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リスニング

IELTSリスニングでメモは必要か:書いてよいものと、書かないほうがよいもの

執筆:高橋 響 公開日:

結論から言えば、IELTSのリスニングでメモは減らすほうが取れます。答えは画面にそのまま入力できるので、いったん紙に書いてから写す手順がありません。それでも、続けて出てくる数字のように、その場で処理しきれない情報はあります。書いている数秒のあいだにも音声は進むので、どこまで書くかは自分で決めることになります。IELTSは2026年半ばから紙ベースの試験を終了し、順次コンピューターでの実施に一本化されています(移行時期は国・地域によって異なります)。

01答えは直接入力するので、メモが要る場面は限られる

IELTSのリスニングでは、設問が画面に表示され、答えもその場で入力します。聞こえた語をいったんメモに書き、あとから答案に写すという手順は必要ありません。この点を最初に押さえておくと、メモの量は自然に減ります。

音声が終わったあとには、解答を確認する時間が2分あります。ここで見直せるのは、すでに入力した答えです。メモから答えを組み立て直すための時間ではありません。

メモが要るかどうかは、その場で入力を終えられるかどうかで決まります。次の表のように場面ごとに分けておくと、本番で迷いません。

場面メモ理由
穴埋めで語が1つ聞こえた要らないその場で入力できる
数字が続けて出てきた要る入力の途中で次の数字が来る
綴りに自信がない語要るあとで確認の時間に直せる
選択肢を絞り込む途中印だけ語を書くと聞く時間がなくなる

02メモを取っている数秒で何が起きるか

聞こえた内容をそのまま書き取ろうとすると、次のような形になります。

The tour starts at nine thirty from the main entrance… と聞こえた内容を書き取っているあいだに、次の設問の答えにあたる and please bring a raincoat が流れる1問取って1問落とす

9:30 と答えを入力し、視線をすぐ次の設問へ移す聞こえた文を書き取る必要はない

IELTSのリスニングでは、答えは設問の並び順に出てきます。マッチングのように選択肢が順不同の形式でも、設問そのものは順番どおりに進みます。つまり、いま答えを入力している場所の少し先に、次の答えがあります。書く量が増えれば、その先に置いていかれます。

手を動かしながら聞ける量には個人差があります。日本語の講義でメモを取りながら話も追える人でも、英語では同じようにいきません。聞き取りに使う集中と、書くことに使う集中が同じところから出ているためです。母語なら自動で処理できる部分が、外国語では処理として残ります。

聞き逃したときは、そこで止まらない

1問落としたと気づいたあと、その答えを思い出そうとしているあいだに、次の設問の答えも流れていきます。落とした問題は空欄のままにして、視線を次の設問に移しましょう。空欄は確認の時間に埋められますが、聞き逃した音声は戻ってきません。

リスニング IELTSリスニングで聞き逃したあとの連続ミスを防ぐ:音声の現在地に戻る手順

03メモに残す価値があるもの

書き留めておく意味があるのは、その場で処理しきれないものです。答案の見直しをしていると、次の3つに集まります。

3-1 数字が続けて出てくるとき

電話番号、金額、日付、時刻が続けて読み上げられる場面では、入力が追いつきません。数字だけを走り書きして、確認の時間に入力し直します。桁を落とさないように、区切りの位置まで書いておきましょう。

0161 496 0208 → メモ:0161 496 0208
£4.50 for adults and £2.75 for children → メモ:£4.50 adult / £2.75 child

金額や時刻は、単位を落とすと答えとして成立しません。メモの段階で単位まで書いておくと、入力し直すときに迷いません。per adult と per child のように対になっている数字は、どちらがどちらかを1字で添えておきます。

3-2 綴りに自信がない語

固有名詞や、綴りが読み上げられる語がこれにあたります。音のとおりに書いておき、確認の時間に直します。入力欄に不確かな綴りを入れたまま忘れると、そのまま失点になります。

3-3 話者が言い直した内容

予約の変更や日程のずれのように、いったん言ってから直す形は頻繁に出ます。最初に聞こえた語をそのまま入力すると、直したあとの内容を落とします。両方を短く書いておいて、あとで正しいほうを選びます。

