Overallさえクリアできればよい、という場合、苦手な技能を伸ばすべきか、それとも得意な技能をさらに伸ばすべきか、悩むところです。たとえば、Overall 7.5が必要で、リーディング8.5、リスニング7.5、ライティング6.5、スピーキング6.0(Overall 7.0)のようにアウトプット系が苦手な場合、苦手分野を底上げするよりも、得意なリーディングやリスニングであと1〜2問を上積みするほうが、目標達成への近道になることもあります。一方で、スコアが上限に近づくほど、さらに点を伸ばすのは難しくなるというジレンマもあります。
目次
IELTSのOverallはどう計算されるのか:.25と.75は切り上がる
目標のOverallに必要な4技能の合計は何点か
得意技能をもう0.5上げるのは、どのくらい近いのか
得意技能で稼ぐ計画が崩れやすいのはどんなときか
どの技能に時間を使うかを、どう決めればいいのか
よくある質問
まとめ
01 IELTSのOverallはどう計算されるのか:.25と.75は切り上がる
Overallは、4技能のスコアを平均し、0.5刻みに丸めて出します。平均の端数が.25なら次の0.5に、.75なら次の整数に切り上がり、.125や.625のような端数は近いほうに丸められます。IELTS公式サイトでも、.25と.75は切り上げると説明されています。
L R W S 合計 平均 Overall
7.5 8.5 6.5 6.0 28.5 7.125 7.0
7.5 8.5 6.5 6.5 29.0 7.25 7.5
8.0 8.5 6.5 6.0 29.0 7.25 7.5
7.5 9.0 6.5 6.0 29.0 7.25 7.5
1行目が冒頭に挙げたスコアの例で、平均は7.125、Overallは7.0です。2行目から4行目のようにどこか1つの技能が0.5上がれば、どの技能でも合計は29.0になり、Overallは7.5に届きます。Overallだけを見るなら、どの技能で0.5を足しても結果は変わりません。
なお、この丸め方はOverallの計算に使われるものです。ライティングとスピーキングの中で採点項目を平均するときは、端数を切り下げると一般に説明されていて、扱いが異なります。4技能のスコアを入れてOverallを確かめたいときは、次の計算ツールが使えます。
無料ツール
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02 目標のOverallに必要な4技能の合計は何点か
.25と.75が切り上がるので、目標のOverallに届くための4技能の合計は、目標×4より1点少ない数になります。たとえばOverall 7.5なら、平均7.25で届くので、合計は29.0です。
目標のOverall 届く平均の下限 必要な4技能の合計
6.0 5.75 23.0
6.5 6.25 25.0
7.0 6.75 27.0
7.5 7.25 29.0
8.0 7.75 31.0
いまの4技能の合計とこの表を比べると、あと何点足りないのかが分かります。冒頭の例は合計28.5なので、足りないのは0.5です。合計が26.5でOverall 7.0を目指すなら、足りないのは同じく0.5で、どの技能で取ってもかまいません。
技能ごとの最低点がある場合
ここまでの計算は、提出先がOverallだけを求めている場合の話です。「Overall 7.0, with a minimum of 6.5 in each component」や「Overall 6.5, Writing 6.0」のように技能ごとの最低点が決まっていて、そこに届いていない技能があるなら、その技能を上げることが先になります。得意技能でOverallを上げても、最低点に届かない技能が残っていれば、要件は満たせないためです。要件のページは、Overallの数字のあとに続く部分まで読んでおきましょう。
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03 得意技能をもう0.5上げるのは、どのくらい近いのか
リスニングとリーディングの高いバンドでは、0.5の差は正答数にして1問から数問です。数のうえでは近く見えますが、そのぶん、本番で1問落としただけで元のバンドに戻る幅でもあります。
IELTSは公式の換算表を公表していませんが、公式問題集などに示されている換算をもとにした目安では、次のようになります。実際の試験では、回の難易度によって前後します。
バンド リスニング(40問中) リーディング・アカデミック(40問中)
