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スピーキング

英語で言葉に詰まると語尾を伸ばしてしまう癖:and や like に母音を足さずに間をつなぐ方法

執筆:高橋 響 公開日:

英語で話しているとき、次の言葉がすぐに出てこず、and を「アンドゥー」、like を「ライクー」と伸ばしてしまう方がおられます。日本語では語尾の母音を伸ばして考える時間をつくれますが、英語では子音で終わる単語も多いため、同じように語尾を伸ばすことはできません。

では、次の言葉を考えている間は、黙っていてもよいのでしょうか。この記事では、日本語と英語の音の違いを確認しながら、語尾に余分な母音を足さずに話す方法と、その練習方法を解説します。

01日本語は母音を伸ばして間を埋める

日本語の会話では、考えている間も声を途切れさせず、母音を伸ばして時間をつなぐのが普通です。週末の予定を聞かれて、思い出しながら答えるときの話し方を書き起こすと、たとえば次のようになります。

えーと、土曜日はー、友達とー、駅前のカフェにー……

「えーと」のようなつなぎの言葉だけでなく、「土曜日はー」「友達とー」と、区切りの最後の母音をそのまま伸ばしています。聞き手のほうも、語尾が伸びているあいだは相手がまだ話を続けるつもりだと受け取り、口をはさまずに待ちます。

英語で話しているときに「えーと」がそのまま出てしまう人もいますが、こちらは自分でも気づきやすく、uh や um に置き換える練習をしている人も多いでしょう。気づきにくいのは、語尾が伸びるほうです。「土曜日はー」の「はー」はつなぎの言葉ではなく、語の一部を長く言っているだけなので、言葉に詰まっていることに自分では気づきにくいのです。

日本語でこうした伸ばし方ができるのは、日本語の音のほとんどが母音で終わるからです。「は」「と」「に」はどれも子音と母音の組み合わせで、最後に母音が残ります。母音は息が続くかぎり声を出し続けられるので、「とー」「にー」と伸ばしても音が崩れません。母音で終わらない「ん」も、「んー」と声を続けられます。

言葉を探しているあいだに語尾が伸びるのは、日本語を話す人が意識してやっていることではありません。考えるための時間を、ほとんど無意識に母音でつないでいます。そのため英語を話す場面でも、言葉に詰まった瞬間に同じ伸ばし方が出てきます。

02英語の単語は子音で終わることが多く、そのままでは伸ばせない

and や like のように、会話で話をつなぐときによく使う語の多くは、最後の音が子音です。

語発音最後の音の出し方
and /ænd/アンド/d/:舌先を上の歯ぐきに付けて止める
like /laɪk/ライク/k/:舌の奥を上あごの奥に付けて止める
but /bʌt/バット/t/:舌先を上の歯ぐきに付けて止める
that /ðæt/ザット/t/:舌先を上の歯ぐきに付けて止める
think /θɪŋk/シンク/k/:舌の奥を上あごの奥に付けて止める

カタカナのルビは目安です。「ド」「ク」「ト」はそれぞれ母音まで含んだ文字なので、英語で言うときは最後の子音だけを出して止めます。

/d/ /t/ /k/ は、舌で息の通り道を一度ふさいで出す音です。ふさいでいるあいだは声が外に出ないので、日本語の「とー」のように音を続けることができません。and のあとに次の言葉が出てこないとき、/d/ の形のまま伸ばそうとしても、聞こえるのは無音です。

英語にも、声を続けたまま伸ばすことができる音はあります。so の母音、well の /l/、um の /m/ は、息が続くかぎり長く出し続けられます。一方で、and・like・but のように子音で止まる語は、語の形を保ったまま最後の音を引き延ばすことができません。

