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ライティング・タスク1

ライティング・タスク1で「わずかな差」を書く:slightly・just over・marginally の使い分け

執筆:高橋 響 公開日:

ライティング・タスク1では、「わずかに高い」「半分を少し超える」「1位と2位の差が小さい」といった表現がよく登場します。こうした「わずかな差」を英語で書くとき、slightly ばかりを繰り返すのは芸がありません。marginally、just over、just under、a close second、by a narrow margin など、状況に応じてさまざまな表現を使い分けることができます。

どの表現を選ぶかは、差がどれくらいか、数値が基準値の上か下か、順位や変化を述べる文かどうか、そして文体によって変わります。単なる言い換え集ではなく、「このグラフならどの表現を選ぶか」が判断できるように見ていきましょう。

01「わずかに高い」は英語でどう書くか:a bit から marginally までの文体の違い

タスク1の回答で「わずかに高い」を書くなら、基本は slightly higher です。a little higher も同じように使えます。より書き言葉らしく、差がごく小さいことをはっきり示したいときは marginally higher が選べます。

次のグラフでは、どの数値の組み合わせが「わずかな差」にあたるでしょうか。

Main mode of transport to work (%) 0 10 20 30 40 50 42 40 23 Car Bus Train 差は2ポイント
車とバスの差はわずか。電車との差ははっきりしている

車の42%とバスの40%は、2ポイントしか離れていません。一方、電車の23%とは大きく差が開いています。この2つの差を同じ言葉で書いてしまうと、グラフの特徴が伝わりません。

The proportion of people who drove to work was slightly higher than that of bus users, at 42% and 40% respectively.

Far fewer people commuted by train, at 23%.

口語的な言い方から、かしこまった言い方まで

「ちょっと」にあたる英語を、くだけた言い方からかしこまった言い方の順に並べると次のようになります。上のほうは会話でよく聞く表現で、下に行くほど報告書やレポートで見かける表現です。

表現例文体タスク1の回答
a tada tad higherくだけた言い方。辞書でも informal と表示される避ける
a toucha touch lower日常会話でよく聞く避ける
by a hair / a hair's breadthwon by a hair慣用句(イディオム)避ける
a bit / a little bita bit higher話し言葉に近い避けたほうが無難
a littlea little higher中立使える
slightlyslightly higher中立から書き言葉基本の選択肢
marginallymarginally higher書き言葉使える
fractionallyfractionally higher書き言葉。報道にも多い使える(ごく小さな差)
somewhatsomewhat higherかしこまった言い方使えるが意味に注意

a bit higher は英語として誤りではありません。ただ、タスク1はグラフや表を説明するレポートなので、話し言葉に近い a bit より、slightly や a little のほうが文章全体の文体にそろいます。

表の中で注意が必要なのは somewhat です。Cambridge Dictionary の定義は to some degree(ある程度)で、「ごくわずか」に限った語ではありません。somewhat higher は、差が小さい場合にも、ある程度はっきりした差がある場合にも使われます。差が小さいことをはっきり伝えたいなら、slightly か marginally を選ぶほうが意図に近くなります。

fractionally は by a very small amount(ごく小さな量だけ)と定義される語で、slightly よりもさらに差が小さい印象を与えます。42%と41.8%のように、小数点以下でしか違わない数値を比べるときに向いています。

副詞と形容詞の組み合わせ

比較級の前に副詞を付ける形のほかに、名詞を使って「わずかな差」を言う形もあります。同じ内容を2通りで書くことができると、同じ文型が続くのを避けやすくなります。

比較級に副詞を付ける名詞と形容詞で言う
slightly higher thana slight difference between
marginally more popular thana marginal difference in
a little lower thana small gap between

Cars were marginally more popular than buses.

There was only a small gap between car and bus users.

02「半分を少し超える」「半分に少し届かない」はどう書くか

50%や100万人のような区切りのよい数値の近くにあるデータは、just over と just under を使うと自然に書けます。「少し超える」なら just over、「少し届かない」なら just under です。

Households with a garden (%) City A City B City C 51 49 47 50%
3つとも50%の近くにあるが、線のどちら側にあるかが違う

A市の51%は50%の線をわずかに超え、B市の49%とC市の47%は届いていません。これを英語にすると次のようになります。

Just over half of households in City A had a garden.