9.0 39〜40問 39〜40問
8.5 37〜38問 37〜38問
8.0 35〜36問 35〜36問
7.5 33〜34問 32〜34問
7.0 30〜32問 30〜31問
冒頭の例でリーディングを8.5から9.0に上げるには、40問中39問以上、つまり間違いを1問までに抑える必要があります。リスニングを7.5から8.0に上げるなら、35問以上が目安です。どちらも、模擬試験で1回出せたことより、本番で同じ正答数を出せることのほうが大切です。
ライティングとスピーキングの0.5は、採点項目のどこかを上げること
ライティングとスピーキングは、4つの採点項目に付いた整数のバンドから出されます。スピーキングを6.0から6.5に上げるには採点項目の合計を1つか2つ増やす必要があり、Band 6のままになっている採点項目を見つけてBand 7に上げることになります。どこが足りないのかが分かっていれば取り組むことははっきりしますが、分かっていなければ、練習量を増やしても狙いが定まりません。スピーキングの採点項目ごとの見方は、次の記事で解説しています。
スピーキング
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どちらの0.5が近いかは、得意か苦手かの区分だけでは判断できません。得意技能なら模擬試験のスコアがどれだけ安定しているか、苦手技能ならBand 6にとどまっている採点項目を特定できているかを、まず確かめてみるといいでしょう。
04 得意技能で稼ぐ計画が崩れやすいのはどんなときか
得意技能で稼ぐ計画は、その技能のスコアを本番で再現できることが前提です。模擬試験のスコアが上下している状態でこの前提に頼ると、本番で計画が崩れます。
✗
前回の本番でリーディング8.5が出たから、次も8.5以上は取れる1回の結果を、毎回出せるスコアとして計画に入れている
○
直近の模擬試験で、リーディングは8.0から8.5のあいだで出ている複数回の結果から、本番で見込める幅を計画に入れている
03の表のとおり、リーディングの8.5と8.0の差は2問程度です。前回8.5だった技能が次の本番で8.0になれば、ほかの技能で0.5上げても合計は変わらず、Overallも上がりません。得意技能で稼ぐつもりなら、上げる分だけでなく、いまのスコアを本番で落とさない分まで見込んでおく必要があります。
苦手技能に絞る計画にも、崩れやすいところがある
苦手技能を上げる計画にも、注意しておきたい点があります。採点項目のどこを直せばいいのかが分からないまま練習を続けると、時間をかけてもスコアが変わらないかもしれません。また、苦手技能にばかり時間を使っているあいだに、得意だったリスニングやリーディングの演習が止まり、そちらのスコアが下がるおそれもあります。苦手技能を上げる場合も、得意技能を維持する練習は続けておきましょう。
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05 どの技能に時間を使うかを、どう決めればいいのか
確かめることは2つです。1つは、得意技能の模擬試験のスコアが安定しているかどうかで、直近の模擬試験でいまのバンドを下回らずに出せているかを見ます。もう1つは、苦手技能で足りない採点項目を挙げられるかどうかです。この2つの組み合わせで、0.5をどこで取りにいくかが決まります。
得意技能のスコア 苦手技能の課題が分かっている 苦手技能の課題が分かっていない
安定している 得意技能が8.0以下なら得意技能で、8.5以上なら苦手技能で0.5を取りにいく 得意技能で0.5を取りにいく
模擬試験ごとに上下している 苦手技能の採点項目を上げて0.5を取りにいく 苦手技能の課題を録音や添削で特定する。そのあいだ、得意技能はいまのスコアを本番で出せるように安定させる
得意技能を8.0以下と8.5以上で分けているのは、03の表のとおり、0.5上げるのに必要な正答数が違うためです。8.0から8.5なら2問ほどの上積みで届きますが、8.5から9.0に上げるには、間違いを1問までに抑える必要があります。得意技能で取りにいくときも、8.0以下の技能を選びます。得意技能がどれも8.5以上で、苦手技能の課題も分かっていない場合は、右下と同じく課題の特定から始めましょう。
どの場合も、時間を使わないほうの技能は、下がらないように練習を続けておきます。
冒頭の例なら、上げるのはリスニング
