第4文型を取れない動詞は、人を受ける前置詞によって to・with・of や on の3系統に分かれます。
02to で人を受ける動詞:explain・suggest・introduce
いちばん数が多いのがこの系統です。物を先に置き、人を to で受けます。語順が日本語と逆になるので、書いているうちに元に戻ってしまいます。
2-1 説明する・提案する系を第4文型で書く
✗
He explained me the reason.
○
He explained the reason to me.
✗
She suggested me a different approach.
○
She suggested a different approach to me.
なぜ書き間違えるのか
explain も suggest も、日本語では「私に説明する」「私に提案する」と人が先に立ちます。しかも He explained the reason. や She suggested a different approach. のように、人を省いても文として成立する語です。だから人を足したくなった段階で、手前に差し込むしかないように見えてしまいます。
回答では何が起きるか
この誤りは、意味そのものは伝わります。ただし採点基準(Band Descriptors)の Grammatical Range and Accuracy では、文の骨格にあたる部分の正確さが見られています。目的語の取り方を外した文が続くと、この観点で不利になります。しかも explain は「説明する」「述べる」という意味でライティング・タスク2に出てきやすく、1本の回答で何度も繰り返してしまいます。
書くときのポイント
人を足したくなったら、文の最後に to をつけて足します。人を先に置く道は最初から閉じておくと、書きながら迷いません。
なお、目的語が長いときは、to 人 のほうが先に来ます。これは正しい形です。
He explained to me why the policy had failed.
She suggested to the committee that the deadline be extended.
短い目的語を先に置き、長い目的語をうしろに回す並べ方で、explain me のように人を裸で置いている形とは別のものです。to は落ちていません。
2-2 紹介する・発表する系を第4文型で書く
✗
Let me introduce you my colleague.
○
Let me introduce my colleague to you.
✗
The university announced us the results.
○
The university announced the results to us.
introduce you my colleague は、語順を入れ替えると「あなたを同僚に紹介する」という別の話に読めてしまいます。introduce A to B は「AをBに紹介する」なので、紹介される側がAの位置に来ます。誰を誰に会わせるのかが逆転するため、意味の面でも影響が出ます。
announce は、発表の相手が明らかなときには人ごと落とします。The university announced the results. のほうが自然に読めます。相手をはっきり示したいときだけ to us を足します。
2-3 say を tell と同じように使う
✗
Please say me your name.
○
Please tell me your name.
○
Say hello to your parents for me.
say と tell は日本語ではどちらも「言う」「伝える」と訳せますが、目的語の取り方が違います。tell は人を直接受けられるので tell me the truth となり、say は人を to で受けるので say something to me となります。IELTSスピーキングの Part 1 でも出やすい形なので、tell が人、say が内容と結びつくものとして覚えておくと迷いません。
to で人を受ける動詞
動詞
正しい形
例文
explain(説明する)
explain 物 to 人
He explained the rules to me.
describe(描写する)
describe 物 to 人
She described the process to the class.
suggest(提案する)
suggest 物 to 人
She suggested a new plan to him.
propose(提案する)
propose 物 to 人
They proposed a solution to us.
announce(発表する)
announce 物 to 人
The director announced the news to everyone.
introduce(紹介する)
introduce 人・物 to 人
I would like to introduce my friend to you.
mention(言及する)
mention 物 to 人
He mentioned the problem to his manager.
report(報告する)
report 物 to 人
They reported the incident to the police.
say(言う)
say 物 to 人
She said nothing to the interviewer.
deliver(届ける)
deliver 物 to 人
Please deliver the package to my room.
deliver だけは、話し言葉で deliver me the package のような形を聞くことがあります。文として通じてはいますが、書き言葉では deliver the package to me が標準です。
to の系統と紛らわしいのが、with を使う動詞です。こちらは人が先に来るので、第4文型に近い見た目になります。ただし人と物のあいだに with が入ります。
3-1 provide で with を落とす
△
They provided us information.見かける形だが、ライティングでは避ける
○
They provided us with useful information.人 + with + 物
○
They provided useful information to us.物 + to + 人
provide には2つの形があり、どちらを選ぶかで人と物の順番が入れ替わります。人を先に出したいなら with、物を先に出したいなら to か for を使います。provide me a copy のように前置詞を落とした形を見かけることはありますが、ライティングでは上の2つのどちらかで書くほうが確実です。
なぜ落としてしまうのか
provide us with information は、日本語の「私たちに情報を提供する」とほぼ同じ順番です。順番が合っているぶん、with の存在を意識しないまま書き進められます。to の系統のように語順が逆転していれば違和感で気づけますが、この系統は前置詞1語が消えるだけなので、読み返しても見落としやすくなります。
3-2 present を give と同じ形で書く
△
They presented him a gift.
