーキングのPronunciationが本当に見ている力

05Part 1 から Part 3 を通して練習する

この週は、Part 1 から Part 3 までを本番と同じ順番で続けて答える練習を、2回か3回入れます。パートごとに分けて練習しているときには見えない、途中での疲れや、Part 2 から Part 3 へ移るときの切り替えが確かめられます。

パート時間(公式)通しの練習で確かめること
Part 14分から5分最初の数問で、一言の答えが続いていないか
Part 2準備1分のあと、1分から2分話す用意した題材を、トピックに合わせて話せたか
Part 34分から5分後半になっても、1文目で質問に答えているか。抑揚が平坦になっていないか

全体は11分から14分です。質問を誰かに読んでもらえるなら、それがいちばん本番に近くなります。1人で練習する場合は、質問を自分の声で録音しておき、それを流しながら答えて、答えも別に録音します。質問は、受験する時期のトピックから、まだ答えたことのないものを選びましょう。

通しで録音したら、全部を細かく聞き返す必要はありません。Part 3 の後半だけを聞き、2週目の見方(1文目と最後の1文)と、この週に絞った誤りの型で確かめます。疲れが出やすいのは後半なので、まずはそこから確かめます。

06本番前の数日に、何を続けて何を控えるか

本番前の数日は、新しいことを増やすより、この4週間の練習を、短い時間でも毎日続けます。

続けること控えること
毎日、短い時間でも声に出して答える新しいイディオムや表現をまとめて覚え、本番で使おうとする
初めての質問に、型に頼らずに答える予想トピックの回答を書いて覚える
絞った誤りの型を、録音で確かめるすべての種類の誤りを一度に直そうとする
Part 2 の題材を、いくつかのトピックに合わせて話してみる前日に遅くまで練習を詰め込む

試験の当日は、会場に向かう前に、短い答えをいくつか声に出しておくと、最初の Part 1 の質問から声が出やすくなります。緊張して話す速さが上がっていると感じたら、意味のまとまりの切れ目で一拍置くことを思い出しましょう。質問が聞き取れなかったときは、黙って推測で答え始めるより、聞き返して確かめるほうが質問に沿った答えになります。

スピーキング 試験前に必ず行いたい声帯ウォームアップ:日本語と英語で発声の仕組みが違う理由 スピーキング スピーキング試験の緊張を味方にする方法:適度な緊張がパフォーマンスを高める仕組み

07この週の終わりに確かめること

試験の前に、次の項目を確かめてみましょう。すべてにチェックが付かなくても、ここまで続けてきた練習はそのまま本番の準備になっています。

  • 誤りの記録から、聞き返すときに注意する型を2つか3つに絞った
  • 絞った型を、録音を聞き返して自分で見つけられる
  • 話している途中で、意味が変わる誤りに気づいたら短く言い直して先へ進める
  • 録音で、意味のまとまりの途中で区切れている場所を確かめた
  • 何度も使う語のうち、聞き取りにくい語を辞書の音声と聞き比べた
  • Part 1 から Part 3 を本番と同じ順番で通して答え、Part 3 の後半を聞き返した
  • 本番前の数日に続けることと、控えることを決めている

08よくある質問

IELTSスピーキングでBand 7を取るには、文法の誤りをゼロにしなければいけませんか。

Grammatical Range and Accuracy のBand 7の記述は、誤りのない文が頻繁に見られることで、基本的な誤りが多少残ることも含まれています。誤りをゼロにするより、同じ種類の誤りが1つの回答の中で繰り返される状態を減らすことを目指します。そのために、記録から注意する型を2つか3つに絞ります。

話している途中で文法の誤りに気づいたら、言い直したほうがよいですか。

時制のように意味が変わってしまう誤りは、間違えた語から短く言い直して先へ進むとよいでしょう。冠詞の抜けのように意味が通る誤りは、言い直さずに先へ進むほうが話の流れを保てます。意味が通る誤りを減らすのは、録音を聞き返す練習の中です。

試験まで1週間で、発音は良くなりますか。

個々の音を一から作り直すのは難しくても、区切る位置や話す速さのような話し方の癖は、録音を聞き返して気づきやすい部分です。意味のまとまりの途中で区切れていないか、緊張して速くなっていないかを確かめましょう。何度も使う語で聞き取りにくいものがあれば、その語だけは先に直しておく価値があります。

Part 1 から Part 3 を通す練習は、1人でもできますか。

質問を自分の声で録音しておき、それを流しながら答えて、答えを別に録音すれば1人でも通せます。質問は、受験する時期のトピックから、まだ答えたことのないものを選びます。聞き返すときは、疲れが出やすい Part 3 の後半から確かめましょう。

本番直前に、新しい表現を覚えて使ってもよいですか。

本番前の数日にまとめて覚えた表現は、使う場面が合うかどうかを確かめる時間がないまま、答えに入れようとしがちです。この時期は、新しいことを増やすより、初めての質問に型に頼らずに答える練習と、絞った誤りの型の確認を、短く毎日続けるほうがおすすめです。

試験当日、話し始める前にしておくとよいことはありますか。

会場に向かう前に、短い答えをいくつか声に出しておくと、最初の質問から声が出やすくなります。緊張で話す速さが上がっていると感じたら、意味のまとまりの切れ目で一拍置くことを思い出しましょう。質問が聞き取れなかったときは、聞き返して確かめてかまいません。

09まとめ

4週目に絞ったのは、聞き返すときに注意する誤りの型と、区切る位置や速さのような話し方の癖です。どちらも、1週目から録音を聞き返して記録してきたからこそ絞れるものです。

4週間で続けてきたのは、質問に1文目で答え、自分の1文目から次の1文を引き出し、話が質問から離れていないかを録音で確かめることでした。どれも、初めて聞かれる質問にもそのまま使える練習です。録音を聞き返す習慣は、試験のあとも同じ形で続けられます。

シリーズのほかの回は、次のとおりです。

スピーキング ラスト1か月でスピーキング7.0を目指す:1週目に確かめるBand 7の採点基準と短く終わる回答【第1回】 スピーキング ラスト1か月でスピーキング7.0を目指す:2週目に確かめる答えの1文目と話の筋【第2回】 スピーキング ラスト1か月でスピーキング7.0を目指す:3週目に見直す決まった型と「〜しなければならない」という思い込み【第3回】
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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