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奨学金や会社の補助を英語でどう言う?:scholarship・grant・stipend・subsidy の使い分け

執筆:高橋 響 公開日:

IELTSを受ける理由が、奨学金の応募条件だったり、会社の留学制度だったりする人もいます。その場合、スピーキングで奨学金などの話を持ち出すこともあるでしょう。

ところが、奨学金を英語で表現しようと思うと、scholarship なのか、grant なのかで迷うかもしれません。あるいは単語帳で覚えた stipend を使う場面はあるのか、会社が費用を出してくれる場合にはどう言えばいいのか、悩みはつきません。

しかも、日本の奨学金には返済が必要なものもあります。会社の費用負担も、授業料を直接払うのか、あとで払い戻すのかで表現が変わります。これらの単語の違いは知っておいて損はありませんが、実は正しい単語を探すよりも、誰が何のためにお金を出してくれるのか、返す必要があるのかを伝えることで切り抜けることができます。

01subsidy を使うと、どう聞こえるのか

会社に英語の授業料を出してもらっていることを話そうとして、次のように言う人がいます。

△

My company gives me a subsidy for my IELTS lessons.意味は通じるが、制度や政策の話のように響く

○

My company is paying for my IELTS lessons.会社が授業料を出してくれている

subsidy は、ものやサービスにかかる費用の一部を出して、値段を下げたり、その活動を後押ししたりするお金です。Cambridge Dictionary の例も、government subsidy、farm subsidies、export subsidies のように、政府が産業や企業に出すお金が中心です。お金を受け取る側として思い浮かぶのは、農家や企業、公共交通のような事業が中心です。

そのため、自分ひとりの授業料の話に a subsidy を使うと、文法として誤りではなくても、会社の福利厚生を説明しているというより、補助金の制度を説明しているように聞こえます。個人がお金を出してもらった話なら、pay for や cover を使うほうが実態に合います。

形容詞の subsidised なら使える場面がある

一方で、費用の一部を会社や組織が持っているようすを、ものの側から言うときには subsidised(アメリカ英語では subsidized)が自然に使われます。社員食堂やジムの会費のように、会社が一部を負担しているものを説明する言い方です。

The English classes at my company are subsidised, so I only pay about half the fee.
会社の英語の授業は補助が出るので、費用の半分くらいを払うだけで済みます。

subsidy という語そのものは、Part 3 で政府の役割を議論するときに出番があります。

02scholarship・grant・stipend は何が違うのか

3語とも「もらうお金」で、返す必要はありません。違いは、誰が、何のために出すお金かにあります。

語出すのは何のためのお金かよく一緒に使う形
scholarship学校・大学・財団などの団体学ぶ人の学費。選考を経て、能力や成績を理由に出ることが多いget / win / be awarded a scholarship、a full scholarship、on a scholarship
grant政府や公的機関、財団など研究や学業など、特定の目的のためa research grant、a government grant、apply for a grant
stipend大学や研究機関など生活費。毎月など決まった間隔で、決まった額が払われるa monthly stipend、receive a stipend

scholarship:選ばれて受け取る学費

Cambridge Dictionary は scholarship を、学校や大学などの団体が、能力の高い人の学費を払うために出すお金、と説明しています。英語で scholarship と聞くと、選考があって、成績や実績を評価されてもらうもの、という印象を持たれやすい語です。動詞は get のほかに、選考を勝ち抜いた感じの出る win、正式に与えられたことを表す be awarded がよく使われます。

I was awarded a scholarship to study at a university in Australia.
オーストラリアの大学で学ぶための奨学金をもらいました。

I'm hoping to get a full scholarship, which would cover all my tuition fees.
授業料が全額まかなわれる奨学金をもらえたらと思っています。

She studied in the UK on a scholarship.
彼女は奨学金でイギリスに留学しました。

grant:目的のために出されるお金

grant は、主に政府などが、特定の目的のために個人や団体に出すお金です。Cambridge Dictionary の例にも a student grant と a research grant が並んでいます。scholarship が「その人」を選んで出すお金なのに対して、grant は「その目的」に出すお金、と考えると区別しやすくなります。研究費をもらった、留学のための公的な助成を受けた、という話なら grant が合います。

My supervisor got a research grant, so our lab could buy new equipment.
指導教員が研究費をもらったので、研究室で新しい機材を買うことができました。

stipend:毎月決まって払われる生活費

stipend は、決まった額を定期的に払うお金です。無給の仕事や研修をしている人に対して支払われることが多い語です。大学院の博士課程で、授業料とは別に生活費として毎月もらうお金が典型です。給料(salary)と違い、働いた分への対価として払われるものではありません。