冒頭の例(L7.5・R8.5・W6.5・S6.0)で、提出先がOverall 7.5だけを求めている場合です。得意技能のうち8.0以下なのはリスニングなので、リスニングの模擬試験で7.5以上が続けて出ているなら、8.0(40問中35問以上)を狙うのがいちばん近い0.5です。リーディングの9.0は間違いを1問までに抑える必要があり、こちらを狙う理由はあまりありません。
リスニングの模擬試験のスコアが7.0から8.0のあいだで上下しているなら、スピーキングに時間を移します。Band 6のままになっている採点項目が分かっていればそこに絞って練習し、分かっていなければ、録音や添削でそれを特定するところから始めます。
どのマスに当てはまるかは、受験を重ねると変わります。苦手技能の課題が分かれば左の列に、得意技能のスコアが安定すれば上の行に移ります。次の受験の前に、もう一度見直してみるといいでしょう。
目標までに必要な学習時間をどう見積もるかは、次の記事で試算しています。
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IELTSの目標スコアまでに必要な勉強時間は?現在のスコアと生活条件から学習期間を試算する方法
06 よくある質問
IELTSのOverallの平均が7.25だと、Overallは何点になりますか。
7.5になります。Overallは4技能の平均を0.5刻みに丸めて出し、端数が.25なら次の0.5に、.75なら次の整数に切り上がります。平均7.125なら7.0です。
Overall 7.5を取るには、4技能の合計は何点必要ですか。
合計29.0が必要です。平均7.25で7.5に切り上がるためです。同じ考え方で、Overall 7.0なら合計27.0、6.5なら合計25.0が目安になります。
Overallを上げるには、得意技能と苦手技能のどちらを伸ばせばいいですか。
Overallしか求められていないなら、どの技能で0.5を足しても結果は同じなので、近いほうを選びます。得意技能が8.0以下で、模擬試験のスコアが安定しているなら、その技能で0.5を取りにいくのが近いでしょう。得意技能が8.5以上の場合や、模擬試験のスコアが上下している場合は、苦手技能で足りない採点項目を特定して上げるほうが見込みを立てやすくなります。
各技能6.5以上という要件で、スピーキングだけ6.0のときはどうすればいいですか。
スピーキングを6.5に上げることが最優先です。ほかの技能でOverallが要件を超えても、最低点に届かない技能が残っていれば要件は満たせません。スピーキングを上げることで、Overallの不足も同時に埋まる場合があります。
リーディングを8.5から9.0に上げるには、何問正解すればいいですか。
アカデミックでは、40問中39問以上が9.0の目安です。IELTSは公式の換算表を公表しておらず、回の難易度によって前後します。間違いを1問までに抑えることを本番で再現できそうか、模擬試験の結果から見ておきましょう。
苦手技能に集中していると、得意技能が下がることはありますか。
演習が止まると下がることはあります。リスニングとリーディングの高いバンドでは、0.5の差が1問から数問なので、少しの取りこぼしでも結果が変わります。苦手技能に時間を使うあいだも、得意技能を維持する練習は続けておくといいでしょう。
ライティングやスピーキングの平均の丸め方は、Overallと同じですか。
同じではありません。Overallでは.25と.75が切り上がりますが、ライティングとスピーキングの中で採点項目を平均するときは、端数を切り下げると一般に説明されています。たとえば採点項目の平均が6.75なら、そのスコアは6.5です。
07 まとめ
Overallだけが求められているなら、得意技能のスコアが安定していて8.0以下のときは得意技能で0.5を取りにいきます。それ以外のときは、苦手技能で足りない採点項目を特定して上げます。
Overallは4技能の平均を0.5刻みに丸める。.25と.75は切り上がる
目標に届く4技能の合計は、目標のOverallに4を掛けた数より1点少ない。Overall 7.5なら合計29.0
リスニングとリーディングの高いバンドでは、0.5の差は1問から数問。上げる幅と同じだけ、落とす幅も小さい
得意技能で取るなら、模擬試験のスコアが安定している、8.0以下の技能を選ぶ
苦手技能で取るなら、足りない採点項目を特定してから練習量を増やす
技能ごとの最低点に届いていない技能があるなら、その技能が先
まずは提出先の英語要件に技能ごとの最低点がないかを確かめましょう。そのうえで得意技能の直近の模擬試験の結果を並べると、05の表のどのマスに当てはまるかが分かります。