03and が「アンドゥー」になる癖と、聞き手が感じる違和感

△

I like-u … reading books.like の最後に母音を足して [laɪkɯː]ライクー と伸ばしている

○

I like … reading books./k/ で止めて、黙ったまま次の語を探している

上の行は、日本語と同じように語尾の音を伸ばそうとした例です。/k/ のあとに声を続けようとして母音を1つ足し、その母音を伸ばしています。and なら [ændɯː]アンドゥー や [ændoː]アンドー、but なら [bʌtoː]バットー、that なら [ðætoː]ザットー のように、t や d で終わる語には「オ」が、k で終わる語には「ウ」が付きやすくなります。カタカナで「アンド」「ライク」と覚えた語は、最初から最後に母音が付いた形で頭に入っているので、そこに日本語の伸ばし方が重なると、こうした音になります。

英語を母語とする人は、and や like の最後に母音を足して伸ばすことはしません。そのため、意味は分かっても、聞き慣れない不自然な音に聞こえます。

足した母音は、聞き手にとって余分な音節にもなります。like は1音節の語ですが、「ライクー」と言うと2つのかたまりに聞こえます。英語には like a や and a のように、短い母音で始まる語がうしろに続く言い方がよくあるので、語尾に足した母音が a のように聞こえて、語の切れ目が分かりにくくなる場合もあります。

Pronunciation では、聞き手にとっての聞き取りやすさが評価されます。つなぎの言葉そのものの扱いについては、次の記事で詳しく解説しています。

スピーキング IELTSスピーキングでUm・Uh・Wellは評価が下がる?フィラーを怖がる必要がない理由:Fluency and Coherenceの観点から見る

04考える間を、音で埋めなくてもよい

言葉に詰まったときに語尾が伸びてしまう背景には、黙っている時間をつくってはいけないという思い込みもあります。英語の会話でも、考えるために黙ることはめずらしくありません。

よく知られている例に、イーロン・マスク氏のインタビューの一場面があります。ポッドキャスト番組の司会者 Lex Fridman 氏から、SpaceX が火星に人を降り立たせるのはいつになると思うかと聞かれ、hmm と言ったきり、20秒あまり黙って考え続けています。

火星に人が降り立つ時期を聞かれ、20秒あまり黙って考えるイーロン・マスク氏

IELTSのスピーキングは限られた時間の中で進み、Fluency and Coherence では話がどれだけ途切れずに続くかも見られているので、試験で20秒黙るのは長すぎます。だからといって、黙らないように無理に声を出し続ける必要はありません。

1〜2秒黙って考えてから話し始めるのは、英語の会話ではよくあることです。語尾を伸ばしながら考えるより、黙って考えてから続きを言うほうが、聞き手にとっては1語1語が聞き取りやすくなります。

05英語を話す人が言葉に詰まったときの間のつなぎ方

Q. What do you usually do at the weekend?

I usually go to the gym on Saturday mornings, and … um, after that I sometimes meet a friend for lunch. There's a small Italian place near the station that we, uh, we both really like.

この答えでは、and のあとと that we のあとで言葉に詰まっています。and は /d/ で止め、いったん黙ってから um で次につないでいます。we のあとも uh を挟んで同じ語を言い直しているだけで、語尾に母音は足していません。

言葉がすぐに出てこないときは、次のようなつなぎ方があります。

つなぎ方例気をつけたいこと
子音で止めて黙るand …1〜2秒ほどの沈黙なら、会話の中でめずらしくない
um・uh を入れるand, um, …毎回同じ語ばかりにならないようにする
語の中の母音を伸ばすso → [səʊː]ソウー
and → [æːnd]アーンド
伸ばすのは語の途中の母音で、語尾の子音のうしろではない
the を長めに言うthe → [ðiː]ズィー次の名詞を探しているときに使われる
言葉を探していることを言うLet me think.
What's the word?
少し考える時間が必要なときに使える

音を伸ばしてつなぐときに長くしているのは、母音か、m や n のように声が続く音です。and を伸ばす人は「アーンド」と真ん中の母音を長くしてから /d/ で止めます。最後の子音のうしろに新しい母音を足して伸ばすことはしません。

