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ライティング・タスク2

These days, some people think that ... の書き出しの据わりが悪い理由:副詞が予告する対比

執筆:高橋 響 公開日: 最終更新:

イントロダクションの冒頭に、These days, some people think that … while others believe that … といった書き出し方をよく見かけます。while を使った対比は Discuss both views タイプでは定番の形ですし、イントロの1文目を These days, … からはじめるのも常套手段かもしれません。

ただ、それらが組み合わさったときに、英語話者にはやや違和感を覚えることがあるそうです。それは、these days が読み手にある「予告」をしているからです。

この記事では、These days, some people think that … while others believe that … という書き出しがなぜ文法的には正しいのに、どこか据わりが悪く感じられるのかを考えます。

01These days, some people think that ... は間違いなのか

結論から言えば、間違いではありません。文法にも語法にも問題のない文です。

These days, some people think that X, while others believe that Y.

some people と others を対にして二つの立場を並べる形は、英語として標準的なものです。that節の作り方も、while の使い方も、These days を文頭に置いてコンマで区切る形も、いずれも規則どおりに書けています。ここだけを取り出して誤りだと指摘することはできません。

この文型が正しいことは、ライティング・タスク2で実際に出されているタスクを見れば分かります。

タスク

Some people think the government should provide free housing, while others believe it is not the government’s responsibility. Discuss both views and give your opinion.

タスクを作る側がこの構文を使っている以上、構文そのものを文法の誤りとは言えません。think と believe を入れ替えているところまで、受験者が書くものとよく似ています。同じ動詞が2回続くのを避けて言い換えることも、それ自体が減点の対象になるわけではありません。

手を入れるとすれば、その前に置いた These days のほうです。構文そのものは問題ありません。

02these days が予告するのは、昔と今の対比

these days が指しているのは、昔と引き比べたうえでの「今」です。Cambridge Dictionary は次のように説明しています。

Cambridge Dictionary

these days: used to talk about the present time, in comparison with the past

in comparison with the past、つまり「昔と比べて」という部分がこの語の中心にあります。these days を文頭に置いた瞬間に、読み手は「(以前と変わって)今は」と読みます。副詞が不必要な約束をしてしまうわけです。

実際に These days, ... がタスクに使われている例文を見るとよくわかります。

タスク

These days more and more people are going to other countries for a significant period either to find a job or study.

タスク

These days, older people who have retired often choose to spend money on themselves (for example on holidays) rather than save money for their children.

1つ目の more and more people には「以前より増えている」、2つ目の rather than save money for their children には「以前はそちらが普通だった」という内容が文に含まれています。副詞が予告した昔と今の差が、そのまま文の中身になっています。

ここから、these days が機能する条件が見えてきます。うしろに来るのが、時間の経過で動いたものであること。増えた、広まった、減った、変わったといった内容が文の中にあることです。

03そのあとに来るのは、人と人の対比

冒頭の書き出しを、実際のタスクに当てはめてみます。

タスク

Some people think that dangerous sports should be banned. Others, however, believe that people should be free to choose sports activities. Discuss both these views and give your own opinion.

△

These days, some people think that dangerous sports should be banned, while others believe that individuals should be free to choose which sports they take part in.文法は正しい。ただし These days が予告した昔と今が、この文のどこにも出てこない

○

Some people think that dangerous sports should be banned, while others believe that individuals should be free to choose which sports they take part in.副詞を外すと、人と人の対比だけが残って噛み合う

some people ... while others ... が並べているのは、同じ時代を生きる人と人の対比です。時間軸は文の最初から最後まで動きません。These days が予告した「昔と今」は、この文のどこにも現れないまま終わります。読み手は、その副詞が何のために置かれたのか分からないまま次の文へ進みます。

副詞に意味を持たせて読もうとすると、今度は別の問題が出ます。「この論点で意見が分かれるようになったのは最近のことだ」という主張になるからです。しかしタスク2で扱われる論点の多くは以前から議論されてきたもので、最近になって割れ始めたと読ませる理由はありません。この主張はボディでも裏づけられないまま残ります。書き手が裏づけるつもりのない主張が、冒頭に残ることになります。