The PhD programme offers a monthly stipend of about 2,000 pounds.
その博士課程では、毎月2,000ポンドほどの生活費が支給されます。

bursary と fellowship

イギリスの大学の案内を読んでいると、bursary という語も出てきます。これも大学などが学ぶための費用として出すお金で、scholarship と並んで使われます。fellowship は、主に大学院生や研究者が、高度な研究を続けるために受け取るお金です。どちらも出てきたら意味を取れるようにしておけば十分で、自分の話では scholarship と grant を使い分けられれば困りません。

03日本の「奨学金」は scholarship と言っていいのか

返す必要がある奨学金を借りている場合、scholarship とだけ言うと、聞き手には返済のいらないお金として伝わります。

△

I have a scholarship, so I have to pay it back after I graduate.scholarship と pay back が並び、聞き手は一瞬混乱する

○

I have a student loan, so I have to pay it back after I graduate.返済が必要なお金だとすぐに伝わる

日本学生支援機構(JASSO)の英語のページは、奨学金を Scholarship Grants(返済不要)と Scholarship Loans(返済が必要)の2つに分けて説明しています。日本語ではどちらも「奨学金」ですが、英語の制度名でも、返すかどうかで語を分けているわけです。

スピーキングで自分の状況を話すなら、返済が必要なものは student loan、返済のいらないものは scholarship と言い分けると、誤解が生まれません。制度の名前を正確に言うことよりも、返すお金かどうかが伝わることのほうが大切です。

I'm paying back a student loan from my university days, so I'm trying to keep my living costs down.
大学時代の奨学金を返しているので、生活費をなるべく抑えるようにしています。

I got a scholarship that I don't have to pay back, which made a huge difference to my family.
返済のいらない奨学金をもらえたのは、家族にとってとても大きなことでした。

04会社が費用を出してくれることは英語でどう言うか

会社が受験料や授業料を出してくれる話を、scholarship で言おうとする人もいます。

△

I got a scholarship from my company.会社に社内奨学金の制度があるなら通じる。費用を出してもらっているだけなら大げさに響く

○

My company is paying for my IELTS course.会社が講座の費用を出してくれている

会社によっては、留学を支援する制度を社内奨学金と呼んでいて、選考もあります。その場合は a company scholarship と言っても内容と合います。一方で、業務に必要な英語の勉強の費用を会社が持っているだけなら、scholarship は実態より大きく聞こえます。ふつうの動詞で、誰が何の費用を払っているかを言うほうが自然です。

言いたいこと英語
会社が費用を出してくれているMy company is paying for my English lessons.
受験料は会社が負担してくれるMy employer covers the cost of the exam.
あとで会社から払い戻されるThe company will reimburse me for the exam fee.
会社の派遣でMBAに行くMy company is sponsoring me to do an MBA in the UK.

cover the cost は「費用をまかなう」、reimburse は「立て替えたお金を払い戻す」です。いったん自分で受験料を払い、スコアが出たあとに会社から戻ってくる仕組みなら、reimburse がぴったり合います。sponsor は、会社が費用を持って社員を留学や研修に送り出す場合によく使われます。

「福利厚生」を持ち出さなくていい

会社の制度であることを言いたくて、福利厚生にあたる benefits を探す人もいます。My company has a benefit for English study. のように言うより、It's part of our training programme. や My company supports employees who want to study English. と、会社が何をしてくれるのかを動詞で言うほうが、聞き手に伝わりやすくなります。

05スコアが条件になっていることをどう伝えるか

奨学金や会社の制度にIELTSのスコアが関わっているなら、その条件まで話すと、受験の理由がはっきりします。Part 1 で Why are you taking the IELTS test? や Do you work or are you a student? と聞かれたときに使える形です。

言いたいこと英語
奨学金に7.0が必要The scholarship requires an overall score of 7.0.
7.0を取れば応募資格ができるI need a 7.0 to be eligible for the scholarship.
応募しようとしているI'm applying for a scholarship to study in Canada.
7.0を取れば会社が授業料を出してくれるIf I get a 7.0, my company will pay for my tuition.

apply for は応募する段階、get や be awarded はもらえた段階です。まだ結果が出ていないのに I got a scholarship と言うと、話が先に進みすぎてしまいます。be eligible for は「〜の資格がある」で、スコアが応募の条件になっている話にそのまま使えます。

回答例

Q. Why are you taking the IELTS test?

I'm applying for a scholarship to do a master's degree in the UK, and it requires an overall score of 7.0. If I get it, it will cover my tuition fees and give me a monthly stipend, so it's really important for me. Honestly, without it, I couldn't afford to study abroad.

