ライティング・タスク1では、グラフや地図、プロセスなどの情報を読み取り、それを英語で説明する力が求められます。特にグラフ問題では、データの数値を正確に読み取り、それを適切な英語で表現することが重要です。
しかし、数値を括弧で示すだけでは、せっかくの英語表現力を十分にアピールできません。
ライティング・タスク1では、図表から必要な情報を読み取る力だけでなく、読み取った情報をどのような英語で表現するかも試されています。そこで今回は、括弧・スラッシュ・ハイフンに頼らず、数値やデータを自然な英語で表現する方法を、グラフの具体例とともに確認していきましょう。
目次
タスク1で記号を使うと評価が下がるのか
括弧の数値を前置詞で書き表す
期間のハイフンを接続詞で書き表す
矢印・イコール・スラッシュを動詞と接続詞で書き表す
記号のまま残してよい場面
よくある質問
まとめ
01 タスク1で記号を使うと評価が下がるのか
IELTS公式の Band Descriptors に、記号を使うと評価が下がるという項目はありません。括弧書きの数値やその他の記号も、それ自体が誤りとして扱われるものではありません。
言うまでもなく、タスク1で見られているのは Task Achievement、Coherence and Cohesion、Lexical Resource、Grammatical Range and Accuracy の4つです。このうち語彙と文法の2つは、英語として書かれた部分から判断されます。記号でも図の情報は伝わりますが、英語ではないので、語彙と文法を示す材料にはなりません。
ここで考えたいのは、使ってよいかどうかよりも、そこで何を見せられるかです。同じ数値を伝えるのでも、書き方によって見せられるものが変わります。
△
The proportion of car users was the highest (42%).誤りではない。ただし括弧の中に英語が無い
○
The proportion of car users was the highest, at 42 per cent.at を選べていることが文法の材料になる
2つとも図の内容としては同じです。違うのは、英語として読める部分がどれだけあるかだけです。タスク1の回答は150語ほどの短い文章なので、この差は1か所で終わりません。数値を書くたびに同じ選択が出てきます。
回答に出やすい記号と、その書き表し方
タスク1の回答に紛れ込む記号はだいたい決まっており、英語で書き表したときに示せる材料もそれぞれ異なります。
記号 記号を使った表記 英語で書き表した形 見せられるもの
( ) (42%) at 42 per cent 前置詞
- 1990-2020 between 1990 and 2020 前置詞と接続詞
→ 12% → 28% rose from 12 to 28 per cent 動詞と前置詞
= A = B was equal to / matched 動詞
> < car > bus exceeded / was followed by 動詞
/ men/women both men and women 接続詞
& cars & buses cars and buses 接続詞
右の列を見ると、書き表すときに使うのはほとんどが前置詞・接続詞・動詞です。どれも特別な語彙ではありません。すでに知っている語を、記号で済ませずに書くかどうかです。
02 括弧の数値を前置詞で書き表す
いちばん出やすいのが、括弧書きの数値です。次の図を例にして、書き方を4つ見ていきます。
Main reason for choosing a university (%)
0
10
20
30
40
50
42
28
18
12
Location
Cost
Reputation
Other
立地が最も多く、費用がそれに続く
at で数値を添える
いちばん短い書き方です。文の末尾にコンマを打ち、at を置いて数値を続けます。括弧を at に替えるだけなので、書き換えの負担もほとんどありません。
Location was the most common reason, at 42 per cent.
Cost came second, at 28 per cent.
数値を2つ並べるときは respectively が使えます。順序が対応していることを1語で示せるので、同じ文を2回書かずに済みます。
Location and cost were the two most common reasons, at 42 and 28 per cent respectively.
関係詞で数値を文にする
which を使うと、数値そのものが独立した節になります。at よりも語数が増えますが、そのぶん節を1つ増やせます。
Location was the most common reason, which accounted for 42 per cent of all responses.
分詞でうしろにつなぐ
which を省いて分詞にすると、同じ内容を短く書けます。関係詞と分詞のどちらも使えると、同じ図を説明するときに文の形を変えられます。
Location was the most common reason, accounting for 42 per cent of all responses.
with で主語の外に出す
数値を主語の文から切り離したいときは with が使えます。図の項目を主語にせず、回答した人の側を主語にできるので、同じ段落の中で文の始まり方を変えられます。
Location was the leading factor, with 42 per cent of respondents choosing it.
