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タスク深掘りシリーズ:会社選びは給与か職場の雰囲気か?2つの見方の比べ方と転職理由の実例【第17回】

執筆:高橋 響 公開日: 最終更新:

「給料が多少安くても、人間関係のいい職場で働きたい」。就職や転職の話になるとよく聞く言葉ですが、家賃や家族の生活費を払う立場になると、雰囲気の良さだけでは続けられないと感じる人もいるでしょう。

給料は契約書で確かめることができますが、職場の雰囲気は入ってみないと分かりにくいものです。タスク深掘りシリーズの第17回で取り上げるのは、この2つを会社選びの基準として比べるタスクです。

01このタスクでは何が問われているのか

会社を選ぶとき、何を基準にするのか。今回のタスクでは、その基準が2つ並べられ、両方の見方に触れたうえで自分の意見を述べることが求められています。

タスク

Some people think that a high salary is important when choosing a company to work for, while others think that a good working atmosphere is more important. Discuss both views and give your opinion.

高い給与を大切にする見方と、良い職場の雰囲気のほうが大切だという見方です。Discuss both views and give your opinion なので、2つの見方をそれぞれ論じたうえで、自分がどちらを重く見るのかを示します。

シリーズ全体で共通する準備の手順は、総論の記事で順を追って紹介しています。この記事とあわせて読んでいただくと、手順のどこを今回のタスクに当てはめているのかが分かりやすくなるはずです。

タスク深掘りシリーズ タスク深掘りシリーズ:アイデア・実例・語彙・モデルアンサーまで1問ずつ徹底解説【総論】

このタスクを読むときは、次の2つの読み違いに気をつけておくとよいでしょう。

1-1 a good working atmosphere を労働条件全般だと思う

✗

working atmosphere=勤務時間、休日、福利厚生、オフィスの設備など、職場の条件全般残業の少なさや休みの取りやすさを並べる回答になる

○

working atmosphere=職場の雰囲気。上司や同僚との関係、相談のしやすさ、居心地一緒に働く人とどのような空気の中で働くかを論じる

なぜ読み違えるのか

日本語の「職場環境」は、設備も勤務時間も人間関係もまとめて指すことができる語です。atmosphere を「職場環境」と訳して読むと、労働条件の話まで含まれているように感じられます。Cambridge Dictionary では、この意味の atmosphere を the character, feeling, or mood of a place or situation と説明していて、用例には There's a very relaxed atmosphere in our office. が挙がっています。場所の雰囲気や空気感を表す語です。

回答では何が起きるか

この読み方のまま書くと、雰囲気を重視する側のボディが「残業が少ない」「休みが取りやすい」「福利厚生が充実している」という待遇の一覧になります。高い給与と比べているのが待遇の別の項目になってしまい、タスクにある2つの見方からずれていきます。

読むときのポイント

勤務時間や休日に触れてはいけないわけではありません。長時間労働が続く職場では、互いに余裕がなくなり、雰囲気も悪くなりやすいでしょう。条件に触れるときは、それが職場の雰囲気にどうつながるのかまで書いておくと、論じる対象から離れずに済みます。

1-2 when choosing a company to work for を読み落とす

✗

論じる対象=人生でお金と幸せのどちらが大切かMoney cannot buy happiness. のような一般論で段落が終わる

○

論じる対象=勤め先の会社を選ぶとき、何を判断の基準にするか会社選びの場面で、給与と雰囲気のどちらを重く見るかを論じる

a high salary という語が先に目に入ると、お金と幸福の関係という大きな話に引き寄せられがちです。ところが、このタスクで判断の場面として示されているのは、勤め先の会社を選ぶときです。お金で幸せは買えないという考えも理由の一部には使えますが、そこで段落を終えると、会社選びの話がどこにも出てこないまま次の段落へ進むことになります。一般論から入ったときは、最後に「だから会社を選ぶときには、こちらを重く見るべきだ」というところまで戻す必要があります。

