試験まであと1週間。これまでの3週間で、タスクの読み違いを減らし、ボディの段落の組み立て方を見直し、定型文や書き方の思い込みも整理してきました。最後の週は、これまでに書いた回答と誤りの記録を使い、自分が繰り返しているミスを減らすことに集中します。
目標は、1本の回答に含まれる誤りを5個以下に減らすことです。ただし、すべての誤りを一度に直そうとするのではなく、これまでの記録を振り返り、単数と複数、冠詞、スペリング、句読点など、自分が間違えやすい項目から優先的に見直していきます。また、本番の40分間でどの順番で見直すかを決め、試験直前の数日をどう過ごすかも整理しておきましょう。
最後の週は、新しい知識を増やすことよりも、すでに身につけたことを本番で確実に使えるようにすることが大切です。これまでの練習を振り返りながら、落ち着いて試験に臨むための準備を進めていきましょう。
目次
「1本の誤りを5個以下」はどういう目安か
誤りの記録から、見直す種類を絞る
単数と複数、冠詞の誤りはどこで起きるのか
スペリングと句読点の誤りはどう拾うのか
40分の中で、見直しをどの順番で行うか
本番前の数日に、何を続けて何をやめるか
この週の終わりに確かめること
よくある質問
まとめ
01 「1本の誤りを5個以下」はどういう目安か
「5個以下」は、採点基準に書かれた数ではありません。Band 7の記述にある「誤りのない文が頻繁に見られる」状態を、練習のときに自分で数えて確かめるための目安です。現行版の記述は次のとおりです。
Grammatical Range and Accuracy・Band 7
Grammar and punctuation are generally well controlled, and error-free sentences are frequent. A few errors in grammar may persist, but these do not impede communication.
Lexical Resource・Band 7
There are only a few errors in spelling and/or word formation and they do not detract from overall clarity.
260〜280語の回答を1文20語前後で書くと、13〜14文ほどになります。誤りが5個以下なら、5個が別々の文に1つずつ入っていても、8〜9文以上は誤りのない文として残ります。誤りが10個あって別々の文に入っていれば、誤りのない文は半分を下回ります。5という数は、この計算から置いた練習上の区切りです。
採点は誤りの数だけで決まるわけではなく、誤りが伝わりやすさを損なっているかどうかも見られています。5個以下にできても、構文の幅が単文だけに偏っていれば、range の面ではBand 7の記述に届きません。逆に、6個あったからといって、それだけでBand 6が決まるわけでもありません。
数えるのは、直さないと誤りになる箇所です。文法、単数と複数、冠詞、スペリング、句読点の誤りを1か所1個として数え、「こちらのほうが自然」という言い換えの提案は数に入れません。独学なら、一晩置いてから自分で数えた数と、AI添削などで指摘された数の両方を残しておきます。レッスンや添削を受けている場合は、講師に指摘された誤りを、同じく1か所1個として数えておきます。
ライティング・タスク2
ライティング・タスク2 採点基準表(Band Descriptors):2023年5月改訂で何が変わったのか
02 誤りの記録から、見直す種類を絞る
1週目から付けてきた記録を開き、誤りの型ごとに、出てきた回数を数えます。同じ書き手が繰り返す誤りの種類は、書き出してみると思ったより少ないかもしれません。多い順に並べた上位の型が、この週の見直しで最初に確かめる場所です。
確かめること どうするか
3回以上出てきた型 本番の見直しで、最初に確かめる型にする
自分では見つけられず、添削で指摘された型 自分の見直しでは通り過ぎている型なので、確かめ方を決めておく(動詞だけを追う、名詞だけを追う、など)
1回しか出てこなかった型 リストから外す。本番で見る型は10個以内に収める
型が10個を超えると、本番の数分の見直しでは使い切れません。上位の型だけを残し、それぞれに「どこを見るか」を1行で添えておくと、本番の見直しの手順がそのまま決まります。記録の付け方と、型を絞る考え方は次の記事にまとめています。
ライティング・タスク2
文法は分かっているのにミスが出るのはなぜか:三単現のsを落とす仕組みと見直しの手順
03 単数と複数、冠詞の誤りはどこで起きるのか
単数と複数、冠詞の誤りは、日本語にない区別なので、書いている最中には注意が向きにくくなります。地元の食品をテーマにした回答なら、次のような形で起きます。
