スピーキングで「言いたいことはあるのに、英語がスムーズに出てこない」「話している途中で何度も詰まってしまう」と悩んでいませんか?
スピーキングの流暢さを高めるには、ただ英語をたくさん話すだけでなく、同じ内容を繰り返し、少しずつ短い時間で話す練習が効果的です。
そこでおすすめなのが、4分・3分・2分と制限時間を短くしながら同じ話を繰り返す「4-3-2トレーニング」です。
スピーキングサミットでも実践しているこのトレーニングは、英語を組み立てるスピードを上げ、より自然でスムーズな発話を目指すための練習法です。
この記事では、4-3-2トレーニングの仕組みや効果、1人でもできる具体的な練習方法を解説します。IELTSスピーキングPart 2への活用方法や、流暢さの目安となるwpm(1分間に話す単語数)についても紹介します。
目次
4-3-2トレーニングとは:同じ話を4分・3分・2分で話す練習
時間を縮めると流暢さが上がる理由
1人で練習するときの進め方
Part 2のキューカードで試すとどう変わるか
4-3-2で伸び悩むときに見直すこと
よくある質問
まとめ
01 4-3-2トレーニングとは:同じ話を4分・3分・2分で話す練習
4-3-2トレーニングは、同じ話を3回、持ち時間を4分、3分、2分と短くしながら話す練習です。話す内容は3回とも変えません。英語教育の現場では1980年代から紹介されてきた方法で、ニュージーランドの応用言語学者ポール・ネーション(Paul Nation)が広めた練習として知られています。
もとの形では、話し手は毎回違う相手に向かって話します。1回目は4分かけて1人目に話し、2回目は同じ話を3分で2人目に、3回目は2分で3人目に話します。聞き手が替わるので、話し手にとっては毎回、初めて聞く人に伝える場面になります。
1回目の4分は、Part 2で話す2分より長めです。最初に時間に余裕をもって話しておくと、何を話すか、英語でどう言うかを考える時間がとれます。
回 時間 話し手がすること
1回目 4分 話の内容を決め、英語でどう言うかを探しながら話す
2回目 3分 同じ内容を、1回目より短い時間で話す
3回目 2分 同じ内容を、言いよどみや言い直しを減らしながら2分で話す
同じ話を時間を縮めて繰り返すと、3回目には話す速さが上がり、言いよどみが減ったという研究があるそうです。その変化がほかのトピックで話すときにどこまで残るかについては、見方が分かれているようです。1回やって終わりにせず、トピックを替えながら続けていく練習と考えておくとよいでしょう。
02 時間を縮めると流暢さが上がる理由
話しているあいだ、頭の中では、何を言うかを考えることと、それを英語の文にすることが同時に進んでいます。どちらにも手間がかかっていると、途中で言葉が出なくなったり、文を最初から言い直したりします。
4-3-2トレーニングでは、1回目の4分で話す内容を一通り考えます。2回目と3回目は何を話すかを考える必要がほとんどないので、英語の文を組み立てて口に出すことに集中できます。1回目に時間をかけて探した言い回しも、2回目にはすぐに出てくるようになります。
持ち時間が短くなっていくことにも意味があります。同じ内容を短い時間で話そうとすると、1回目のように言い直しを重ねたり、言葉を探して黙り込んだりしていては、時間内に話しきれません。言いかけた文を頭から言い直さずにそのまま先へ進む、短い文を2つつないで1つの文にする、といった話し方の変化は、時間に追われることで起こりやすくなります。
同じ質問に何度か続けて答える練習もよく使われますが、4-3-2トレーニングは、持ち時間を短くしていくことと、3回とも話す内容を変えないことの2点が違います。時間が同じままなら、2回目以降に新しい話を足して時間を埋めることもできます。時間が短くなっていくとそれができないので、同じ内容を前の回より少ない言いよどみで話すことに集中できます。
3回目の2分は、Part 2で話す時間の上限と同じ長さです。Part 2では1分の準備のあと、1分から2分話します。最後の1回は、本番で話せるいちばん長い時間を話しきる練習にもなります。
時間が短くなると早口で詰め込みたくなりますが、3分、2分の回でも、イントネーションや抑揚、間の取り方は1回目と同じように意識しておくことが大切です。減らしたいのは言葉を探して黙る時間や言い直しで、意味の区切りで置く間まで詰める必要はありません。Fluency and Coherence では、言いよどみや言い直しの多さに加えて、話が筋道立ってつながっているかも評価されます。急いだせいで話の順番が崩れたり、抑揚のない早口になったりするようなら、3回目の時間を少し延ばしても問題ありません。
03 1人で練習するときの進め方
相手がいなくても、録音とタイマーがあれば1人で取り組めます。キューカードを1問使う場合の流れは次のとおりです。
ステップ すること 確かめること
トピックを決める Part 2のキューカードを1問選ぶ 4分話せるだけの内容が思いつくか
準備する キーワードをメモする。慣れないうちは英文の原稿を書いてもよい メモか原稿が、話す順番どおりに並んでいるか
1回目(4分) 録音しながら、メモを見て話す。原稿を書いた場合は音読する 4分話し続けられたか、どこで止まったか
