では、自分で会社を経営している人は、自分の会社をどのように表現するでしょうか。そう言われると、my company は「私の(働いている)会社」なのか「私の(経営している)会社」なのか、わからなくなってきますね。もちろん、the company I work for のように説明することもできますが、ここで注目したいのは、日本語の「私の」という所有格と、英語の「my」という所有格の守備範囲の違いです。
01my company は「自分が経営する会社」という意味になるのか
my company は、ふつうは「自分が勤めている会社」の意味で読まれます。my は持ち主のほかに、「その人と結びついているもの」も表すからです。
ところが my を「自分が持っているもの」と考えていると、勤め先を my company と書くのが図々しく感じられます。その結果、日本語の「所属している」を直訳した、回りくどい英文を書いてしまいます。
△
I have worked for the company which I belong to for five years.文法上は成り立つが、「所属する」を直訳した回りくどい言い方
○
I have been with my current company for five years.今の会社に勤めて5年になります
Cambridge Dictionary は my を belonging to or connected with me と説明しています。勤め先や通っている学校は、後半の connected with me(自分と結びついている)にあたります。my company と同じ考え方で、次のような所有格もごく普通に使われます。
表現
指しているもの
my company
自分が勤めている会社
my school
生徒なら通っている学校、教員なら勤めている学校
my boss
自分の上司
my train(I missed my train.)
乗る予定だった電車
my seat
自分に割り当てられた席
どれも、話し手がその会社や電車を持っているわけではありません。「私が勤めている」「私が乗るはずだった」という結びつきを、my の1語で示しています。日本語の「うちの会社」にあたる our company も同じで、社員の一人として会社のことを話すときに使い、経営者であることは表しません。
ライティング・タスク2では、自分の体験を根拠に挙げるときにこの my が出てきます。
At my previous company, employees could work from home two days a week. (前に勤めていた会社では、週2日の在宅勤務が認められていました)
勤め先であることをはっきりさせたいなら、the company I work for という言い方もあります。初めてその会社を話題に出すときや、my company だと文脈から勤め先か経営している会社かが読み取りにくいときに使うと、誤解の余地がなくなります。
1-1 経営していることを伝えたいときは own か動詞で示す
my company だけで「自分が経営する会社」と読ませるのは、文脈に頼ることになります。経営者だと伝えたいなら、own を添えるか、経営していることを動詞で書きます。
I run my own company. (自分の会社を経営しています)
I started my own business three years ago. (3年前に起業しました)
She works for the company her father founded. (彼女は父親が創業した会社で働いています)
own は「ほかの誰のものでもない」と強調する語です。my company が勤め先でも経営している会社でも使えるのに対して、my own company は自分のものであることをはっきりさせます。ただし own は、要らない場面で足すとかえって不自然になる語でもあります。
コラム:own は単独では使えない
形容詞の own は、my や their などの所有格を強める語です。そのため、所有格を付けずに名詞の前で使うことはできません。日本語の「自分の会社」をそのまま訳したり、「オウンルーム」のような和製英語に引きずられたりして、an own company や own company と書くと誤りになります。
✗ I want to start an own company. ✗ I want to start own company. ○ I want to start my own company. ○ I want to start a company of my own.
a や some と一緒に使いたいときは、最後の例のように of one's own を名詞のあとに付けます。なお、I own a small company.(小さな会社を所有している)の own は「所有する」という意味の動詞で、こちらは所有格なしで使います。
次のタスクでは、1つの文の中で their children と children が書き分けられています。
More and more parents are allowing their children to play on computers and tablets as they think that children should learn technology skills. Do the advantages of this development outweigh the disadvantages?
前半の their children は「その親たち自身の子ども」、後半の children は「子ども一般」です。親が自分の子どもに許可していることと、子どもというものはこうあるべきだという考えが、所有格の有無で書き分けられています。
Some people think that employers should not pay attention to the way their employees dress because the quality of their work is more important.
2つ目の their work は、服装を問われている employees の仕事だと内容から読み取れます。motivation の文で読み取れないのは、ほめられて上がるやる気が教師のものでも生徒のものでも話が通ってしまうからです。their を書いたら、別の人を指すと読んでも文が成り立たないかを確かめておくと安全です。代名詞が何を指すかの明確さは、Coherence and Cohesion の採点基準でも reference の使い方として触れられています。
思われません。my company は、ふつうは自分が勤めている会社の意味で読まれます。my は持ち主だけでなく、その人と結びついているものを表すからです。経営していることを伝えたいなら、I run my own company. のように own を添えるか、動詞で書くと誤解がありません。
my company と the company I work for はどちらを使えばよいですか
どちらも自然な英語です。the company I work for は勤め先であることがはっきりする言い方で、初めてその会社を話題に出すときに使いやすくなります。I have been with my current company for five years. のように、文脈から勤め先だと分かるなら my company で十分です。
improve motivation と improve their motivation はどちらが正しいですか
teachers と students のように、人を表す名詞が2つ出てくる文で起きやすくなります。Teachers should praise students more often to improve their motivation. では、their が教師と生徒のどちらを指すかが文の形から決まりません。students' motivation と名詞で書くと、誰のやる気なのかがはっきりします。
Parents should spend more time with children. は間違いですか
文法上の誤りではありませんが、子ども一般と過ごす話にも読めます。言いたいのが親と自分の子どもとの関係なら、their children と書く必要があります。children や parents のように人と人の関係を表す名詞は、所有格を外すと一般の人の話として読まれやすくなります。
their own はどんなときに使いますか
ほかの人のものと区別したいときや、自分のものであることを強めたいときに使います。own は「ほかの誰のものでもない」と強調する語なので、Children who have their own bedrooms のように共有していないことが主張の中身になる文では必要です。スマートフォンを確認する習慣のように、他人のものと比べる文脈が無ければ their だけで十分です。
our society と書くのは避けたほうがよいですか
誤りではなく、実際に使われる言い方です。ただ our は書き手と読み手を同じ側に立たせる語り口になり、スピーチや啓発の文章に近づきます。賛否を論じるエッセイでは、society や the environment のように所有格を付けない形のほうが中立に響きます。
06まとめ
my や their は、持ち主のほかに、勤め先や家族のような結びつきも表します。勤め先を my company と呼べるのはそのためです。their children の their を落とすと一般の子どもの話に読めるのも、誰と結びついているかが示されなくなるからです。
my company は勤め先の意味で通じる。経営者であることは my own company や I run a company で示す