Actually, let us make it Thursday instead. → メモ:Wed → Thu

反対に、書かないほうがよいものもあります。聞こえた文をそのまま書き取る、設問と関係のない詳細を書く、日本語に訳して書く。いずれも時間がかかり、そのあいだに次の答えを聞き逃す可能性が上がります。とくに日本語に訳しながら書くと、訳している数秒がまるごと空きます。

リスニング IELTSリスニングの数字・日付・単位の聞き取りと書き方:聞こえた音を書くときに迷わないための整理

04Part 3 と Part 4 でのメモの使い方

後半の2つは、前半とは事情が変わります。Part 3 は複数の話者が意見を交わす場面、Part 4 は1人が続けて話す講義形式です。どちらも1つの設問に対応する音声が長くなります。

複数の話者が出てくると、誰の意見なのかを取り違えやすくなります。必要なら、話者を区別するために頭文字を1字だけ付けておきます。名前をそのまま書き取ろうとすると、そのあいだに意見の中身のほうを聞き逃します。

Part 3 のマッチングでは、選択肢の全文を覚えようとせず、選択肢どうしの違いだけを見ておきます。違いが1語で言えていれば、音声を聞きながら目で照合できます。メモに書くのは、消した選択肢に付ける斜線と、残った選択肢の記号くらいで足ります。ここで意見の中身を書き取り始めると、次の話者の発言をまるごと落とします。

Part 4 は音声が途切れずに続くので、英文をそのまま書き取ろうとすると、書いているあいだに次の情報を逃します。数字や固有名詞、対比されている2つの語のように、あとから思い出しにくいものだけを短く残し、あとは話の流れを追います。

05音声が始まる前の時間に何を見るか

各パートの前には、設問に目を通す時間があります。ここで何を見るかによって、聞いているあいだに書く量が変わります。設問を全部読もうとすると時間が足りないので、見る場所を決めておきましょう。

まず見るのは指定語数です。ONE WORD ONLY なのか、TWO WORDS AND/OR A NUMBER なのかで、聞こえた語をそのまま入れてよいかが変わります。そのうえで空欄の前後を見れば、名詞が入りそうなのか、数字が入りそうなのかがある程度わかります。

選択問題やマッチングでは、選択肢を全部読もうとしなくて構いません。選択肢どうしの違いだけ拾っておけば、音声を聞きながら照合できます。

空欄の前後を見ておくと、聞こえた語をそのまま入れてよいかどうかが判断できます。前置詞のあとなら名詞、a のあとなら単数形というように、入る語の形が決まるからです。ここまで済ませてあれば、聞いている最中に迷う場面自体がなくなります。

先読みの時間は思ったより短い

設問に目を通す時間は、パートによって長さが変わります。設問が多いパートで全部を読み切ろうとすると、最初の数問を読んでいるうちに音声が始まります。読む順番は、まず指定語数、次に空欄の前後、時間が残れば設問の全文です。全文まで届かなくても不利にはなりません。

音声が流れているあいだにも、先読みできる場面があります。1つのパートの中で設問が2つのまとまりに分かれているとき、前半の答えを入力し終えた時点で、後半の空欄の前後に目を通しておけます。ここを見ておけたかどうかで、後半の楽さがはっきり変わります。

06地図問題では書き込む場所が変わる

地図や見取り図に場所を当てはめる設問では、メモ用紙を使う場面がほとんどありません。話者が説明している位置を、画面の図の上で目で追っていくほうが早く、書いている間に道順が先へ進むこともありません。

この形式では、位置関係を表す表現がそのまま答えの手がかりになります。opposite、next to、at the far end、on your left といった表現が聞こえた時点で、図のどこにいるかが決まります。表現の意味を考えている数秒で、話者は次の場所へ移っているので、聞いてすぐ図の上を動けるようにしておきましょう。

Go past the library, and the cafe is on your right, just before the car park.