2回目(3分) メモや原稿を見ずに、同じ内容を3分で話す 1回目に話した内容が抜けていないか
3回目(2分) 同じ内容を2分で話す 止まる回数が1回目より減ったか
聞き比べる 1回目と3回目の録音を続けて聞く 3回目にも同じ箇所で止まっていないか
録音を聞き比べるときに書き出すこと
聞き比べは、ただ聞き流すより、止まった箇所を書き出しながら聞くほうが次の練習につながります。1回目の録音で、言葉が出ずに黙った箇所と、文を最初から言い直した箇所に印をつけ、そのとき何を言おうとしていたかを日本語で短くメモします。3回目の録音でも同じように印をつけ、2つを並べます。
1回目にあって3回目に消えた印は、繰り返すうちに英語で言えるようになった箇所です。3回目にも残った印は、まだ英語でどう言うかが決まっていない箇所なので、その1文だけを取り出して、言いやすい形を考えておきます。別のトピックで練習したときにも同じような文で止まるなら、そこが自分の苦手なところだと分かります。
話す速さを数字で確かめたい場合は、3回の録音それぞれで、最初の1分間に話した語数を数えてみる方法もあります。1分あたりの語数は wpm(words per minute)と呼ばれ、4-3-2を紹介した1989年の研究でも、この数え方で速さが測られています。その研究では、1回目に86wpmだった学習者が、3回目には127wpmまで上がった例が紹介されているそうです。
英語学習者が絵を説明する課題で話す速さを比べた研究では、CEFRのB2レベルの学習者が平均118wpm、C1レベルが142wpm、英語を母語とする人が174wpmだったそうです。B2はIELTSでおよそ5.5〜6.5、C1は7.0〜8.0にあたるので、120wpmは、5.5〜6.5の学習者の平均に近い速さです。ただし、IELTSに「何wpm以上」という基準があるわけではありません。語数が増えていても、印の数が減っていなければ、止まる箇所はそのままで、止まっていないところを速く話しているだけということになります。wpmの数字だけでなく、印がどこで減ったかもあわせて確かめておきましょう。
3回話す時間は、合わせて9分です。毎日でなくてもかまいません。同じトピックを何度も繰り返すより、トピックを替えて回数を重ねたほうが、試験で初めて見るキューカードにも落ち着いて向き合えます。
もとの形では聞き手を毎回替えますが、1人で録音して練習するときは、聞き手を替える必要はありません。3回とも、試験官に向かってキューカードに答えるつもりで話しましょう。
4分話し続けるのがまだ難しいうちは、3分、2分30秒、2分のように最初の時間を短くして始めるのも1つの手です。最後を2分にしておけば、Part 2と同じ長さで終えられます。Part 3の質問を1つ選んで、自分の意見を話す練習に使うこともできます。Part 1は1問の答えが短いので、4分話す材料が出てきにくいでしょう。
04 Part 2のキューカードで試すとどう変わるか
次のキューカードを使って、4-3-2トレーニングをした場合を考えてみましょう。
Describe a place where you are able to relax.
You should say: where it is what it is like how often you go there and explain how you feel about this place.
1回目の4分では、場所を説明する語を探しながら話すので、短い文が途切れ途切れに続きがちです。繰り返すうちに、同じ内容をまとまった文で話しやすくなります。次の表は、箇条書きごとに1回目と3回目の話し方の違いを示した例です。
箇条書き 1回目(4分) 3回目(2分)
where it is It's a park. Near my house. It takes… it's ten minutes. Ten minutes on foot. It's a small park about ten minutes' walk from my house.
what it is like There is a pond. And trees. There are many trees around. And some benches. There's a pond in the middle with lots of trees around it, and a few benches by the water.
how often you go there I go there… maybe once a week. On Sunday. Sometimes Saturday too. I usually go there at weekends, once or twice a week.
how you feel about this place I feel relaxed. Because it's quiet. And I can forget my work. It's really quiet, so it's somewhere I can forget about work for a while.