In City B, the figure was just under half, at 49%.

Nearly half of households in City C had a garden.

just over 50% と書いても誤りではありません。half、a quarter、a third のような分数の語と組み合わせると、図の数値をそのまま繰り返さずに済みます。

上か下か、どちらの側にあるかで語を選ぶ

区切りの数値との位置関係で、使える語が変わります。とくに nearly と almost は「まだ届いていない」ことを表すので、区切りを超えた数値の説明には向きません。

数値の位置使える表現例(区切りは50%)
少し上just over / just above / slightly over / a little over51%は just over half
少し下just under / just below / nearly / almost / just short of49%は just under half、nearly half
上でも下でもよいaround / about / approximately / roughly49%も51%も around half

around や approximately は、上下どちらの数値にも使えます。便利な反面、上か下かの情報が消えるので、区切りを超えたかどうかが大事なデータでは just over と just under で書き分けるほうが正確です。

just shy of と just short of

「少し届かない」には just shy of という言い方もあります。shy は「内気な」の意味で覚えている人が多い語ですが、Cambridge Dictionary には less than(〜に足りない)という意味も載っています。

The figure was just shy of 50%.

The figure fell just short of 50%.

どちらも意味は通じます。タスク1の回答では、より一般的な just under や just short of を選んでおくと安心です。動詞と組み合わせた fall just short of は「目標や区切りにあと少しで届かなかった」という含みがあるので、変化を述べる文でとくに使いやすい表現です。

03僅差の1位と2位、ほぼ同じ数値はどう書くか

順位の差がわずかなときは、narrowly ahead of、by a narrow margin、a close second が使えます。数値がほとんど同じなら almost identical や similar で表せます。

01の通勤手段のグラフでは、車が1位、バスが2位で、その差は2ポイントでした。1位と2位の関係を中心に書くと、次のようになります。

Driving was the most common way to get to work, narrowly ahead of taking the bus.

The bus was a close second, at 40%.

Car use exceeded bus use by a narrow margin.

a close second は「僅差の2位」をひと言で表す表現で、2位の項目を主語にしたいときに使いやすい言い方です。by a narrow margin は、by で差の大きさを示す形です。

差を数値で示すなら percentage points

by のうしろには具体的な差を書くこともできます。42%と40%の差は、2%ではなく2ポイント(two percentage points)です。

✗

The figure for cars was 2% higher than that for buses.40%の2%増し(40.8%)と読まれるおそれがある

○

The figure for cars was two percentage points higher than that for buses.割合どうしの差はポイントで言う

割合のデータで差を数値にするときは percentage points を使うと、読み手が取り違えません。倍数で比べる場合の書き方は、次の記事で扱っています。

ライティング・タスク1 IELTSライティング・タスク1の倍数と分数:twice・triple・threefold・a third の使い分け

ほとんど同じ数値を並べるとき

差がほとんど無い2つの数値は、「同じくらい」として書くこともできます。

表現例ニュアンス
almost identicalThe two figures were almost identical.ほぼ同じ。数値の差がごく小さいとき
virtually the sameThe figures were virtually the same.almost identical とほぼ同じ意味
similar / comparableCar and bus use were at similar levels.近い水準にある。やや幅がある
on a par withBus use was on a par with car use.同程度。かしこまった言い方
neck and neckThe two were neck and neck.競争で並んでいる様子を言うイディオム

neck and neck は、Cambridge Dictionary では競争相手どうしが並んでいて、どちらにも勝つ見込みがあるという意味の慣用句として載っています。スポーツや選挙の報道ではよく見かけますが、グラフの数値を淡々と述べるタスク1では、similar や almost identical のほうが落ち着いた文章になります。

by a hair や a hair's breadth も同じ扱いです。a hair's breadth は「髪の毛1本の幅」から「ごくわずかな距離や量」を表す慣用句で、話し言葉や物語で使われます。タスク1では by a narrow margin に置き換えれば、意味は変わらずレポートらしい書き方になります。

negligible は評価を含む

The difference was negligible. は「差は取るに足らないほど小さかった」という意味です。単に小さいと述べるだけでなく、「気にしなくてよい差だ」という書き手の判断が入ります。タスク1で使っても誤りではありませんが、数値の説明にとどめたい場面では slight や small のほうが中立的です。