この一文では、図書館、右側、駐車場の手前という3つの手がかりが順に出てきます。聞きながら文を書き取ろうとすると、3つ目に届きません。図の上を目で動かしていれば、最後まで追えます。

始点も確認しておきます。You are here のような表示や、話者が最初に触れる場所が出発点になります。ここを取り違えると、そのあとの位置関係を続けて誤って判断することになります。

リスニング IELTSリスニング地図問題の位置関係表現:前置詞と方向のフレーズで迷わない整理

07メモの量を決める練習

どのくらい書くかは、人によって変わります。手を動かしても聞ける人もいれば、書き始めた瞬間に聞こえなくなる人もいます。自分がどちらかを、練習で確かめておきましょう。

ステップすること確かめること
11回目は、いつもどおりメモを取りながら解く正答数と、メモを書いた回数
22回目は別の音声で、数字以外は書かずに解く正答数が上がるか下がるか
3落とした問題を、聞き取れなかったものと書いていて逃したものに分けるどちらが多いか

ステップ3で「書いていて逃した」が多ければ、メモを減らします。反対に「聞き取れなかった」が大半なら、メモの量は原因ではないので、音そのものの練習に時間を回します。

迷ったときは、まず書かない状態で解いてみてください。それで正答数が落ちるなら、落ちた問題を見て、自分に必要なメモだけを戻します。減らしてから足すほうが、どのメモが効いているのかがはっきりします。

この3ステップは、本番形式で通す回とは分けて行いましょう。通しの回は本番と同じ条件で解くことが目的で、ここでは自分にメモが要るかどうかを確かめることが目的です。兼ねようとすると、どちらの目的も果たせません。

メモを取るための紙が用意される場合でも、扱いは試験会場の案内に従います。いずれにしても、書き方そのものは本番で考えるものではありません。数字の書き方も、話者の区別の付け方も、練習のうちに自分の形にしておきます。

08よくある質問

IELTSのリスニングでメモは取ったほうがよいですか。

全体としては、取る量を減らすほうが取れます。答えは画面にそのまま入力できるので、いったんメモに書いてから写す必要がありません。残す価値があるのは、続けて出てくる数字、綴りに自信がない語、話者が言い直した内容です。

メモ用の紙は配られますか。

用意される場合でも、扱いは試験会場の案内に従います。いずれにしても、書き方そのものは本番で考えるものではありません。数字の書き方も、話者の区別の付け方も、練習のうちに決めておく部分です。

聞き逃したら、その問題を思い出してから次に進むべきですか。

空欄のまま次の設問に視線を移します。答えは設問の並び順に出てくるので、止まっているあいだに次の答えも流れていきます。空欄は解答を確認する2分で埋められますが、聞き逃した音声は戻ってきません。

綴りが分からない語はどうすればよいですか。

音のとおりにメモへ書いておき、確認の時間に直します。不確かな綴りを入力欄に入れたまま忘れると、そのまま失点になります。固有名詞は音声の中で1字ずつ読み上げられることがあるので、その部分を聞き逃さないようにしましょう。

メモは日本語で取ってもよいですか。

日本語に訳しながら書くと、訳しているあいだの音声を聞き逃しやすくなります。書くなら聞こえた英語のまま、数字や語を短く残す形にします。意味を考えるのは、答えを入力する段階で足ります。

メモを取ることで、かえってスコアが下がることはありますか。

書くことに気を取られているあいだに次の答えが流れ、1問取るために別の1問を落とすことがあります。模擬試験を、メモを取る回と数字以外は書かない回で解き比べると、自分がどちらの型かがわかります。

音声が始まる前の時間には何を見ればよいですか。

指定語数、空欄の前後の語、数字が入りそうな空欄、選択肢どうしの違いの4つです。設問を全部読もうとすると時間が足りません。空欄の前後を見ておくと、入る語の品詞が決まるので、聞きながら考える量が減ります。

音声が終わったあとの2分は何に使いますか。

入力済みの答えの見直しに使います。綴り、指定語数の超過、単数と複数の取り違えを確認しましょう。メモから答えを組み立て直すための時間ではないので、そこに頼る形にはしないほうが安全です。

09まとめ

  • 答えは画面に直接入力する。メモに書いてから答案へ写す手順はもう無い
  • 残す価値があるのは、続けて出てくる数字、綴りに自信がない語、話者が言い直した内容
  • 答えは設問の並び順に出てくる。書く量が増えれば、その先に置いていかれる
  • 聞き逃したら空欄のまま次へ。止まっているあいだに、次の答えも流れていく
  • Part 3 は話者の頭文字と斜線で足りる。Part 4 は書き取りをやめ、数字や固有名詞だけ短く残す
  • メモの量が原因かどうかは、書かずに解く回を作って正答数で確かめる

次に模擬試験を解くときは、数字以外を書かない回を1度作ってみましょう。正答数が上がるようなら、そのままの形で本番に持っていけます。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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