タスクを3つの要素に分ける

要素このタスクでの中身
前提として与えられている事実会社を選ぶときに、高い給与を大切にする人と、良い職場の雰囲気のほうが大切だと考える人がいる
論じる対象勤め先の会社を選ぶときの判断の基準としての、給与と職場の雰囲気
問われていること両方の見方を論じ、自分はどちらを重く見るのかを述べる

前提の欄は、タスクの中では受け入れて書きます。「給与で会社を選ぶ人などいない」のように、片方の見方を持つ人がいること自体を否定すると、Discuss both views に答える土台がなくなります。それぞれの見方に、なぜそう考える人がいるのかを書くところから始めましょう。

02会社を選ぶ人は、給与と職場の雰囲気をどう見ているのか

給与と職場の雰囲気のどちらを重く見るかは、働く人にとって身近なテーマです。賃金の動きや、仕事を辞める理由を調べた統計を見ると、どちらの見方にも背景があることが分かります。

日本では賃上げの流れが続いている

連合が2026年7月3日に公表した2026年春季生活闘争の最終集計では、平均賃金方式で回答を得た組合の賃上げ率は5.01%で、3年連続で5%台になりました。給与の水準が動いている時期なので、給与を重視する側のアイデアを、実際に起きている動きと結びつけて書くことができます。

仕事を辞める理由には、給与も人間関係も挙がっている

厚生労働省の令和6年雇用動向調査(2025年公表)では、転職した人が前の職場を辞めた理由として、男性では「給料等収入が少なかった」が、女性では「職場の人間関係が好ましくなかった」が、それぞれ上位に入っています。会社を離れる理由として、どちらか一方だけが挙がっているわけではありません。両側のボディに、同じ調査から根拠を出せます。

仕事への熱意の低さと、管理職との関係

アメリカの調査会社 Gallup が2026年4月に公表した State of the Global Workplace では、仕事に熱意を持って取り組んでいる人(報告書の用語では engaged)の割合が、日本では8%と報告されました。世界の平均を大きく下回る水準です。Gallup は、近年の世界的な低下の多くを管理職の熱意の低下で説明しています。熱意は職場の雰囲気そのものではありませんが、上司やチームとの関係を論じる側の材料になります。

日本の感覚のまま書くと起きること

日本で会社選びというと、新卒の就職活動を思い浮かべる人が多いかもしれません。ただ、新卒の話だけで書くと、社会人として働いた経験がない時点での判断に話が限られます。会社選びは新卒のときだけのものではないので、転職を考えている人や、家族を養っている人まで含めて考えると、両側のアイデアが出しやすくなるでしょう。

03給与を重視する側でよく使われるアイデアと、その掘り下げ方

この側は、会社を選ぶときに高い給与を大切にする立場です。読み進める前に、まず自分で2つほどアイデアを考えてみましょう。

3-1 収入は、仕事の外の生活と将来の選択肢を支える

いちばん思いつきやすいのは、生活のためにはお金が必要だという論点です。住む場所、食費、家族の生活費は、給与から払うことになります。

ただ、「お金は生活に必要だ」で止まると、誰もが同意する一文で終わってしまいます。一段掘り下げるなら、収入がもたらす選択肢の広さに目を向けます。貯蓄があれば、子どもの教育や住む場所を選べますし、病気や失業のような予想外の出来事にも備えられます。高い給与は、仕事の外の人生で何を選べるかに関わる、という組み立てにすると、給与を重視する理由を生活の安定と結びつけて書けます。

3-2 給与は入社前に確かめられるが、雰囲気は入ってみないと分からない

給与は、求人の条件や雇用契約で、入社する前に確かめることができます。一方、職場の雰囲気は、面接や見学で受ける印象から推し量るしかありません。

確かめられる基準で選ぶほうが判断として確実だ、と考えを一歩進めることができます。さらに、雰囲気は一緒に働く人によって決まる部分が大きいので、上司の異動や同僚の退職で変わることもあります。入社したときの雰囲気が続く保証はない一方、給与は少なくとも入社時の条件として示されている、と比べると、雰囲気を重視する側への反論にもなります。