04小さな増減はどう書くか:edge up と remain virtually unchanged

時間の経過とともに数値が少しだけ動いたときは、rose slightly、edged up、a marginal increase のように書きます。ほとんど動いていないなら remained virtually unchanged や remained relatively stable が使えます。

ここで注意したいのが、グラフの見た目です。次の折れ線グラフは、急に上がっているように見えます。

Average commute time (minutes) 30.0 30.5 31.0 31.5 31.3 2015 2016 2017 2018 2019 2020 縦軸は30分から始まっている
線は急に見えるが、6年間の増加は1.3分

縦軸が30分から始まり、目盛りも0.5分刻みなので、線の傾きが大きく見えます。実際の変化は6年間で30.0分から31.3分、わずか1.3分です。線の角度を見て rose sharply と書くと、数値と合わない説明になります。

✗

The average commute time rose sharply between 2015 and 2020.線の見た目で判断している

○

The average commute time edged up from 30.0 to 31.3 minutes between 2015 and 2020.数値に合わせて小さな増加として書く

変化の大きさを判断するときは、線の角度ではなく、縦軸の目盛りと始点・終点の数値で確かめましょう。タスク1の図の中にも、縦軸がゼロから始まっていないものがあります。

小さな変化を表す動詞と名詞

表現例ニュアンス
rise slightly / fall slightlyThe figure rose slightly.もっとも基本的な言い方
edge up / edge downThe figure edged up to 31.3.少しずつ、ゆっくり動く
creep up / inch upPrices crept up over the period.気づかないほどゆっくり上がる
dipThe figure dipped slightly in 2019.一時的に少し下がる
a slight / marginal / modest increaseThere was a modest increase in ...名詞で言う形。modest は「控えめな、大きくない」
remain virtually unchangedThe figure remained virtually unchanged.ほとんど動いていない
remain relatively stableThe figure remained relatively stable.多少の上下はあるが、全体として安定

edge up は Cambridge Dictionary に Inflation has begun to edge up. という用例があり、物価や数値が少しずつ上がる場面で使われる動詞です。上のグラフのように6年かけてじわじわ上がったデータには、rose sharply よりもずっと合います。

2018年から2019年にかけての31.2分から31.1分への変化は、0.1分の低下です。ここは dipped slightly と書いてもよいですし、全体の流れを優先して remained relatively stable from 2018 onwards とまとめることもできます。小さな上下を1つずつ説明するか、まとめて扱うかは、回答で何を伝えたいかで決まります。

increase・rise・fall を動詞と名詞で書き換える方法は、次の記事で詳しく扱っています。

ライティング・タスク1 ライティング・タスク1の変化表現:increase・rise・fallを動詞と名詞で使い分ける

05just・nearly・slightly はどこで書き間違えやすいか

わずかな差を表す語は短いぶん、1語の違いで数値の意味が変わります。書き間違えやすい例を、数値と並べて確かめます。

5-1 50%を超えた数値に nearly を使う

✗

Nearly half of households in City A had a garden, at 51%.nearly は「まだ届いていない」ことを表す

○

Just over half of households in City A had a garden, at 51%.超えているなら just over

日本語の「ほぼ半分」は、49%にも51%にも使うことができます。その感覚のまま nearly half と書くと、英語では50%に届いていない数値として読まれます。almost も同じで、どちらも「あと少しで届く」という意味の語です。上下どちらでもよいなら around half にしておくと、数値との食い違いは起きません。