3回目の英文にも、1回目に出てこなかった難しい単語は入っていません。pond、trees、benches、forget は、どれも1回目から使っていた語です。
表の3回目の英文は、2分の中で話す内容のごく一部です。実際の3回目では、それぞれの箇条書きについて、理由や具体的な場面をもう1文か2文ずつ足しながら2分を使いきります。
2回目の3分では、1回目の内容を思い出すことに気を取られて、話す順番が入れ替わることがあります。キューカードの箇条書きに沿って話す順番を決めておけば、どこで止まったかを3回の録音で比べやすくなります。
05 4-3-2で伸び悩むときに見直すこと
3回目の録音を聞いて、話の中心になる内容まで抜けているようなら、2分に収めることを優先しすぎている可能性があります。細かい説明が短くなるのは自然なことですが、キューカードの箇条書きにすべて触れているかを、3回目の録音で確かめておきましょう。
もとの4-3-2は、原稿を使わずに、英語を組み立てながら話す練習です。慣れないうちに1回目を原稿の音読にした場合は、2回目と3回目に原稿を見ないことが大切です。原稿の文を一字一句思い出そうとすると、覚えた文を思い出すだけの練習になり、英語の文をその場で組み立てる練習からは外れてしまいます。2回目からは、覚えている内容を自分の言葉で話しましょう。慣れてきたら、準備をキーワードのメモだけにして、1回目からその場で文を作ってみるとよいでしょう。
同じキューカードで何日も練習していると、英文を覚えてしまい、話しながら文を作る練習になりにくくなります。1回目の4分でもほとんど止まらなくなったら、そのトピックは終わりにして、別のキューカードに移りましょう。
3回とも同じところで長く止まる場合は、話す内容よりも、英語の文を作る段階でつまずいている可能性があります。そのときは、4分の長い話から始めるより、答えを1文ずつ伸ばしていく練習のほうが取り組みやすいかもしれません。
スピーキング
短期間でスピーキングの流暢さを上げるには:一文ずつ足して30秒に伸ばす練習法
まだ英文を作るのに時間がかかり、短い答えでも詰まってしまう段階なら、よく使う型を先に身につけてから4-3-2に進む方法もあります。
スピーキング
IELTSスピーキング初級者向け:ヘジテーションを減らすステップ式練習法
1回目の話し始めでつまずく場合は、準備の1分でメモに何を書くかを見直すと、話の順番が決めやすくなります。
スピーキング
IELTSスピーキングPart 2の準備1分:メモに何を書き、何を書かないか
06 よくある質問
4-3-2トレーニングは毎日やったほうがいいですか?
毎日でなくてもかまいません。トピックを替えながら続けることを優先しましょう。
英語で4分も話し続けられないのですが、どうすればいいですか?
3分、2分30秒、2分のように最初の時間を短くして始めて問題ありません。
3回目で時間が足りないときは、内容を減らしてもいいですか?
細かい説明を短くするのは問題ありませんが、箇条書きの内容はどれも残しておきましょう。話の順番が崩れるほど急いでしまうなら、3回目の時間を少し延ばしましょう。
1回目の前に英文の原稿を書いてもいいですか?
慣れないうちは、原稿を書いて1回目は音読してもよいでしょう。2回目からは原稿を見ずに話します。
練習相手がいなくてもできますか?
できます。タイマーと録音があれば、聞き手を替えなくても3回とも1人で話せます。
Part 1やPart 3の練習にも使えますか?
Part 3の質問で意見を話す練習には使えます。Part 1は答えが短いので、Part 2かPart 3の質問で取り組むほうが向いています。
速く話せるようになれば、スピーキングのスコアは上がりますか?
速さだけで評価が決まるわけではありません。話のつながりも評価されます。時間を縮めても、イントネーションや抑揚、間の取り方は変えずに話しましょう。
07 まとめ
内容は3回とも同じで、持ち時間だけを縮める
3分、2分の回でも、イントネーションや抑揚、間の取り方は変えない
1回目は原稿の音読でもよいが、2回目からは原稿を見ずに話す
1回目と3回目の録音で、止まる箇所を比べる
3回とも同じところで止まるなら、1文ずつ伸ばす練習を試す
手元のキューカードを1問選んだら、タイマーを4分に合わせて録音を始めてみましょう。