3-3 給与は、会社がその仕事をどう評価しているかを表す

給与を、会社からの評価の表れとして見ることもできます。同じ仕事に対して高い給与を払う会社は、その仕事の価値を高く見ていると考えられます。

しかも給与の話は、職場の雰囲気の話とも切り離せません。自分の働きに見合わない給与しか受け取れないと、正当に評価されていないと感じ、仕事への意欲が下がるかもしれません。給与の低さが、そのまま職場への不満の原因になるわけです。この関係まで書くと、給与と雰囲気をただ並べただけの回答とは差がつきます。

ほかに考えられる給与側のアイデア

  • 家族を養う立場にある人は、収入を優先せざるを得ない
  • 職場の人間関係が合わなくても、職場の外で人間関係を築くことはできるが、収入は外で補いにくい
  • 若いうちに貯蓄しておくと、あとで転職や学び直しを選びやすくなる

04職場の雰囲気を重視する側でよく使われるアイデアと、その掘り下げ方

こちらは、給与より職場の雰囲気のほうが大切だという立場です。給与の価値を否定せずに書けるかどうかが、この側のポイントになります。

4-1 人間関係のストレスは、高い給与でも埋め合わせにくい

多くの仕事では、勤務時間の大半を職場の人と関わりながら過ごします。上司や同僚との関係が悪いと、その時間がそのままストレスになります。

ストレスが続くと、心身の不調につながったり、仕事を辞めたりすることがあります。辞めてしまえば、高い給与もそこで途切れます。給与が高くても、そこで働き続けられなければ意味がない、という流れにすると、給与を重視する側の議論を受け止めたうえで反論できます。辞める理由として職場の人間関係を挙げる人が実際にいることは、02で見た調査からも確かめられます。

ライティング・タスク2 quiet quitting(静かな退職)とは?3つの軸で覚える関連語彙

4-2 相談しやすい職場では、仕事を早く覚えられる

分からないことを気軽に聞ける職場では、仕事を覚えるのが早くなります。先輩が教えることを嫌がらない雰囲気があれば、失敗から学ぶ機会も増えるでしょう。

職場の雰囲気は、やがて収入にも関わってきます。仕事を早く覚えて力をつけた人は、昇進や転職を通じて、のちにより高い給与を得られる可能性があります。長い目で見れば、良い雰囲気の職場を選ぶことは収入を増やすことにもなります。これなら、給与を重視する人の価値観に沿ったまま反論できます。

4-3 給与への満足は慣れると薄れやすいが、職場の人間関係は毎日続く

給与が上がった直後はうれしくても、その額が当たり前になるにつれて、ありがたみを感じにくくなる人もいるでしょう。一方、隣の席の同僚や上司との関係は、毎日の仕事の中で繰り返し向き合うものです。

ここは、具体的な場面で書くと説得力が増します。会議で意見を言いやすいか、困ったときに手を貸してもらえるか、成果を認めてもらえるか、といった日々のやり取りです。こうした積み重ねが働く人の満足を左右する、とつなげると、雰囲気という抽象的な語の中身が読み手に伝わります。

ほかに考えられる雰囲気側のアイデア

  • 雰囲気の良い職場では、育児や介護など事情に合わせた働き方を相談しやすい
  • 互いに協力する職場では、チームとしての成果が上がりやすい
  • 職場に居場所があると感じられることは、仕事を続ける理由になる