3-1 数えられる名詞を単数のまま書く・数えられない名詞を複数にする
✗
Local farmer can sell their products directly to shops.farmer は数えられる名詞で、冠詞も複数形もない
○
Local farmers can sell their products directly to shops.一般論なので複数形にする
✗
Fresh produces are sold within a day of harvest.農産物の意味の produce は、ふつう数えられない名詞として使う
○
Fresh produce is sold within a day of harvest.単数で受ける。information、advice、research も同じ扱い
3-2 主語と動詞が離れて、数が合わなくなる
✗
The number of imported products sold in supermarkets have increased.直前の supermarkets に動詞を合わせている
○
The number of imported products sold in supermarkets has increased.主語の中心は number
3-3 決まって the や a が付く名詞で冠詞を落とす
✗
Transporting food over long distances is harmful to environment.自然環境を指す environment には the が要る
○
Transporting food over long distances is harmful to the environment.the environment の形で覚えておく
✗
In some rural areas, there is lack of fresh vegetables.新しく「不足」を持ち出すときの基本形は a lack of
○
In some rural areas, there is a lack of fresh vegetables.どの不足かが特定できるときだけ the lack of にする
こうした誤りは、書いている最中に1語ずつ判断しようとすると、内容を考える手が止まります。書き終えてから、名詞だけ、動詞だけを追う見直しで拾うほうが、時間を取られずに済みます。名詞ごとの詳しい判断は、次の記事が参考になります。
ライティング・タスク2
動画のコンテンツは英語で content か contents か:単数形と複数形で迷う名詞
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主語と動詞の一致で迷いやすい7つのケース:どちらに合わせるかの判断基準
ライティング・タスク2
school・hospital・prison に the がいらないのはなぜ?目的と場所で変わる冠詞の使い分け
04 スペリングと句読点の誤りはどう拾うのか
スペリングの誤りは、同じ語で繰り返し起きます。添削で指摘された語を書き留めておき、本番の見直しではその語だけを探すようにすると、短い時間で確かめられます。タスク2でよく使う語の中にも、つづりを落としやすいものがあります。
よくある誤り 正しいつづり
goverment government
enviroment environment
neccessary necessary
recieve receive
イギリス式とアメリカ式のつづりは、どちらを使ってもかまいません。1本の回答の中で、どちらかにそろえておけば十分です。
句読点では、2つの文をカンマ1つでつなぐ形がよく見られます。カンマの前後がどちらも主語と動詞のそろった文なら、ピリオドで分けるか、and や but を足します。
✗
Local food is fresher, it also costs less to transport.独立した2つの文を、カンマだけでつないでいる
○
Local food is fresher, and it also costs less to transport.and を足すか、ピリオドで2文に分ける
ライティング・タスク2
IELTSエッセイの句読点:カンマを打つ場所と打たない場所
ライティング・タスク2
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05 40分の中で、見直しをどの順番で行うか
見直しは、頭から1回通して読むより、探すものを1つに決めて何回かに分けて通すほうが、誤りを拾えます。通して読むと目が意味を追い、意味が通る文は正しく見えてしまうからです。タスク2の40分のうち、最後の3分から5分ほどを見直しに残しておくと、次の順番で確かめられます。