括弧を英語で書き表すと語数は増えます。タスク1は150語以上で書くタスクなので、語数の面で不利にはなりません。同じ数値を書くのに、前置詞や動詞を使える場所が増えると考えておくとよいでしょう。
ライティング・タスク1
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03 期間のハイフンを接続詞で書き表す
年や期間をハイフンでつなぐ書き方も、メモのまま回答に残りやすい形です。1990-2020 と書けば範囲は伝わりますが、ここも英語で書き表せます。
Visitors to two museums (thousands)
0
100
200
300
400
1990
2000
2010
2020
Museum A
Museum B
2つの館の来館者数は、2000年から2010年のあいだに上下が入れ替わる
期間の書き方は、何を言いたいかで変わります。範囲全体を指すなら between、始点と終点を結ぶ動きを言うなら from と to です。
言いたいこと 英語で書き表した形
その範囲の中で起きたこと between 1990 and 2020
始点から終点までの動き from 1990 to 2020
期間の長さを示したいとき over the three decades from 1990
図全体を指すとき over the period shown
✗
Museum A: 120 (1990) - 310 (2020).メモのままの形。文になっていない
○
The number of visitors to Museum A rose from 120,000 in 1990 to 310,000 in 2020.動詞と前置詞で始点と終点を結ぶ
この書き方には、もう一つの利点があります。ハイフンでつなぐと、増えたのか減ったのかが書かれないままになります。数値を from と to で結ぶと、あいだに動詞が必要になるので、rose なのか fell なのかを選ぶことになります。図をどう読んだかが、そのまま文に出てきます。
2本の線が入れ替わる場面も、記号だけでは表せません。順序が変わったことは、動詞と時制で表します。
In 1990, Museum B received more visitors than Museum A, but Museum A had overtaken it by 2010.
ライティング・タスク1
ライティング・タスク1で「わずかな差」を書く:slightly・just over・marginally の使い分け
04 矢印・イコール・スラッシュを動詞と接続詞で書き表す
残りの記号も、置き換える先はほとんど動詞か接続詞です。
矢印は動詞で書き表す
矢印が出やすいのは、プロセスや流れを説明する図です。図の上で矢印が示している工程のつながりは、英語では動詞と受動態で表します。
✗
Raw materials → factory → packaging → shops.工程は伝わるが、英語の文が無い
○
The raw materials are delivered to the factory, where they are processed and packaged before being sent to shops.受動態と関係副詞で工程をつなぐ
数値の変化を矢印で書いた場合も同じです。12% → 28% は、動詞を1つ補うだけで文になります。
The figure rose from 12 to 28 per cent.
The figure more than doubled, from 12 to 28 per cent.
イコールと不等号は比較の動詞で書き表す
数値をそろえて示したいときにイコールや不等号を使うと、比較の表現をまるごと手放すことになります。比較はタスク1で語彙が出やすい場所なので、記号で済ませると使える表現が少なくなります。
記号で書いた形 英語で書き表した形
A = B Figures for A and B were identical.
A = B(ほぼ同じ) A was almost the same as B.
A > B A exceeded B.
A > B > C A was the highest, followed by B and then C.
A < B A was lower than B.
スラッシュとアンパサンドは接続詞で書き表す
men/women や cars & buses のような書き方は、メモや表の見出しでは普通に使われます。ただ、文の中に入れると、2つの関係が読み手に委ねられたままになります。and なのか or なのかを書けば、そこが接続詞の使い分けになります。
✗
The figure for men/women rose over the period.両方なのか、どちらかなのかが読めない
○
The figures for both men and women rose over the period.both A and B で両方だと示す
なお、図の凡例や項目名にスラッシュが入っている場合は、その語をそのまま引いてかまいません。図の表記を引用しているのであって、自分の文の中で記号を使っているわけではないからです。
05 記号のまま残してよい場面
ここまでの話は、記号をすべて消したほうがよいという意味ではありません。英語のレポートでもともと記号で書かれるものまで書き下すと、かえって読みにくくなります。
数値はアラビア数字のままでよい
42 を forty-two と書き直す必要はありません。図の数値を扱う文章では、数字のまま書くほうが一般的で、読み手も数値として拾いやすくなります。
ただし、図から読み取った数値ではない小さい数を文の中で書くときは、英語では ten までを語で綴る習慣があるそうです。The chart shows four categories. のような場合です。グラフの数値そのものは、10以下でも数字のままでかまいません。
△
The proportion rose from twelve per cent to twenty-eight per cent over the period.誤りではないが、数値が読み取りにくい
○
The proportion rose from 12 to 28 per cent over the period.数字のほうが図との対応を追いやすい
単位と通貨の記号はそのまま使える
km、kg、°C のような単位記号や、$、£ のような通貨記号は、英語の報告書でもそのまま使われます。これらを kilometres や pounds と書き下しても誤りにはなりませんが、記号のままでも不自然にはなりません。
per cent と percent と % の選び方
この3つは、どれを使っても問題ありません。per cent は2語で書くイギリス式の綴り、percent は1語で書くアメリカ式の綴りで、% は記号です。IELTSはイギリス式とアメリカ式のどちらの綴りも受け付けるので、選ぶ基準は正しさではありません。1本の回答の中で表記をそろえておくと、読み手が引っかからずに済みます。
なお、% を使うこと自体は、括弧書きの数値とは事情が違います。42% と書いても、その前に at や from が付いていれば前置詞は見えています。見直したいのは記号そのものではなく、英語が1語も入っていない書き方のほうです。
図のラベルを引くとき
図の項目名や凡例をそのまま引く場合は、その表記を変えずに使えます。Other や Male/Female のような項目名は、図の中の名前として扱うので、書き換えると図との対応が取りにくくなります。
ライティング・タスク2
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06 よくある質問
タスク1で括弧を使うと評価が下がりますか?