日本語の「最近では」と同じつもりで置いている

この書き出しをする人が多いのはなぜでしょうか。日本語の「最近では、〜という人もいれば、〜という人もいます」は、そのまま読んで自然だからです。日本語の「最近では」は、昔との差を打ち出すというより、これから話す範囲を示すために使われることがあります。だから、うしろが人と人の対比でも収まります。

これを these days に置き換えると、in comparison with the past のほうが前に出てしまいます。訳としては対応していても、文の中での役目が同じではありません。

時間の対比を本当に入れたいとき

時を表す表現を置くこと自体が悪いわけではありません。置くなら、時間の経過で動いたものにかければ済みます。次のタスクがその形になっています。

タスク

In recent years, there has been growing interest in the relationship between equality and personal achievement. Some people believe that individuals can achieve more in egalitarian societies. Others believe that high levels of personal achievement are possible only if individuals are free to succeed or fail according to their individual merits.

In recent years がかかっているのは growing interest です。関心が高まったという、時間で動いた事実に副詞がついています。そのうえで、二つの立場はそのあとの別々の文で示されています。副詞がかかる相手と両論を示す文が分かれているので、どちらの役目もはっきりします。

回答でも同じ組み立てができます。1文目で時間とともに変わったことを書き、2文目で両論を示す。冒頭の書き出しなら、副詞を外すほうで十分です。時間の変化まで述べたいときにだけ、それを書く1文を足します。

04タスクがすでに時間枠を持っている

もう一つ、回答の側の事情があります。ライティング・タスク2では、時を表す表現から始まるタスクがあります。

タスク

Nowadays, most children prefer to spend several hours playing with electronic devices over doing more traditional leisure activities.

タスク

Today, many people do not know their neighbours in large cities.

タスク

These days more people put their personal information, such as names, addresses and telephone numbers, online for everyday activities such as socialising on social networks or banking purposes.

タスクがこの形で始まっているところに、自分のイントロを These days, で受けると、同じ時間枠を2回宣言することになります。読み手の側からは、タスクの Nowadays を These days に差し替えただけに見えます。

語彙の評価という点でも有利にはなりません。Lexical Resource で見られているのは語彙の幅・正確さ・使い方の適切さで、タスクの語を自分の言葉に置き換えられるかどうかはその一部です。時を表す副詞を、別の時を表す副詞に差し替えただけでは、幅を示したことになりません。

these days をエッセイで使ってはいけないのか

使ってかまいません。この記事で挙げてきたタスクにも、These days で始まるものがあります。タスクを作る側が使っている表現を、回答では使えないと考える理由はありません。

ただし、語感には幅があります。同じ Cambridge でも、Cambridge Academic Content Dictionary は、単に now の意味で使う these days に informal のラベルを付けています。イントロの1文目という位置で迷うのであれば、In recent years や Currently のほうが収まりがよいでしょう。

05副詞を置く前に、回収するものがあるかを見る

ここまでは these days の話でしたが、同じズレは他の副詞でも起きます。副詞は読み手に先回りして予告をするので、そのぶんの内容がうしろの文に書かれていないと、どれも同じように浮きます。置くかどうかは、次の手順で決められます。

ステップすること確かめること
1書いた副詞をいったん消して読み直す文の意味が変わるか
2意味が変わらなければ、副詞を戻さないー
3意味が変わるなら、何が変わったかを言葉にするその内容がうしろの文に書かれているか

手順3で「書かれていない」となったときの選択肢は2つです。副詞を戻さずに書き進めるか、回収する内容を1文足してから戻すか。冒頭の書き出しは、前者を選べばそのまま解決します。

予告を回収し損ねやすい副詞

副詞予告する対比回収に必要なもの
these days・nowadays・in recent years昔と今時間の経過で動いたことの記述
however・on the other hand直前の情報との対立直前の文に、実際に対立する内容があること
actually・in fact読み手の予想と実際予想にあたる内容が直前に置かれていること
therefore・thus前の内容からの帰結前の文が根拠として成り立っていること

どれも、うしろの文を書いてから副詞を置くかどうかを決めると、ズレが起きません。先に副詞を置いてから中身を考えると、予告だけが残ります。イントロの1文目は、この順番が逆になりやすい場所です。

1文目に何を書くかという選択肢そのものは、次の記事で整理しています。時を表す表現と時制の組み合わせも、別の記事にまとめています。

ライティング・タスク2 IELTS Writing Task2 イントロの1文目に何を書くか|定型文・トレンド型・柔軟な導入の使い分け ライティング・タスク2 時を表す表現と時制:today・recently・in recent years に合う時制の選び方

イントロだけを繰り返し書く練習をすると、この判断は速くなります。

06よくある質問

These days, some people think that ... while others believe that ... という書き出しは文法的に間違いですか?

