採点基準(Band Descriptors)も1種類しかありません。IELTS公式サイト(ielts.org)で公開されている Writing Task 2 Band Descriptors には、見出しに「Scoring criteria for Academic and General Training tests」とあり、同じ表で両方のモジュールが評価されます。タスク1の採点基準は Task Achievement の記述が (Academic) と (General Training) に分かれていますが、タスク2の表にはこの区別がありません。
IELTS公式サイトの説明では、アカデミックが「You should write in an academic or semi-formal/neutral style.」、ジェネラルが「a semi-formal/neutral discursive essay」です。どちらにも semi-formal/neutral という語が入っています。IELTSの共同運営団体であるIDPの解説には「The essay can be slightly more personal in style compared to an Academic Writing task.」とあり、slightly という語のとおり、差は小さいと読むのが自然です。
自分の経験を例に使えるかどうかも、両モジュールで同じです。IELTS公式サイトはアカデミックとジェネラルのどちらについても「use relevant examples (which can be from your own experience, if relevant) or evidence」と説明しています。ただ、ジェネラルのタスクには職場や家庭、買い物のような身近な場面を扱うものが多いので、自分の経験が例としてなじみやすいのは確かです。
The best way to provide enough homes in large cities is to build tall apartment blocks.
To what extent do you agree or disagree with this statement?
高層マンションの是非を聞いているように見えますが、The best way(最善の方法)、to provide enough homes(十分な住宅を確保する)、in large cities(大都市で)という条件が付いています。論じるのは、大都市の住宅不足を解決する手段として高層マンションが最善だという主張の是非です。何について書くかは、タスクを読んだ時点でかなり絞られています。
一方、ジェネラルで出題されたタスクはこんな感じです。
Some people say that it is better to work for a large company than a small one.
とはいえ、これは傾向の話です。アカデミックにも It is important for everyone, including young people, to save money for their future. のような条件の少ないタスクがありますし、IELTS公式サイトがジェネラルのトピック例に挙げているのは、環境問題の解決策や公共の場での喫煙の禁止といった社会的な話題です。モジュールの名前より、目の前のタスクにどれだけ条件が付いているかのほうが、書き方には関わってきます。
採点基準の Band 4 には「the answer is tangential, possibly due to some misunderstanding of the prompt」という記述があります。タスクを誤解して論点からずれた回答のことで、高層マンションのタスクで住宅の確保という条件を落とすと、この状態に近づきます。大企業か中小企業かのタスクなら、給料の話を書いても人間関係の話を書いても、どちらが働く場所としてよいかにつながっていれば、タスクからずれることはまずありません。
一方で、Band 7 には「there may be a tendency to over-generalise or there may be a lack of focus and precision in supporting ideas/material」とあります。一般論に流れる、あるいはサポートの焦点が定まらない、という状態です。何でも書けるタスクだと、給料も安定も研修制度も福利厚生もと理由を並べたくなりますが、250語の中に5つも入れると、どの理由も「なぜそう言えるのか」まで説明しきれません。どれもタスクに関係しているので、書いている本人はずれている感覚がないのが厄介なところです。
設問が2つあるタスクでも、似たことが起きます。
Some people spend most of their lives living close to where they were born.
What might be the reasons for this?
What are the advantages and disadvantages?
生まれた土地に住み続ける理由は、家族、仕事、費用、愛着と、誰でもいくつも思いつきます。書きやすいぶん1つ目の設問で語数を使ってしまい、利点と欠点は最後に少し触れるだけ、ということになりがちです。Band 5 の記述には「The main parts of the prompt are incompletely addressed.」とあり、設問の一部に十分答えていない回答はここに近づきます。
同じ採点基準で評価されるので、一方が甘く採点されるわけではありません。ジェネラルのタスクは条件が少ないものが多く、読み違えて大きく外すことは起きにくいと言えます。その代わり、どの面から論じるかを自分で絞る必要があり、理由を並べるだけの回答になると Band 7 の記述にある lack of focus に近づきます。