次の言葉がすぐに出てきそうなら黙って待ち、少し考える時間が必要なら um や Let me think. を使うといいでしょう。

Part 2 の最長2分のスピーチでは、話の続きを考えながら and でつなぐ場面がとくに増えます。and のたびに語尾が伸びると、話しているあいだに同じ音が何度もくり返されて耳に残ります。Part 2 のメモに書いた次の項目に移るときは、and でつながずにいったん文を終え、黙って次に話すことを考えても構いません。言葉を探すときに使える表現は、次の記事にまとめています。

スピーキング IELTSスピーキングのフィラー表現20選:Um・Well以外にも使える言い換え集

06語尾に母音を足す癖を直す練習

この癖は言葉に詰まった瞬間に出るので、自分で気づくのが難しいものです。最初に録音で、どの語で起きているかを確かめておくと、どの語を練習すればよいかが分かります。

ステップすること確かめること
1Part 1 の質問に1分ほど答えて録音するand・but・like・that・think のあとで音が伸びていないか
2伸びていた語を書き出すどの語で起きやすいか
3書き出した語を1つずつ言い、最後の子音で止める舌の形を保ったまま、1秒ほど声を出さずにいられるか
4その語のあとに um を続けて言うand と um のあいだに「ウ」や「オ」が入っていないか
5同じ質問にもう一度答えて録音する1回目と比べて、伸びている箇所が減っているか

ステップ3では、and なら舌先を上の歯ぐきに付けたところで止め、そのまま息も止めます。舌を離した瞬間に「ゥ」が出てしまう人は、舌を付けたまま1秒待ってから次の語を言うと、母音が出にくくなります。

最後の子音で止める練習を続けると、次の語とつなげず、一語ずつ区切って発音してしまう人がいます。like it や and I のように、うしろに母音で始まる語が続くときは、最後の子音が次の母音とつながって /laɪk ɪt/ライキット、/ænd aɪ/アンダイ のように聞こえるのが自然です。止めるのは、そこで言葉に詰まったときだけです。次の語がすぐに出てくるなら、子音をそのまま次の語につなげて構いません。

練習の段階では、言葉に詰まったらまず黙って待つことを優先し、それに慣れてから um や Let me think. も使ってみるといいでしょう。

07よくある質問

and を「アンドゥー」と伸ばすと、何が問題になりますか?

足した母音が余分な音節に聞こえ、like a のように別の語が続いているように聞こえる場合があります。Pronunciation では聞き手にとっての聞き取りやすさが評価されるので、直しておきたい癖です。

英語を話す人も and を伸ばすことはありますか?

あります。伸ばすときは真ん中の母音を長くするか、um を続けます。

言葉に詰まったら、黙ってしまってもよいのですか?

1〜2秒ほどの沈黙なら問題ありません。長くなりそうなときは Let me think. と言ってから考えると、聞き手も待つことができます。

but や that でも同じことが起きますか?

起きます。t で終わる語は「バットー」「ザットー」と「オ」が付きやすい語です。

the を「ズィー」と伸ばすのは不自然ですか?

不自然ではありません。次の名詞を探しているときに、英語を話す人も使う言い方です。

um や uh は何回使ってもよいですか?

回数の決まりはありません。毎回 um ばかりにならないよう、黙る、Let me think. と言う、と組み合わせるとよいでしょう。

語尾を伸ばす癖を直すには、何から始めればよいですか?

1分ほど答えた録音を聞き、伸びていた語を書き出すところから始めます。

08まとめ

  • 日本語は母音で伸ばし、英語は子音で止まる
  • and・like・but のうしろに「ウ」「オ」を足さない
  • 考える間を音で埋めなくてよい

Part 1 の質問を1つ選んで1分ほど答えを録音し、and のあとで音が伸びていないかを聞いてみましょう。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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