自分の意見をどう決めるか

このタスクには、高い給与と良い雰囲気が両立しないとは書かれていません。どちらもそろった会社があれば、それに越したことはないでしょう。そのうえで問われているのは、どちらかを選ばなければならないとき、どちらを重く見るかです。「どちらも大切だ」で結論を終えると、give your opinion に答えたことにはなりにくいので、優先する側をはっきり示しておきましょう。

立場書き方の目安
給与を重視する生活の安定と、入社前に確かめられることを中心に論じる。雰囲気の大切さは認めたうえで、変わりうるものだと位置づける
雰囲気を重視する働き続けられるかどうかを中心に論じる。給与の価値は否定せず、辞めてしまえば給与も途切れるという順で書く
条件をつけて一方を選ぶ生活に必要な収入が確保されていれば雰囲気を優先する、のように条件を先に示す。条件のあとで、どちらを選ぶのかをはっきり示す

どの立場でも、導入で示した意見と結論で述べる意見をそろえておきましょう。両方の見方を論じたボディのあとで、結論だけ別の考えに変わってしまうと、読み手には自分の意見がどこにあるのかが伝わりません。

ライティング・タスク2 問題タイプ別の答え方:Discuss both views【各論②】

05回答に入れられる実例はどれか

深掘りの段階では、2件から3件ほど用意しておけば十分です。主張のあとに1文か2文で添える、数字は原則として1つに絞る、といった回答での入れ方は、シリーズの総論にまとめています。

事例何を示しているか報告されていること
連合の2026年春季生活闘争の最終集計 給与の水準が上がり続けていること。3-1で使う 2026年7月3日公表。平均賃金方式で回答を得た5,368組合の加重平均は16,400円、5.01%で、3年連続で5%台となった
厚生労働省の令和6年雇用動向調査 給与も人間関係も、仕事を辞める理由になっていること。3-1と4-1の両方で使える 転職した人が前の職場を辞めた理由のうち、「給料等収入が少なかった」は男性10.1%・女性8.3%、「職場の人間関係が好ましくなかった」は男性9.0%・女性11.7%
Gallup の State of the Global Workplace(2026年版) 仕事に熱意を持って取り組む人の割合が低く、その低下に管理職が関わっているとされること。4-1と4-3で使う 2026年4月公表。仕事に熱意を持って取り組んでいる人の割合は、日本で8%、世界平均で20%。近年の低下の多くは管理職の熱意の低下によると説明している

このうち雇用動向調査は、1つの調査で両側の根拠になる点が使いやすいところです。ただし、示しているのは辞めた理由で、会社を選ぶときの基準そのものではありません。回答で使うときは、会社選びの話につなげてから添えましょう。

このタスクでの入れ方

✗

According to the 2024 Survey on Employment Trends by the Ministry of Health, Labour and Welfare, 10.1% of men and 8.3% of women left their previous job because of low pay, while 9.0% of men and 11.7% of women left because of poor relationships at work.数字が4つ並び、何を主張するための例なのかが見えない

○

A poor working atmosphere can drive employees away, however well they are paid. In Japan, for instance, difficult relationships with colleagues are among the most common reasons people give for leaving a job.主張を先に述べ、実例は1文。数字を出さずに方向だけを示している

自分や身近な人の経験を例にすることもできます。その場合も、個人の体験談で段落を終えず、そこから会社選び全般について何が言えるのかまで書いておくと、議論として読まれやすくなります。IELTSの回答では、出典を詳しく示す必要はありません。

06中級と上級で押さえたい語彙とコロケーション

このテーマで回答が崩れやすいのは、salary と組み合わせる語と、職場の人間関係を表す言い方です。

中級:バンド6を目指す段階

表現意味と使いどころ
a company to work for勤め先の会社。会社に勤めるときは work for +会社で、最後の for を落とさない
a high salary / a low salary高い給与/低い給与。salary は可算名詞で、金額の大小は high と low で表す
be well paid給与がよい。主語には人を使う(Nurses are not well paid.)
a pay rise昇給。pay rise はイギリス英語の言い方で、アメリカ英語では pay raise や raise を使う
the cost of living生活費。給与の話を生活につなげるときに使う
get on well with colleagues同僚とうまくやっていく。get along with も同じ意味で使える
a friendly working atmosphere和やかな職場の雰囲気。friendly の代わりに relaxed や supportive も使える
working conditions労働条件。勤務時間や休日、設備などを指す。通常は複数形
job satisfaction仕事への満足感。不可算で使う
feel stressed at work仕事でストレスを感じる。stressed は形容詞