間違いではありません。ライティング・タスク2のタスクにも Some people think ... , while others believe ... の形で書かれたものがあり、構文そのものは標準的な英語です。手を入れるとすれば、その前に置いた These days のほうになります。

なぜ these days を置くと不自然に感じるのですか?

these days は「昔と比べて今は」という対比を予告する副詞だからです。ところが some people ... while others ... が並べているのは同じ時代の人と人の対比で、時間軸は動きません。予告した昔と今が最後まで出てこないため、据わりが悪くなります。

these days はIELTSのエッセイで使ってはいけないのですか?

使ってかまいません。ライティング・タスク2のタスクにも These days で始まるものがあります。ただし Cambridge Academic Content Dictionary は、単に now の意味で使う these days に informal のラベルを付けています。イントロの1文目で迷うのであれば、In recent years や Currently のほうが収まりがよいでしょう。

副詞を外すだけで直りますか?

直ります。Some people think that ... , while others believe that ... とすれば、人と人の対比だけが残って落ち着きます。冒頭の書き出しは、副詞を戻さずに書き進めるという選択でそのまま解決します。

時間の対比をどうしても入れたいときは、どう書けばよいですか?

時間の経過で動いたものに副詞をかけます。In recent years, there has been growing interest in ... のように、関心が高まったという動いた事実に副詞をつけ、二つの立場はそのあとの別の文で示します。こうすると、副詞がかかる相手と両論を示す文が分かれます。

タスクが Nowadays で始まっていたら、イントロで時を表す表現は使えませんか?

使えないわけではありませんが、同じ時間枠を2回宣言することになります。読み手からはタスクの Nowadays を These days に差し替えただけに見えますし、時を表す副詞を別の時を表す副詞に置き換えただけでは、Lexical Resource で見られている語彙の幅を示したことになりません。

think と believe を入れ替えるのは意味がありますか?

同じ動詞が2回続くのを避けるための入れ替えで、それ自体が減点の対象になるわけではありません。ライティング・タスク2のタスクも、1つの文の中で think と believe を使い分けています。

副詞を置くかどうかは、その場でどう判断すればよいですか?

書いた副詞をいったん消して読み直し、文の意味が変わるかを見ます。変わらなければ戻しません。変わるなら、何が変わったかを言葉にして、その内容がうしろの文に書かれているかを確かめます。書かれていなければ、副詞を戻さないか、回収する内容を1文足します。

07まとめ

冒頭の書き出しは、副詞を外して書き進めれば解決します。同じ見方は、他の副詞を置くときにも使えます。

  • These days, some people think that ... while others believe that ... は文法的な誤りではない。タスクそのものが同じ文型を使っている
  • 引っかかりの正体は these days のほう。この副詞は「昔と比べて今は」という対比を予告する
  • some people ... while others ... が並べるのは人と人の対比で、時間軸は動かない。予告した昔と今が回収されないまま文が終わる
  • 副詞に意味を持たせて読むと「意見が分かれるようになったのは最近だ」という、回答が裏づけにいかない主張になる
  • 日本語の「最近では」は話す範囲を示すために使われることがあるが、these days は昔との比較のほうが前に出る
  • 時間の対比を入れるなら、growing interest のように時間で動いたものに副詞をかけ、両論は別の文で示す
  • タスクが時を表す表現で始まることがある。そこへ These days で受けると時間枠が二重になる
  • 副詞は、うしろの文を書いてから置くかどうかを決める

次にイントロを書くときは、1文目の副詞をいったん外して読み直すところから始めてみるとよいでしょう。外しても意味が変わらないなら、その副詞は最初から必要なかったと判断できます。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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