IELTS公式の Band Descriptors に、記号を使うと評価が下がるという項目はありません。ただし語彙と文法は英語として書かれた部分から判断されるため、括弧の中に数値だけを入れると、そこでは語彙も文法も示せないままになります。at 42 per cent のように前置詞を使って書くと、同じ数値を伝えながら文法の材料が増えます。
数値はアラビア数字で書いてよいですか?
数字のままで問題ありません。42 を forty-two と書き直す必要はなく、図の数値を扱う文章では数字のほうが一般的です。書き下すと、かえって図との対応を追いにくくなります。なお、図の数値ではない小さい数を文の中で書くときは、英語では ten までを語で綴る習慣があるそうです。
per cent と percent と % は、どれを使えばよいですか?
どれを使っても通ります。per cent は2語で書くイギリス式の綴り、percent は1語で書くアメリカ式の綴り、% は記号です。IELTSはどちらの綴りも受け付けるので、1本の回答の中で表記をそろえておくとよいでしょう。
プロセスの図でも矢印は使わないほうがよいですか?
図の上の矢印を文に持ち込まないほうが、書ける英語は増えます。プロセスの説明では、矢印が示しているつながりを、受動態や関係副詞で表せるためです。The raw materials are delivered to the factory, where they are processed のように書くと、工程のつながりと文法の両方を示せます。
図のラベルにスラッシュが入っている場合はどうしますか?
図の項目名や凡例は、その表記のまま引いてかまいません。Male/Female のような項目名は図の中の名前として扱うためです。自分の文の中で2つを並べるときは、both men and women のように接続詞で書きます。
括弧を英語で書き表すと語数が増えますが、それでよいのですか?
タスク1は150語以上で書くタスクなので、語数の面で不利にはなりません。同じ数値を書くのに、前置詞や動詞を使える場所が増えると考えておくとよいでしょう。語数を抑えたいときは、which を使わずに分詞や at で短く書く形も選べます。
数値を2つ並べるとき、respectively はどう使いますか?
先に挙げた項目と数値の順序が対応していることを示す語です。Location and cost were the two most common reasons, at 42 and 28 per cent respectively. のように、項目を並べた順と同じ順で数値を並べ、文末に置きます。
単位や通貨の記号も英語に書き直すべきですか?
そのままで問題ありません。km、kg、°C のような単位記号や、$、£ のような通貨記号は、英語の報告書でもそのまま使われます。kilometres や pounds と書き下しても誤りにはなりませんが、記号のままでも不自然にはなりません。
07 まとめ
記号は誤りではありません。ただ、記号で済ませたところには英語が残らないので、語彙と文法を示す場所がそのぶん減ります。タスク1の回答は150語ほどの短い文章で、数値を書く場面が何度も来ます。そこで何を選ぶかが積み上がります。
記号を英語で書き表すときのポイント
括弧書きの数値は、at・which・分詞・with のいずれかで書き表す。at 42 per cent がいちばん短い
数値を2つ並べるときは respectively を使い、項目と同じ順で並べる
期間のハイフンは between A and B か from A to B に置き換える。from と to で結ぶと、rose か fell かを必ず選ぶことになる
矢印は動詞で書き表す。プロセスの図では、矢印が示すつながりを受動態と関係副詞で表す
イコールと不等号は比較の動詞で書き表す。exceeded、followed by、was the same as など
スラッシュとアンパサンドは and か or に置き換える。both A and B と書けば、両方だと示せる
数字そのもの、単位記号、通貨記号、図のラベルは、記号のままでよい
書き終えたら、回答の中の記号を探してみましょう。見つかったところは、前置詞や動詞を使って書き直せる場所です。