上級:バンド7以上を目指す段階

表現意味と使いどころ
financial security経済的な安定。3-1の掘り下げで使える
make ends meet収入の範囲でなんとか生活をやりくりする。給与が低いと生活が苦しいことを具体的に言える
a competitive salary他社と比べて見劣りしない給与。求人の条件を述べるときによく使われる
a supportive workplace culture互いに支え合う職場の文化。atmosphere より、長く続いている慣習や考え方の側を指せる
staff morale職場の士気。boost morale(士気を高める)の形でも使う
staff turnover従業員の入れ替わり、離職。high staff turnover で離職が多いことを表す
retain employees従業員を引き留める。4-1で、会社の側から見た話にするときに使える
burnout / burn out燃え尽き(名詞)/燃え尽きる(動詞)。ストレスが続いた先の状態を述べる
employee engagement仕事への熱意や関わり。Gallup の調査を紹介するときの語
outweigh上回る。The benefits of a higher salary may not outweigh the cost of a stressful workplace. のように、意見を述べる文で使える

よくある誤り

✗

It is important to choose a company to work.会社に勤めるのは work for +会社。for が抜けている

○

It is important to choose a company to work for.

✗

Employees who get stress every day may leave the company.stress は名詞。気持ちを表すときは形容詞の stressed を使う

○

Employees who feel stressed every day may leave the company.

△

Human relationships in the office are important.文法の誤りではないが、human relationships は人と人との関係を広く指す言い方。職場の話なら次の形のほうが具体的

○

Good relationships with colleagues are important.

atmosphere と environment の使い分け

working atmosphere と working environment は、どちらも「職場環境」と訳されることがあり、重なる部分もありますが、中心になる意味が違います。Cambridge Dictionary では、atmosphere を場所や状況の character, feeling, or mood と説明しているのに対し、environment は the conditions that you live or work in と説明しています。

atmosphere は、その場の雰囲気や空気感を表す語で、a relaxed atmosphere や a friendly atmosphere のように使います。environment は、働くときの条件全体を指す語で、明るく風通しのよいオフィスを指して a pleasant working environment と言う用例もあります。このタスクで問われているのは atmosphere なので、人間関係や居心地の話を中心にし、設備や勤務時間に触れるときは environment や working conditions と言い分けると、論じている対象がはっきりします。

給与の高い仕事を英語でどう書くかは、次の記事で詳しく扱っています。

ライティング・タスク2 「給料の高い仕事」は英語でどう書くか:high-paying・high-paid・well-paid の使い分け

07モデルアンサーはどう作るか

このシリーズでは、モデルアンサーを先に読むのではなく、まず自分で材料を組み立てることを重視しています。モデルアンサーは、そのあとに比較対象として用意すると学習になります。作るときの5つのステップと、できあがったモデルアンサーの使い方は、シリーズの総論で紹介しています。

自分で1本書いたあと、次の3点を見直してみましょう。

  • 会社選びの話になっているか:お金と幸せの関係のような一般論で、段落が終わっていないか
  • 雰囲気の範囲がずれていないか:雰囲気の側のボディが、勤務時間や福利厚生の一覧になっていないか
  • 自分の意見がはっきり示せているか:「どちらも大切だ」で終わらず、どちらを重く見るのかが導入と結論でそろっているか

