ライティング・タスク1では、「わずかに高い」「半分を少し超える」「1位と2位の差が小さい」といった表現がよく登場します。こうした「わずかな差」を英語で書くとき、slightly ばかりを繰り返すのは芸がありません。marginally、just over、just under、a close second、by a narrow margin など、状況に応じてさまざまな表現を使い分けることができます。
neck and neck は、Cambridge Dictionary では競争相手どうしが並んでいて、どちらにも勝つ見込みがあるという意味の慣用句として載っています。スポーツや選挙の報道ではよく見かけますが、グラフの数値を淡々と述べるタスク1では、similar や almost identical のほうが落ち着いた文章になります。
by a hair や a hair's breadth も同じ扱いです。a hair's breadth は「髪の毛1本の幅」から「ごくわずかな距離や量」を表す慣用句で、話し言葉や物語で使われます。タスク1では by a narrow margin に置き換えれば、意味は変わらずレポートらしい書き方になります。
negligible は評価を含む
The difference was negligible. は「差は取るに足らないほど小さかった」という意味です。単に小さいと述べるだけでなく、「気にしなくてよい差だ」という書き手の判断が入ります。タスク1で使っても誤りではありませんが、数値の説明にとどめたい場面では slight や small のほうが中立的です。
04小さな増減はどう書くか:edge up と remain virtually unchanged
時間の経過とともに数値が少しだけ動いたときは、rose slightly、edged up、a marginal increase のように書きます。ほとんど動いていないなら remained virtually unchanged や remained relatively stable が使えます。
ここで注意したいのが、グラフの見た目です。次の折れ線グラフは、急に上がっているように見えます。
線は急に見えるが、6年間の増加は1.3分
縦軸が30分から始まり、目盛りも0.5分刻みなので、線の傾きが大きく見えます。実際の変化は6年間で30.0分から31.3分、わずか1.3分です。線の角度を見て rose sharply と書くと、数値と合わない説明になります。
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The average commute time rose sharply between 2015 and 2020.線の見た目で判断している
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The average commute time edged up from 30.0 to 31.3 minutes between 2015 and 2020.数値に合わせて小さな増加として書く
edge up は Cambridge Dictionary に Inflation has begun to edge up. という用例があり、物価や数値が少しずつ上がる場面で使われる動詞です。上のグラフのように6年かけてじわじわ上がったデータには、rose sharply よりもずっと合います。
2018年から2019年にかけての31.2分から31.1分への変化は、0.1分の低下です。ここは dipped slightly と書いてもよいですし、全体の流れを優先して remained relatively stable from 2018 onwards とまとめることもできます。小さな上下を1つずつ説明するか、まとめて扱うかは、回答で何を伝えたいかで決まります。
Nearly half of households in City A had a garden, at 51%.nearly は「まだ届いていない」ことを表す
○
Just over half of households in City A had a garden, at 51%.超えているなら just over
日本語の「ほぼ半分」は、49%にも51%にも使うことができます。その感覚のまま nearly half と書くと、英語では50%に届いていない数値として読まれます。almost も同じで、どちらも「あと少しで届く」という意味の語です。上下どちらでもよいなら around half にしておくと、数値との食い違いは起きません。
5-2 just 20% を「20%を少し超える」の意味で書く
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Just 20% of students walked to school.実際は21%。「たった20%」と読まれ、数値もずれる
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Just over 20% of students walked to school.21%のように少し超えているなら over が要る
just のうしろに数値が直接続くと、just は「たった、わずか」の意味になります。Just 20% of students walked to school. は「徒歩で通学した学生はたった20%だった」という文で、数値の小ささを強調しています。この用法自体は正しく、21%のデータで使うと数値がずれるだけです。「少し超える」なら just over、「少し届かない」なら just under と、over や under とセットで書きましょう。
5-3 比較級を重ねて slightly more higher と書く
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The figure for cars was slightly more higher than that for buses.more と -er が重なっている
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The figure for cars was slightly higher than that for buses.slightly は比較級の前にそのまま付ける
「少しより高い」という日本語の順番で考えると、slightly のあとに more を入れたくなります。higher はすでに比較級なので、more は要りません。popular のように more を使って比較級を作る語なら、slightly more popular が正しい形です。
同じ理由で、比較の相手を示す部分も見落としやすいところです。The figure for cars was slightly higher than buses. と書くと、「車の数値」と「バス」という別のものを比べる文になります。that for buses と数値どうしを比べる形にしておきましょう。
06よくある質問
IELTSライティング・タスク1で a bit を使うと間違いですか
a bit higher は英語として誤りではありません。ただし話し言葉に近い表現なので、グラフを説明するレポートでは slightly higher や a little higher のほうが文章全体の文体にそろいます。
somewhat は to some degree(ある程度)という意味の語で、ごくわずかな差に限って使うものではありません。差が小さいことを伝えたいなら、slightly や marginally のほうが意図に近くなります。
51%を nearly half と書いてもよいですか
nearly と almost は、まだその数値に届いていないことを表します。51%なら just over half、上下どちらでもよい書き方にしたいなら around half が合います。
just 30% と just over 30% は何が違いますか
just 30% は「たった30%」という意味で、数値の小ささを強調する言い方です。just over 30% は「30%を少し超える」という意味になります。31%のようなデータを説明するなら just over 30% です。
42%と40%の差は2%と書けばよいですか
割合どうしの差は two percentage points(2ポイント)と書くほうが正確です。2% higher と書くと、40%をさらに2%増やした値のように読まれるおそれがあります。
by a hair や neck and neck はタスク1で使えますか
どちらも慣用句で、会話や報道で見かける言い方です。グラフの数値を説明するタスク1では、by a narrow margin や almost identical に置き換えるのが無難です。
線グラフの傾きが急なら sharply と書いてよいですか
縦軸がゼロ以外から始まっているグラフでは、小さな変化でも線が急に見えます。変化の大きさは縦軸の目盛りと始点・終点の数値で判断します。1分程度の増加なら edged up や rose slightly が合います。
07まとめ
「ちょっと上」「ちょっとした差」を表す英語は、a tad のような会話の言い方から、marginally や fractionally のような書き言葉まで幅があります。タスク1の回答では、slightly と a little を基本に、書き言葉らしさを出したい場面で marginally を加えると、文体をそろえたまま言い換えができます。
比較:slightly higher / a little higher が基本。marginally は書き言葉向き、somewhat は「ある程度」
区切りの数値:超えたら just over、届かなければ just under。nearly と almost は届かない側に使う
順位:narrowly ahead of、a close second、by a narrow margin