○
They presented him with a gift.
○
They presented an award to the winner.
present は give と意味が近く、give him a gift が成立するので同じ形に引きずられます。改まった場面で使う語なので、ライティング・タスク2やジェネラル・トレーニングのタスク1では、形を外すと目立ちます。
with で人を受ける動詞
動詞
人を先に出す形
物を先に出す形
provide(提供する)
provide 人 with 物
provide 物 to / for 人
supply(供給する)
supply 人 with 物
supply 物 to 人
present(贈る・提示する)
present 人 with 物
present 物 to 人
equip(備えつける)
equip 人 with 物
(この形は使わない)
この4語は、受け取る側を主語にした受動態でもよく出てきます。Students are provided with free laptops. や The building is equipped with solar panels. のように、with がそのまま残ります。受動態にしたときに with が見えていれば、能動態でも落ちていないか確かめられます。
04of や on で受ける動詞:deprive・rob・impose
3つめの系統は、to でも with でもない前置詞を使う動詞です。数は少ないのですが、ライティング・タスク2で社会問題を論じるときに出てくる語が集まっています。
4-1 奪われる物を、動詞の直後に置く
✗
The war deprived them their homes.
○
The war deprived them of their homes.
✗
Someone robbed her her purse.
○
Someone robbed her of her purse.
deprive と rob は、動詞の直後に置くのが「奪われる側」で、奪われる物は of で受けます。日本語の「彼らから家を奪った」を語順どおりに並べると、them のあとに their homes が続いてしまいます。
rob については、steal との違いもあわせて押さえておくと混乱しません。rob は奪われる人や場所を目的語に取り、steal は奪われる物を目的語に取ります。They robbed the bank. と They stole the money. で、目的語の中身が入れ替わります。
They robbed the bank.
They stole the money from the bank.
Poverty deprives children of educational opportunities.
3つめの形は、ライティング・タスク2で教育や貧困を論じるときに使えます。be deprived of という受動態でも頻出します。
4-2 impose で人を先に置く
✗
The government imposed citizens heavy taxes.
○
The government imposed heavy taxes on citizens.
impose は、ここまで見てきた動詞と語順が逆になります。動詞の直後に来るのは課される物のほうで、課される人は on で受けます。「市民に重い税を課す」という日本語から入ると、citizens が先に出てしまいます。
この形は、税や規制を論じるタスクで出番があります。impose a ban on、impose restrictions on、impose a fine on と、物の部分を入れ替えて応用できます。
4-3 forgive は第4文型も取れる
一方、forgive のように第4文型を取れる動詞もあります。ふだんは forgive 人 for 物 の形で使いますが、forgive 人 物 という並びも成立します。
○
I cannot forgive him for what he said.
○
Please forgive me my bluntness.改まった響きになる
2つめの形は、謝罪や許しを求める改まった文脈で使われます。ただし目的語に来る名詞が限られ、日常的な話題では扱いにくいので、ライティングでは forgive 人 for 物 のほうが安定します。
forgive を例外として覚える必要はありません。forgive は for- と give が結びついてできた、古くから英語にある語です。give と同じ形を取れるのは、次の節で見る目安のとおりです。
Some people think that schools are no longer necessary because people can acquire information on the Internet. To what extent do you agree or disagree?
情報を「与える」「説明する」という話が中心になるので、この記事で扱った動詞がそのまま出てきます。
✗
The Internet provides students a vast amount of information.
○
The Internet provides students with a vast amount of information.
✗
Teachers can explain students the background of a topic.
○
Teachers can explain the background of a topic to students.