5-2 just 20% を「20%を少し超える」の意味で書く

✗

Just 20% of students walked to school.実際は21%。「たった20%」と読まれ、数値もずれる

○

Just over 20% of students walked to school.21%のように少し超えているなら over が要る

just のうしろに数値が直接続くと、just は「たった、わずか」の意味になります。Just 20% of students walked to school. は「徒歩で通学した学生はたった20%だった」という文で、数値の小ささを強調しています。この用法自体は正しく、21%のデータで使うと数値がずれるだけです。「少し超える」なら just over、「少し届かない」なら just under と、over や under とセットで書きましょう。

5-3 比較級を重ねて slightly more higher と書く

✗

The figure for cars was slightly more higher than that for buses.more と -er が重なっている

○

The figure for cars was slightly higher than that for buses.slightly は比較級の前にそのまま付ける

「少しより高い」という日本語の順番で考えると、slightly のあとに more を入れたくなります。higher はすでに比較級なので、more は要りません。popular のように more を使って比較級を作る語なら、slightly more popular が正しい形です。

同じ理由で、比較の相手を示す部分も見落としやすいところです。The figure for cars was slightly higher than buses. と書くと、「車の数値」と「バス」という別のものを比べる文になります。that for buses と数値どうしを比べる形にしておきましょう。

06よくある質問

IELTSライティング・タスク1で a bit を使うと間違いですか

a bit higher は英語として誤りではありません。ただし話し言葉に近い表現なので、グラフを説明するレポートでは slightly higher や a little higher のほうが文章全体の文体にそろいます。

slightly と marginally はどちらを使えばよいですか

どちらもタスク1で使うことができます。slightly が基本の選択肢で、marginally はより書き言葉らしく、差がごく小さいことをはっきり示したいときに向いています。同じ回答の中で交互に使えば、同じ語の繰り返しも避けられます。

somewhat higher は「わずかに高い」という意味ですか

somewhat は to some degree(ある程度)という意味の語で、ごくわずかな差に限って使うものではありません。差が小さいことを伝えたいなら、slightly や marginally のほうが意図に近くなります。

51%を nearly half と書いてもよいですか

nearly と almost は、まだその数値に届いていないことを表します。51%なら just over half、上下どちらでもよい書き方にしたいなら around half が合います。

just 30% と just over 30% は何が違いますか

just 30% は「たった30%」という意味で、数値の小ささを強調する言い方です。just over 30% は「30%を少し超える」という意味になります。31%のようなデータを説明するなら just over 30% です。

42%と40%の差は2%と書けばよいですか

割合どうしの差は two percentage points(2ポイント)と書くほうが正確です。2% higher と書くと、40%をさらに2%増やした値のように読まれるおそれがあります。

by a hair や neck and neck はタスク1で使えますか

どちらも慣用句で、会話や報道で見かける言い方です。グラフの数値を説明するタスク1では、by a narrow margin や almost identical に置き換えるのが無難です。

線グラフの傾きが急なら sharply と書いてよいですか

縦軸がゼロ以外から始まっているグラフでは、小さな変化でも線が急に見えます。変化の大きさは縦軸の目盛りと始点・終点の数値で判断します。1分程度の増加なら edged up や rose slightly が合います。

07まとめ

「ちょっと上」「ちょっとした差」を表す英語は、a tad のような会話の言い方から、marginally や fractionally のような書き言葉まで幅があります。タスク1の回答では、slightly と a little を基本に、書き言葉らしさを出したい場面で marginally を加えると、文体をそろえたまま言い換えができます。

  • 比較:slightly higher / a little higher が基本。marginally は書き言葉向き、somewhat は「ある程度」
  • 区切りの数値:超えたら just over、届かなければ just under。nearly と almost は届かない側に使う
  • 順位:narrowly ahead of、a close second、by a narrow margin
  • 差の数値:割合どうしの差は percentage points
  • 小さな変化:edged up、a marginal increase、remained virtually unchanged
  • 口語の表現:a tad、a touch、by a hair、neck and neck は回答では避ける
  • グラフの見た目:線の傾きではなく、縦軸の目盛りと数値で変化の大きさを判断する

次にグラフを見るときは、似た高さの2本や、区切りの数値の近くにあるデータに目を留めて、どの表現が合うかを考えてみましょう。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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