応募していること、スコアの条件、もらえたら何がまかなわれるか、の3つがそろっていて、話の筋がつかみやすい回答です。学費は scholarship、毎月の生活費は stipend と、1つの答えの中で語を使い分けています。

Part 3 では subsidy と grant の出番がある

Part 3 で教育の費用が話題になると、個人ではなく政府や社会の役割を論じることになります。ここでは、01で避けた subsidy が本来の意味で使えます。

Some people argue that the government should subsidise university education so that it is affordable for everyone.
大学教育を誰でも受けられる費用にするため、政府が補助すべきだと考える人もいます。

I think grants are fairer than loans, because students don't start their careers in debt.
学生が借金を抱えて社会に出ずに済むので、貸与より給付のほうが公平だと思います。

自分の話では pay for や scholarship、社会の話では subsidise や grant、と場面で分けておくと、Part 1 と Part 3 で語を取り違えにくくなります。

スピーキング トピック別表現シリーズ:学びと仕事について話す表現を3段階で学ぼう【第6回】

06よくある質問

奨学金は英語で scholarship と言えばいいですか

返済のいらない奨学金なら scholarship で伝わります。返す必要があるものは、英語では student loan と言うほうが誤解がありません。scholarship と聞くと、多くの聞き手は返済のいらないお金を思い浮かべます。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は英語でどう言えばいいですか

JASSO の英語のページでは、返済不要のものを Scholarship Grants、返済が必要なものを Scholarship Loans と呼んでいます。スピーキングで自分の話をするなら、返済が必要なものは student loan、返済のいらないものは scholarship と言い分けると伝わりやすくなります。

会社の補助を subsidy と言うのは間違いですか

文法の誤りではありませんが、subsidy は主に政府が産業や事業に出すお金を指すので、個人の授業料の話に使うと制度の説明のように響きます。My company is paying for my lessons. や My employer covers the cost of the exam. のほうが自然です。社員向けの講座を会社が一部負担しているなら、形容詞の subsidised を使うこともあります。

scholarship と grant はどう使い分けますか

scholarship は、団体が選考を経て、学ぶ人の学費のために出すお金です。grant は、政府や公的機関などが研究や学業といった特定の目的のために出すお金です。人を選んで出すのが scholarship、目的に対して出すのが grant と覚えておくと、迷いにくくなります。

stipend と salary は何が違いますか

stipend は、生活費などとして決まった額を定期的に払うお金で、働いた量に応じた対価ではありません。大学院の博士課程で毎月受け取る生活費が典型です。働いた分への対価として払われるのが salary です。

会社がIELTSの受験料を払ってくれることは英語でどう言いますか

My employer covers the cost of the exam. や My company is paying for the exam. と言います。いったん自分で払い、あとで会社から払い戻される仕組みなら、The company will reimburse me for the exam fee. が合います。

奨学金に応募中のときに I got a scholarship と言ってもいいですか

get はもらえた段階を表すので、まだ結果が出ていないなら I'm applying for a scholarship. と言います。スコアが条件になっているなら、I need a 7.0 to be eligible for the scholarship. のように条件まで添えると、受験の理由が伝わります。

07まとめ

奨学金や会社の補助を英語で話すときは、お金を出すのは誰か、何のためのお金か、返す必要があるかを先に考えると、使う語を選びやすくなります。

  • 学ぶ人が選ばれて受け取る学費は scholarship。動詞は get・win・be awarded
  • 政府や団体が研究や学業などの目的に出すお金は grant
  • 毎月決まって払われる生活費は stipend。働いた分への対価ではない
  • 返す必要がある日本の奨学金は student loan と言うと誤解がない
  • 会社が費用を出してくれる話は pay for・cover the cost・reimburse・sponsor で言う
  • subsidy は政府の役割を論じる Part 3 向き。自分の授業料の話は pay for や cover で言う

受験の理由に奨学金や会社の制度が関わっているなら、それは話の材料になります。応募していること、スコアの条件、もらえたら何がまかなわれるかを英語で言えるようにしておくと、Part 1 の答えがそのまま具体的になります。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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