同じ考え方は、仕事の選び方や働き方をめぐる別のタスクでも使えます。仕事への満足と雇用の安定のどちらを選ぶか、同僚と職場の外でも付き合うべきか、1つの会社に長く勤めるべきか、といったタスクです。どれも、判断の場面を読み落とさず、両側の価値を認めたうえで優先順位を示す、という同じ組み立てで書けます。

08よくある質問

a good working atmosphere には、勤務時間や福利厚生も含まれますか。

中心になるのは、上司や同僚との関係、相談のしやすさ、居心地といった職場の雰囲気です。勤務時間や休日に触れてもかまいませんが、条件の一覧で段落を埋めるとタスクからずれます。触れるときは、その条件が職場の雰囲気にどうつながるのかまで書いておきましょう。

結論を「どちらも大切だ」にすると、自分の意見を述べたことになりますか。

両方の価値を認めること自体は問題ありませんが、それだけで終えると自分の意見が読み手に伝わりにくくなります。どちらかを選ばなければならないときにどちらを重く見るのかを示しましょう。生活に必要な収入があれば雰囲気を優先する、のように条件をつけて一方を選ぶ書き方もできます。

給与の高い会社は雰囲気が悪い、と決めつけて書くのは問題ですか。

タスクには、高い給与と良い雰囲気が両立しないとは書かれていません。両方がそろった会社もありうるので、一方が高ければもう一方は悪いと決めつけないほうが安全です。どちらかを選ばなければならない場面を想定して、どちらを重く見るかを論じるほうが書きやすいでしょう。

新卒の就職活動の話として書いてもよいですか。

書くことはできますが、このタスクは新卒の就職に限った話ではありません。転職を考えている人や家族を養っている人まで含めて考えると、収入を優先する理由も雰囲気を優先する理由も出しやすくなります。特定の立場に絞る場合は、その理由を一言添えると、読み手が前提を共有できます。

自分の職場の経験は、例として使えますか。

例として使うことはできます。ただし、個人の体験談で段落を終えると、議論としての広がりが出ません。その経験から会社選び全般について何が言えるのかまで書く必要があります。

日本の調査の数字を回答で使ってもよいですか。

使えます。ただ、数字は原則として1つに絞り、主張を述べたあとに添えます。正確な数字を覚えていなければ、日本では職場の人間関係も仕事を辞める理由の上位に入っている、のように方向だけを書けば十分です。

atmosphere と environment はどう使い分けますか。

atmosphere はその場の雰囲気や空気感を、environment は働くときの条件全体を指します。このタスクで問われているのは atmosphere なので、人間関係や居心地の話が中心になります。設備や勤務時間について書くときは、environment や working conditions を使うと区別がはっきりします。

このタスクの準備は、ほかのタスクにも使えますか。

使えます。仕事への満足と雇用の安定のどちらを選ぶか、1つの会社に長く勤めるべきか、といった働き方をめぐるタスクでも、判断の場面を読み落とさず、両側の価値を認めて優先順位を示すという組み立ては同じです。語彙の表にある表現も、そのまま応用できます。

09まとめ

このタスクでつまずきやすいのは、working atmosphere の範囲と、会社を選ぶという場面の読み取りです。ここを外さなければ、給与の側にも雰囲気の側にも、掘り下げた理由を用意できます。そのうえで、どちらを重く見るのかを、導入から結論まで同じ意見で示しましょう。

  • タスクに書かれた判断の場面(いつ、何を選ぶときの話か)を、一般論に広げずに読む
  • 訳語が同じになる英語(atmosphere と environment など)は、指す範囲の違いを確かめてから論じる
  • Discuss both views では、両方の価値を認めたうえで、どちらを優先するのかをはっきり示す

シリーズのほかの回や共通の手順は、総論の記事からたどれます。

タスク深掘りシリーズ タスク深掘りシリーズ:アイデア・実例・語彙・モデルアンサーまで1問ずつ徹底解説【総論】
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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