順番 見るもの 確かめること
1 語数と設問 250語を下回っていないか。設問のすべてに答えているか
2 すべての動詞 主語と数が合っているか。段落の時制と合っているか
3 数えられる名詞 冠詞も複数形もないまま単数で残っている名詞はないか
4 自分の記録の上位の型 誤りの記録から絞った上位の型と、書き留めておいたスペリングの語
見直しに2分しか残らなかったときは、1と2だけで切り上げます。自分の誤りが名詞のほうに偏っているなら、2と3の順番を入れ替えてかまいません。3分から5分という時間は、IELTSが決めているものではないので、練習のときに測って自分に合う長さを見つけておきましょう。
ライティング・タスク2
IELTSライティングタスク2の40分:プランニングと見直しに何分残すかの判断基準
06 本番前の数日に、何を続けて何をやめるか
本番前の数日は、これまでの3週間で決めた手順を、本番と同じ条件で通しておく時間にあてるのがおすすめです。
続けること やめること
本番と同じ受験方式(手書きかコンピューター)で、タスク1とタスク2を60分で通して書く 新しい教材や、新しい定型文・難しい表現の暗記を始める
タスクを読んで、何に答えるのかを日本語1文で書く練習 1日に何本も回答を書いて、見直しと記録を省く
書いた回答の誤りを数え、上位の型を見直しの順番で確かめる 見直しの順番を、直前になって変える
60分を通して書くと、タスク1とタスク2の時間配分が予定どおりにいくかも確かめられます。タスク1に時間がかかりすぎてタスク2の見直しが残らなかったなら、どちらで何分を使うかを本番の前に決め直します。
試験の前日は、回答を何本も書くより、見直しの順番と時間配分を確かめる程度にとどめておくと、当日に同じ手順を落ち着いて使えます。
07 この週の終わりに確かめること
本番の前に、次の項目を確かめてみましょう。
直近の回答で、添削で指摘された誤りが1本5個以下に収まっている
自分の誤りの型を、多い順に10個以内で挙げられる
上位の型それぞれについて、見直しでどこを見ればよいかを1行で言える
添削で指摘されたスペリングの語を書き留めている
見直しの順番を決めていて、2分しか残らなかったときに何を省くかも決めている
本番と同じ受験方式で、タスク1とタスク2を60分で通して書いた
08 よくある質問
IELTSライティングで7.0を取るには、文法の誤りを何個以下にすればよいですか。
採点基準に誤りの個数は書かれていません。Band 7の Grammatical Range and Accuracy には、誤りのない文が頻繁に見られることが書かれています。260〜280語を1文20語前後で書くと13〜14文ほどになるので、誤りを5個以下に抑えると、8〜9文以上が誤りのない文として残ります。5個は、この計算から置いた練習上の目安です。
誤りは何を数えればよいですか。
直さないと誤りになる箇所を、1か所1個として数えます。文法、単数と複数、冠詞、スペリング、句読点の誤りが対象で、「こちらのほうが自然」という言い換えの提案は数に入れません。添削を受けている場合は、講師に指摘された誤りも、同じく1か所1個として数えます。
誤りが5個以下なら、Grammatical Range and Accuracy はBand 7になりますか。
誤りの数だけで決まるわけではありません。Band 7の記述では、さまざまな複雑な構文をある程度の柔軟性と正確さで使えることも求められています。単文だけで書いて誤りを減らしても、構文の幅の面ではBand 7の記述に届かないことがあります。
見直しは何分くらい残せばよいですか。
タスク2の40分のうち、3分から5分ほどが一つの目安です。IELTSが決めている時間ではないので、練習のときに測って自分に合う長さを見つけておきましょう。2分しか残らなかったときは、語数と設問、すべての動詞の2つだけを確かめます。
イギリス式とアメリカ式のつづりが混ざると、誤りになりますか。
どちらのつづりを使ってもかまいません。1本の回答の中では、どちらかにそろえておけば十分です。
試験の直前に、新しい表現を覚えたほうがよいですか。
直前に覚えた表現は、場面に合うかを確かめる時間がないまま本番で使うことになりやすく、誤りの数を増やすおそれがあります。本番前の数日は、本番と同じ条件で60分を通して書き、見直しの手順を確かめることに時間を使うほうが、これまでの練習を本番で生かすことができます。
4週間で7.0に届かなかったら、何から続ければよいですか。
それぞれの週の終わりに確かめた項目のうち、チェックが付かなかったものから続けます。タスクの読み違い、メインアイデア、定型文への頼り方、誤りの数は、どれもBand 7の記述につながっています。誤りの記録は次の受験まで続けておくと、見直す型を絞り続けられます。