2つめの文は、人が長い目的語の手前に入り込んでいる形です。Teachers can explain to students why a theory matters. のように、to を足したうえで人を前に出す形も使えます。
タスク
Governments in many countries have recently introduced special taxes on foods and beverages with high levels of sugar. Some think these taxes are a good idea while others disagree. Discuss both views and give your opinion.
税や規制を論じるタスクでは、impose が使いやすくなります。ここでも語順に注意が要ります。
✗
The government imposed consumers a tax on sugary drinks.
○
The government imposed a tax on sugary drinks.
○
Such a policy imposes an additional burden on low-income households.
impose の on のうしろに来るのは、課される人(citizens、households)とは限りません。a tax on sugary drinks のように、課税の対象となる物が来ることもあります。どちらの場合も、動詞の直後に置くのは課される物のほうです。
タスクの英文に出てくる introduced も、この記事の introduce と同じ語です。ただしここでは「紹介する」ではなく「制度として導入する」という意味で、人は出てきません。introduce a tax、introduce a policy、introduce a system のように、制度を目的語に取ります。同じ語でも、意味によって取れる形が変わります。
その形にはなりません。explain は動詞のうしろに人と物を並べて置けないためです。explain the rule to me のように、物を先に置いて人を to で受けます。describe、suggest、propose、announce、introduce、mention、report、say も同じ仲間です。
explain to me why ... のように to 人 が先に来ているのは誤りですか。
正しい形です。目的語が長いときは、短い to 人 のほうを先に置きます。He explained to me why the policy had failed. のような形です。explain me のように人を裸で置いている形とは別のもので、to は落ちていません。
provide us information は誤りですか。
この形を見かけることはありますが、ライティングでは避けるほうが確実です。provide us with information か provide information to us のどちらかで書きます。supply、present、equip も同じく with を使います。
tell と say はどう使い分けますか。
目的語の取り方が違います。tell は人を直接受けられるので tell me the truth となり、say は人を to で受けるので say something to me となります。Please say me your name. の形にはなりません。
rob と steal はどちらに人を置きますか。
rob は奪われる人や場所を目的語に取り、steal は奪われる物を目的語に取ります。They robbed the bank. と They stole the money from the bank. で、目的語の中身が入れ替わります。奪われる物を rob で示すときは、rob her of her purse のように of で受けます。
impose はなぜ人が先に来ないのですか。
impose は課される物を目的語に取り、課される人を on で受ける動詞だからです。The government imposed heavy taxes on citizens. の形になります。impose a ban on、impose restrictions on のように、物の部分を入れ替えて使えます。
forgive me my sins のような形は誤りですか。
forgive は第4文型も取れるので、この形は成立します。ただし改まった響きがあり、目的語に来る名詞も限られます。ライティングでは forgive him for his mistake のように for で受ける形のほうが安定します。
第4文型を取れるかどうか、動詞ごとに覚えるしかないのでしょうか。
迷ったときは第3文型に倒す手があります。第4文型を取れる動詞は、ほぼすべて give a dictionary to me のように物と前置詞と人の順にも書き換えられるためです。前置詞は to が基本で、buy や make だけ for になります。ただし provide、supply、present、equip の4語は with を使うので、ここは個別に覚えておきましょう。
08まとめ
日本語の「人に」「物を」という並びは、英語にするときそのまま語順に流れ込みます。give や tell のようにその並びで書ける動詞があるので、explain や provide でも通ると思い込みやすくなります。
取れない動詞は、人を前置詞で受けます。前置詞は to・with・of や on の3系統に分かれ、どの系統かは意味から割り出せません。語源による目安もありますが、offer や award のような反例があるので、これだけで決められません。実際に書くときは、動詞の直後に人が裸で置かれていないかを探し、give型でなければ前置詞を足すか語順を入れ替えます。
to の系統:explain・describe・suggest・propose・announce・introduce・mention・report・say・deliver は、物を先に置いて to 人 で受ける
with の系統:provide・supply・present・equip は、人を先に置いて with 物 で受ける。物を先に出すなら to や for を使う
of や on の系統:deprive 人 of 物、rob 人 of 物、impose 物 on 人。impose だけ語順が逆になる